ついに始まるバルファルクとの共闘……ハンター諸君、刮目せよ!
(シナリオは相方任せなんですがねw)
異臭の漂う古代樹の森……本来ならあり得ないこの異臭は、所々に折り重なった大量の死体の山が、幾つも放置されている事によるものだ。
しかもその死体……ほとんどが
『……っ……死臭が……』
鼻が曲がりそう……死体が発する独特な匂いと血の匂い、そして龍属性のエネルギーの残滓が奇妙な反応を起こし、嗅いだ者の嗅覚に容赦なくダメージを与えてくる。
耐えられなくはない……のだが、嗅いでて気分が良い訳など無い……物凄く酷い匂いだ。
『あ〜……こりゃゴーヤの特殊個体が獰猛化した線も考慮しなきゃいけないかもな』
セツラさんが呟いた「
特殊個体というのも、チラリと聞き齧った程度なので……どういう括りなのかも曖昧だ。
セツラさんは私の鸚鵡返しに一瞬キョトンとしたが、気になっている事を理解したのかすぐに説明をしてくれた……
特殊個体とは……通常種とは一線を画す強大な力を身に付けた存在で、一部は原種とは異なる能力に目覚めたり、外見から違いが見て取れる程変わってしまった個体を指すという……
例とするなら、マサトさんやネメシスくんが該当するらしく……ネメシスくんには「死を纏うヴァルハザク」という
通り名のイメージから推測すると、ダイヤモンド結晶で刃や鎧を生成し、攻防に活用するマサトさんは「刃耀を繰りしクシャルダオラ」という感じかな……?
『────つまり、老年のイビルジョーが、途轍もなくお腹が減って暴走した個体……って事ですか?』
『簡単に言えば、そうなるな……ん?』
『……どうしたんです?』
理解が深まった所で、再び前を向くセツラさん……だがすぐに何かの気配を悟ったのか、前足を上げて止まる様に指示を出してきた。
戦闘という場面……私はまだまだ未熟者の域を出ない。
年長者でもあり、経験も豊富であろう彼の指示に素直に従い、私は彼の脇へと寄って屈む……
私の身体の各所にあり、薄ぼんやりと光る幽幕が明滅する……龍属性の波動の残滓が、何処からか流れて来ている、その残滓に反応しているのだ。
『噂をすればなんとやら、か……やはり、特殊ゴーヤの獰猛化個体……!』
気配を探り当てたのかセツラさんが呟く、この森の中で遠くの相手を認識できるセツラさんの能力には脱帽ものだ。
『兎に角急ぐぞ! アイツをこのまま放っておいたら、この新大陸は確実に終わる!』
『は、はいっ!』
体格差の都合、私はセツラさんよりも歩幅が狭い……飛んでないのに速いセツラさんに付いて行くのがやっとだけど、彼は私の速度に合わせてくれていた。
『……そう言えば、なんで歴戦のイビルジョーだって分かったんですか?』
『バルファルクは高高度を飛行する古龍だって話したよな?』
『え? ええ、そうでしたね』
『だから、知的生物が最も判断の比重を置く、この
より遠く、より高い所からでも……正確に獲物の位置や状態を、瞬時に把握する為にな』
なるほど……バルファルクは地上から見ても、「赤い彗星」にしか見えない程の高高度を高速飛行する古龍……
その極限環境下で獲物を探し、正確に捉え、仕留める為に発達した『尋常ならざる視力』。
……それが、バルファルクという古龍の基礎能力なのだ。
やがて私でも震えが来そうな程の、濃密な龍属性の波動が周囲を覆い尽くす……セツラさんは無言のまま、右の前足で森の奥を指した……
そこには、微動だにしないものの巨大な何かが佇んでいる……
(……アレが、獰猛化個体……!)
赤く光る虚ろな瞳、異常発達した後肢の筋肉、純粋な悪意にも似た……赤黒い異様なオーラを身に纏う、深緑の巨獣……
獰猛化・怒り喰らうイビルジョーが、ゆっくりと此方を睨み付け……私達を認識した直後、凄まじい咆哮を上げて突撃してきた。
『チッ、やっぱリミッターは外れてるか!』
『こっちに来ますよ?!』
戦闘力は高いものの、先手を打たれた今の状況で迎撃はもう間に合わない……左右に別れ離れる私とセツラさん。
通り過ぎた事に気付き、またゆっくりと振り向く獰猛ジョーの目は……簡潔に言って「もう手遅れ」としか表現できないものだった。
『……どうしますか?』
『とにかく────逃げるぞ、全力で走れッ!!』
飢餓の苦しみとも、獲物が逃げた悔しさとも取れる……凄まじい咆哮が背後から響く。
私は咆哮すらせず……ただ全速で走る、隣のセツラさんは『誰が待つかよ! じゃあな!!』と、咆哮と共に捨て台詞を吐きながら私と並走しつつ逃走した。
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『シオン、こいつは長期戦になる……今のうちに休んどけ』
『そうですね……っ……アナタも、無理はなさらないで……』
『ああ、勿論だ』
息を整えつつ、獰猛ジョーの気配を探る……セツラさんは頭をフル回転させ、対抗策を練っているのだろう……息遣いに混じって悪態を吐いている。
(あれだけ走っても離れた感じがしない……まだ近くに居るみたいな感覚……)
かつての黒鋼龍の時よりも、更に格上の濃密な気配……セツラさんが居なかったら多分、私はもう奴の腹の中だろう。
そう思うとゾッとしてくる……
『……シオン、とんでもない大博打になるが……奴を倒す方法が、1つだけある』
『ほ、本当ですか……?!』
突然の言葉に一瞬耳を疑ったが……博打という言葉から、あまりやりたくはない手段だと察してしまう……だが、奴に勝てる手段を選べる状況ではない上、此方の体力も無尽蔵ではない。
セツラさんの表情と『本当に……博打だがな』という雰囲気に、私は気圧され息を飲む。
『……バルファルクとしての、本能を解放する……!』
恐れ見よ 奇しき赫耀の兇星を
星芒 大地を灰燼と為し
天上を裂いて 常闇を招かん
次回、奇しき赫耀のバルファルク……降臨。