次郎、第二の人生   作:フェンネル

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「......お、戻ってきたか」

 

三虎達と話を終え、意識を覚醒させた次郎。

そして、腰にかかってある自分の愛用していた武器と、自分の持つ袋の中にある物が入っていることに気づく。

 

「......ありがたいのう、親父や」

 

次郎はその”何か”を袋にしまい、遠い世界の住人(?)に感謝した。

そしてこれから食材を探しに行こうと足を踏み出した途端、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「あれ、次郎さん?」

 

思わずずっこけかけた次郎だが、何とか踏み止まりって声の主の方を見た。それは、少女のような幼い顔をしながらも戦闘力、統率力に優れた魔国連邦の主だった。

 

その主は、見覚えのあり過ぎる白髪のリーゼントを見て驚いた。

 

「おぬしは......」

「リムル=テンペストです」

「そうじゃそうじゃ。よろしくの、リムル君」

「は、はい」

「して、リムル君は何故こんな所に?」

「大事な用があるので......」

 

リムルの表情は、どこか悲しげなものだった。恐らく誰かの頼みだろうと察した次郎は、言葉少なく告げた。

 

「そうか。頑張るんじゃぞ」

「......はい、ありがとうございます」

 

リムルとの挨拶を済ませた後、次郎はリムルとは別の方向へジャンプ飛んで行った。リムルとランガが驚きを通り越して引いていたが、次郎はそんなことを露ほども知らなかった。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

「......む、あれはどうかの?」

 

次郎はジャンプの勢いで空を飛びながら地上を見ていた。

そして、そんな彼のお眼鏡にかなったのは、体長8m程の大きな、それはそれは大きな牛と鶏、豚が合わさったような見た目の動物、と言うよりは猛獣だった。

 

「まるでワシらの世界にいそうな動物じゃの。これならトレイニーも喜ぶぞい」

 

そしてあっという間にその猛獣をノッキングし、命に感謝して狩った。

その大きな猛獣は、一般的な人間が何十人もいてようやく食べ切れるかという大きさだった。

 

「ノッキングした時に気づいたが......肉の密度が凄いの。これならトレイニーの他にも食わせてやれるぞ......ん?」

 

とりあえずギィにでもやろうかと考えていたら、目の前にある魔物が立ち塞がった。

その名は槍脚鎧蜘蛛。

 

名の通り槍のように鋭い攻撃を繰り出す脚、鎧のように硬い外骨格を持つ魔物だった。

その蜘蛛が、何匹もいた。

 

「これは......」

 

次郎は違和感を感じる。

トレイニーから聞いたが、魔物は人を襲いこそすれど群れることはあまりないらしい。そして群れるならば多くて5匹、異例中の異例で10匹だと言われた。

 

「1、2、3、4、5......多くないかのう?」

 

だが、目の前の槍脚鎧蜘蛛は明らかに10匹以上いた。

そしてその蜘蛛達が次郎達を襲う気配はない。

何故か、蜘蛛達は次郎に伏せていたからだ。

 

力量差を理解してかせずか、その全てが次郎に助けを求めているようだった。

 

「......おぬしら、腹が減ってるのか?」

 

次郎はふと違和感を感じた。

見た感じ、この魔物達は強そうだ。食事をするにしても、弱い魔物など沢山いるだろうに、何故わざわざ自分の方に来たのか、と。

 

その時、先日のある光景がフラッシュバックする。

 

「......あの時の輩か?」

 

それは、ただ無造作に動物や魔物を殺して死体を積み上げていた、あの光景だった。

 

「まさかこの蜘蛛達は、食べられるものが無くなったのか?いや、無くされたと言った方が正しいか」

 

次郎は先程の獲物を地面に置いた。

だが蜘蛛達は動かない。

次郎が動くなと言っているように感じたから。

 

「おぬしら、少し待っておれ。ワシが元凶を消してくる」

 

そう言って森の中へ進んでいく次郎の背中は、何よりも大きかった。

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

「やれやれ、ひどいのう」

 

森の奥へ進んでいくと、木々1本もなく、荒れ果てていた。

そして、敵の気配は奥に進むほど濃くなる。

大体の居場所を察知したところで、次郎は一気に走り抜ける。

 

「......なっ......」

 

次郎は敵の姿を見て目を見開いた。その理由は、敵の容姿にあった。長いくちばしのようなもの、全身にもっさりと生えた白い毛。

金属の体。次郎が昔よく食っていた”ニトロ”を模して造られた、あのロボットなのだから。

 

「美食會......?いや、三虎はアカシア様達といる......」

《ピーラーショット!!》

「ふん!」

 

GTロボの技は次郎に悉く弾かれる。

 

《───ッ!ヤルヤンカ!》

「おぬし、何故こうも無闇に生物を殺す?」

 

GTロボの頭を強く掴み、絶対に逃さぬよう握り締める。

 

《ガッ!何ヤ自分!?》

「答えろ」

《食技”人肉オロシ”!!》

 

尚も攻撃するGTロボに、次郎は質問を変えた。

 

「おぬし、誰にこのロボを作ってもらった?」

《ハァ!?何デソンナン───》

「......もういいわい」

 

これ以上の問答は不毛だと、次郎はGTロボの頭を勢いよく引きちぎった。そして出てきた小さな核も見逃すことなく踏み潰し、その森を守った。

 

「......どういうことじゃ」

 

だが次郎の表情は、穏やかとは言えなかった。

次郎は蜘蛛達の方へ戻り、自分の獲物を与え、すぐに森を去った。

GTロボを担いで。

 

「......ん?」

 

次郎の後を、蜘蛛達がついて来た。

恩返しとでも言わんばかりに次郎を守ろうと意気込んでいるように見えた。

 

「......ダメじゃ」

 

優しい表情をしながらも、蜘蛛達を離す。

 

「おぬしらは、魔物として生きておくれ。ワシについて来てその命を削るような真似はせんでくれ」

 

この言葉に次郎の思いを汲み取り、蜘蛛達は森の奥へと消えていった。

そして森とは逆方向に向き直る次郎。

彼は、怒っていた。

 

GTロボが何故この世界にいるか、そんなことはどうでもいい。何故無益に生物を殺したのか、その先に何があると思っているのか。

 

「奴らにも教えねばならんのう......命というものを......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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