そして、今回から新章突入ということでお願いします
張り込みとストーカーは紙一重?
はい、どうも。奥沢美咲です。
今日は、直斗のバイトの様子を見に来ました。あいつに仕事がしっかりとできるのか不安だったので。一応幼馴染なので、ちょっとは面倒見てあげようかなって思って。弟や妹より世話が焼けるよ、まったく……
「ふえぇ……これ、やってることがストーカーのような気もするけど、大丈夫かなぁ……?」
「大丈夫です。警察が張り込み調査するのと同じですから」
「そういうものなのかな……?」
「ライブで空飛ぶよりはマシだと思いますよ」
「あはは……確かに」
流石に1人で来るのは嫌だったので、今回は花音さんにも来てもらいました。しかも、今回はそれだけじゃないんです。
「まりなさん、今日は本当にありがとうございます。あたしたちのような一般人をここに入れてくれて」
「全然大丈夫! むしろ、こういうのに協力するの楽しそうだからね」
CiRCLEのスタッフであるまりなさんが、スタッフ専用の場所に入れてくれました。ここならバレないだろうって。直斗のことをチラチラ見ながらスマホをいじってたら「もしかして、直斗くんのこと好きなの?」って聞かれちゃって。その弁明のために、何をしようとしていたのか正直に話したら、ここに入れてくれたというわけだ。まりなさんがいい人で良かったよ~……
それと、先に言っておくけど、あたしは直斗のこと好きなんかじゃないから! ただの幼馴染だから! 花音さんといいまりなさんといい、なんでそういう勘違いするのかな……
現在、直斗は受付で待機中。いつもはまりなさんがいるらしいけど、今日は経験を積ませる目的で、直斗にやらせているんだって。あいつ、絶対失礼なことするよね……何かやらかすに1000円かけてもいいレベルで。
「あ、早速来たみたいだね! あれは、Afterglowの子たちかな?」
まりなさんがそう言った。この人、いつの間に直斗監視作戦に参加したんだろう? 働かなくて大丈夫なのかな? ここのスタッフなんだよね?
まあ、まりなさんのことはとりあえずいいとして、あれがAfterglowというバンドらしい。茶髪の優しそうな人、長身の姉御肌っぽさそうな人、髪の毛に赤いメッシュが入ってる人、銀髪のマイペースそうな人、そして……
「あの変態……胸チラチラ見てるし……」
「男の子は皆そういう生き物だから」
「直斗くん……」
ピンク髪の、胸が大きい人。
直斗だって男だからさ、そういうのに興味があるのはわかるよ? でもさ、どうしてもムカつくっていうかさ……昔は純粋な男の子だったのに……
「あ、あたしだって、決して胸ないわけではないから! そうですよね、花音さん!!」
「ふえぇ!? わ、私もそう思うよ?」
よし、花音さんがそう言ってくれた。勢いで押し切った気がするけど、そこまで気にしてたら疲れちゃうからね。
「あれ? つぐみちゃんと直斗くんって知り合いだったんだ」
「え?」
まりなさんの言葉で前を見る。すると、茶髪の人と直斗が親しげに話していた。どこで知り合ったんだろう? もう少し近づくことができれば、はっきりと聞こえるんだけどなぁ……でも、バレるわけにはいかないし、諦めよう。
「美咲ちゃんもあの子のこと知ってたりするの?」
「いや、知らないです。初めて見ました。直斗にも友達いたんだ……」
「直斗くんに対してすごい辛辣だよね……」
気にしないで花音さん。これがあいつとあたしの仲だから。ちょっとくらい口悪くても大丈夫だから。だってさ、直斗よくあたしに喧嘩売るような発言してるじゃん。だから、これくらいは言ってもセーフだと思う。そうでもしなきゃやってられないよ……ストレス的な意味で。
◆◇◆◇◆
……なんだ? ものすごく視線を感じるぞ?
「ん? どうしたんだ? さっきから周りをチラチラと見てるけど」
「視線を感じる」
「もしかして、CiRCLEに住んでる幽霊だったりして~」
「モカ! 変なこと言わないでよ~!」
CiRCLEは事故物件だった?後でまりなさんに聞いてみるか。
俺は今、まりなさんに受付の仕事を任されているんだ。その仕事中にやって来たのがAfterglow。5人の幼馴染で結成されたというガールズバンドだ。
実は、その中にいる茶髪の少女・羽沢つぐみと顔見知りだったという新事実が発覚しました。以前、美咲の初バイトを監視する時に入った喫茶店・羽沢珈琲店。そこの店員さんと色々と話してたんだけど(というより一緒に美咲監視してた。多分俺が巻き込んだようなものだ。申し訳ないとは思っている)、その店員さんっていうのがつぐみだった。まさかバンドをやっていたとは。
聞いた話だと、ガルジャムというビッグイベントを目指しているらしい。ガルジャムというのがどんなイベントなのか詳しくは知らないけど、頑張ってほしい。
「はっ! 実はなーくんが幽霊だったり~?」
「幽霊!? こ、来ないで!!」
「お前ら仲良しだなでも今のひまりのセリフは普通に心に刺さるぞ」
誰が幽霊じゃゴラ。でも、仲が良いのはいいことです。
幼馴染というだけあって、本当に仲がよろしい。この5人、性格も違うのに仲良しなのよね。美咲とこころが仲良しなのと同じ原理。本人に言ったら「ただ振り回されてるだけだから」「あら? あたしと美咲はとーっても仲良しよ!!」とのこと。本当に仲良いなお前ら。
「モカ。ひまりが可哀想でしょ。そろそろやめてあげて」
「ぶ~。蘭のケチ~」
「ケチじゃないから」
「パン買って~」
「やだ」
「やっぱりケチ~」
「モカ!」
蘭とモカのやり取り見てると、どことなく既視感を覚えるんだけど……あ。
「蘭、モカ。2人とも、俺たちに似てるな」
「一緒にしないでくれる?」
「」
「蘭~? 今のは流石に心にグサッっていくよ~?」
「ご、ごめんね? 蘭ちゃんも悪気があったわけじゃないの」
「我豆腐メンタルぞ? 前科持ちぞ?」
「前科?」
「気にするな」
「直斗、さっき俺たちって言ったよな? ソレってつまり、直斗以外にもいるってことだよな」
「よく気づいたな巴。俺にも幼馴染がいてさ、そいつと俺のやり取りが、蘭とモカの感じと似ててさ」
俺と美咲の会話と似てる気がするんだよね。俺がモカで、美咲が蘭。うん、しっくりくるわ。
「とりあえず安心しろ蘭。お前は俺じゃなくて、俺の幼馴染と似てる方だから」
「どんな人なの?」
「うーん……熊? よく人に暴力振るう?」
「は、はぁ? 熊と幼馴染って何? てか暴力振るうの? 死人出るでしょ」
「なーくん、もしかして……!?」
「その通りだ。実は俺、森育ちなんだよね。だから熊とも仲良しなの」
「な、なんだってー!?」
「え!? 直斗くん、森で育ったの!?」
「すいませんつぐみさん冗談です」
つぐみ純粋過ぎ案件。一瞬マジで信じかけてたよこの人。目がマジだった。俺は一般家庭生まれ一般家庭育ちです。
今気づいたけど、これ、俺のせいで美咲のイメージめちゃくちゃなことになってない? まあ大丈夫か。本人がすぐそこにいるわけじゃないんだし。
「……ん? 電話?」
その時、電話の着信音が鳴った。これは、俺では……ないな。よし。流れ的に美咲からかかってきたのかと思ってビビったわ。流石にそんなことはないよな。安心安心。
「あ、ごめん。あたしだ」
「なんだ蘭か。もしかして彼氏?」
「え!? 蘭、彼氏いたの!? そういうことは早く言ってよ~!!」
「そんな……モカちゃんとは遊びだったというの……?」
「あたしに彼氏なんていないから! それとあたしとモカってどういう関係なの!?」
「と、とりあえず電話出た方がいいんじゃないのか?」
「……そうだね。ごめん、ちょっと電話してくる」
そう言って蘭は外に出た。
「今の電話、結局誰だったんだ?」
「蘭のお父さんじゃないかな~? 最近よく電話してるみたいだし~」
「ファザコン?」
「多分違うと思うぞ」
あら、違うの?名推理だと思ってたんだけどな。
◆◇◆◇◆
「なんか、結構仲良くなってますね」
「Afterglowの子は皆話しやすいからね。直斗くんもそう感じたんじゃないのかな?」
「直斗くん、とても楽しそうにお話してましたからね」
直斗に友達ができたみたいで良かったです。それと、話の内容までは聞こえなかったけど、なんかものすごく失礼なこと思われてる気がするんだよね。気のせいだと信じたいけど……とりあえず、あのAfterglowっていうバンドにはあまり近づかないでおこう。めんどくさいことになる気がする。
Aftergrow登場! 徐々に他バンドの出番増えてくるかな? あくまでメインは美咲だけど、他のキャラの出番もなきと、ね?