IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
こんな未熟者ですが努力し続けます。
それでは、遅くなりましたがどうぞ!
塀を乗り越え、草むらに隠れ、音を出さずに玄関付近を移動すると目に映ったのは―――
「何がどうなっているんだ?」
黒い服を着た男達に孝司さん、沙織さん、和也さん、彩乃さん、虚さん、本音が囲まれ、親分みたいな男に簪が銃を頭に押し付けられ、楯無さんが親分みたいな男に銃を向けていた。
―――ことの
「アポなしに訪問とはどういう用件かしら?」
夕暮れになり、そろそろ母さん達と夕飯を作ろうとしたら突然、インターホンが鳴り、虚ちゃんが出るとそこには幹部の一人、
「当主、まずは
「早急のこと?」
母がまだ当主だった頃はあったのだが、私が更識当主となってからは一度もなかった。
「それで、早急のこととはなに」
「それはですね
当主の座を私に譲ってはくれませんか?」
「何を言っているのあなたは。頭でもおかしくなったの」
「いえいえ、私はおかしくなっていませんよ」
正気の沙汰とは思えないわ。
「今日のことは後日決めるわ。さっさと帰りなさい」
はあ……ようやく落ち着いてきたのになんでこうも厄介事が起きるのかしら……。
「そうですか。仕方ありませんが少しばかり強引にさせていただきます」
一体何を……
「お、お姉ちゃん……」
「簪ちゃん!」
雪原の部下の一人が簪ちゃんの頭に銃を突きつけられていた。
「雪原!あなた、こんなことをしてただじゃすまないわよ!」
「そうですね。ですが、それよりあなたは周りをよく見えてないのでは?」
「?……く!」
いつの間にか雪原の部下たちが私以外に銃を向けていた。そう、虚ちゃん達に。
「まあ、このままでは気まずいでしょうし、外に出てお互い頭を冷やしましょう」
「…………そうね」
とりあえず従いましょう。下手に動くと簪ちゃんも虚ちゃん達も危ないし。
「春に近いというのに夕方になると寒くなりますな」
「ええ」
移動して外に出て玄関付近にいる。明かりは一つもない。警戒しているのか、何も触っていない。
「さて、このまま外にいるとお互い体に
雪原は今、簪ちゃんに銃を頭に突きつけたまま聞いてくる。移動する際部下と変わった。
「ええ。答えは…………これよ!」
「ほう……」
懐にしまってあった銃を雪原に向けた。
「ずいぶん物騒な答えですな」
「まあね。けど、余裕にしていられるのも今のうちよ」
「なに?」
「分からないのかしら。すでにスナイパーがあなたたちの頭に狙いを定めているのよ」
こんなのは嘘。本当はいない。最悪なことに今日は早目に部下たちを帰している。
「どうする。今なら五体満足で二度と外に出れないけど生きていられるわよ」
「………………………………」
お願い。とにかく今は退いて!
「ふ……ふふふ………ははははははははははは!」
「あら?気でも狂ったの?」
「はははっはははははは!くくく………実に面白いことを言いますね」
「なにをかしら?」
「いるはずないでしょ。スナイパーなんて」
「ッ!?」
ばれているの!?
「情報は常に武器ですからな。ここに入る前に分かっていた事ですよ」
私としたことが……!少し考えればこんなこと分かっていたのに!
「もう一度聞きます。当主の座を私に譲ってはくれませんか?」
「……………………」
一体どうすればいいの。く!私がもっとしっかりしていればこんなことには!
「ぐっ!」
虚ちゃん達を囲んでいた男の一人が苦痛な声を上げた。
「おい、どうした!」
「分かんねえ……手に何かが刺さった……!」
男の手に刺さっていたのは―――
「矢?」
なぜ矢があるかが全然分からなかった。
「ち!」
「いてぇー!」
続いて二人目三人目と当たっていく。
「もしかして……」
雪原の部下たちが混乱する中、私は家に帰ってきていない彼だと直感した。
洋弓に矢を添えて構える。
風は東から微風あり。視界良好。狙うは片手の甲。
「ふっ!」
矢は吸い込まれるようにまた男の手の甲に突き刺さる。
「う!」
「くそっ!さっきからどこから狙っているのか分かんねえ!」
「早く見つけろ!これ以上時間はまずい!」
俺がいるのは家の屋根の上である。ここなら視界が開けてよく見える。
この洋弓と矢は無鉄の投影から出来た物だ。ISのサイズから人に合うサイズに調整したので問題なく使える。
「さて、いちいち一人づつ狙うのは時間を食ってしまう。まとめて仕留める!」
再び洋弓に矢を添えて構える。しかし、矢は先程までとは異なる。
「ふぅ……………」
違いは単純に矢の数だ。通常、弓は矢一本でするのだが、手には六本ある。矢一本で集中しないといけないのだが、このままだとこちらの場所が知られたり、簪に危害が及んでしまうのでやったことのない六本をすることにした。
全神経を六本の矢に集中させ、溜めを長くする。それにより限界までに引き絞った弦は目標とする手の甲により正確に、より精密に当てるようにより力を増した。
問題はタイミング。
今に放つと目標がずれる。そのずれが生じると簪たちに当たる可能性が出てしまう。
故に狙いは風が止まる瞬間。
その一瞬をただひたすら待つ。
ヒュゥ…………
「!」
風が一瞬
プヒュ!!!!!!
六本の矢は思い描いた理想のように飛び、
六人を男の片手の甲に吸い込まれるように―――
「ぐっ!?」
「がっ!?」
「な!?」
「っ!?」
「む!?」
「いっ!?」
―――全て突き刺さる。
次々と雪原さんの部下たちが手に矢が刺さり無力化されていく。
「くそ!一体どこのどいつだ!こんな明かり一つもないのに正確にやる奴は!」
そう。玄関前にいるけど明かり一つもない。なのに手だけを正確に狙っている。
「ちくしょう!姿を見せやがれ!」
私は一人目に矢が刺さったときにすぐに分かった。
「見せろと言われても、私はここにいるぞ」
声が聞こえた方向を見ると雲が晴れ月明かりを
「てめぇー!」
雪原さんは私に銃を押し付けていたのを士郎に向けた。が―――
「ふっ!」
「ッ!?」
銃を持っていた手に矢が刺さり銃は地面に落ちて、その隙にお姉ちゃんの所に逃げた。
「簪ちゃん!大丈夫だった!」
「うん」
「良かった……。今からあいつにキツイことさせるから」
なんだかお姉ちゃんと仲直りしてから私にベッタリだと思うんだけど気のせい……じゃないよね。確か虚さんがお姉ちゃんはシスコンだって言ってたし。
「帰ってきたら早々物騒なことになっているとは驚いたぞ」
「士郎ありがとう!」
「おわ!」
いつの間にか士郎が屋根から降りていた。つい士郎に飛びついてしまった。み、みんなが見ているけどだ、大丈夫//////
「飛びつくぐらい元気があるならどこもケガはしていないようだな」
「うん。けど頭はちょっと痛いかな。銃を押し当てられた所が」
「え!あいつの金玉を金属バットで潰す!!!!」
「楯無さん落ち着いてくれ。女性には分からないがそれは男として想像を遥かに超える痛みだから別なことにしてくれ」
士郎、少し顔青いよ。どうしたのかな?あれ?お父さんと和也さんもなんだか顔が青くなっているような。
全くこの人は。仲直りしてからは楯無さんは簪にベッタリだ。少しは自重してもらいたいものだ。
「う……く……」
「ん?」
簪に銃を突きつけた男がなにかしようとしている。
「せめてひとりだけでも……!」
嫌な予感がする。……まさか!
「このおおおおおおお!!」
「ち!」
無事な左手でポケットからデリンジャーを取り出した。銃の先には簪がいた。
俺は簪の前に出て
カン!
「は?」
弾は盾に阻まれ、形状が歪み、地面に落ちる。
「ふん!」
「があああああああああ!!」
すぐに男の左腕を思いっきりへし折った。ふん。これくらいの報いを受けて当然だ。
「よくやった士郎。後は俺たちでやる。お前らは家に入っていろ」
「後始末は任せておけ。なに、お前は十分すぎるくらいやっているからな」
孝司さん、和也さんはどこかに連絡をして手伝うかのように沙織さん、彩乃さんも後に続いた。
「大人に任せて家に入りますか」
草むらに隠していた買ってきた本を回収して家に入った。
「さっきはありがとう士郎君」
「あなたがいなければ私たちはどうなっていたか」
「ゆーみん凄かったね!ピュン、て手に刺さって来るから驚いたよー」
「けど、よく見えたね。暗かったのに」
「まあ、暗闇にいれば目が慣れてくるし、今日は風があまりなかったから苦労はしなかったな」
茶の間で少し遅い夕飯を食べている。孝司さんたちはまだ掛かるらしく戻ってきていない。
「所でゆーみん何買ってきたのー?」
「マンガ本やIS関連の本。あとは英雄たちの話だ」
「どーゆーの?」
「まあ色々あるが。例としてはヘラクレスやアーサー王のことだ」
「よく分かんないー」
「試しに読んでみるか?」
「なるべく分かるもので―」
「了解」
アーサー王のことは大体知っているはずなんだが。本音だからしょうがないか。
「そういえば士郎君。弓と矢はどこから持ってきたの」
「あれは無鉄の投影から出来た物ですよ。いつも倉庫の地下で練習していましたし」
「へぇー。便利な能力ね」
「確かにそうですね。投影はほとんどエネルギーを消費しませんし、壊れたらまた作ればいいだけですから」
「聞いていたら武器がたくさん作れそうね」
「そうなんですが、まだ完全には使いこなせていないんですよ」
「以外ね。例えば」
「んー。アーサー王が使っていたエクスカリバーやクー・フーリンのゲイ・ボルクを投影してもすぐに壊れてしまったり、壊れなくてもただの強度の強い物なってしまたり、真名を詠唱する「真名解放」によりその能力を発揮し、伝説における力を再現するはずなんですがしない可能性が高いと思うので。中には真名解放を行わなくとも、武器の特殊能力の力を帯びている、常時発動型の武器も存在すると思われます」
「そうなの。さっき真名解放、て言っていたけどそれって新しい
「はい。今日の昼に無鉄の情報を整理していたらいつの間にかありました」
「多いわね。一つのISには能力は大体一つなのに無鉄には三つもあるなんて」
「てんこ盛りだー」
「私はまだ完成していない……」
しかし、なんで伝説の武器だけがうまく投影出来ないんだ。史実道理に再現できてもすぐに壊れたり、ただの強度の強い物になってしまうんだ。
俺に問題があるのか。ま、問題ではあるが出来る物もいずれあるはずだ。
そんなこんなで夕飯は過ぎて風呂から上がったころにようやく孝司さんたちが戻ってきた。時間は十時を過ぎてきたので軽く作ってあげた。
で、時間が過ぎて時刻はいつの間にか十二時を過ぎていた。
「そろそろ寝るか」
とんとん
「ん、誰だ?」
「わ、私……」
「簪か。どうした?」
「部屋入っていいかな」
「いいぞ」
「ごめんね。こんな時間に」
「別に構わん。しかし、珍しいな簪が夜中に来るのは」
「ちょ、ちょっと頼みたいことが……」
「頼みたいこと?」
一体なんだろうか。二式のことかそれとも武装についてか。
「ね……」
「ね?」
「寝ていいかな……一緒に……///」
「……………は?」
今簪はなんて言った。一緒に寝るだと……
「いや、それはさすがに無理だ」
「え?」
「う……」
何故に目が潤んでいるんだ。そこまで一緒に寝たいのか。
「今日あんなことあったでしょ。それで怖くて……」
「あー……」
確かにあんな目にあったら誰だって怖いはずだ。
「ね、お願い……」
「いや、だが、しかし……」
もし寝たら、翌朝にはバッドエンドが待ち受けることになる。それは阻止したいんだが……。
「うう……」
どうすればいいだ。
バン!
「ゆーみん一緒に寝ていいー!」
「ほ、本音!?」
「頭が痛くなってきた……」
もうこれはダメな気がしてきた。
「お前もなのか……」
「へ?あ、かんちゃんも?」
「う、うん」
「ゆーみんいいよね」
「はあ……分かった、分かった。一緒に寝ていいぞ」
「わーい!」
「ありがとう///」
俺の布団は大き目になのだが……。
「さすがに三人は少し狭いな」
「そうかなー?」
「私は大丈夫だよ」
それよりも問題なのはなぜ俺は簪と本音に挟まれて寝ないといけないんだ。
「ふわー……もう寝るね。お休みぃ……」
「え?おい、本音」
「すぅ……」
「簪寝るの早!」
こうも密着しては男の俺として寝辛いな。女子の間に寝るとは思いもしなかった。
「とにかく落ち着て俺も寝るか」
意外とすんなり寝つけた。
翌朝のこと忘れて。
投稿が遅くなってすいません。
リアルがマジで忙しくなっていたので執筆が遅くなって年が明けてしまいました。
IS学園にはあと一話挟んで入ります。
それではみなさん。良いお年を。
あ、そうそう。デリンジャーとは小型の拳銃のことで大きさは手の平サイズであり、ポケットにも収まるくらいです。