IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男   作:運命の担い手

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予告通りにビンタです。
ちょっぴり過去もあります。
では、どうぞ!


第35話「約束」

「え?」

 

放課後には第三アリーナに来ている。メンバーは俺、一夏、セシリア、それに箒だ。

一夏は予想外の事で間抜けな声を出している。

 

「篠ノ之さん?これはどういう事ですの?」

 

セシリアには悪いが箒がいてくれて本当に助かる。今までは道場や浜辺での肉体面でのトレーニングに一夏に指導してくれたが、ISがないから近接戦が出来なかったが使用許可が下りたので純粋な近接戦が出来る。

ISは日本の量産型『打鉄』を装着、展開をしている。やはり、無鉄を元に作られているので外見は色違いの無鉄に見える。

 

「訓練機の使用許可が下りたのだ。今日から、これで特訓に付き合う」

「『打鉄』。日本の量産型ですわね。まさかこんなあっさりと使用許可が下りるなんて……」

 

簡単には下りてはいないぞ。箒は一夏のために入学初日から使用許可書を書いていたから当然といえば当然だな。多分、今年一年で初めての訓練機の使用許可が下りたかもしれん。

 

「それに、近接格闘戦の特訓が足りていないと士郎から聞いている。当然、私の出番という事だ」

 

違和感がないな。箒にはこれ以上ないというくらいに似合っている。

 

「では一夏、始めるとしよう。刀を抜け」

「お、おうっ」

 

ほう。早速実戦か……っておい。

 

「待った箒」

「どうした士郎。時間の無駄はしたくない。そこを退け」

「退くわけにはいかん。お前はまだ基本動作、基礎駆動をしていないだろう」

 

基本動作は歩行や走るなどで基礎駆動は飛んだり、武器を展開・収納といったIS独自の動きの確認である。

最初にこの両方終わらせるなければいけない。万が一ケガでもしたら危ないのでその予防で準備運動でもある。

 

「そんなものしなくても私なら大丈夫だ。早くそこを退け」

「はあ……」

 

恋は盲目と言ったものだ。一夏の事となると周りが良く見えなくなるな。

まあ、俺が入っている弓道部のあの部長も弓道となると熱くなるんだよな。

 

「いいか箒。剣道の試合をする前に何をする?」

「無論、礼だ。礼に始まり礼に終わるのだからそれは当然であろう」

「そうだ。だから基本動作、基礎駆動も礼と同じ。それを疎かにするつもりか?」

「うっ……。わ、分かった。それを終えてからいいか?」

「ああ。予定としては最初に一夏とセシリア。次に俺。最後に箒となっている」

「それって休みなしか?」

「なわけあるか。休憩をしながらISのエネルギー補給の十五分がある。一通り終わったら一対二をするから覚悟しておけ」

 

剣道を例えにすると大人しく従ってくれた。長年やっているせいか言い返せないようだ。

その後は箒を入れて一対一をして組み合わせを変えながら一対二をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今日はここで終わりにしよう」

「お、おう……」

「分かりましたわ」

「そうだな」

 

箒とセシリアは平気だが一夏は息切れをしている。

 

「ふん。鍛えていないからそうなるのだ」

 

セシリアは代表候補生であるので一般人より体力があり、箒は常日頃から鍛えているので一夏のように息切れはしていない。俺は入学前から鍛えているので大丈夫。

まあ更識家にいた時は孝司さんと和也さんに遊ばれていたからな。孝司さんとは木刀で和也さんとは素手で。孝司さんには木刀で何とか防ぐことが出来るが和也さんのあの素手での格闘。

独特の動き、カマキリのように獲物を獲るような感じでやりずらかった。

運動能力なら孝司さんを抜いている。そんな人に何度顔面に拳が入ったことやら。鼻血が出なかったのは手加減したいたからだそうだ。

 

「それにしても士郎さんに一度も勝てませんでしたわ」

「そうだな。今日初めてISを動かした私だが、一太刀も入れることが出来なかった」

「そう言ってくれるのはありがたいが、こちらとはして内心ヒヤヒヤしながら戦ったいたぞ。セシリアは射撃の精度は上がり、近接格闘戦でも多少なりも出来るようになっていたし、箒は初めてにもかかわらず随分動いていたから避けるのに肝を冷やしたぞ」

 

セシリアの射撃の精度が上がるのは分かるがまさか近接ショートブレードをクラス代表戦以降練習しているのかそれなりに使えていたことには驚いた。

箒は身体能力が元から高いのでその影響で思った以上に動くのでやられるかと思った。

だが、やる限りには勝たないといけないので今の所、一番多く勝っているのは俺で、次にセシリア、箒、一夏となっている。

 

「まさか剣を足に付けるとは予想だにしなかったぞ。完全に不意をつかれた」

「仕方ないですわ。誰もそんなこと考えませんですし」

 

無鉄の両脚に付けたのは近接ブレードなどの近接武器・武装を装着するための物だ。クラス代表戦で使う機会がなかったので今日使ってみた。意外と戦闘で役にたった。

両手両足に剣を持つとガンダムだなこれは。別に狙ったわけではないがなぜかそうなってしまった。

 

「先に戻りますわ。それではまた明日」

 

先にセシリアはピットに戻り帰って行く。俺達も帰るか。

 

「立てるか一夏?」

「もう少し休ませてくれ。思ったより体が動かねえ」

「仕方がない。すまんが箒、一夏と途中まででいいから帰ってくれないか?どこかで倒れたりされたら困る」

「そ、そうだな。よし、私が責任を持って一夏と一緒に部屋に戻ろう」

 

同じ部屋だから大丈夫であろう。

あ、それはそうと。

 

「剣道部には行っているのか?」

「い、今は一夏の特訓でほとんど行ってはないが、心配には及ばない。気にするな」

「そうか。それならいいが」

 

毎日一夏の特訓に付いているから部活に支障をきたしていると思ったがこう言っているから大丈夫か。

 

「先に戻る。明日に疲れを残さないようにストレッチやクールダウンをしておけよ」

 

一夏と箒を残しピットに戻る。部屋に戻ったら何か簡単なデザートかを作るか。

 

「転校生の鈴。一夏は後で来るぞ」

「わ、分かっているわよ。てか、何で分かったのよ!」

「更衣室に入った直後に何か見えたのでな。ここに来るのはせいぜい男子だけだが、一夏か俺目当てで来るやつぐらいだ」

 

入ってきたのは本当だ。すぐに楯無さんに連絡を入れて、俺と一夏が出た後に入って来た者は捕まってどうなったかは知らない。

 

「あまり騒ぎを起こさないようにしろよ。織斑先生が黙ってはいないぞ」

「わ、分かっているわよ」

 

どうやら鈴は織斑先生が苦手なようだ。苦手なことぐらい誰だってあるか。

着替えてすぐに一年の寮に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなもんか」

 

夕食後にデザートを作っている。ホット―ケーキを両面に焦げ目をつける。皿の上に二つを重ねる。あとは買ってきたハチミツをかけるや冷蔵庫に作っていたバニラ、チョコ、イチゴのアイスを乗っけるとかでもいい。

 

「わーおいしそうー」

「パッケージと同じ色だね」

 

部屋には簪と本音がいる。夕食の時に一緒になり食べていて、うっかりデザートの事を話してしまい付いて来たのだ。

 

「慣れればこういう風に出来るさ。別に難しくはないぞ。そういえば本音が言っていたが追加武装の事はどうなっている?」

「今は近接武器と射撃武器一つ増やす事は決まったよ」

「ほう。具体的にはどうするんだ?」

「近接武器は刀のようなものかショートブレードにする方向で決まった。でも射撃武器はまだどうするかが決まっていないんだ」

 

打鉄二式の武装は山嵐の最大48発の独立稼動型誘導ミサイル、春雷の2門の連射型荷電粒子砲、夢現の対複合装甲用の超振動薙刀の合計三つだ。

今のままでも十分だろうがこれでは決定的な物がない。ならば追加でそれを補おうとしている。単純にアサルトライフルやハンドガンでは付け刃だな。

 

「俺も考えておこう。京子先輩とも武器製作の約束をしているからちょうどいいだろう」

「ありがとう。拡張領域(バススロット)は十分に空いているから大丈夫だからね」

 

ちなみにだが打鉄二式の拡張領域(バススロット)はラファール・リヴァイルより少ないが打鉄より多い。なので通常より多く積めることが出来る。

 

「む。ジュースがない。しまった買い忘れていた」

 

寮の売店は八時で閉まる。現時刻は八時二十分。完全に閉まっている。

 

「仕方がない。自販機で買って来る。何がいい?」

「ついて行って見て決める―」

「私もそうする」

「いいぞ。奢ってやろう」

 

財布をポケットに入れ、近くの自販機まで簪と本音で向かう。

 

「何か新しいのあるかなー?」

「無難にオレンジジュースとかはどうだ?」

「それじゃダメだよー。新しいジュースを飲むのも良いモノだよー」

 

時々本音のジュースを選ぶセンスが分からない。この前は抹茶の炭酸を飲んでいた。なぜそんなわけの分からない物を買うのかは簪も分からない。

もうすぐ曲がり角を曲がると自販機がある。そこを曲がって―――

 

「ぐほっ?!」

「いた!」

 

なんなんだ。何かが横っ腹に当たり、激痛が走る。息が止まりそうなくらい痛かった。というかあばら骨が折れそうなくらいだ。

ぶつかった相手は―――

 

「いつつ……なんだ鈴か。どうしたそんなに走って?」

「な、なんでもないわよ!」

「なんでもないわけは―――」

 

顔をよく見ると目がうっすら泣いていた。何があったかは知らないがこのまま放って置くわけにはいかん。

 

「部屋に来るか。デザートがあるぞ?」

「……行く…」

「分かった。簪と本音もいいだろう」

「うん」

「いいよ~」

「とその前に」

「?」

「鈴何がいい?」

 

自販機を指さし、どれがいいかを聞く。

 

「…いちごミルク」

「了解した」

 

全員分のジュースを買って部屋に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てことなのよ。分かっていたけどムカつくのよね」

「それはひどいね」

「オリムーはダイヤモンド以上の硬さの鈍感からねー」

 

鈴の話はこうだ。一夏の部屋に行って箒に部屋を変わるように言ったが当然断わられた。でなんやかんや話しをしている内に昔約束した事を覚えてはいたが意味が違っていたそうだ。

思わずビンタして廊下を走っていたら俺にぶつかったという事になった。

 

「味噌汁を酢豚にするとは。すぐには分からなくとも少し考えれば誰でも分かるはずだ」

 

つまり、料理が上手になったら毎日に味噌汁を飲んでくれるという昔染みた告白だ。

まったく、あいつの鈍感ぶりは今に始まったことではないがどうにかならないのか。

 

「部屋を変えるのは諦めた方がいいぞ」

「なんでよ。てか一年の寮長は誰だっけ?」

「……お前は命知らずか。織斑先生だぞ。どう言うと無理に決まっている」

「うっ……」

 

さすがに織斑先生では無理と諦めたのかしゅん、とした。

 

「それよりデザートを食べてみてくれ。感想が聞きたいのでな」

 

三人分のホットケーキを出して、ハチミツとバニラ、チョコ、イチゴのアイスを出す。ホットケーキは出来たてアツアツだ。

各々好みを選び、ホットケーキに乗せる。出来たてアツアツなのでよく溶ける。

 

「おいしいー!」

「相変わらず上手だね」

「おいしいわね。本当にアンタが作ったの?」

「当然だ。アイスも手作りだ。おかわりは少ないが食べてくれ」

 

あっという間なくなり、ジュースを飲みながら部屋でくつろぐ。……ここ俺の部屋だよな。

 

「そういや武器を作っているんだって」

「ほう、知っているのか」

「それはそうよ。ISを動かした男が武器を作るなんて誰も予想しなかったからかなり有名よ」

「どのくらい有名なんだ?」

「中国ではもうそれなりに知れ渡っているわよ。38式狙撃銃を一度使ったことあるけどなかなか使いやすかったわよ。安定した威力ね」

「それはどうも。38式狙撃銃は初心者でも使えるように設計したから使いやすいのは当たり前だ」

 

中国でそれなりにか。前に京子先輩に聞いていたのは知っていたがこれだと世界中が知っていることになっているという事か。

 

「次は何を作るつもり?良かったら教えなさいよ」

「今の所は未定だ。何を作るのかもな」

「まいっか。それじゃ部屋に戻るわ。愚痴聞いてくれてありがとね」

 

鈴は元の表情に戻り、自分の部屋に帰っていく。

 

「簪と本音も戻った方がいいんじゃないか。織斑先生は厳しいぞ」

「そうだね。戻ろ、本音」

「そだねー。じゃあねゆーみん」

「そうだ簪。参考までにどういった射撃武器がいい?」

「うーん。大雑把に言うと弾幕を厚くしたいかな」

「分かった。それじゃまた明日」

「うん。また明日」

 

簪と本音もそれぞれ部屋に戻るため部屋から出て行った。

皿を洗い、明日の準備をして早目に寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日また夢を見た。以前とは違う夢である。

 

 

 

夕暮れ時であろうか空は茜色に染まっている。場所はどこかの山の中。少し進むと海が見える。

周りには大人達がいる。その中には父さんと母さんもいる。大人達は何気ない会話をしていてとても楽しそうだ。

 

「ねえ、今日はお星さまがいっぱいふってくるって本当かな?」

「本当だよ。ニュースでも言っていたし大丈夫。必ず見れるよ」

 

幼い男と女の子がいる。男の子は俺でかなり幼い。前見た夢よりもかなり小さい。大きさからすると四、五歳といったところだ。女の子もそれくらいである。

 

「何をお願いごとしようかな~」

「あんまり多くお願いごとしちゃダメだよ。ひとつにしないとバチがあたるよ」

「分かっているわ」

 

どこで知り合ったのかは分からないがとても仲が良いようだ。女の子は髪が黒で髪の長さは肩にかかるくらいある。他にも子供の姿が見える。

 

「決めた。宇宙飛行士になる!」

「うちゅうひこうし?」

「そう。将来、月に行ってみたいし、宇宙で見る地球はとってもきれいみたいよ」

「へーそうなんだ。大きい願いごとだね」

「そうでしょ。士郎は将来何になりたいの?」

「んー……」

 

突然の質問で俺は困っている。そもそもこんな幼い時から将来の事なんてまだ考えてもいないだろう。

 

「そうだな。お父さんのように弓矢が上手くなったり、母さんのような考古学者かな?」

「あいまいね。もっと自分がなりたいのはないの?」

 

いやいや女の子よ。今から将来設計は早過ぎるぞ。あと二、三年待っても大丈夫なはずだ。

 

「…………そうだ!」

「なになに。何か決まったの?」

「うん!みんなを守れるような―――」

 

ここで夢が終わる。俺は何を言ったのか分からずそのまま翌朝になって起きた。

 

 

 

ただ――――――この日の事を忘れてはいけないとなぜかそう思った。

 

 

 

 

 




次回からは少しだけオリジナルをします。
と言ってもクラス対抗戦までの繋ぎですが。
では次回もお楽しみに!
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