IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
今日はIS学園の入試試験だ。内容は試験官と戦うというシンプルなものだ。本当は打鉄かラファール・リヴァイブに乗って戦うのだが俺は無鉄しか反応しないので無鉄で戦うことになっている。
専用機持ちの人は持っているISで戦うそうだ。
織斑 一夏は昨日したそうだ。結果は勝ったのだが
「士郎……大丈夫……?」
「ゆーみん緊張しているのー?」
「いや全然。むしろ調子がいい」
無鉄には乗ってはいるが一度も戦っていない。場所はないし、せいぜい射撃練習と素振りしかできなかったからな。戦うのがこれが初めてだが調子は万全。いつでもいける。
「簪と本音はあと一歩だったな」
「途中まではよかったけど……後半になったら押し返されちゃった……」
「ゴリ押しでやってみたけど負けちゃったけどねー」
ふたりはラファール・リヴァイブに乗って善戦はしたものの負けた。
簪は器用に射撃武装を使い、接近されたらブレードで応戦したがそれは前半までで、後半は体力が落ちて油断した所にグレネードランチャーを撃ち込まれて負けた。
本当は打鉄二式で戦うはずだったのだが、生憎まだ機体も武器も完成していないので戦うことができなかった。
本音は最初から射撃武装を撃ち続けて、接近して
「
「そうだよ……」
「いやーそうなんだけど。やっぱり、パイルバインカーを叩き込みたいからねー」
「「はあ……」」
最近見たアニメの影響か。おっと、そろそろ時間か。
「せて、俺は行くぞ。どこまでやれるか分からんがな」
「士郎なら大丈夫だよ……」
「ゆーみん、ファイトー」
声援をもらったし行くか。
『試験官が来るまでそのまま待機してください』
「分かりました」
アナウンスに従い、待つようにする。試験官はそれぞれ教師用にカスタマイズされたISで戦うことになっている。もっぱらこの試験で勝つのは稀だそうだ。今の所、勝っているのは織斑 一夏とイギリスの代表候補生(名前は知らないが)の二人だ。
無鉄はあれから改良を施して第二世代と第三世代の間ぐらいに性能が伸びた。
俺も勝ってみようかな。試験官によるが。
『まもなく試験官が来ます。準備を整えてください』
お。そろそろ来るのか。一体誰かな?
「ひさしぶりだな、士郎。私がお前の試験官だ」
…………………勝つのは無理そうだ。何せて相手は元世界最強だ。
「ひさしぶりですね。千冬さん。まさか、あなたが俺の試験官になるとは思いませんでしたよ」
「私が士郎の相手をするのは前から決まっていたことだ。それとIS学園では織斑先生と呼べ」
「分かりました」
予定調和だったか。はあ……今更悔やんでも仕方がないか。
「早速で悪いが始めようとしよう」
「それもそうですね。全力でいきます!」
ビーッとブザーが鳴り響き、それが切れると同時に両手にあらかじめ出していた小型マシンガン二丁を千冬さんに撃ち放った。
ガガガガガガガガガガ!!!
すぐに射程外に千冬さんは移動して当たりそうな時は近接ブレードで弾いている。
「こんなものでは私は倒せんぞ」
「分かっていますよ。これは小細工ですから」
千冬さんは打鉄に乗っている。カスタマイズされて近接ブレードだけしか使っていないようだがおそらく現役時代と同じようにしているはずだ。千冬さんの戦い方は近接ブレードのみで戦うもので、それは熟練したものでも困難な戦い方だ。
しかし、千冬さんはそれを何の苦もせずやってのけている。ネット動画で見たことがあるが実際に戦ってみるとこうもすごいとは思わなかった。
それよりも自作したこのマシンガンが通用しないと思っていたがなぜか狙いが甘くなってしまう。
「くそ!弾が切れたか!」
カカカ!と弾が切れたのと同時に千冬さんが接近してきた。
「はあっ!」
「くっ!」
マシンガンを交差して防いだが、このままでは押し切られてしまう!
「これをどうぞ!」
「ふん!」
マシンガンを捨て、グレネードランチャーを呼び出して撃って距離を稼ぐ。
「この程度か!弓塚!」
やはりというべきかひらひらと避けていく。このままでは埒があかない。
「これならどうだ!」
狙撃銃を呼び出してスコープを覗き、狙い撃つ!
「せい!」
「うそだろおい……」
千冬さんはあろうことに弾を切ったのだ。
なら……
「なっ!?」
ガン!と肩のアーマーに当たり砕けた。FCSを切ってからは思うように撃つことができて、じわじわと千冬さんを攻めていった。
「急に調子が良くなったな!」
「そうですね。今度はこっちが攻めます!」
今撃っている狙撃銃は初めて製作した銃”38式狙撃銃”を威力重視にした”38式狙撃銃・遠雷”だ。弾は劣化ウラン弾を仕様している。昔は健康被害を懸念されていたが、技術革新に
より健康被害はなくなっている。ボルトアクションで発射間隔が空くが素早くリロードすることでそれは解消される。反動制御も切るとより精密に撃て、リロードも早くできた。
「くっ!」
「いける!このまま押し切れば勝てる!」
さっきまでとは逆に俺が押している。弾が尽きて空になるとすぐに次の武器を呼び出した。
「弓だと?」
「甘く見ると痛い目に合いますよ!」
左手に弓を出して背中には矢が入った筒を出し、右手で矢を弓に沿って構え放った。
「ふっ!」
「ち!」
矢を近接ブレードで弾いてシールドエネルギーを削られないように応戦する。
「まだまだいきますよ!」
「厄介だな!」
近づけないように絶え間なく矢を放ち続けるがそろそろ矢がなくなる。だが、接近戦は勝ち目がないな。
千冬さんは接近戦は得意分野だ。俺は普通くらいだと思うけど相手にならないだろうな。
「矢がなくなったな。これはまずいな……」
「そろそろ終わりにするぞ!」
一瞬にして距離を詰められた!?これは!
ガキン!
「ほう?
「なんとなく読めただけですよ……!」
とっさに右手に近接ブレードを出して何とか防ぐ。しかしそれからというもの、ジリジリとこちらのシールドエネルギーが削られていく。
左手に槍も出して、右手に刀の形をした近接ブレードの二つで挑むが虚しく、シールドエナルギーが削られていく。
「さて、お前の武器はもうないだろ?」
「悔しいですが、そうですね」
近接ブレードと槍はアリーナの地面に突き刺さっている。両方とも弾かれたからだ。短刀は出した瞬間に弾かれた。
「これで終わりだ!」
「!?」
ここで終わるのか?負けても俺は入学することが決まっているが俺は……俺は……負けたくない!!
「――――
そう呟き、迫りくる近接ブレードを何かで弾き返した。
キイン!
「なに!?」
千冬さんは弾き返したことに驚いているのか、あきらめていないのに驚いているのかは分からない。両手に持っている何かを見るとそれは黒い剣と白い剣だった。
「これは……干将・莫邪……なのか……?」
干将・莫邪。それは古代中国・呉の刀匠干将と妻の莫耶、及び二人が作った夫婦剣。黒い方が陽剣・干将、白い方が陰剣・莫耶である。互いに引き合う性質を持つ夫婦剣だ。
―――
「無鉄の能力なのか……」
シールドエネルギーは残り100。勝機はこの干将・莫邪と投影のみ。なら、叩き込むのみ!
「はああああああ!」
「ふう……!」
何度も打ち合い、火花が散る。俺では到底、千冬さんには勝てない。だが、それは生身の場合である。
ISの勝負はどちらかのシールドエネルギーが0になるかで決まる。この時点で僅かながらでも俺にも勝機がある。
そして距離が広がり、その隙に手に持っていた干将・莫耶を投擲する。
「―――
「なにっ!?だがこの程度―――!」
突然のことにでも焦らず持っていた近接ブレードで弾く。
さらに投影した干将・莫耶を投擲する。
「―――
―――
今度も焦らず剣で2本を弾いた
だが、最初に投げた干将・莫耶目が背後から目掛けて飛んでいく。
「っ!?」
何とか気づいて弾いたが、僅かだがシールドエネルギーが減る。
そして、周りにあった剣が千冬さんの周りに集まった瞬間に……
「
勢いよく爆発した。
「―――
その間に俺はまた新しく干将と莫耶を投影し、それを背中に生える翼のように背中側で構えて千冬さんに目掛けて迫る。
強化した干将と莫耶はまるで翼のような黒と白の長剣へと変わる。
飛び上がり……
「―――
千冬さんに向けて落下していき……
「っ!?はああああああ!!!」
苦し紛れに剣で迎え撃つようだが、今の状態なら!
「はああああああああああああああ!!!!」
そして剣が交わった瞬間……千冬さんが持つ近接ブレードは壊れ、シールドエネルギーが多く削れ、勝敗が決まる。
『試験終了。勝者―――弓塚 士郎』
「はあ……はあ……。終わったぁ……」
試験は終わり、地面に降りる。展開解除すると同時にISの補助が無くなり、疲れがいきなり体にのしかかってくる。
「まさか、私が負けるとは思いもしなかったな。負け惜しみとも思われるがISに助けられたな。だがこれからも慢心することなく、精進するのだぞ」
返事がしたくてもできない。疲れているせいか息をするだけで精一杯だ。まともに見ることもできない。
その後はここで記憶が終わる。
後日、簪と本音に聞くと俺を運ぶために孝司さんと和也さんが来て運んだそうだ。