今日は水曜日。一週間のちょうど真ん中。一番精神的に辛い日だ。休日までまた半分もあるんだもん。でも、最初の半分はもう終わってるから、微妙に疲れているというね。水曜日嫌い。毎日が日曜日の世界線、どこ?
「よし。じゃあ、この問題を解いてみましょう。基礎がしっかりできている人なら解けるはずです」
おまけに、1時間目から数学とかマジ?
数学はあまり好きじゃないんだよなぁ。単純に覚えるだけじゃ問題が解けないから。計算めんどくさいし、間違えるし、応用問題はわけがわからないし。
マジでさ、点Pはどうして動くんだって話だよ。点だぞ、点。動くなよ。
なんで池の周りを走るんだってことだよ。突然池の周り走り出すやつなんて現実にはいないだろ? あ、こころとはぐみは可能性あるな。やっぱいたわ。
家を一緒に出ない兄弟って何なの? 仲悪いのかよ。少なくとも美咲は弟と妹と仲いいぞ。俺は兄弟姉妹なんてないからわからないけど、血繋がってるんだしある程度は仲いいもんじゃないのか?
なんでものの値段を書いてない店があるんだ。客に計算させる気か? それだと誤魔化し放題だぞ。その店が経営破綻しそうで心配です。
「そろそろ解けましたか? では、前に出て答えを書いてもらいます。長尾くん」
「え? 俺っすか? なんで?」
「たまたま目が合ったからです」
目が合った? これってもしかして、恋?
あ、数学の先生は男の先生です。新人先生だからか、誰にでも敬語なんだよね。固いなー。俺が言うのもどうかと思うけど。
まあ、ぶっちゃけ基礎中の基礎だから、これくらいは解けてる。某幼馴染にバカとかバカとかバカとか言われてるけど、そこまでバカじゃないからな? 平均くらいは学力あるぞ? ちなみに美咲よりは下です。チクショウ。
「こうですよね?」
「残念ながら不正解です」
「ファッ!?」
「多分ですけど、計算ミスをしてしまっているのではないでしょうか?」
これだから数学は……計算なんて電卓でええやん、って現代人の俺は思ったり。
「それでは、別の答えを書いてもらいましょう。奥沢さん」
「はい」
え?美咲?間違える呪いかけとこ。お前も俺と同じようにミスするんだ。初歩的なところで計算ミスをするんだ。そしてそれを笑ってやる(ブーメラン)。
「はい、正解です」
…………………………
美咲が少しドヤ顔でこっちを見てきたのがムカつきました。
◆◇◆◇◆
「……ってことがあったんだけど、どう思う?」
「2人とも本当に仲がいいんだね」
「この話聞いてもそう思う?」
「うん」
「そうか……」
昼休み。俺は中庭で弁当を食べながら、今日の1時間目にあったことを愚痴っていた。
え? 美咲とは一緒にいないのかって? 美咲なら、こころに連れられてどこかへ行ったよ? 助けを求める視線が俺に向いてた気がしたけど多分気のせいだ。
「そういえば美咲ちゃん、バンド始めたんだって?」
「YES。バイトしてたらなんだかんだで巻き込まれたんだって」
「大変だね……」
俺が愚痴っている相手の名は、牛込りみ。美咲の友達で、美咲の紹介で仲良くなったんだ。中学生の時に関西からこっちに引っ越してきた、チョココロネを愛する控えめな性格の少女だ。たまに本場の関西弁出てくるよ。エセ関西弁とは違うちゃんとしたやつ。
この子ね、気が付いたら美咲と仲良くなってた。俺と美咲のクラスが別になった中2のときに仲良くなったみたいだ。ほどほどを望む美咲にとって、りみのような比較的おとなしい子とは話しやすかったんだろうね。実際いい子だし。
「りみはバンドやったりしないの? ベースやってるのに」
「私は人前に出るの苦手だから……」
「上手なのになー、もったいない。何事も挑戦よ?」
「そうかもしれないけど……」
なんとこの子、ベースをやっています! しかも上手。俺は楽器なんてド素人だから、楽器弾ける人ってかっこいいと思うわ。素直に尊敬するわ。
「じゃあ、もしバンドやったらチョココロネあげるって言ったらどうする?」
「………………それでもやらないかな」
「今悩んだよね? チョココロネに釣られそうになってたよね?」
先ほども言ったがこの少女、チョココロネを愛しているのだ。チョココロネ教とか入ってるんじゃないかなってレベルで。入ってるというより教祖か。チョココロネ教教祖・牛込りみ。うん、なんか面白そう。
「そ、そんなことないよ! チョココロネもらえるなら……とか少しも思ってないよ!」
「うん。りみって嘘つけないタイプだよね。眩しいくらい純粋」
「……ありがとう?」
例の3バカとは違うベクトルで純粋。こっちの純粋の方が助かります。3バカは純粋通り越して常識を宇宙の彼方にストライクショットしてるもん。
「あら? 直斗じゃない!」
「おー噂をすれば」
「あ、直斗だ。りみも一緒なんだ」
「美咲ちゃんもいたんだ」
突然こころと美咲が現れた。結局中庭に来てたのね。
「美咲ー大変だったみたいだねーお疲れー」
「ムカつく……」
「み、美咲ちゃん落ち着いて」
「あなた、もしかして初めましてね!あたしは弦巻こころよ!」
「え、あ、その、う、牛込、りみです……」
「こころ。りみが困ってるから」
美咲を中途半端に煽ってたら、こころとりみが自己紹介してた。仲が良さそうで何よりです。むさくるしい男の友情と違って、女の子は目の保養になるわ~。
ここでふと思ったんだけどさ、俺、今、周りに可愛い女の子が3人いるわけよ。これってもしかしてさ……
「ねえねえ美咲」
「何?」
「唐突だけどさ、ハーレムって男のロマンだと思わない?」
「はぁ?」
「ハーレム? それって何かしら? りみは知ってるかしら?」
「えっとね、1人男の子の周りに複数の女の子g」
「説明しなくていいから!! 何教えようとしてるの!?」
見て見てー。もうりみとこころが仲良くなってるよー。やっぱり周りに女の子がいるっていいよね。微笑ましい。
「知識が増えるのはいいことだぞ」
「あんたは黙ってろこの変態」
「誰が変態だ。それ言ったら美咲だって家ではあんなことやこんなことを」
「死ね」
「!?……待て、美咲……首絞めるのは、流石に、死ぬ……」
「美咲ちゃん!? 確かに今のは直斗くんが悪いけど、それはやり過ぎだよ!!」
「2人ともとても楽しそうね!!」
「絶対楽しくないと思うよ!?」
ハーレムは男のロマンだけど、流石にそこまでは求めてないから!! ただ周りにある程度女の子がいるだけでいいから!! 俺は伊〇誠とは違うから!!
マジで死ぬかと思ったけど、無事解放してくれました。お詫びに美咲にファミレス奢ることになりました。解せぬ。俺の財布の中身が空っぽに近づいていく……
◆◇◆◇◆
放課後、ファミレスにて。
「なあ、美咲。俺、そろそろバイトしようと思うの。仕送りは全然足りてるんだけどさ、今回みたいなことがあった時に使えるお金がないと困ると思うの」
「あんたの性格を直せばいいんじゃない?」
「あ、そっか。ところで、ケーキ頼もうとしてるみたいだけど、ケーキって結構カロリー高いよね」
「うんやっぱりバイトした方がいいよ」
「だろ?」
美咲だってバイト始めてバンド始めてるんだ。俺もそろそろバイトくらいはやろうかと思うのよ。
「ってわけでさ、何かおすすめのバイトある?」
「キグルミ」
「却下」
ただしキグルミ以外で。
いや、キグルミの仕事めっちゃ大変そうだったもん。子供に風船配ってたらバンドでDJとツッコミ役やる仕事だよ?何その重労働。
「キグルミ以外で何かないかな~……」
「バイトといって思いつくのはコンビニかな。後は、ここら辺だとファストフード店だったり喫茶店だったりライブハウスだったり……」
「詳しいな」
「バイト探すときに調べたからね」
バイトっていっても色々あるのな。コンビニは接客すればいいんだろ? ファストフード店はポテト揚げてればいいんだろうし、喫茶店は……これも接客か。ライブハウスはイメージ湧かないな。あ、今の全部俺の独断と偏見ね。
ライブハウスか……どんなところなんだろ?
「その中だと、ちょっとライブハウス気になるな」
「あー、あそこ、確かかなり給料良かったはず」
「よし詳しく調べてみるか。そのライブハウスの名前は」
「CiRCLE」
「サークル? 日本語で円?」
「なんでもかんでも日本語訳しないの」
ライブハウス、CiRCLE、ね……
今の俺はまだ知らない。このCiRCLEとの出会いが、俺の高校生活に、いや、人生に大きく影響を与えるということを。
次回、バイト
数学の新人先生はもしかすると今後も出番があるかもしれないしないかもしれない
女の子への言葉遣いは気をつけようね!! そうしないと直斗みたいになるぞ!!
高評価、感想くれるとめっちゃ喜ぶ
総合評価200ポイントありがとうございます!!