方言に関してはなんとなくニュアンスで……察して下さい。
意訳も正確ではありませんので……
次に行きましょう、第8話!
バフバロのサクラさんと出会い……ひと悶着も済んで、天然温泉を堪能したその翌日。
雪崩で崩壊した気球船の離発着場に到着した作業員とレクス達……
そこに広がっていたのは、見るも無惨に破壊された仮設の建物と、大量の雪……そして、偶然居合わせた一匹の大型モンスター……
茶色い毛と甲殻で全身を覆い、毒々しい色の刺を備えた長い尻尾……黄色でクリクリの丸い目をしたモモンガみたいな生き物……『トビカガチ亜種』であった。
キュロロッ? ……キュ?
大人しい性格なのか、突然人間が現れても時折こっちを見やる程度……自分の『エサ探し』を優先しており、雪を掻き分けて埋もれたポポの死骸から肉を漁っていた。
「アイツは無視だ……やる気は無いみたいだしな」
レクスはそう判断し、作業員達にまだ使えそうな物を探すよう指示を出す……私も参加しようとするが、レクスから『万が一』と念を押され、トビカガチ亜種の様子見を頼まれてしまった。
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(……と、言っても……私からしたら何もする事が無いんですよね……)
トビカガチ亜種も、レクスや作業員さん達も……目の前のやる事を優先しており、他には目もくれないのでぶっちゃけやる事が無いのである。
なので私は、頼まれたトビカガチ亜種の観察を行いつつ、更なる乱入を感知できるよう『龍気』を地面に沿うように広げる……なんかゲームのスキルっぽい方法で索敵を行う事にした。
……え? いつから出来る様になったって? 何となくですけど……
昨日、天然温泉を満喫したからですかね?(真顔)
いや、ホントそうなんですってば! お風呂上がり(意味深)に水分補給がてら温泉水飲んでたら、いつの間にか気配だけでレクスの動きが分かるようになって、吃驚して飲んでた温泉水吹き出しちゃってレクスに直撃させて……怒られちゃったんですから!
しかし、実験も同然のはじめてやる感知方法なので当然トビカガチ亜種には気付かれた。
……でも、無視された。
は? 腐っても古龍である私の龍気を無視……
どれだけ無頓着なのか、はたまた図太い神経なのか……一瞥しただけですぐにエサ漁りに戻ってしまった……
『……何なんですか、アイツは』
正直、複雑な気分である……
それからしばらく……レクスと作業員達はまだ無事な設備や荷物を雪から掘り起こす作業に没頭……私は暇をもて余しながらトビカガチ亜種の動向をひたすら観察していた。
ふと、今まで晴れていた空で……段々と雲行きが怪しくなっている。
『……この感じ、誰かが見ている……?』
以前にも感じた、誰かからの視線……丘珊瑚の台地で遭遇した
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「……予定外の量だが、無事な荷物はこれで揃ったか?」
「持ち帰って修理できそうな奴も含めると、これ以上は無いだろ」
「隊長、物資の輸送準備まもなく完了です」
「了解した……レクス、そろそろ離脱の準備を……」
輸送隊の面々から報告を受け、隊長がレクスへと声を掛けた……が、レクスの顔は厳しい表情のまま、雲行きが怪しくなった空を見上げる。
「……輸送隊は先に離脱を! まだ距離はある、今の内に……シオン!」
ピュイィ~ッ!!
予め決められた音階の口笛……所定の場所で使えば、飼い慣らされた小型の飛竜を呼ぶ為の口笛が雪原に響く。
直後、レクスは武器を確認しながら走り出した……
不可思議な視線に違和感を感じた私の聴覚に、独特な音階の指笛が聴こえてくる。
『……ッ!? これはレクスの?!』
呼び笛として覚えた音……
個人の微細な音の違いも認識できる聴覚が、レクスの焦りの感情を捉える……振り向いた先には、真剣な表情のレクスが此方へと走って来ている……
また何かが起こるのだろうか……すぐさま私もレクスの方へと走り、合流した場所から油断無くレクスと共に周囲を警戒する。
「スイレンだったか? ……アイツの時よりヤバそうな雰囲気だ」
『……また、誰かの視線を感じました……古龍でしょうか?』
「分からん……だが、強い奴だというのは確定だな」
いつの間にか、あのトビカガチ亜種の姿は何処にも無かった……
雲行きは先程とそう変わらないものの、何かが迫る気配だけはハッキリと分かった。
レクスは油断無く構え、私も迎撃くらいは役立とうとブレスのエネルギーを集め始める……
そして、左側に
竜巻は私たちとは少し離れた位置に着弾したため、直撃するという難は逃れたが……咆哮と共に崖を降りてきた白い姿に、2人は言葉を失った。
全身を雪と同色の細かい毛と甲殻で覆い、大きな前足には、幾つもの棘と体格に見合った翼……そして太く長い尻尾を振り、氷刃の如き巨大な牙と、青白い瞳……纏う雰囲気は数々の死闘を潜り抜け、歴戦の勇の如き覇気を放つ……
氷原を駆ける白き牙獣『氷刃
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「……た、隊長……!」
「慌てるな! 総員、離脱準備! 時は
崩壊現場に突如現れた氷刃佩くベリオロスに、慌てふためく調査員達……だが、隊長は冷静に離脱の指示を出しながら、戦場と化すであろう視線の先から目を反らさなかった。
圧倒的威圧感と凄まじい咆哮……さすがに歴戦の猛者だけあって、レクスの攻撃に怯まず、私のブレスを冷静に避ける。
凄まじい熱量で雪は溶け、凪ぎ払った場所は濡れた地面が剥き出しになっていく……ベリオロスもそれを本能で察知し、絶対に当たる訳には行かない……と、必死なのだろう。
「クソッ、あの刺だ! アレを壊せば動きが鈍る、一か八か……ッ!」
ピッ! ピュ~ッ!
再び指笛が鳴らされ、私は瞬時にそれぞれの立ち位置から意図を理解する。
指示は『3連続の光弾ブレス攻撃』……ベリオロスは正面から私と睨み合い、レクスはベリオロスの左側……つまりはわざと
『喰らいなさいッ!!』
意図的に狙いを反らした1発が放たれ、ベリオロスは狙い通りに警戒して此方から光弾へと意識を僅かに向ける……タイミングを合わせ、レクスは光弾の着弾と同時に閃光玉をスリンガーで撃ち、振り向いたベリオロスの視界が全て閃光で真っ白に……私は2発目を撃つモーション中で首を振ってた瞬間なのでギリセーフ。
閃光玉の光に怯み、一瞬だけ動きを止めたベリオロスの右前足に、狙いを定めていた2発目が直撃……地面と一緒に足を抉って転倒させる事に成功する……ちなみに3発目も転倒直後の左前足に当たったので両前足共に軽く火傷を追わせた事になった。
「……ッ!! オオォォォォラァァァァ!!」
劇的なチャンスにレクスは双剣の奥義「鬼人化」を発動させ、一気にケリを付けるべく頭を滅多斬り……私も援護を兼ねて胴体に飛び掛かり、相手より小さな体格ながら重力を味方に付けた全体重をベリオロスの背中へとお見舞いする。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
武器の切れ味に構う事なく、ただ猛然と斬り裂く事だけを考え腕を振るう「鬼人双剣乱舞」……なんか、ここに居ない筈のヒトが、レクスの後ろにボンヤリと見えた気がしたが気にしてはいけない……私も軽く飛び上がってダメ押しの連続四つ足プレス!
そこに、輸送隊からの救難信号で応援に駆け付けたハンター達も合流……へヴィボウガンの弾の嵐と、大剣の真・溜め斬りが直撃した事で盛大にベリオロスの尻尾が空中に舞い飛び……反動でベリオロス自体も崖際から吹き飛ぶ様にして前へと吹き飛んだ……私は、吹き飛ぶベリオロスの顔に大粒の涙を見てしまい、「もし、自分の尻尾を斬り飛ばされたら……」と想像してしまって一瞬だけ『ヒュンッ』と悪寒を感じた。
だが、ベリオロスの災難はまだ終わっておらず……吹き飛んだ先には、いつの間にか仕掛けられた落とし穴が待ち構えており、ものの見事にゴールイン……しかも何故か嵌まった直後にグースカ昏倒してしまったのである。
「……フハハハハ! 見たかこの鮮やかな手際を!」
……と、へヴィボウガンを担いでポーズを極める応援ハンターの女性。
後でレクスに聞いたら『これが彼女の流儀』らしく、出来ると見極めた瞬間に捕獲用麻酔弾を撃ち込んで、必ず捕獲を狙うらしい。
うん、まぁ
なんだか
氷刃佩くベリオロス……ピタゴラスイッチ捕獲で狩猟される。
(´-ω-`)アワレ…
なお、投稿時までのアンケート結果1位は『イヴェルカーナ』でしたが、
あの御方は別に出番が待っているので許してください……
次回、書いて欲しい話題は何かありますか?
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龍脈と古龍の関係の考察
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シオンのセリエナでの日常
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レクスとクリスのハンター生活
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ストーリーの追従(続きをはよ!)