常識人で苦労人な幼馴染   作:弾正

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
細かい挨拶は活動報告見てね



※2021年1月1日
2章の名前を変更しました。
そして、今日から第3章です。美咲メイン小説なのに他バンドが絡んでくるっていうね


アイドルの世界は厳しいと聞いて
決闘罪って知ってる?


 「ナオトさん、よろしくお願いします!!」

 

 

 放課後、体育館。目の前には竹刀を構える少女。

 

 

 「待て待て待て! 俺が悪かったから! 最強とか冗談だから! ちょ、美咲、ヘルプ!!」

 「はいはい、自業自得」

 「彩先輩助けて!!」

 「ご、ごめんね? 私、剣道よくわからないから……」

 「いざ、尋常に勝負!!」

 「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 なんでこんなことになったのか。それを知ってもらうためには、少し時間を遡ってもらう必要がある。

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 それは、お昼休みのときだった。

 

 

 「美咲、そのハンバーグくれ」

 「え、急にどうしたの?」

 「代わりに俺の弁当のレタスをやろう。光栄に思え」

 「ハンバーグとレタスを交換する人なんていないでしょ」

 

 

 俺が弁当のおかずの交換を提案したところ、美咲はこれを拒否したのだ。一体何が悪かったのだろうか。

 

 

 「お前、レタスをなめてるのか……!?」

 「いや、そういうことじゃなくて」

 「レタスはな、確かにほとんどが水分でできてる。だけどな、各種ビタミンやミネラルがバランスよく含まれててな、健康効果と美容効果が期待できる優れものなんだぞ。そのうえカロリーも低く、食物繊維も含まれてるから、ダイエット中の食事としても期待されてるんだ。ダイエットをしてなくても、βカロテンやビタミンCによる免疫力アップの効果が期待できるし、クロロフィルが体内のコレステロール値を下げてくれる。鉄分もあるから、貧血気味の人にもおすすめできる。そんなレタスを馬鹿にするというのか!?」

 「レタス愛好家か何かですか?」

 「違うけど?」

 「違うんかい」

 

 

 レタスのメリットをこれでもかというくらい説明した俺。決してハンバーグが食べたいからとかそんなんじゃない。俺優しいからさ、このスーパー野菜レタスを美咲に食べさせてあげたいだけだ。もう一度言うが、決してハンバーグが食べたいから交換を提案したわけではない。

 

 

 「それで、交換してくれる気にはなった?」

 「全然」

 

 

 しかし、美咲は折れなかった。こうなってしまっては仕方ない。こちらも最終手段を使うことにした。

 

 

 「貴様……俺の提案に逆らうと言うのか?」

 「は?」

 「この俺に逆らうとは、そんなに命を無駄にしたいのか?」

 

 

 名付けて「ラスボス感出して美咲を屈服させよう☆」作戦。いくら美咲でも、俺が出すこのオーラには到底逆らえず、ハンバーグを差し出すはずだ。

 

 

 「厨ニ病こじらせた?」

 「」

 

 

 おのれ美咲……精神攻撃とは中々姑息な手を使いおる。こちとらハンバーグが食べたゲフンゲフンレタスを美咲に恵みたいからここまでプライドを捨てているというのに……

 

 

 「ま、まあいい。今にお前は俺の強さを思い知るはずだ」

 「いつまでそのキャラ続けるの?」

 「飽きるまで」

 「えぇ……」

 「この雰囲気……もしかして、あなたが最強のブシなのでしょうか!?」

 「その通り!! 我こそは最強の武士、長尾直斗なり……って、誰!?」

 

 

 そして、美咲と話している流れを一刀両断して入ってきたのが、冒頭に登場した少女・若宮イヴであった。

 

 

 「申し遅れました。私、若宮イヴと申します!! ナオトさんは最強のブシなんですよね?」

 「あ、うん、そうだけど」

 「では、決闘しましょう!!」

 「へ?」

 「私もブシの端くれ……ナオトさんを倒して、修行の成果を示します!!」

 「待て待て」

 「決闘は今日の放課後、体育館で行います!! それでは、放課後お会いしましょう!!」

 

 

 彼女はそう言うと、どこかへ行ってしまった。

 

 

 「なあ、美咲」

 「何?」

 「俺、どうすればいいと思う?」

 「りみから聞いたことあるんだけど、若宮さんって、りみと同じクラスなんだよ。剣道部入ってるらしい。だから、その決闘?も剣道になるんじゃない? 刀で決闘とかそれっぽいじゃん?」

 「剣道なんてやったことないぞ俺」

 「あんたの発言が原因なんだし、頑張れ」

 「助けて」

 「やだ。あ、そういえば、若宮さんってPastel*Palettesのキーボードやる人なんだって。これもりみ情報ね」

 「はぁ!? アイドル!?」

 「ちなみに今夜がデビューライブ」

 「何やってるのあの子!? ライブ当日に決闘なんてするものじゃありません!!」

 

 

 色々とツッコミどころが多すぎるんだけど、そこは気にし過ぎたら負けなんだと思う。てか、Pastel*Palettes、略してパスパレって今日デビューだったのか。知らなかった。帰ったらテレビで見てみるか。生きて帰れたらの話だけどね。ははは。

 

 そんなことを考えながら、俺は昼飯を食べ、午後の授業を過ごし……

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 今に至る。

 

 

 「ナオトさん、よろしくお願いします!!」

 

 

 放課後、体育館。目の前には竹刀を構える少女。

 

 

 「待て待て待て! 俺が悪かったから! 最強とか冗談だから! ちょ、美咲、ヘルプ!!」

 「はいはい、自業自得」

 「彩先輩助けて!!」

 「ご、ごめんね? 私、剣道よくわからないから……」

 「いざ、尋常に勝負!!」

 「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 あ、彩先輩っていうのは、パスパレのボーカルの人のことね。丸山彩。同じ学校なんだって。イヴと一緒に事務所に行く約束をしてたのに、突然決闘するとか言い出したからとりあえず見に来たらしい。頼むから回収して事務所行ってよ。今日デビューライブなんでしょ!? 楽器弾くんでしょ!?

 

 

 「ブシドー!!」

 「危なっ!?」

 「若宮さん頑張れー。直斗を倒せー」

 「酷いよ美咲」

 

 

 今の速い一撃、俺じゃなきゃ見逃してたね。

 ……って言ってる場合じゃないんだよなぁ。防具は着けてるけし竹刀も持ってるけど、ド素人が剣道部に勝てるわけない。後、女性を傷つけるのは非常によろしくないし。はい俺紳士。

 

 

 さあ、ここで問題です! こんな時、どうするのが正解? シンキングタイムは10秒間! 10,9,8,7,6,5,4,0!!

 

 

 「だが悪いなイヴ。貴様では俺には勝てん。なぜかって? 俺には秘策があるからな」

 「!?」

 「逃っげるんだよぉぉぉぉぉ!!!!!」

 「「卑怯……」」

 「て、敵に背を向けるなど、ブシとしてあるまじき行為です!!」

 「ふっ、まだまだ甘いな、若宮イヴ」

 「……?」

 

 

 答えは、逃亡。だって、この戦い自体に意味ないやん。

 それに、イヴが卑怯だとか言って非難してくるのは想定の範囲内さ。外野2人は知らん。

 

 

 「いいか? いくら強い武士だってな、全部の戦いに勝ってたわけじゃないんだ」

 「え……?」

 「時には逃げだってしたんだ。恥ずかしいことかもしれないけど、武士は逃げる選択をした。でも、それでいいじゃないか。何回逃げたっていい。最後に一回勝てば、それで勝ちなのだから」

 「……!?」

 「逆に、逃げられた時点でお前の負けだ、イヴ。逃げ道を塞ぐことも考えるべきだったな」

 「……私の完敗です。私がまだまだ未熟でした。あの、ナオトさん! もし良ければ、私を弟子にしていただけませんか!?」

 「構わない。ただし、俺の修行は厳しいぞ?」

 「はい! 望むところです!! 師匠!!」

 「……えーっと、丸山先輩?でしたっけ?」

 「うん」

 「……ほんっと、うちのバカがすいません」

 「あはは……なんというか、面白い人だね」

 「そう言ってもらえると助かります~……」

 

 

 よし、上手く収まった! 俺の勝ち! ついでに弟子ができた。10代にして弟子ができるとは思ってもいなかったぜ。多分だけど俺より優秀な弟子。

 ……帰ったら、弟子への対応の仕方でもググるか。すぐググるってのは現代人の悪い癖。ただし直すつもりはない。

 

 

 「師匠!! まずは何をすればいいでしょうか!?」

 「そうだねーまずは事務所行こうかー。今日ライブでしょ?彩先輩困ってるし」

 「……そうでした。まずは目の前のこと、ですね!」

 「その通りだ。ってわけで、後は頼みますよ彩先輩。今日のデビューライブ楽しみにしてるんで」

 「うん……ありがとう」

 「ん? 大丈夫っすか? 元気ないように見えますけど」

 「あんたが騒ぐからでしょ」

 「知らないな」

 

 

 俺のテンションについてくるのは、やはり素人には難しかったか……

 

 

 

 

 

 帰ったらパスパレのデビューライブ中継で見よう。生きて帰れたし。弟子の実力とやらを確かめさせてもらおう。まあ、俺そもそも楽器弾けないんだけどね。ライブするって時点で楽器弾けるので、その点俺は負けてるのかもしれない。悲しい。




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