そして、題名から察しがつくかもしれませんが、今日出てきます。片方だけですが。誕生日とか意識してなかったので、たまたまですね。
……美咲の誕生日ガチャ、天井できるくらい貯めないとな(美咲推し)
「腹減ったな……そうだ、マ〇ク行こう」
◆◇◆◇◆
というわけで某有名ファストフード店に来ました。え? 展開が急すぎるって? でも、特別語ることもないよ?
強いて言えば、響が「文化祭でライブをやることが確定した。だから、出れそうなバンドを集めておいてほしい。ライブハウスでバイトしてるお前なら、多少は集められるだろう?」と言ってたことくらいだ。あ、これそこそこ重要なことだわ。
もう少しで合同文化祭の日。合同文化祭は2日間やるのだが、そのうちの2日目にライブをやることになった。それで、いくつかバンドに声かけといてほしいんだって。ちなみにハロハピは響が声かけておいてくれたらしい。美咲に頼んだっていうからなんとかなるだろ。てか、最近響と美咲仲良いな。仲が良いのは素晴らしいことです。
「空いてる席は……あった」
ハンバーガーとポテトはすでに買った。後は席を探すだけ、というところだったが、思ってたよりもすぐに席が見つかる。そこそこお客さん入ってるから、もしかすると席空いてないかもとか考えてたけど、その心配はいらなかったみたいだ。
……ん? 俺が座る(予定)席の隣の人、めっちゃ美人やん。
「……」
ポテト食べてる。山盛り。めっちゃたくさんある。美味しそう。
それにしても、髪の色が目立つなあの人。水色だ。水色髪の人って珍しいな。水色髪なんて俺の知り合いにはあの双子姉妹しかいないなー……
「もしかして氷川先輩?」
「……長尾さん?」
「姉の方だった」
あまり話したことなかったから、姉か妹か判別できなかったので、名字で呼んで正解だった。
氷川紗夜先輩。俺との仲はというと、一対一でオハナシできるくらい。別に他意はない。
ギターが隣に置いてあるな。練習帰りか? でも、それよりも気になることがある。
「ポテト、好きなんですか?」
「……いえ、そういうわけではありません」
「いや流石にそこで否定するのは無理があるでしょ。山盛りですよ山盛り」
超絶真面目でファストフードとは無縁そうな紗夜先輩が、ハムスターみたいに一生懸命フライドポテト食べてる。可愛い。冷徹でストイックな面影、どこ?
「きょ、今日はたくさん食べたい気分なので」
「たくさん過ぎっすね。ふtゲフンゲフン体に悪いですよ」
美咲が言ってた。「女性に太るは禁句だ」って。それを思い出した俺の記憶力を褒めたたえたい。
「それはわかっていますが……」
「そんなにポテト好きなら好きだと認めればいいのに。それとも、ヤケ食いでもしてるんすか?」
「………………」
「あ」
この沈黙ヤバいやつだ。ヤケ食いだったのね。地雷踏みぬいちまった。えーっと、こういう時は、どうすればいいんだ? 謝罪? 辞世の句? とりあえずポテト食べて落ち着く?
「……長尾さん」
「本当にすいませんでした」
「怒っているわけではありません」
「マジっすか?」
「はい」
助かった。紗夜先輩が寛大な心の持ち主で良かった。一歩間違えてたら俺、紗夜先輩の持ってるギターで殴り殺されてたかもしれない。ギターを使って人を殴る光景とか想像もできないけど。
「ですが、その……」
「?」
「……この前みたいに、少しだけ話を聞いてもらえませんか?」
この前……この前……あ、日菜先輩とのゴタゴタの一部始終話してたときか。あれって元はと言えば俺から話しかけたんだけどね。
「もちろんOKです。俺、暇人なので」
「ありがとうございます。でも、とりあえずは夕食をとってからにしませんか? フライドポテトが冷めてしまっては勿体ないので」
「やっぱりポテト好きですよね先輩。気持ちわかりますよ。そういえば、ポテトって固いポテトしなしなのポテトありますけど、紗夜先輩はどっちが好きですか?」
「……長尾さんも早く食べたらどうかしら?」
「喜んで食べさせていただきます」
一瞬、紗夜先輩の背後に修羅が見えた気がする。そこまでしてポテト好きを認めたくないのか。バレてるから意味ないけど。「冷めてしまっては勿体ないので」って言ってる時点でわかりやす過ぎるんだよなぁ。
てか、紗夜先輩がここまでわかりやすくなるってことは、何か精神を不安定にさせるようなことがあったんじゃないか? 俺の知ってる紗夜先輩はこんなにわかりやすく単純な人間じゃないもん。もっと複雑な感情持ってるもん。
◆◇◆◇◆
フライドポテトを堪能した俺たちは、その足で公園に行った。なぜ公園なのかって? 細かい理由はない!
「それで、紗夜先輩? どんな話っすか? 日菜先輩関連ですか?」
「いえ、日菜は関係ありません」
「そうなの!?」
「はい」
予想が外れた……だと……!? 俺は大預言者ノストラダムスの生まれ変わりなのに。この前世の話をしたら美咲に鼻で笑われて、その後「あんたの前世はゴキブリでしょ。あ、でも、それだとゴキブリに失礼か」と言ってきたので思わずデコピンをしたことは間違いではないと思う。叩かなかっただけ褒めてほしい。
「実は、ロゼリアに関係することで……」
バンド関連でした。しかも超絶実力派バンド。アフグロやパスパレ、ハロハピを凌駕するほどの実力を誇るバンド。最近結成されたとかいう某チョココロネ少女のバンドでも演奏技術は勝てないな。まあ要するに、ここら辺のガールズバンドの中では最強クラスなのだ。世間は大ガールズバンド時代とか言われてるけど、その中でもめっちゃ実力高い方だと思う。それくらいヤバい。
「言いにくいのですが、実は今、解散の危機にありまして」
「えぇ!? 解散!?」
嘘だろおい。マジか。話が急過ぎてびっくりしたわ。
「どうしてそんなことに?」
「……湊さんがスーツを着た人と会話をしているのを宇田川さんが目撃したらしいのです」
「スーツ? あ、スカウト?」
「はい。それで、どうやらそのスカウトはロゼリアに対してではなく、湊さん個人に対するものでした」
「なるほど」
「それを聞いた私は、湊さんに質問しました。スカウトを受けたのか、と。しかし、湊さんは沈黙を貫きました」
「えぇ、無言……?」
「はい……無言は肯定とみなし、ロゼリアを捨てて個人に対するスカウトを受けたのかと思い込んだ私が、その場を飛び出してしまって……」
うん、大体把握した。
友希那先輩がスカウトを受ける→スカウト結局受けたの?→無言→紗夜先輩ブチ切れ
という感じだな。友希那先輩、無言はまずいでしょ。でも、はっきりと否定をしなかったところを見ると、スカウト受けたか、あるいは、悩んでるかだな。
「紗夜先輩、飛び出しちゃったのはアウトでしたね。友希那先輩がスカウトを100%受けたってわけじゃないのに」
「そうですね……あの時は冷静さを失っていました」
「でも、はっきりと否定しないところを見ると、良くて悩み中、悪くて受けた、というところかな……」
友希那先輩もあれだけど、紗夜先輩もちょっとやらかしたな。喧嘩して飛び出して必ず追いかけてくれるのはドラマやアニメの世界だけだもん。ちなみに俺は小さいころ美咲と喧嘩して、美咲が「なおとのことなんてもうしらないっ!」って言ってどこかに走って行ってしまった時、追いかけなかったよ。後で今は亡き親父に死ぬほど怒られて俺が泣いたけど。「女を泣かせるのはクズな男のすることだ!」だって。小さい子供に言うセリフじゃないよねそれ。
「紗夜先輩は、どう思ってるんです?」
「どう思ってる、とは……?」
「ロゼリアとして活動を続けたいんですか?」
「………………はい。私はもう、逃げたくないんです。今日は逃げてしまったけれど、それでも、逃げるのはもうやめたい」
「そうっすか」
この前オハナシした時と変わったなこの人。日菜先輩と向き合うと決めて、なんというか、強くなった。
「んじゃ、早速明日動きますよ。リサ先輩の連絡先は持ってますよね?」
「それはまた急ですね……でも、どうして今井さん?」
「あの人がロゼリアの中では一番話わかるし、何より友希那先輩と仲が良いので。いきなり直接話すのはハードルが高過ぎますから。早速ですけど、今夜中に「明日、話がしたい。友希那先輩は呼ばないで」とでも連絡入れましょう」
「わかりました……」
「あ、リサ先輩にも話しにくかったら、日菜先輩経由で話を通せばいいのでは? 同じ学校だし。むしろそっちの方がいいかも」
「え? 日菜に?」
「そうっす。折角姉妹で関係改善しようってなってるんですから、ここで頼ってみましょうよ。あの人絶対喜びますよ。リサ先輩が言うにはお姉ちゃん大好き人間らしいので」
「なっ!?」
この前教えてくれたんだよねー。
それはそうと、ここまできたら俺も助けますよ。こんな感じの流れよくある気がするけど、細かいことは気にしたら負けだな。名付けて「枯れた青薔薇を咲かせましょ~作戦」だな。我ながら神がかったネーミングセンスだ。
直斗のネーミングセンスはお察しの通りです。
ちなみに余談ですが、これでも当初の予定より話の展開早くしてるんです。もし本当ならアフグロもロゼリアもパスパレみたいに一つの章になってたもん。流石に長くなり過ぎそうだったからやめました。完結までの道のりも見据えないといけないし……今年中に完結するかなぁ?