IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男   作:運命の担い手

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ようやく落ち着いてきたので以前のように週一で更新できそうです。
それではどうぞ!


第30話「世代を超えた再会」

「ここが久宇企業……」

「そうよ。日本のIS業界でトップクラスを誇る企業よ」

 

土曜の午後、IS学園を離れて目の前に立つビルは久宇企業に来ている。

久宇企業はISが発表されていち早く日本で、いや、正確には世界で最初に立ち上げた企業である。いち早く立ち上げたおかげか滑り出しから今に至るまで順調に軌道に乗り、日本では知らない者はいないというくらいに知名度が上がった。

主に久宇企業はISの武装、武器に力を入れている。小さい物はハンドガン、大きい物は五メートルを超える武器または武装になる。

数年前に無鉄もここで造られたことは知っての通り、誰にも反応せず、解体もできないということになり、IS学園に保存されるようになった。

ただ、データを改善させて日本政府に売り、打鉄が誕生した。無鉄で痛い出費が掛かってしまったが打鉄で挽回が出来て、国からの支援が増えてプラマイゼロになり、空振りにならずに済んだ。ただでは転ばないとはまさにこのことだ。

 

「わーおっきー!」

「思った以上に広い」

 

簪と本音も来ている。俺たち四人の格好はIS学園の制服で来ている。下手に私服で来ると不審に思われそうなので制服にした。美沙夜を先頭に中に入る。

 

「ごめんなさい。お母様はいる?」

「これはこれはお嬢様。社長は社長室に入らっしゃいます。こちらで連絡を入れておきますのでお上がりになってください」

 

受付の女性に一声かけて、すぐに対応する。美沙夜が社長の娘だとよく知っているな。

 

「ここにはよく来るのか?ずいぶん慣れているようだが」

「ええ。ワタクシも専用機持ちで日本代表候補生だからここに来るのよ。まあそれ以前に何度も来ているからここで働いている人にはほとんど知っているわ」

 

なるほど、それだからか。母親が社長で用が出来るのは当たり前か。知らない者はほとんどないということか。

エレベーターに乗り、社長室がある階に上がり始めた。

 

「そういえば簪と本音はさっきから黙ってどうしたの?」

「そうだな。まさか緊張しているのか?」

 

言われてみればそうだ。ここに入ってから一言も喋っていない。

 

「き、緊張しちゃって……」

「さすが落ち着かないよ~」

「大丈夫よ。お母様は少し無愛想だけど、いい人よ。なにより、ワタクシの友達なんですから心配はないわ」

 

無愛想なのか。どんな人なのだろうか。それより俺は緊張より不安の方が勝っている。ああ、不安だ。

 

「付いて来なさい。ここはセキュリティが他の階より厳しいから」

 

美沙夜の後ろに付いて行く。上を見ると防犯カメラが設置されている。一見普通の作りのようだが銃弾を跳ね返すくらいの強度がありそうだ。

 

「ねえ美沙夜。この壺はいくら位するの?」

「それは300万ぐらいだったかしら。あまり興味ないから分からないけど」

「さ、300万!?壊したら、やばいよ~」

「そ、そうだね……」

 

間違いなく借金する羽目になるな。他にも絵画や日本画などあった。本音が転ばないように気配りしたので少々疲れる。

 

「ここよ。ワタクシが入ったら後に続いて入って」

 

 

コンコン

 

 

「はい」

「お母様、ワタクシです。入ってもよろしいでしょうか?」

「問題ないわ。どうぞ」

「失礼しますわ」

「失礼します」

「し、失礼……します……」

「失、礼しま、す!」

 

簪は緊張しながら言えたが本音は噛みつつ言った。

中は女性一人と男性一人の計二人がいた。女性の方が社長で男性の方はおそらく秘書かそれに近い者であろう。

社長は席に座ったまま話しを始めた。

 

「初めまして、私が久宇企業、社長の久宇 舞弥よ。こっちは秘書の亮夜」

「秘書の亮夜です。今日はようこそ御出で下さいました」

「……弓塚 士郎です。IS学園で一年一組です」

「更識、簪です。同じくIS学園で一年四組です」

「布仏本音で、す。同じくIS学園で一年一組です」

 

美沙夜以外自己紹介終えた。簪と本音はまだ緊張しているようだ。

社長はさっきから俺の顔を見ている。理由は分かるが。

 

「やはり似ていますか。父、弓塚 悟郎に」

「ええ、似ているわ。とても」

『…………………』

 

俺と社長以外は無言で何も言わない。誰かなんでもいいから言ってほしい。すぐに話題がなくなる。

 

「それに……」

「それに?――――――ッ!」

 

社長が席から消えたと思ったら目の前まで来ていた。手にはサバイバルナイフが握られていた。

鋭利な刃物が俺に目掛けて一直線に迫って来る。普通の人であれば避けも躱せもしないが生憎、こういうのを頭の片隅に事前に入れて置いているので身体は反応できる。

 

「ふっ!はあ!」

 

寸前で躱し、サバイバルナイフを持つ手首を掴み、空いている腕の肘で腹に叩きこむ!

 

「ぐっ―――!」

 

サバイバルナイフを手離して後ろに大きく下がる。さすが旧家の人で武術の心得がある。

 

「ちょ、ちょっと!お母様何をするんですか!?士郎を殺すつもりですか!?」

「社長落ち着いてください!」

 

美沙夜と秘書は驚き、美沙夜は守ろうと俺の前に立ち、秘書は社長を後ろからガッチリ押さえ、簪と本音はガタガタと震えている。

 

「落ち着きなさい。私は試したかっただけよ」

「試す?何を?」

「あの人の息子であるかを試したかっただけよ。別に殺す気はないわ」

 

殺す気はなかった?俺に目掛けて重傷になりかけたのにか。試すにしても心臓に悪い。

 

「ごめんなさいね。驚いたでしょう?」

「ええ。死にかけたと殺す気がないという二重の意味で。それとダメージはないはずだ。とっさに後ろに引いたのでダメージはほぼないであろう」

「ふふ、そうよ。やっぱりあの人の息子だわ。その目が何よりの証拠よ」

「目?」

 

どういうことだ。さっぱり分からん。

 

「分からないようね。いいわ教えてあげる。

弓塚家の者は生まれつき目がいいのよ。詳しく言うと静止視力・動体視力・深視力・近見視力・遠見視力がいいの。

目および対象物が静止しているの事を静止視力、動いている物体を視線を外さずに持続して識別する事を動体視力、遠近感や立体感を正しく把握する事を深視力、近見視力・遠見視力はそのままの意味で近くで見える視力と遠くを見る視力の事。

あとは中心視力・中心外視力もそうね。対象だけを見る事を中心視力、対象の周辺を見る事を中心外視力。

それらのおかげで遠くのモノがよく見えて、敵を捉えることが出来て弓で発揮するの。近くに来られても周辺が見えるおかげで有利に立つことが出来るの。

あとはあなたの方が分かるでしょ」

 

そうなのか。それで目がいいのか。つまり生き残るためにご先祖たちは目を鍛えて、(のち)の子孫に引き継がれたと。

 

「こんな事を聞くのはあれですが――――――恨んでいないんですか」

「誰を?」

「父、弓塚 悟郎を」

「恨んでいないわよ」

「へ?」

 

即答で頭が回らない。今なんて言った。恨んでいないと言ったな。

 

「恨んでいないと言ったのよ。私は亮夜と一緒になれたことが嬉しいんだから」

「はあ……は?」

 

亮夜って秘書さんのことなのか。てことは。

 

「そうよ。秘書の亮夜は私の夫。でその娘が美沙夜なの」

「……本当なのか」

「ええそうよ。お母様が言った通り社長がお母様でその秘書がお父様よ」

「今は仕事なので他人口調になっていますが、仕事以外では至って普通の夫婦です」

 

秘書、亮夜さんはそう言った。今更ながらどこか美沙夜に似ていることが気が付く。

 

「亮夜。お菓子と紅茶を持ってきて。せっかく来たんだからおもてなししないと」

「そうですね。それでは少々お待ちください」

 

亮夜さんは部屋から出た。それより、簪と本音は大丈夫か。部屋に入る前のようにダンマリになっている。

 

「「(ガタガタガタガタ!)」」

 

元より震えている。正気に戻すか。

 

「それ」

 

 

バチン!バチン!

 

 

「「いったーーーい!!」」

「元に戻ったか」

 

デコピンをすると二人は痛そうに叫ぶ。痛くしたんだからな。

 

「痛いよ士郎」

「ゆーみ痛いよ~」

「正気に戻ったからいいだろ。それと社長さんはいい人だぞ。意外と」

「意外とは失礼ね。あと舞弥でいいわ。社長と言うのは仕事関係だけで結構よ」

 

それからは亮夜さんが持ってきたお菓子と紅茶をいただいた。

あと話をしたのは世間話や無鉄のことぐらいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは俺たちは帰ります。今日は色々話を聞けて良かったです」

「そう。それじゃ頑張ってね。無鉄に何か問題があったら連絡をいつでも寄越していいわ」

「はい。それでは失礼しました」

「「失礼しました」」

「仕事がんばってねお母様」

 

あの子たちと話しを二時間が経ち、学園に戻った。

あの二人、悟郎さんと美樹の息子、士郎を見ると学生時代を思い出す。

 

「学生時代を思い出すいるのかい?」

「ええ。あの頃はなんやかんや言ってもとても良かったわ」

「そうだね。舞弥が先輩で俺が後輩だったし、先輩達も慕ってくれて良かった」

 

今では同級生に会う機会はめっきり減ってしまったけど、()()()になれば大体集まれるし大丈夫。みんなもそれぞれ家庭や事情もあるし、しょうがないわ。

 

「さて、仕事を続けるわよ。なにが残っていたかしら?」

「ISの武器、武装ですね。先日、研究上から――――――」

 

業務に戻り、外は夕闇になろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回を挟んで鈴を出す予定です。
ちなみにこの小説のお気に入りが300件超えていたのに今更ながら気づきました。
これは皆様のおかげです。今後もよろしくお願いします。

それと関係ないですがマクドナルドのメガポテトが気になります。
あれはとても量が多いそうですね。

では次回も楽しみにしてください。
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