IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男   作:運命の担い手

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第19話「部屋割り」

「一応聞くが大丈夫か?」

「これが大丈夫に見えるか……」

「まったく見えないな」

 

放課後、一夏は机の上でぐったりしている。今日一日の授業について行くのに精一杯で頭がオーバーヒートしかけている。いや、なっているか。

ちなみに廊下には休み時間同様に女子がいる。俺たちは客寄せパンダではないぞ。

 

「あ、織斑君に弓塚君。まだ教室にいたんですね。よかったです」

「山田先生ですか。どうかしましたか?」

 

教室に山田先生が入ってくる。おい、一夏。顔ぐらい上げろ。

 

「はいー?」

「織斑君だいぶお疲れのようですね」

「電話帳と間違えて捨てたツケが回っているだけですよ」

「ははは……評価がきついですね」

「そうですか?それより俺たちに何か用があったのでは?」

「あ、そうでした。えっとですね、寮の部屋が決まりました。これは部屋の番号が書かれている紙とキーです」

 

紙とキーを渡される。やはり予想通りになったか。

 

「あれ?一週間は自宅から通学って聞いてましたが」

「そうなんですけど、事情が事情なので無理矢理に部屋割りをしたそうです」

 

もし自宅から通学したら拉致されるかねないからだろう。

 

「そうですか。なら、荷物は一度家に帰らないと準備出来ないので今日は帰っていいですか?」

「あ、いえ、荷物なら――」

「私が手配しておいてやった。ありがたく思え」

 

いつの間に織斑先生がいた。全然分からなかった。

 

「ど、どうもありがとうございます……」

「まあ、生活必需品だけだがな。着替えと携帯電話の充電器があれば充分だろう」

 

一つぐらいは娯楽品があってもいいのでは。

 

「あれ、士郎は荷物どうするんだ?お前も持ってきてないだろ?」

「こうなると思って荷物はもう送っている。部屋に行けばあるだろ」

「マジか!?」

 

少し考えてみればわかるはずなのだが。

 

「時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年ごとに使える時間が違いますけど……えっと、その、織斑君と弓塚君は今のところは使えません」

「え、なんでですか?」

「はあ……一夏、お前女子と一緒に入るのか?」

 

ここには俺たち以外女子しかいないという意識がないのか。

 

「お、織斑君、女の子と入りたいんですか!?ダメですよ!」

「い、いえ、入りたくありません!」

「ええ!?女の子には興味ないんですか!?そ、それはそれで問題が……」

「一夏。人の趣味にとやかく言わんが巻き込まないでくれ」

「普通に女子に興味はある!てか、なにげに距離を取るなよ!?」

 

ややこしい言い方をするのがいけないんだぞ。

 

「織斑君、男にしか興味がないのかしら……?」

「それはそれで……いい!グッジョブ!!」

「中学時代の交友関係を洗って!今すぐに!明後日までに裏付けとって!」

 

ご愁傷様だ一夏。

 

「えっと、それじゃ、私たちは会議があるので、これで。織斑君、弓塚君ちゃんと寮に帰るんですよ。道草くっちゃダメですよ」

「大丈夫ですよ山田先生。学校と寮はそれほど離れてはいませんし、一本道ですよ。おい、一夏行くぞ。寮に帰って荷解きが済み次第、勉強の続きをするぞ。それでは織斑先生、山田先生また明日」

「はい。また明日」

 

フラフラな一夏と共に教室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

「元気そうでよかったですね」

「ああ」

 

一夏と士郎が教室から出たあと、すぐに私たちも教室を出た。

 

「弓塚君はしっかり勉強してきたようですが織斑君は……」

「姉として恥ずかしい。なぜ電話帳と間違えるのか」

「まあ、弓塚君も協力してくれてますし、大丈夫ですよ……多分」

 

少しくらいあの馬鹿にISの事を教えればよかったか……いや、私にそんな資格はないな。

 

「会議の内容は聞いているか?」

「はい。やはり、織斑君と弓塚君の待遇についてです。現状は織斑君にISを渡すことになっていてどこの国に所属するかの問題ですが、弓塚君の無鉄は日本で作られたので日本に所属する予定だそうです」

「そうか」

 

一夏にはあの束から渡せられると聞いていて、士郎は予想通りに日本に所属するようだ。本人の意思とは関係なく。

 

「……やはり、弓塚君のことが気になりますか?」

「それなりにな」

 

あいつはいまだに記憶が戻っていない。本人もそのことは気にしているはずだ。

 

「だが、ここでゆっくり思い出せばいい。ここはIS学園。大抵のことは大丈夫だからな」

「そうですね」

 

もしかするとあいつは…………いや、このことは今考えるべきではないな。

そう考えている中、会議室に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏。お前はどこの部屋だ?」

「えーと、1025室だ。そっちこそどこだ?」

「1045室だ。離れているな」

「そうだな。でもなんで同室じゃないんだ?」

「考えてみろ。二人揃って同じ部屋だと女子が大勢押し寄せてくるだろ。緩和するために分けたのだろう」

「そういえばそうだな」

 

寮に入り部屋を探している。ここに入るまで後ろには女子が付いて来ていた。寮に入るとさすがに自分の部屋が気になるのか、すぐに解散して付いて来なくなった。

 

「えーと、ここだな。じゃあまたあとな」

「ああ。荷解きが済み次第、お前の部屋に行く。同室の女子には言っておいてくれ」

「分かった」

 

一夏と別れて指定された部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

「ここがそうか」

 

1045室に着いた。部屋には同室の女子がいるかもしれないのでノックをしたが返事がないので入ると誰もいなかった。

 

「荷物は届いているな」

 

部屋にはあらかじめ送っておいた荷物が届いていた。荷解きをして整理した。

 

「にしてもここは高級ホテルか」

 

見ただけで分かるような高いベットと羽毛布団。大きさは体全身がすっぽり入るくらいだ。ビジネスホテルよりもいい代物で間違いないだろう。

 

「しかし、部屋は俺だけなのか?」

 

時間は夕方。とっくに寮に入っているはずなのだが同室になる女子が来ないのだ。

もしかすると俺だけ一人なのか。そうだとしたら、千冬さんがしてくれたのか?

まあ、いいか。それは明日にでも聞いてみるか。

 

「ん?」

 

なにやら廊下が騒がしい。……少し様子を見るか。

 

 

 

 

「何をしているんだ……」

「いいところに来てくれた士郎!助けてくれ!?」

 

騒ぎがあるところに来て見ると一夏が扉の前にいた。周りには騒ぎを聞きつけた女子が十人ほどいる。扉を見るとなぜか穴だらけになっていた。また、何かやらかしたのか。

 

「はあ……ちなみに同室の女子は誰だ?」

「……箒」

「ほうき?……ああ。篠ノ之 箒か」

 

今思い出すと一夏を誘ったのも篠ノ之だったな。自己紹介は必要以上なことは話さず、あとは何もなかったな。

 

「で、なんでお前が部屋から出ているんだ?」

「いや、これは、その……」

 

間違いなくなにかをやらかしたな。

 

「とにかく俺がなんとかする」

「助かる」

 

さて、なにか適当に言えばいいだろう。

 

「おい、篠ノ之。弓塚だ。一夏と何かあったかは分からんがひとまず入れてやってくれ。あまり騒ぎが多くになると周りに迷惑がかかるぞ」

 

さっさと部屋に戻りたいから。

 

 

がちゃ

 

 

「……入れ」

「お、おう」

 

なんとかなったな。まったく人騒がせなやつだ。

 

「じゃあな。あとはなんとかしろよ。それと九時に勉強するからな」

「分かった」

 

一夏は部屋に戻り、俺も部屋に戻ろうとしているのだが……

 

「寮ではラクにしていいが……その、なんだ。服装をどうにかしてくれないか?目のやり場が困る」

『//////!?』

 

ようやく理解したのか女子全員顔が赤くなる。なにせ服装が下着が見えるような感じになっているからだ。ある者はズボンやスカートの代わりに長いパーカーを着て、またある者は上に

羽織っていて胸元が見えそうになっている。

 

「では、俺はこれで失礼する。今年からは男子もいるということを忘れないでくれ」

『は、はい//////』

 

ともかくこの場から離れ部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……ようやく終わったな」

 

部屋を整理するのに思った以上にかかってしまった。ご飯はすでに食堂で済ませた。周りに視線をかなり感じたが気にせづ食べた。一夏は見かけなかったな。

 

「時間はまだあるな」

 

九時まであと三十分ある。それまで読書でもするか。本棚にはIS関連の本や英雄や神話の本がある。マンガ本もあるが大体は英雄や神話の本が多い。

 

コンコン

 

「ん?」

 

誰か来たのか。まだ、知られてないはずだが。

 

「誰だ?」

「ゆーみん。私だよー」

「なんだ本音か。どうした?」

「部屋に入っていいかなー?」

「いいぞ」

「おじゃましまーす」

 

本音が入り、簪も入る。………………………て、おい。

 

「いるならと返事をしてくれ」

「ご、ごめん……。ここ家じゃないから恥ずかしくって……」

「そういうものか?」

「そういうものだよー」

 

よく分からんがいいか。

 

「何か飲むか?と言っても水かオレンジジュースしかないが」

「オレンジ―」

「私も」

「はいはい」

 

一応ジュースの一本くらいは持ってきて正解だな。

 

「ゆーみんは一週間後の試合どうするつもり?」

「それはこれから考えるところだ」

「試合……?」

「そうか、簪は違うクラスだったから知らないのか。今日クラス代表者を決める際に成り行きで試合をすることになったんだ」

「あ、それ聞いたかも知れない。一組でクラス代表を決めるとかどうとか四組でも聞いた……」

 

伝わるの早いな。女子の情報網はこれほどまでに早いのか。

 

「あ、簪のクラスは誰になったんだ?参考までに聞きたい」

「えっと、まだなっていないんだ……」

「どうしてだ?」

「…………私に推薦されたんだ。日本代表候補生でもあるから、て」

「おお。それはすごいな。でも、推薦されたのにならないんだ?」

「恥ずかしいし、自信もないからすぐに返事は返さなかったんだ……。でも、先生やクラスのみんなに明日まで待ってくれるって言われているの。士郎は私がクラス代表になっても大丈夫かな」

「かんちゃんなら大丈夫だよー。自信持って―」

 

うーん。簪なら俺も大丈夫だと思うんだが本人がこうだとな。

 

「俺はどっちでもいいと思う」

「え?」

「やれたくないならやらなくていいし、やりたいんならやればいい。確かにクラス代表はそのクラスの顔になる。会議や委員会に出席しなければならない。だが、戦う機会は確実に多い。そうなれば、より多く他の人よりも経験が積める。やって損はないと思うがな」

「………………」

 

どちらにせよ本人の意思次第だ。他人がどうこう言っても結局決めなければならないのは本人だからな。

 

「まあ明日までは時間もあるしゆっくり―――」

「私やる」

「―――考えれば、て決めるの早いな」

 

決断早過ぎないか?

 

「恥ずかしいけどやる。私、日本代表候補だし、それにお姉ちゃんの妹だから」

「おー。かんちゃんががんばるなら応援するよー」

「ありがとう本音」

「えへへ。なんたってかんちゃんのメイドさんですから~」

「「メイドっぽくない(よ・ぞ)」」

「えーそうかなー?」

 

メイドらしいことを一度もないし、どこをどう見たらメイドになるんだ。虚さんを少しでも見習ってもらいたい。

 

「あれ?ねえ、士郎。この設計図ってISの武器?」

「ああそうだ。三日前から書いている。作れるのは少し先だな」

 

こっちに来る前に書いていたものだ。設計図は二枚書いている。

 

「前作ったのはスナイパーライフルで~。次作るのはなに~?」

「一つは入試試験のために作った二丁の小型マシンガンの強化設計図で、もう一つはポンプアクション式の実弾ショットガンだ」

「「おお」」

「他にも様々な銃などを作る予定だ」

 

狙撃銃の4種類は売れている。だが、今後のために何か作っていてもいいかもしれん。金のためではないぞ。

 

「おっと、そろそろ一夏に勉強を―――て、なぜ簪が不機嫌になる」

 

突然、簪が不機嫌になる。なぜだ?

 

「ゆーみん忘れたの。かんちゃんのISのこと」

「……………そういうことか」

 

忘れていた。一夏のためにISを作るために倉持研は簪の打鉄二式を途中でやめたんだったな。

 

「士郎。これからは注意してね……」

「あ、ああ。俺は行かないといけないから今日は自分たちの部屋に戻ってくれ」

 

簪と本音が出て行き、俺は鍵をかけて一夏と篠ノ之の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

「またやらかしたのか」

「そんなつもりはなかったんだが……」

 

部屋に入ると頭にタンコブができている一夏と不機嫌の篠ノ之がいた。

 

「とにかく、三十分は勉強するぞ」

「お、おう」

「篠ノ之。悪いが今日はここで勉強させてもらう」

「構わん。どう見てもあきらかに勉強不足と分かるからな」

 

こうして三十分間、一夏に勉強を教えて部屋に戻り、これからの学園生活を楽しみにしながらすぐに眠りについた。

 

 

 

 

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