IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
これも皆様のおかげです。
では、どうぞ!
入学式も終わり、それぞれ新入生は自分のクラスに行き、先生が来るまで待機する。
俺は1組になって本音もそうだ。簪は4組になった。
で、今現在、俺はいまだかつてないほどの空間に包まれている。
『……………………………』
それもそうだろ。なにせこの1組には俺と先に動かした織斑一夏がいるのだからな。
「皆さん入学おめでとう。私は副担任の山田真耶です」
シーン………………
すいません。返事したくてもこの空気じゃ無理です。
「あ、え、えっと……今日から皆さんはここ、IS学園の生徒です。この学園は全寮制。学校も放課後も一緒です。仲良く助け合って、楽しい三年間にしましょうね」
シーン………………
誰か一人でも言ってくれてもいいだぞ。俺は無理だが。
なんとか平常心でいられるが織斑一夏のほうはガチガチになって
「……くん。織斑一夏君!」
「は、はいっ!?」
緊張していたせいか呼ばれたことに驚いて大きな声で返事をした。それを何を勘違いしたのか何度もぺこぺこと頭を下げている。恐らく、怒っているのかと思っているのだろう。
少しやりとりをして織斑一夏は席を立ち、後ろを振り向く。
「えー……織斑一夏です。よろしくお願いします」
おいおいそれだけか?何か言った方がいい。ほら、クラスの女子(ほぼ全員)が他にはと言わんばかりに見ているぞ。
「はー……すー……」
意を決したのか深呼吸をして―――
「以上です!」
がたたたた!
締めくくった。今ので俺以外全員コケたぞ。
「あれ?ダメでした?」
ダメだろ。せめて趣味を言えばいいのに。そうこうしていると誰かが入ってきた。そして―――
パアンッ!
「いっ―――!」
織斑一夏の頭に出席簿で叩いた。てか千冬さんだったのか。よく出席簿であんな音出せるな。
「げえっ、レヴィ!?」
パアンッ!
「誰が銃を二丁使う海賊だ」
言われてみれば、千冬さんの声似ているな。あながち間違いじゃない気がする。
「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスのあいさつを押し付けてすまなかったな」
あれ?織斑一夏がポカーンとしているな。そう言えば、千冬さんがIS学園で教師をしていることを知らなかったんだったな。
「い、いえ。副担任ですから、そのくらいはしないと……」
なんで教えないのだろうか?まあいいか。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年を使いものになる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことをよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才から十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
それは軍での言い方ではないだろうか。
だが、そんなことでは気にもしない女子たち。
「キャ―――――!千冬様、千冬様よ!」
なんて大きい声だ!鼓膜が破けそうだぞ!
「ずっとファンでした!」
「恐れ多くてお顔を見られません!」
「私、お姉さまに憧れてこの学園に来ました!北九州から!」
「あの千冬様にご指導していただけるなんて嬉しいです!」
「私、お姉さまのためなら死ねます!」
「……毎年、よくもこれだけの馬鹿者が集まるものだな。感心させられる。それとも何か?私のクラスだけバカを集中させてるのか?」
しょうがないと思うな。なにせ、元世界最強だ。期待を込めてそうさせていると思う。
「キャあああああっ!お姉さま!もっと叱って!罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがれないように躾をして~!」
黄色い声の旋風がいまだに鳴りやまない。他の組の先生は抑え込むのに必死だろう。
「で?思えは満足に挨拶もできんのか、お前は」
「いや、千冬ねえ、俺は――」
パアンッ!
これでもう三度目だ。あいつの頭は大丈夫か?俺もあんな風にならないよう織斑先生、山田先生と呼ばないとな。
「織斑先生だ」
「……はい、織斑先生」
このやりとりで教室中にバレたな。
「え……?織斑くんって、あの千冬様の弟……?」
「それじゃあ、男でISを使えるっていうのも、それが関係して……」
「でもあっちの男の人はなんでだろう?」
「さあ?」
俺が聞きたい。だけど反応するのは無鉄だけだ。
「はあ……もう一人の男子。自己紹介をしろ」
「はい」
もう一人の男子とは俺しかいないな。
「弓塚士郎です。知っている人も多いだろうが俺は記憶がない。ひとりでも多く友達になってくれるとありがたい。趣味は家事全般、神話や英雄などを調べること。好き嫌いは特にない。質問などは休み時間にしてくれ」
こんなもんでいいだろう。
その後は全員自己紹介が終わり、一時間目の授業が始まる。
「あの二人よ。世界でISを使える男性って」
「一人は入試の時に動かして、もう一人は特別見学で触ったら動かしたんだって」
「世界的な大ニュースだったよね!」
「やっぱり入ってきたんだ」
「あなた話しかけなさいよ」
「私、行っちゃおうかしら」
「ちょっと!まさか抜け駆けする気じゃないでしょうね!」
一時間目の授業が終わるや否や、廊下には大勢の女子が、一年生から三年生までいる。
「よ、世界で最初にISを動かした男」
「そう言うお前こそ世界で二番目に動かした男だな」
IS学園でたった2人の男だ。これから三年間仲良くしたいのは当然だ。
「自己紹介でも言ったが、俺は弓塚士郎だ。士郎で構わない」
「分かった。俺は織斑一夏。俺も一夏でいい」
「これからよろしく頼む。一夏」
「こちらこそな、士郎」
互いに握手をした。そのせいか、なにやら変な声が聞こえた。
「これは織斑×弓塚かな……」
「いえ、弓塚×織斑のほうがいいじゃない」
「今年の夏コミはこれか……!」
聞こえない聞こえない。なーにも聞こえない。
「もし俺がIS動かさなかったらお前一人だったな」
「勘弁してくれ。想像しただけでも胃に穴が開きそうだ……」
考えたくもないだろうな。大勢の女性の所に男一人がいるのは息がつまりそうだ。
「……ちょっといいか」
「え?」
突然、話しかけられた。いや、一夏のほうか。
「……箒?」
「………………………」
知り合いか?よくは知らないが一夏に用があることが確かだな。
「一夏に用があるのだろ。俺の事は気にしなくていい」
「すまない」
「なに、いいさ。ほら、一夏さっさと行け。時間が過ぎるだけだぞ」
「え、え?」
「早くしろ」
「お、おう」
足早に一夏とその知り合いの女子は教室を出て行った。あ、名前聞くの忘れていた。
「しまった。俺一人になってしまった……」
これでは集中砲火を食らってしまう。どうする。
「一人になったわよ!」
「私、本当に行っちゃおうかしら」
「勇気があればなんでもできる!」
それは元気でないだろうか。まあ本音の所に行くか。用もあるし。でないと本当に集中砲火を食らってしまう。
「おい、本音。これ忘れ物だぞ」
「おー。ないと思ったら、ゆーみんが持っていたんだー。どこにあったのー?」
「玄関に堂々と置いてあったぞ。次の授業で必要な教科書なんだからな」
「そうだったんだー。ありがとー」
「ちなみにだが次の授業をどうするつもりだった?」
「ゆーみんに借りるー」
「俺が困る」
「ゆーみんと一緒に授業をうけるー」
「席が遠くて無理だ」
席は前で織斑一夏の後ろになっている。本音は後ろの席で廊下際になっている。
「本音と弓塚君、仲良いね。あ、私は谷本
「私も言ったほうがいいかな。私は夜竹さゆか。よろしく、弓塚君」
「ああ。自己紹介でも言ったが弓塚士郎だ。こちらこそよろしく」
本音の近くにいた女子に名前を教えてくれたので俺も言った。
「ゆーみんと私は仲良しだよねー」
「まあそうだな。家に世話になっているからな」
「「え?」」
ん?なんだ?
「それって、同じ家で生活していたの?」
「ああ。何せ俺は記憶喪失だから本音の家、正確には4組にいる更識簪の家で入学までそこで生活していたからな」
「なるほどね」
そういえば父さんや母さんにも友達いたんだよな。いずれ会ってみるのもいいか。
「本音は谷本と夜竹とはもう友達になったのか?」
「そだよー」
「そうそう」
「だね」
早いなおい。俺も友達が増えるといいな。……IS学園だと女友達がほとんどになるが。
「あ、あの!」
「ん?」
後ろからやや大きめで声をかけられた。はて?どこかで見たような…………。
「俺に用か?」
「う、うん……えっと、その……」
「?」
「妹を助けてくれてありがとう!」
「……はい?」
お礼を言われた。もう一度言うがお礼を言われた。二度言ったのは大事なことだからだ。
「すまないが妹さんをいつ助けた」
「一週間ちょっと前くらいかな。覚えてないかな。マンションで火事があった」
「………………ああ、そうだったな。うん、あの時か」
確かに一週間ちょっと前にそんなことあったな。だけど帰った時の家での騒ぎですっかり忘れていたな。
「真美ちゃんは元気か?」
「元気だよ。あ、名前言っていなかったね。私は鷹月
「まさか助けた女の子の姉に会うとは俺は思わなかったな」
今思い出したがあの場にいたな。目立たないようにすぐ逃げたから姿しか見ていないし。
キーンコーン……
「おっと予鈴だ。席に戻らないと織斑先生に怒られるな。でないとあの出席簿の餌食になる」
「「「「あれは喰らいたくない」」」」
素早く席に戻っていく女子たち。俺もまた然り、素早く戻る。
さてさて、ようやく始まりましたよ。
これからどうなるか楽しみにしてください。
そういえば、ISの新刊が4月だそうですね。
楽しみですな!
ではまた来週。