常識人で苦労人な幼馴染   作:弾正

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予約投稿第三弾じゃけえ。これも1月19日にやりました。


このお話が投稿された日はバレンタインの翌日となりますが、皆様はバレンタインをどのように過ごしましたか? 彼女や好きな人からチョコもらったという方には、1日に1回タンスの角に小指をぶつける呪いをかけさせていただきます♡


雨が止まなくても

 紗夜先輩の案内の元、氷川家に着いた俺。ここまで見れば大成功だと思うかもしれない。目的はほぼ達成できたようなものだと思うかもしれない。

 しかし、現実はそんなに甘くはなく……

 

 

 「へぇ~……キミ、るんっ♪てするよ!!」

 「る、るん……?」

 

 

 氷川日菜。想像してたよりも暴走特急気味な人間だった。こころと似たものを感じる。そもそも「るんっ♪」ってなんだよ。そんな言葉辞書にも載ってないです。るんるんるん。かびる〇るん。

 

 

 「それで、なんで来たんだっけ?」

 「パスパレについてです」

 「あたしはあんまりパスパレにこだわりはないんだけどねー」

 「随分とバッサリ言いますね」

 

 

 そのうえこの人、思ったことズバズバ言うの。日菜先輩の辞書に、空気読むという言葉はないのかもしれない。俺は嫌いじゃないけどね。下手に本心隠されるよりも全然いい。

 

 

 「でも、ギターはなんかるんっ♪てくるし、次はちゃんと弾きたいなー。だって弾けるし」

 「そのセリフ出てくるのがすごい」

 「いいよ! 彩ちゃんとかといるのも面白そうだし、あたしはパスパレで活動続けるのに賛成!」

 「あっさり決まった」

 

 

 あ、現実甘かったわ。急展開過ぎて俺がついていけてないし。でも、日菜先輩を説得するという目的は達成したし、いいよね?

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 「俺の活躍によって、作戦も成功に近づきつつあるな」

 「あんただけじゃないけどねー」

 

 

 数日後、学校にて。

 放課後、文化祭の準備を進める俺と美咲。まずは飾りを作ってる。飾りって雰囲気作るからな、しっかりやらないと。

 ちなみに、実行委員である響はこころに引っ張られてどこか行った。こころは文化祭を楽しくするアイデアでも浮かんだのだろう。頑張ってほしいものだ。響は最初は俺たちと一緒に作業してたのにね、可哀想に。こころに連行されるときにすごい悲しそうな顔をしてたのが印象的でした。ごめんね助けてあげられなくて。

 

 

 「5人中4人の説得に成功。ここまでくれば、今は否定的な千聖先輩が動くのも時間の問題。『しゅわしゅわ☆パスパレ復興大作戦♡』もいよいよ大詰めだな」

 「……そのネーミング、どうにかならないの? 聞くたびに恥ずかしいんだけど」

 「え?イヴも彩先輩も日菜先輩も褒めてくれたじゃん」

 「あたしと大和さんは反対だけどね」

 

 

 なんで2人にはこの名前の良さがわからないのだろうか? そういえば、この前麻弥先輩と初めて会ったんだけど、普通にいい人だった。かなり常識というものを持っておられる。それと、笑うと「フヘへ」と言うのが可愛くていいと思います。本人は直そうとしてるらしいけど、あれは直らないでしょ。そのままでいいって。

 

 

 「話変わるけど、パスパレ、次のライブの日程決まったらしいぜ。近いうちにチケット販売するんだって」

 「初耳なんだけど」

 「あらら」

 

 

 俺も聞いたときはびっくりしたわ。よく出れるライブを見つけたな。あの状態からライブに出れるようになるなんて、どんな交渉をしたんだスタッフさんたちは。

 

 

 「でもさ、チケット売れるの?」

 「ん? どうしてだ?」

 「一回やらかしたグループのチケットを買う人がいるのかって話」

 「俺とか?」

 「そういうことじゃなくて」

 「……真面目な話、かなり少ないだろうな。でも、やるしかないって感じはある」

 

 

 信用って大切だからね。一回消えたら取り戻すのにはめっちゃ時間かかるし。それを失ったパスパレがここから復活するなんて、まあ難しいわな。

 ここまで来ちゃうと、部外者である俺たちにできることっていうのも限られてくる。文化祭の準備にもかなり時間取られるっていうのもあるし、最終的な解決はパスパレ内でするべきだと思うし。俺は周りのことにめっちゃ首突っ込む人間だけど、それくらいはわかってる。部外者が手を出していいのは手助けまでだ。

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 日曜日。

 

 

 「少し買い過ぎたか……?」

 

 

 我、買い物から帰還中。

 本当なら日曜日は家でゴロゴロするべき日なんだけど、文化祭準備&バイトで平日が根こそぎ潰れて、休日であるはずの土曜日も文化祭関係で学校に強制召喚されたんだもん。今日しか買い物行ける日がなかったんです。家の冷蔵庫の中身が寂しいことになっちゃったから、流石に買い物に行かないとヤバいのです。

 

 

 「今日の晩飯は……親子丼にでもするか」

 

 

 俺、実は親子丼も作れるんだぜ? すげえだろ。

 

 

 「……ん? なんか急に雲出てきたな」

 

 

 あっれぇ?天気予報では晴れって言ってたぞぉ?おっかしいなぁ。N〇Kもテ〇ビ朝日も〇BSも晴れって言ってたぞ?だから洗濯物干してきたのに。これ以上言うと怒られそうだな。やめておこう。

 まあ、俺は純粋無垢な人間だからさ、天気予報を最後まで信じるわけよ。たまたま雲が出てきただけで、どうせすぐに通り過ぎるだろ。

 

 

 

 

 

 

 あ、空から水が降ってきた。どんどん強くもなってきたぞ。

 

 

 「洗濯物ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

 

 数日分まとめて洗濯したのに全部びしょ濡れじゃねえかおいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?!?

 

 

 「チッ。家まで全力ダッシュするか。『神速の長尾』と言われた俺の本気を今こそ見せてやる」

 

 

 さあ始まりました第67回帰宅選手権! 出場選手の紹介だ! 長尾直斗! 以上! 実況は私、長尾直斗がお送りします!

 

 おーっと、長尾選手最初から全速力だ! 雨というハンデをものともせずに駆けていきます! このままのペースで走り切れるのか不安なところではありますが、解説の長尾さん、これはどう思いますか? そうですねー、体力的に少し厳しいところはあるかもしれませんが、そこは気合いで頑張ってほしいところですねー。

 

 

 

 

 さて、最大の難所である駅前に到着しました! ここは一般の人々が非常に多く、選手にとっては走りにくい環境。一般人にぶつかるわけにはいきませんが、スピードを落とすわけにもいかない! 長尾選手はこの障害物にどのようにして立ち向かうのでしょうか!? 諦めるな長尾選手! ゴールはもう近い!

 

 

 「____です!______ます!」

 

 

 長尾選手まさかの方向転換! 声が聞こえた方向に向かっていきました! コースアウトにより失格! 第67回帰宅選手権、これにて終了!!

 

 

 

 

 あのピンク髪の姿。あの声。俺の予想が正しければ……

 

 

 「こんな雨の中何やってるんすか彩先輩!?」

 「あ、直斗くん……」

 「一体何してるんすか?」

 「次のライブのチケットを配ってるんだ」

 「今の天気は?」

 「雨」

 「帰りましょう」

 「ううん、そんなことできないよ」

 「なんでですか!?」

 

 

 やっぱり彩先輩だった。そういえばライブのチケット配るって言ってたな。お疲れ様です。てか、こんな雨の中チケット配るなんて、正気の沙汰とは思えない。傘も差してないし。風邪ひくぞ?

 

 

 「やらなきゃいけないの」

 「え?」

 「後悔はしたくないの……!」

 「言いたいことはわかりますけど!服が透けゲフンゲフン風邪ひきますって!!」

 「心配してくれてありがとう。でも、私はやめないよ」

 

 

 彩先輩頑固だなおい。気持ちはわかるけど、体張ってまでやる必要があるのか?

 

 

 「チケット、販売中です! Pastel*Palettesを……どうかお願いします!」

 

 

 ただでさえ買ってくれる人が少ない今、こんなことやっても風邪ひくだけだって!

 

 

 「どうか……私たちの歌を__」

 「とりあえず駅の中入りますよ! こんな雨の中チケット買ってくれる人なんt」

 「__聞いてください!!」

 「この声……彩先輩じゃない!? 誰!?」

 「千聖、ちゃん……?」

 「千聖!? 白鷺千聖!? あの白鷺千聖!? 本物!?」

 「……初めまして。白鷺千聖です♪」

 「この状況でも言えるってすごいな」

 

 

 誰か来たと思ったら大女優白鷺千聖先輩でした。有名人と会うなんて初めてだよやったね! 今の状況的に素直に喜べないけど。

 

 

 「そうだ! 彩先輩を止めてください! この人、雨降ってるのにチケット配り続けてるんです!」

 「……彩ちゃん。雨で声がよく聞こえないわ。もっと大きい声を出さないと、誰にも届かないわよ」

 「「え?」」

 「後悔したくないのでしょう?」

 「……うんっ!」

 「ん? あれ?」

 

 

 待て待て。なんか、雨にも負けずチケット配ろう状態になってるけど?

 

 

 「直斗くん、心配してくれるのは嬉しいけど、私は帰らないよ」

 「私もよ」

 

 

 はぁ……なんでこんなことに。千聖先輩まで彩先輩側だったら、止めることできるわけないじゃん。

 説得は無理。諦めよう。とはいえ、このまま見捨てるのもあれだし……

 

 

 「……タオル買ってきます。風邪ひかれるわけにもいかないんで」

 「ありがとう!」

 「ありがとうございます♪」

 

 

 俺は来た道を引き返し、タオルを買うために店へと戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……あ、洗濯物。

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 「そんなことがあったんだ」

 「そうそう、こうしてパスパレは1つにまとまり、次のライブの準備を始めたというわけ」

 

 

 俺、長尾直斗。今、昨日の出来事を美咲に話してるの。

 

 

 「……でも、そこであんたが風邪ひくってどうなの?」

 「返す言葉もございません」

 

 

 あの後風邪ひいたので学校休みました☆お見舞いに来てくれた美咲はいい奴だと思ってる。

 

 

 「まあいいや。それで、パスパレはもう大丈夫ってことでいいの?」

 「多分ね。グループはまとまったし、後は5人でなんとかするでしょ」

 

 

 もしかすると、俺たちが何もしてなくても、彩先輩あたりが動いてたかもな。あれだけ行動力あるし。そう考えると、ちょっとだけ余計な事したかも、なんて思う。

 

 

 「美咲」

 「何?」

 「これさ、俺たち何もしなくても解決してたんじゃね? 結局最後は彩先輩と千聖先輩によってパスパレは再スタートできたようなもんだし」

 「そうかもね」

 

 

 あの後話を聞いたんだけど、千聖先輩は彩先輩の必死な姿に心を打たれたらしい。って考えると、やっぱりMVPは彩先輩やん。俺も美咲もイヴも確かに頑張ったっちゃ頑張ったけど。最初に動いたわけなんだし。

 

 

 「直斗」

 「ん?」

 「……他人のために必死になれる人、あたしは嫌いじゃないよ」

 「え?」

 「つまり……あんたみたいなバカのこと」

 「……珍しく素直だな」

 

 

 急に素直になられてもこっちが恥ずかしいって。美咲は後ろ向いちゃったし。俺も美咲も今、顔真っ赤だと思う。やべえクソ恥ずかしい。

 

 

 「まあ、俺が巻き込んだとはいえ、結局助けてくれる美咲のこと、俺は嫌いじゃない」

 「……ありがと。あんたも珍しく素直」

 「風邪ひいてるからじゃないのか?」

 「照れ隠しのための言い訳でしょ」

 

 

 そう不機嫌そうに言う美咲。

 ……なんでだろ。一瞬だけだが、美咲のことが可愛いと思えてしまった。ほんと一瞬だけなんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、パスパレは必死に楽器を練習し、メンバーの結束を強めていき、ついにはもう一度ライブをして大成功を収めるのだが、それはまた別の話だ。




はい、パスパレ編終了!!ちなみにメインヒロインは美咲だぞ!!そこは揺るがん。
この後のストックはないから、次の投稿は未定だぞ! 許してくれ。僕だってゲームしたいの……すみません。早めに書きます。多分きっとおそらく。
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