IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
本当でしたら休日の昨日に上げるつもりでしたが疲れが取れなく、体調がすぐれなかったので今日の朝になりました。
なにはともあれ、出来ました。
では、どうぞ!
今は授業中だが箒とセシリアが集中していない。いや、集中できないと言った方が正しい。どうやら二人はあの転校生と一夏との関係が気になるようでそれどころではないようだ。
しかも織斑先生の授業中でいつ指名が掛かるか分からないのでクラスメイトは集中している。が、箒とセシリアは集中していないのでいい的になっている。
ちなみに原因となる一夏は真面目にノートを取っている。
チラッと箒を見ると不満な顔をしていたが急に機嫌が良くなり、なぜか腕を組む。何を想像してるんだ。
「篠ノ之、答えは?」
「は、はい!?」
案の定、織斑先生に指名される。突然の事で素っ頓狂に声を上げた。
「答えは?」
「……き、聞いていませんでした……」
バシーン!
出席簿からあらぬ音にポニーテールが揺れる。
何もなかったように授業は再開する。
授業があと十五分になり、気が緩みそうになる。再び指名されないように箒は聞いているようだ。
セシリアは見れないが音を聞く限りちゃんとノートを取っているようだ。
……ただ、聞く限りは。
「では、ここの問題をオルコット」
「……例えばデートに誘うとか。いえ、もっと効果的な……」
「……………」
バシーン!
無言で
◇
「お前のせいだ!」
「あなたのせいですわ!」
「なんでだよ……」
「はあ……」
昼休みになり、一直線に箒とセシリアは一夏の席で不満をぶつける。
あの後、午前中だけで山田先生に注意五回、織斑先生に三回叩かれている。学習しろよ。
織斑先生の前でぼーっとするのは、勇者かバカ。もしくは痛みに鈍い奴がするもんだ。あんなのは一日一回で十分だ。……一回だけでも嫌だな。
「その話は学食でしたらどうだ。食べながら聞く事も出来るだろ」
「そうだな。二人もそれでいいか?」
「む……。まあいいだろう」
「それもそうですわ」
話は学食になり、移動する。数名のクラスメイトが後ろからぞろりと付いて。
簪と本音は弁当を持って整備室に行った。なんでも打鉄二式の追加武装の設計製作を楯無さん達とするので食べながらすると言っていた。
販売機で和食セットを買う。白いご飯に味噌汁(大根、人参、玉ねぎ)、鮭の塩焼き、卵焼き、キュウリの浅漬けとなっている。
「待っていたわよ、一夏!」
噂の転校生、凰鈴音が目の前に立ちふさがる。こう見ると、小学生に見えそうだ。無論声は出したりはしないぞ。
「まあ、とりあえずそこどいてくれ。食券出せないし、普通に通行の邪魔だぞ」
「う、うるさいわね。分かっているわよ」
ちなみに凰はラーメンを持っている。卵がいい半熟具合だ。
「のびるぞ」
「わ、分かっているわよ!大体、アンタを待ってたんでしょうが!」
……多分だが凰も一夏の事が好きなのだろう。ああ、厄介事が増えるぞこれは。
「それにしても久しぶりだな。ちょうど丸一年ぶりになるのか。元気にしてたか」
「げ、元気にしてたわよ。アンタこそ、たまに怪我病気しなさいよ」
「どういう希望だよ、そりゃ……」
それぞれ注文したものを持って空いているテーブルに座る。配置は一夏と凰は一緒に座り、俺を含めた者は近くの席に座った。
「鈴、いつ日本に帰って来たんだ?おばさん元気か?いつ代表候補生になったんだ?」
「質問ばっかしないでよ。アンタこそ、ニュースを見た時はビックリしたじゃない」
会話が弾む一夏と凰。その一方、箒とセシリアは不満が膨れ上がる。
「俺だって、まさかこんなとこに入るとは思わなかったからな」
「入試の時にISを動かしちゃったんだって。なんでそんなことになっちゃったのよ?」
「なんでって言われてもなあ。高校入試会場が私立の多目的ホールだったんだよ。そしたら迷っちまってさ、係員に聞いても分かんないしあちこち動き回っていたらドアがあったからとにかく入ったらISがあったんだよ。男の俺が触ってもなんも反応しないよなーっと思ったらマジで反応しちまったんだよ。
で、その後色々あってこの学園に入れられたわけだ」
「ふーん、変な話ね」
本当に変な話だ。どんな場所であれ、案内板はあるはずだぞ。係員に聞いても分からないならなぜ戻ると選択しない。それに触っていけないのを無断で触るとは罰が当たるぞ。
あ、もう当たっているか。
「一夏、そろそろどういう関係か説明してほしいのだが」
「そうですわ!一夏さん、まさかこちらの方とつつつ、付き合ってらっしゃるの!?」
それはないだろ。一夏だぞ。百人中百人気付くのを一夏は気付かいない朴念仁だぞ。その可能性は極めてゼロだ。
「べべべ、別にあたしは……」
「そうだぞ。ただの幼なじみだよ」
「………………」
「?なんだよ?」
「なんでもないわよ……!」
ぷいっと怒るが身長が小さいせいか子供が怒ったように見える。
「幼なじみ?」
「そうか。ちょうどお前とは入れ違いで転校して来たんだっけな。
箒が引っ越していったのが小四の終わりで、鈴が転校してきたのは小五の頭だよ。中二の終わりに国に帰ったから、会うのが一年ぶりって事さ。
篠ノ之箒、前に話しただろ。箒はファースト幼なじみで鈴はセカンド幼なじみってとこだ」
「ファースト……」
話しを整理すると箒は一年から四年の終わりまでいて、入れ替わるように凰が小五の頭に転校して中二の終わりまでいたということか。
「ふぅん。そうなんだ」
不機嫌ではなさそうだが明らかに一夏の事を好きだということが分かる。目がそう言っているんだぞ。
「初めまして。凰 鈴音よ。これからよろしくね」
「篠ノ之箒だ。こちらこそよろしくな」
ここでアニメーションだと火花が散るようになっているだろうな。
「ンンンッ!わたくしの存在を忘れてもらっては困りますわ。中国代表候補生、凰 鈴音さん?」
「……誰?」
「なっ!?わ、わたくしはイギリス代表候補生、セシリア・オルコットでしてよ!?まさかご存じないの?」
「うん。あたし他の国とか興味ないし」
「言ってくれますわね……!」
勝ち気な性格だな。これは必要以上に敵を作ってそうだ。せめて一人か二人くらい覚えたほうがいいぞ。
「で、アンタが二番目なの?」
「ん?」
どうやら俺のようだ。二番目と言ったらISを動かした順番だと俺である。
「そうだが、何か用か?それと俺の名字か名前で言ってほしい。物じゃないんだぞ」
「あたしの事は鈴と呼んでいいわ。アンタの事も士郎と呼ぶわ。で、一夏とイギリスの代表候補生に勝ったんだって。あたしと勝負しなさい」
「なんでさ……」
なんだってそうなるんだ。理由くらい言えばいいじゃないか。
「こっちには戦う理由がない。それとも何か、本国からなるべくどちらかまたは両方の男性操縦者のデータを多く取れと言われての行動か?」
「違うわよ!あたしはただ一夏とそこの金髪に勝ったから戦いだけ。確かにそう言われたけど八割ほどはあたしが戦いたいだけよ。ほら、ゲームで強い敵だとなおさら倒したいのと同じよ」
ゲームと同じにされては困るのだが。セシリアも
「いいだろう。いずれ考えておく。いつになるかは分からんが戦う事は約束しよう」
「いいわ。もちろんその時はあたしが勝つから」
なるべく早く戦えるようにしよう。となるとアリーナを三十分から一時間は借りないといけないな。申込書を書いたり、織斑先生や楯無さんに相談してみないと色々と面倒だ。
「ところで一夏。アンタ、クラス代表なんだって?」
「お、おう。そうだぞ」
「なんで士郎じゃないのよ。普通勝ったならなるでしょ」
「記憶が戻っていないとか色々問題があるんだよ。で、経験の浅い俺が少しでも積むようになったのさ」
「ふーん……」
それもそうだが厄介事を一夏に押し付けただけだ。こっちは記憶が早く戻りたい。
「良かったら、あたしが見てあげようか。ISの操縦の」
「そうりゃ助か―――」
ダンッ!
テーブルを叩いて勢いよく箒とセシリアは立ち上がる。
「一夏に教えるのは私の役目だ!」
「あなたは二組でしょう!?敵の施しはいりませんわ」
なんでこうもカッカするのか分からん。落ち着いて話しもできないのか。
「あたしは一夏に話ししているの。関係ない人に引っ込んでてよ」
「か、関係ならあるぞ。私は一夏にどうしてもと頼まれているのだ」
記憶が正しければ頼まれてはいたが『どうしても』とは言ってはいないぞ。
「一組の代表ですから、一組の人間が教えるのは当然ですわ。あなたこそ、後から出てきて何を図々しいことを―――」
「後からじゃないけどね。あたしの方が付き合いは長いんだし」
「それを言うなら私の方が早い!一夏は何度もうちで食事をしている間柄だ!」
「それならあたしもそうだけど?」
「「なっ!?」」
驚きを隠せない二人と聞き耳を立てていた食堂にいた生徒がピクっと反応する。
「一夏はしょっちゅううちに来て食事していたのよ。小学校の頃からね」
なに!あの一夏が、朴念仁の一夏が!女子の家で食事をしていただと!鈴が帰ったのは中二の終わりとなるとそれまでずっと食事していたのか。朴念仁ではなく、ただ一途なだけだったのか。
「一夏っ!どういうことだ!?聞いていないぞ私は!」
「わたくしもですわ!」
「興味が湧いた。俺も聞かせてもらおうか」
「え?よく鈴の実家の中華料理屋に行っていただけだ」
まあそうだよな。一夏は所詮一夏だ。読めていたがやはり、朴念仁であることには変わりはない。
「何?店なのか……」
「お店なら別に不自然の事は何一つありませんわね」
「そうだと思っていたよ」
箒とセシリアは安堵し、俺は思っていた通りだったので少し残念でもある。で、周りは残念と言わんばかりになり、食事を再開する。
「親父さん、元気にしているか?まあ、あの人こそ病気とか無縁だよな」
「あ……。うん、元気―――だと思う」
一瞬だけ暗くなったがすぐに話題を切り替え、明るくなる。何かあるのだと思い、あえて聞かないことにしよう。
「そ、それよりさ、今日の放課後って時間ある?あるよね。久しぶりだし、どこかに行こうよ。ほら、駅前のファミレスとかさ」
「あー、あそこ去年の秋に潰れたぞ」
「そ、そう……なんだ。じゃあさ、学食でもいいからさ。積もる話でもあるでしょ?」
やはり無理に明るくしているのが分かる。何か元気づけさせるような料理でも今夜作るか。デザートなんかいいだろう。女子の大半は甘い物が好きだからな。
「―――生憎だが、一夏は私とISの特訓をするのだ。放課後は埋まっている」
うむ。この言いようだとISの訓練機の使用許可が通ったのか。使うのは『打鉄』だろう。箒の戦闘スタイルは剣道で培われたモノが多いから合っているはずだ。
これで少しは接近戦の特訓が出来る。俺ともしているが、少しでも多く違う人と戦って経験を積まないとな。箒なら何か的確なアドバイスができるだろう。
「そうですわ。クラス対抗戦に向けて、特訓が必要ですもの。特にわたくしは専用機持ちですから?ええ、一夏さんの訓練には欠かせない存在ですから」
確かに欠かせない存在だな。一夏は雪片一つしかないので、いかに効率よく避け、近づかなければならないのでそれには持って付けだ。
「すまないが特訓がある。一夏とはその後でいい」
「いいわ。それが終わったら行くようにするから。じゃあね、一夏!」
ラーメンのスープを飲み干して、鈴は片づけをしてそのまま学食を出て行った。
「さて一夏。今日の特訓はハードルを上げるぞ」
「マジかよ士郎。今のままでいいじゃねえか?」
「バカだな。今のままではクラス対抗戦の初戦で負けるぞ。いくら専用機であっても白式は雪片一つしかないんだぞ。中距離から遠距離の攻撃に対抗手段と言えば回避ぐらいだ。
見極めぐらい出来なければ射撃武器の餌食だ。それでもいいのか、お前は?」
「はあ……分かった。やるよ」
「アリーナには申込書を書いておいた。あとは名前を書くぐらいだ。今のうち書いておけ」
「わたくしも書きますわ。一夏さんの訓練には欠かせませんもの」
一夏とセシリアが申込書に書き、これで準備が整った。
「それじゃ事務室に行ってくる」
「待て士郎。私が行こう。ちょうど事務室に用事がある。ついでに渡してくる」
「そうか。なら頼む。先に教室に戻るぞ」
学食を出て、アリーナの申込書を箒に渡し、一夏達と先に教室に戻った。
次回はあのビンタがあります。
それと設定の事ですがもう少ししたら上げます。
そのほうが何かと都合がいいので。
あとは第二話の士郎の祖父の死んだ時期を五年前から三年前に変更しました。
それでは次回も楽しみに。