IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
さて二時間目の授業が始まった。この授業は真耶さんいや、山田先生が担当になっている。
「――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用した場合は、刑法によって罰せられ――」
率直に言うと分かりやすい。教科書通りに進んでいるが分かりやすく解説をし、時折、注意点や載っていないことも言ってくれるので授業を受けるこちらとしてはとてもありがたい。
「うう……」
前の席にいる一夏が頭を抱えている。授業について行くのに精一杯か?
なぜかこの授業で使わない教科書を出しているが………まさかとは思うが。
「織斑君、何か分からないところがありますか?」
一夏の様子に気付いたようで山田先生が優しく訊いてきた。
「あ、えっと……」
「質問があったら訊いてください。なにせ私は先生ですから」
自信満々だな山田先生。一夏はそれに答えるかのように返事を返した。
「……先生!」
「はい!織斑君!」
「ほとんど全部分かりません……」
ピシリ!
どこからかヒビが入ったような音がした。
「え……。ぜ、全部ですか……」
誰がどう見てもひきつった顔になっていく。それもそうだろう。ここが分かりません、ここはどういうことですか?ではなく、全部だからな。
「今の段階で分からないって人はどれくらいますか?」
シーン……
一夏以外誰もいない。女子は少なからずどこの学校でもISの授業をここほどではないがしているからな。多少分からなくてもなんとか補えることはできるからな。
「え!?士郎は分かるのか!」
「当然だ。全部は分からなくても所々分かるはずだ。送られた参考書類を見れば理解できる」
「そ、そうだよな……」
ははは、と笑う一夏。見忘れたのか?
「……織斑、入学前の参考書を読んだか?」
「ええ……。あの分厚いやつですか?」
「そうだ。必読と書いてあっただろう?」
「いやー……。古い電話帳と間違って捨てました」
パアンッ!
今日でもう四回目。一夏の頭は大丈夫か?
「あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな」
「いや、一週間以内であの厚さはちょっと……」
「やれと言っている」
「う……。はい。やります」
ギロッと睨まれ弱弱しく返事をする。
「弓塚、すまないが織斑に手伝え」
「分かりました。可能な限り手伝います」
もう教師ではないく、一人の姉がだらしない弟を頼むと言っているようだ。
「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起きる。そうしないための基礎知識と訓練だ。理解できなくても覚えろ。そして守れ。規則とはそういうものだ」
言っていることは間違ってはいないな。
だけど、ISは兵器とは俺は思えない。無鉄に触ったあの感じは人に近いものなものだと今でも覚えている。
それに過去の兵器でも使いようにはISに対抗できる気がする。
「山田先生、授業の続きを」
「は、はいっ!」
いつの間にか妄想に浸っていた山田先生を織斑先生の一声で呼び戻す。
山田先生は慌てて教壇に戻って――こけた。
「うー、いたたた……」
((((……大丈夫か?この先生……))))
この時だけクラス全員が同じことを思った気がした。
「で、ここがPICによって……」
「ほうほう。そういうことか」
二時間目の授業が終わり、一夏は参考書がないので俺のを貸して僅かな休み時間に少しでも多く教えていた。
「ちょっと、よろしくて?」
「すまない、少し待ってくれ。そして、こうなるということだ。分かったか?」
「ああ、ばっちりだ」
「よし。で、何か俺たちに用か?」
話しかけてきた相手は金髪に僅かにロールがかかって、青い瞳の女子。そして、
知っての通り、ISが世に出たことで女尊男卑になっている。それにより、今では男が女にパシリにされてもおかしくない。
「まあ!なんですの、その返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
「「……………」」
正直、ここまで今の女子ような人は見たことがない。簪や本音、楯無さんや虚さんはここまで態度はしない。沙織さんや彩乃さんは昔と変わらない女性だからな。
「悪いな。俺、君が誰だか知らないし」
現状を理解するのに一夏は頭をフル回転させていたはずだからしょうがないか。
「わたくしを知らない?この「セシリア・オルコット、イギリスの代表候補生で入試主席だろ?」あら?そちらの方はご存じのようね」
「自己紹介はあらかた聞いている。で、用は何だ。こちらは勉強を教えているのでな、なるべく早く済ませてくれ」
自己紹介の時にやたら豪語していたからな、忘れろという方が難しい。
「あ、質問いいか?」
「ふん。下々のものの要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」
「………代表候補生って、何?」
がたたっ
「はあ……」
聞き耳を立てていたクラスの女子数名ずっこけた。ド〇フかよ。
「あ、あ、あ、……」
「あ?」
「あなた!本気でおっしゃってますの!?」
「おう。知らん」
本当に大丈夫かこいつの頭は。
「信じられませんわ。日本の男性というのはこれほどまでに知識に乏しいなのかしら。常識ですわよ、常識……」
「いや、一夏ぐらいだ。そこまで日本の男は知識に乏しくはないぞ」
「おい!」
弾でさえある程度のことは知っていたぞ。
「なあ、士郎。代表候補生ってなんだ?」
「はあ……代表候補生とは国家代表IS操縦者のその候補生として選出される者のことだ。簡単言うとエリートってことだ」
「おお、なるほど」
「そう!エリートなのですわ!」
オルコットはずいぶん感情が激しいな。少しは落ち着いたらどうだ。
「本来ならばわたくしのような選ばれた人間とクラスを同じくするだけでも奇跡!幸運なのよ。その現実をもう少し理解していただける?」
「「そうか。それはラッキーだ」」
「……あなたたち馬鹿にしていますの?」
「「おまえが幸運だって(言ったんじゃないか・言ったんだろ)」」
「そちらの方はともかく、あなたはISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。男でISを操縦できると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、期待外れですわ」
「俺に何かを期待されても困るんだが……」
「そう言うなオルコット。これからに期待してもいいじゃないのか?」
「ハードル上げないでくれよ……」
しょうがないだろ。こうでも言わないとややこしくなりそうだからな。
「ふん。まあでも?わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくしてあげますわよ」
ころころ態度が変わるな。さっきより機嫌がいいからいいか。
「ISのことでしたら分からないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一!教官を倒したエリート中のエリートですから」
へえ。オルコットも倒したのか。それはすごい。
「あれ?俺も倒したぞ、教官」
「は……?」
そういえばそうだったな。それよりもオルコットが面白い顔になっているな。
「倒したって言うか、いきなりに突っ込んできたのを躱して壁にぶつかって動かなくなったんだよ」
「わ、わたくしだけと聞きましたが?」
「女子ではってオチじゃないのか?」
「ふむ。確かにそうかもしれんな」
誰も合わせてなんて言ってなかったからな。
「そこのあなたも教官を倒したの!?」
「ああ、倒したぞ。て、言ってもギリギリだったがな」
「その教官て、誰なんだ?」
「織斑先生」
「「…………は?」」
「押して押されたりの繰り返しで最後は突然スキルが発動して不意打ちまがいで勝ったんだ」
今思えばあの時、投影がなかったら負けていたな。
キーンコーンカーンコーン
「さて、話しはここまでだ。授業が始まるから席に戻ったほうがいいぞ」
「そ、そんなこと分かっていますわ!またあとで来ますわ!逃げないことね!よくって!?」
返事を聞く前に足早に席に戻っていくオルコットであった。
皆さんに質問です。
ストックに余裕があったときは週2にしてもいいですか?
まあ、余裕があったときの場合ですが。
感想とかでお持ちしております。
ではまた来週。