※20201月13日
『!』や『?』、『!?』の表記を変更しました。変更されてないところあったら教えてくれると助かります。
テレビの前に座り続けて30分。
「お、やっと始まるのか」
決闘を終えて弟子を得た後、俺は速やかに帰宅。晩飯もパパッと済ませ、パスパレのデビューライブを見るためにテレビの前に待機。そもそもパスパレがどんなグループなのかという解説を見ながら、ライブが始まるのを待っていた。ちなみに動員観客数は1万人らしい。すっごい(小並感)。
丸山彩。ボーカル。アイドル研修生としてずっと頑張ってきた人らしい。あの人思ってたより努力家だった。ボーカルっていうくらいだし、パスパレの中心的な存在なのだろう。知らんけど。
白鷺千聖。ベース。元有名子役にして、現女優。有名人だね。女優って大変だと聞いたことあるけど、それに重ねてアイドルもやるとか絶対辛い。
氷川日菜。ギター。水色の髪の毛とか、氷川という名字とか、どこかで見たことある気がするけど、多分きっとおそらく気のせいだろう。そう信じてる。オーディションに受かってきたとのことなので、実力はあるらしい。
若宮イヴ。キーボード。俺の弟子。モデルとかもやってるんだって。確かにスタイルいいけどね。俺が下手に褒め過ぎるとセクハラとか言われそうだからこのくらいにしておこう。
大和麻弥。ドラム。スタジオミュージシャンだったため、ドラム歴が長い。それと、普段は眼鏡をかけているとか。眼鏡女子、うん、いいね。余談だが、俺は眼鏡かけてないぞ!
……なんか、バンドが出てくる度に脳内で紹介始めてる気がするな。
「って、そんなくだらないこと考えてる場合じゃないな。ライブに集中しないと」
もう曲始まりそうなんだよね。メンバーも揃ってるし。すごいどうでもいいけど、髪の毛の色カラフルだな。ピンク、黄、水色、白、茶色。全員バラバラだ。そういえば、ハロハピ(ハロー、ハッピーワールド!の略称ね。すごい呼びやすくなった)とアフグロ(これはAfterglow。アフロと呼ぶ人もいるらしい)とロゼリア(Roselia。カタカナにしただけ)も皆髪の毛の色違った気がする。あ、俺は普通の黒髪ね(聞いてない)。
「最初の曲は……『しゅわりん☆どり~みん』ねぇ。炭酸飲みたくなってくる名前だな」
彩先輩が曲名を発表し、演奏スタート。曲名的に炭酸飲みたくなってくるぞおい。コーラ、家にあったっけ?あったら後で飲もう。
演奏自体はかなり上手。初ライブとは思えないくらい音が安定してるな。まるでプロが演奏してるかのような……
その瞬間、突然演奏が止まった。
「……へ?」
急に無音になったぞおい!? 一体何があったんだ? 機材トラブルか? いや、それにしても、全ての楽器&ボーカルの声が同時に聞こえなくなるなんてことがあるのか? 普通あり得ないな。
……まさか、ね。
◆◇◆◇◆
翌日。土曜日。天気はくもり。
「さあ、吐け……! 知ってること全部吐くんだ……!」
「取り調べしてるんじゃないんだから」
ここは羽沢珈琲店。昨日のパスパレデビューライブ事件の真相を探るべく、長尾直斗刑事と奥沢美咲刑事(強制招集)は、若宮イヴの元を訪ねた。
昨日の一軒の後、弟子の不始末をどうにかするのも師匠の仕事だと思い(というよりはほっとけなかった)、イヴに「明日、話せるか?」とLI〇Eを送ったの。そうしたら「明日はバイトが……」とか逃げようとしたので、バイト先であるという羽沢珈琲店まで突撃してきたのだ。事情を知っているというつぐみとつぐみのお父さんには先に謝っといた。美咲が。
「まあ、いきなり知ってること全部吐けと言われても難しいだろうな」
「若宮さん、色々と思うところがあるとは思うけど、別にあたしたちは若宮さんを責めに来たわけじゃないから、そこは安心して」
「では、早速質問しよう……つぐみー、注文。この新作のフルーツケーキ食べるー」
「えっ? う、うん、わかった」
「美咲は何食べる? あ、イヴも好きなもの頼んでいいよ」
「あんたはやるなら真面目にやれ」
「痛っ。叩くなって。あ、俺はガチでフルーツケーキ食べるからな? 後で欲しいって言ってもあげないからな?」
「はぁ……」
美咲がいい仕事してるわ。男の俺だけだと圧があるからね、それをいい感じに和らげてくれてる。その代償は俺の財布の中身。今度ファミレス奢るって約束することで召喚したから。現金なやつめ。
「よし、んじゃ、単刀直入に聞くぞ。昨日のあれは何だ?」
「……私たちは楽器を演奏してませんでした。プロの方々が演奏したものを音源として使っていたんです。しかし、機材トラブル?によって皆さんを騙していたことが表に出てしまいました」
「やっぱりな。つまり、エアバンドってことか?」
「はい……」
「デビューライブでそれはまずいでしょ……でも、機材トラブルって、運が悪かったというかなんというか……」
うん、予想通り。やっぱりエアバンドか。プロの世界でライブの時に音源使うのってたまにあることみたいだけど、デビューライブでそれは流石にアウトだろ。美咲の言うとおりだ。
「ナオトさん、ミサキさん、騙すようなことをして、本当にごめんなさい……!!」
「あーあ、直斗が若宮さん泣かせたー」
「俺っ!?」
「直斗くん、イヴちゃんが可哀想だよ……」
「つぐみまで俺のことを責めるのか」
「女の子を泣かせるとは、あまり感心しないな」
「つぐみのお父さんにまで言われたんだけど」
なんか急に俺が悪い奴扱いされました。解せぬ。アイアム無罪。
さて、ここからどういう風に話を進めるかね……とりあえず、イヴの意思次第かな。それによって深く介入するもしないも変わってくる。関わらないでくれと言うなら、下手に手を出すのはやめた方がいいだろうし。
「……イヴ」
「はい」
「お前はどうしたい?」
「どうしたい、とは?」
「ほっといてくれと言うなら、俺も美咲も関わらない。でも、もし、お前が何かをしたくて、その助けが必要だって言うなら、俺も美咲も手を貸す」
「ちょっと待って。あたしの行動が勝手に決められてるんだけど」
「半年前、半ばお節介として俺を助けてくれたのはどこのどいつだ?」
「…………」
美咲は優しいやつだ。だから、なんだかんだ言いながらも助けてくれるだろ。本人に直接言うつもりはないけど。恥ずかし過ぎる。
「イヴ。お前には2つ選択肢がある。1つは、このままパスパレを脱退することだ。黒歴史として残るだろうけど、逆に言うとそれだけで済む」
順当にいけば、このままパスパレは終わるだろう。バッドエンドという意味で。信用がなくなった今、スタート地点にも立ててないんだし。
「もう1つは______パスパレとして活動を続けること。マイナス地点からのスタートになるから、控えめに言って難易度高いけど、やってみる価値はあると思う」
「……」
「直斗にしてはまともなこと言うじゃん」
「さあ、どうする?」
俺たちの間に静寂が訪れる。それは長かったかもしれないし、短かったかもしれない。
「………………私は、パスパレとして活動を続けたいです! 出会ってから少ししか経っていませんが、アヤさんも、チサトさんも、ヒナさんも、マヤさんも、皆いい人たちなんです! だから、そんな皆さんと一緒に、もう一度やり直したいです!!」
「そうか! よく言った! 流石は俺の弟子だ!」
「昨日からの関係だけどねー」
「何言ってるんだ。昨日の敵は今日の友、だろ?」
「使い方正しいのかなこれ」
細かいことはいいの。
「イヴ、安心しろ。この師匠が最大限助けてやる。だから、必ずパスパレを立て直すぞ!!」
「押忍!!」
「え、マジでやるの!? 芸能界のことに首を突っ込むの!?」
「悪いな美咲。でも、俺はやるぞ。お前が俺を助けてくれたみたいに、俺も人を助ける」
「はぁ……直斗って、ほんっとバカだよね。どうしようもないくらいのバカ」
確かに、出会って1日の人の事情に介入するのは、相当頭おかしいやつかもな。自覚はしてる。
「でも、どうせ止めても無駄でしょ?」
「わかってるじゃないか」
「昔から変なところで頑固だからね……あの時も、直斗を止めるの大変だったから」
「頑固で悪かったな」
「いいよ、今更って感じだし。あたしも協力する。ここで見捨てるのも後味悪すぎるし。ただ、あまり面倒なことにはしないでよ? ほどほどが一番なんだから」
「美咲がほどほど大好きなのも昔からだよな」
まあ、やるんですけどね。意見を覆すつもりは全くない。
「それで、直斗。ここからどうするの」
「キングオブ無計画☆」
「マジで?」
「マジマジ。これから皆で考えよー」
「了解しました師匠!」
「先が不安過ぎる……」
「直斗くんお待たせ。フルーツケーキだよ」
「わーい。いただきまーす……美味しい!」
「限りなく先が不安なんだけど」
この小説、イヴがメインヒロインだったっ気?そんなことはないはずなんだけど……
これはあれだな。サブヒロインの検討もするべきだな