IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
久々に長めに書くことが出来ました。
ではどうぞ!
「ふぅ………」
ベットの上に大の字になる。パーティーの後片付けは三十分ほどで終わり、部屋に戻ってきたところだ。
「予想はしていたがあれほどの量を食べるとは驚いた」
一クラス人数分以上の料理がものの見事になくなったのだ。デザートは全員忘れることなく食べたり、後でのお楽しみということで持ち帰るする者と分かれた。
「薫子先輩が来るのを予想いたからさほど驚きはしなかったが」
織斑先生と山田先生が去って数分後に来た。どうやら、突撃インタビューをしようと思ったが織斑先生がいたのでそれまで待っていたそうだ。
回想・少し前のパーティーで
「弓塚君、デザートのプリンちょうだい。ショートケーキはお持ち帰りで」
「私は両方持ち帰り」
「逆に私は両方ちょうだい!」
「了解した。今やろう」
織斑先生と山田先生は残りの業務を終わらせるために自室に戻った。デザートを持ち帰って。
パシャ!
「ん?」
カメラのシャッター音が聞こえたので振り向くと薫子先輩がいた。この前取材をするとか言っていたな。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と弓塚士郎君に特別インタビューしにやってきました~!」
オー!と一同が盛り上がる。一夏以外。
「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」
一夏に名刺を渡される。名刺を見て、思っているのは画数のは多いと思っているの違いない。俺も思ったからな。
「ではまず織斑君から。クラス代表になった感想を、どうぞ!」
「えーと……」
ボイスレコーダーを向けられ返答に困る。ありのまま言えばいいと思うぞ。下手に言うと何をされるか分からん。
「まあ、なんというか、頑張ります」
「えー。もっといいコメントちょうだいよ~。俺に触るとヤケドするぜ、とか!」
「自分、不器用ですから」
「うわ、前時代的!」
先輩と同じくそれは前時代的だ。こうなると捏造とかされるんじゃないか。
「こんなもんかね。まあ、適当に捏造しておくからいいか」
本当に捏造しようとするつもりだよこの人。先輩の事だし、それほどひどくはしないだろ。
「次に弓塚君はどうかな。全勝したけど感想は?」
「いつものように名前でいいですよ。昨日今日知り合ったばかりでもないでしょう」
「一応、雰囲気よ雰囲気。それでどうなの?」
一夏のように下手の事は言わないようにするのは当然。となると、思った事を言えば大丈夫なはずだ。仮に捏造されたとしてもごく一部になる。
「全勝したのは嬉しいです。ですが、まだまだ自分は他の者より起動時間が少ないのでこれからも努力し続けます」
こんなもんか。下手な事は言っていないし、別にかっこよくしたつもりもない。
「率直な感想ね。別に捏造する必要もないかな」
とりあえず捏造される心配はなくなった。
「最後にセシリアちゃんもコメントちょうだい」
「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが、仕方ないですわね」
そうは言いながらも髪のセットをしているじゃないか。やる気満々だな。
「ああ、長そうだからいいや。写真だけちょうだい」
「さ、最後まで聞きなさい!」
「いいよ、適当に捏造しておくからさ。よし、織斑君に惚れたからってことにしよう」
「なっ、な、ななっ……!?」
目をキランと光らせ、的を得た事ををさらっと言い、動揺したセシリアはみるみると顔を赤くして何か言おうとするが、頭が回らず何も言えずじまいになっている。
「何を馬鹿な事を」
「え、そうかなー?」
「そ、そうですわ!何をもって馬鹿としているのかしら!?」
全く気付いていない一夏。本人が否定したのが幸いしたなセシリア。だが、本人は素の反応だぞ。
「さてさてら三人とも並んでね。写真撮るから」
インタビューだけじゃないのは分かっていた。最後は写真でしめるようだ。
「あ、あの撮った写真は当然いただけますわよね?」
「そりゃもちろん。ささ、並んだ並んだ」
左からセシリア、一夏、俺の順番になった。馬に蹴られたくはないのでセシリアの隣ではなく一夏の隣にした。
「………………」
箒がむすっとしている。これは俺にも被害がきそうな気がする。
「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は~?」
「え?えっと……2?」
「74.375だ」
「正解!」
シャッターを押される直前に近くにいた箒を一夏に引っ張る。
パシャ!
一瞬光り、シャッターが切られる。そして―――
「団体行動とはすばらしいものだ」
なんと一組や他の組が撮影する瞬間に俺達の周りに集まったのだ。写真には箒が一夏に抱きつくように映っていて、簪と本音は俺のすぐ近くに映っていた。
「箒さん!あなた何をしておりますの!?」
「い、いや、これは士郎が……」
「篠ノ之さん大胆!」
「行動力がすごいね。見直しちゃう!」
「気にしない気にしない」
「クラスの思い出になっていいじゃない」
てな感じで数分後にお開きになった。薫子先輩が帰る前に楯無さん達の分を用意したデザートが入った袋を渡した。中には保冷剤を入れてあるので鮮度をある程度保つことが出来る。
さてそろそろ寝るか。時刻は十一時を過ぎ、寝るのにはちょうどいいくらいだ。
「すぅ……すぅ……」
すぐに寝付くことが出来た。
その日、夢を見た。
場所はどこかの屋敷、国はおそらく日本だと思う。
とても月のきれいな夜に小学生か中学生の男の子と中年の男性が縁側で何か話している。
男の子は俺だと思う。なぜなら、容姿から見て凄く似ているからだ。しかし、男性の方がよく見えない。記憶が戻っていないせいか身体全体としては見えるが顔がよく見えない。
だけど、声は良く聞こえる。
「士郎と出会ってもう六年か。道理で身体が思うように動けないわけだ」
「何言っているんだよ。■■■■、いや■■さんはまだまだ動けるでしょ。それにまだ俺は一度も勝っていないし」
小さい俺は中年の男性と親しく話している。目をいくら凝らしてもやはり顔だけが見えない。
「俺は■■さんが俺を助けてくれたように俺も誰かを助けたいんだ」
「……そうなのか。だけど、それはどういう事か分かっているのか?」
「?」
「いいか。誰かを助けるということは必ず誰か別の助けられない人が出て来るんだ。理解できるだろ」
「……分かるよ。でも!俺はその助けられない人も助けてみせるさ!だから俺は将来の夢は―――正義の味方になるんだ!」
「それは大変な将来の夢だな」
「まあな。でも、きっとなって見せるさ!」
「はは、それは楽しみだ」
男性は苦笑しながらも小さい俺の事を決して馬鹿にはしなかった。それはどうしてなのか、記憶を失くして今の俺では分からない事だ。
「話しは変わるが■■の事は好きかい?」
「な!?そ、それって、一人の女の子として?」
「当然だ。それでどうなんだ?今は俺と士郎だけだからいいだろ」
「………す、好きだよ。しょ、正直に言うと
「親として重要な事だからさ。士郎なら任せられると思ったらな」
六年前?いつの時点で六年前だ。年代がはっきりしてればいいが生憎周りには把握できる物が見当たらない。
「また話しは変わるが―――■■と■ちゃんの事恨んでいるか?」
「…………………………」
俺が誰かを恨んでいる?くそ、全然分からない。内容は分からなくとも最後まで聞くか。
「……恨んでいる。今でも何もなかったように平然と生きているのが」
「…………そうか」
「でも、いつか答えを出さないといけないって事は分かる。何か別の方法で償わせる。決して殺しはしない。今の俺にとってこれが答えかな」
「……いい答えだ。俺にはそういう事はなかったがゆっくり時間をかけるといい」
「うん」
頭を撫でて月を見上げる。風が吹き、心地良い気分になる。月が一層眩しく見えるほど目が冴えてくる。
「ああ、これで俺はもう安心だ……」
「■■さん?」
染み入るような月明かりの中
そのまま眠るように
安らかに
「ん………」
目が覚めて起きるといつもより十分早く起きていた。
「今のは一体……」
あの夢は過去に起きた出来事なのだろうか。それとも俺が作り出した幻想なのだろうか。だが、あの夢は幻想ではない。確かに現実味を感じている。
「とにかく、いつも通りに過ごすか」
木刀を持ち、日課の朝練をするのであった。
◇
「織斑君、弓塚君、おはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」
教室に着くとクラスメイトが話しかけてきた。ようやく、慣れてきたのか入学当時のようにいそいそとはならなくなった。
「転校生?今の時期に?」
一夏が疑問に思うのはもっともだ。IS学園に転入または転校するのはかなり厳しく、試験は当然だが、国の推薦がなければ出来ない。
それはつまり―――
「なんでも中国から来た代表候補生なんだってさ。その人が二組のクラス代表に変わったみたい」
「ふーん」
中国から来た代表候補生が二組のクラス代表になったとは。そういえば、俺達の一組にも代表候補生がいたな。
「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」
「このクラスに転入してくるわけではないのだろう?騒ぐほどではあるまい」
セシリアそれはないと思うが。箒は一応一組の脅威として認識してはどうだ。
「どんなやつなんだろうな」
「む……気になるのか?」
「まあ、俺もクラス代表だしな。それくらいは意識しないと」
「う、うむ。いい心構えだ///」
顔を赤くしながら返答する。相変わらず、朴念仁の一夏は気付いていないが。
「だとしたら今日の訓練には俺も加わろう。その代表候補生が専用機持ちかもしれん。クラス対抗戦の障害になる可能性がある」
「む、そうだな。来月にはクラス対抗戦があったな。今日からより一層厳しくせねばらんと」
「それもそうですね。クラス対抗戦に向けて、より実践的な訓練をしましょう。でないと厳しいですわ。
専用機持ちは一組にわたくしに、一夏さん、士郎さん。三組に一人、四組に一人。三組と四組の専用機持ちがクラス代表になっていますし」
そう、三組四組のクラス代表は専用機持ちなのだ。四組は簪ということで、ついこの間やっと打鉄二式が完成したのだ。稼働試験も終わり、本体も武装も大丈夫。『山嵐』もプログラムの打ち込みを終えているので全て良好。その時にお祝いにシュークリームを作ったのが好評だったというのが記憶に新しい。
三組は美沙夜だった。専用機持ちとは聞いていたがまさかクラス代表になっていたとは驚きだった。なんでも選ばれた時にその場の勢いでなってしまったとか。
「まあ、やれるだけやってみるか」
「やれるだけでは困りますわ!一夏さんには勝っていただきませんと!」
「そうだぞ。男たるものそのような弱気でどうする」
「最低でも準優勝はしないとな」
「織斑君が勝つとクラスみんなが幸せだよー」
クラスの大半はクラス対抗戦の優勝賞品が目当てだろう。
「織斑君、頑張ってね!」
「フリーパスのためにもね!」
「他の専用機持ちでクラス代表が三組と四組がいるけどなんとかなるよ」
なんとかならないような気がするが。簪と美沙夜の実力は分からないが代表候補生にテストパイロットであるから実力は高いはずだ。
「―――その情報、古いよ」
教室の入り口から声が聞こえた。見ると背が小さいツインテールの女子がいた。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
なぜか腕を組み、片膝を立ててドアにもたれていた。世間で言うなら、格好付けている。
「鈴……?お前、鈴か?」
「そうよ。中国代表候補生、
ほう。あれが中国の代表候補生か。それに一夏と親しそうだな。
「なに格好付けてるんだ?すげえ似合わないぞ?」
「んなっ……!?なんてこと言うのよ、アンタは!」
そう言うのは心の中に閉まっとけ。怒ってしまったではないか。
む。あれは……
「おい、転校生」
「なに!」
「右に避けろ」
「へ?」
言った事に反応してすぐに右に避けると―――
ヒュン!
「ひ!?」
黒い物体、出席簿が振り落とされる。てか、風を切るような音がした。本当にあれが出席簿なのか怪しくなってきた。
「ちっ。弓塚、余計な事をしてくれたな」
「いやいや、あれは危ないでしょう」
「まあいい。
「ち、千冬さん……」
「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ」
「す、すみません……」
転校生は織斑先生も知っているのか。てことは小学生か中学生の時に会っている可能性があるな。
「またあとで来るからね!逃げないでよ、一夏!」
「さっさと戻れ。やられたいのか」
「は、はいっ!」
出席簿を見せて脅すと脱兎の如く二組に
「……一夏、今のは誰だ?知り合いか?えらく親しそうだったな?」
「い、一夏さん!?あの子とはどういう関係で―――」
箒、セシリアを皮切りに一夏にクラスメイトから質問攻めに合う。他の授業なら注意だけで済むが今は―――
バシンバシンバシンバシン!!
「席に着け馬鹿ども」
織斑先生なので出席簿が頭上に降ってくる。
そして、今日も授業が始まる。
ようやく鈴の登場!
長かった。だけど、まだまだ!クラス対抗戦までひとまず頑張ります!
感想などありましたらどうぞお願いします。
批判はあまりしないでください。
自分、結構心脆いので。