狩人と舞う白銀の翼   作:睦月透火

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初期はほのぼのだった筈なのに、いつの間にやらシリアスムード不可避……

いや、そうしないといけない気がしてね?
それにコイツ(黒鋼龍)さすがに許せないからオシオキしないとだし。

なので続行、第27話!!


覚醒

 クシャルダオラ特有の黒っぽい甲殻が、僅かに黄金のオーラを纏う……足元には大量に精製されたクリスタル状の欠片が散らばっており、大気の流れも僅かに黄金の揺らめきが混じっている……そしてあれ程淀んでいた曇り空にも幾つかの穴が空いて、まるでスポットライトの如くマサトさんを照らし出していた。

 

『……な、なんだ……何なのだ、その光は……ッ?!』

 

 黒鋼龍アギトは、この異変に激しく動揺した。

 彼もまた転生者であり、マサトと同じくクシャルダオラへと生まれ変わった時から「己は選ばれた」、「比類なき力ある者となった」と考えている。

 実際、アギトには【重力操作】という特殊能力があるが……名前から想像するほど勝手の良い力ではなく、またその本質をアギト自身は知る由も無い。

 

『……アギト、君の力は確かに強い……だけど、私は負けられないんだ……!』

 

 力強く一歩を踏み出すマサト、その足元や大地からは次々と謎の結晶体が生成され、まるでイヴェルカーナが冷気を纏って歩いてくる様子にも見えた……

 

 

『ッ! ほざくなぁッ!!』

 

 恐らく最大出力の、強烈な風弾を連発する黒鋼龍……だがマサトさんは全く動じず、前足をそっと踏み出し、巨大な結晶で防御する……黒鋼龍は立て続けに重力操作でマサトさんを拘束してきた。

 

『もう手加減などせん! このまま醜く潰れて消えろォッ!!』

 

 地面ごと一段沈み混むマサトさんの身体……だが、彼の表情は穏やか……いや、黒鋼龍を哀れみの目で見ていた。

 

『……マサト……さん……』

 

 何だろう、焼け付く様な怒りでもなく……身体中を引き裂くような憎悪でもない……マサトさんの瞳に宿った感情は、ただただ……純粋な哀れみだけだった。

 

『……もう、終わりにしよう……キミは、生きていく世界を間違えたんだ……』

 

 悲しげにマサトさんがそう呟き、前足を上げて咆哮する……僅かに遅れて、極大範囲の暴風が周囲を覆い……大量の結晶体を撒き上げ始める。

 

『グルゥァァァァアッ!!』

 

 黒鋼龍はマサトさんの意図に気付いたのか、重力操作もそのままに直接行動を阻止せんと突進を開始するが……

 

『ッ!?』

 

 黒鋼龍の顎の下を細い光が掠め、黒鋼龍がその場で怯む。

 一瞬、私の背中に寒気が走った……あの光は、恐ろしく速い上に熱い……直感で分かる。

 

 一度怯んだ黒鋼龍だが、次が来ないと知るや否や再び突進を始めようとして……

 

『……ガァァァァグゥッ!?』

 

 今度は雨の如く降り注ぐ大量の光に全身を貫かれた。

 ……私は夢でも見ていたのかなぁ? この光景はマサトさんの造り出したものなのか? 実感が湧かない……でも、黒鋼龍は確かにさっきまで私とも戦っていたし、マサトさんにもアタックを仕掛けていた。

 マサトさんも痛烈なダメージを浮けたりしたし、歴然とした力の差はあったハズだ……

 

 でも、この光景は……現実なのだろう……

 

『……ッ……! ……、……グゥ……ッ!?』

 

 全身をあの光に貫かれ、一瞬で全ての体力を消し飛ばされた黒鋼龍……声を上げる暇もなく、その身体中に漆黒の穴を穿たれ……最後の踏み出しの勢いを殺せないまま大地に叩き付けられる。

 辛うじて頭は避けられたが、身体中の穴からは血も滴らない……多分、全ての傷が中の肉を焼かれ、強制的に出血を止めさせられているんだ。

 

(……慈悲、なのかな……でも、皮膚の内側の火傷は、取り除かないと……あのまま)

 

 推測だけど、体内を焼かれたまま放置すると、傷部分は一生残り、動く度に鋭い痛みを与えてくると思う……命は取らないけど、最大限の罪……苦痛を味わって貰うって事なのだろう。

 ミラルダさんを殺そうとしたんだから……因果応報よね。

 

「……っ……、……ぁ……っ……」

 

 その直後だった、無意識で発動していた()()によって、ミラルダさんの身体は徐々に治癒されていき……ようやく安定した呼吸の音が戻ってきたのだ。

 

(ミラルダ、さん……!)

 

 私は再びミラルダさんの状態に意識を向ける……先ほどよりかは幾分かマシな状態らしく、荒い呼吸音はもうしていない。

 

「シオン! ミラルダは……」

 

 黒鋼龍が動かなくなり、総司令やヤマトさん……天羅さんやアミラさんも駆け付け、ミラルダさんの様子を伺っていた。

 その後に黒鋼龍からようやく視線を切り、マサトさんも……

 

『ミラルダ……シオン……』

 

 アミラさんが声を掛ける……力の流れには逆らわず、意識を向けたまま私はエネルギーの制御を徐々に弱めていく……

 連動してミラルダさんの身体から感じる膨大なエネルギーも引いていき、消え失せる……が、ミラルダさんの状態はそのまま安定を保っていた。

 

『……もう、大丈夫……です、ね……後は……お願いしま……す……ッ……』

 

 酷く消耗したのか、それすらも自分で判断できない……辛うじて私は、総司令とヤマトさんの方を向き『後はお願いします』とだけ言い残すと、そのまま意識を手放してしまった。

 

──────────

 

 シオンが起こした不思議な現象で、奇跡の様にミラルダは一命を取り留めた。

 ……だが、シオンはその直後に倒れてしまい、我々はその原因を後から知る事になる。

 

「……横っ腹に浅い傷跡と、毒の痕跡が在ったわい……幸い、傷そのものは浅かったが……毒の方がちと厄介での」

 

 聞けば、シオンが受けたのはランゴスタの麻痺毒とギルオスの腐敗毒の混合物で、筋組織の運動を妨げたり、正常な細胞組織を強引に崩壊させていくモノらしい……それぞれ単体ならハンターは数分もあれば回復できるし、人間よりも高い治癒能力を持つ古龍ならば、それほど大した事にはならない……

 だがシオンは古龍といってもまだまだ未成熟な幼体だ。

 毒は未だにシオンの身体を徐々に蝕んでおり、既に筋繊維や内臓組織を始め多くの生体組織に影響を与えている……神経系まで冒されてしまえばその部位は永久麻痺必至、微量でも脳組織に到達したが最後、汚染された部分によっては植物状態化……下手をすれば脳死にすらなり得る危険な状態だった。

 

「何て事だ……一体誰が、そんなに毒をシオンに……!」

 

「……そう言えば、あの時……」

 

 天羅はシオンと共闘している時、自身の攻撃の余波で吹き飛んでいる何匹ものカンタロスの残骸を目撃していた。

 そして、その身体に得体の知れない液体のようなものが塗られていた事も……

 

「まさか……そのカンタロスを利用してシオンに毒を……?」

 

「甲虫種も、既に奴の支配下だったとしたら……そう考えると辻褄も合う、カンタロスの甲殻は生半可な硬さでは無いからな……」

 

「……シオン……あなたは……」

 

 レクスに引き続き、シオンまで昏睡状態……ミラルダは既に危機を脱したとはいえ、まだ目覚めていない。新大陸に住む皆が協力してくれたとはいえ……この結果は、あまりにも悲惨な結果となってしまった……

 

──────────

 

(……お、おの……れぇ……マサト……何なのだあの力は……?!)

 

 全身を()()()()()()()()で貫かれたアギトだが、古龍の生命力故に幸か不幸か……辛うじて生きていた。

 しかし、既に虫の息にも等しく……身体を動かそうものなら傷が疼き、身動き1つ取れないでいた。

 

(……このままでは……ッ……むっ?)

 

 これまた幸か不幸か……この場に現れたのは、下僕としたイビルジョー……その眼は正気を失い、生存本能……つまり肉体の欲望のままに行動している。

 

 グルルルルゥ……!

 

『オイ、貴様……! 俺を……ヒッ?!』

 

 グルゥアァァァァッ!! ギャオォォォォォ!!

 

『ガァァァァアァァァッ!! お、お前ぇぇぇ!?』

 

 アギトの声に、明らかな動揺が走った直後……繰り広げられた光景は、凄惨すぎて語れない。

 声が聞こえなくなった後、その場に残されていたのは、大量の鮮血と、引き摺られた痕跡……そして、僅かに残された何者かが抵抗した爪の跡などの痕跡だった……




事態は変わらず危機的……
ちなみにこの混乱はまだ終わりではありません。

次回は、セリエナで起きた顛末を……

この物語に足りないと思う成分は?

  • 物語の確信に迫るシリアス
  • 原作 or オリジナルのバトル
  • キャラ崩壊必至のコメディ
  • 息抜きしようよ、ほのぼのと
  • 他作ネタのパロディ・オマージュ
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