IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
二週間も放置していたのではなく、ただのスランプです。
本当はこのままクラス対抗戦を書こうと思ったんですけどその前にゴールデンウィークあったのを気付いたんです。大体のISの二次小説にゴールデンウィークの事がなかったので勢い持って書いたんですが、スランプになってしまいました。
引き返すにしてもすでに半分以上は書いてしまったので今更消すわけにもいかず今日まで時間が掛かってしまいました。
長々となってしまいましたがどうぞ!
箒と剣道でケリをついてからから数日が経った。
箒は剣道部で仲良くやっているようだ。最初こそぎこちなかったそうだがそれは最初だけで、今では気軽に話すほどになり、大丈夫そうだ。
一夏は織斑先生にワンツーマンで指導してもらっている。厳しい指導だが、一組全員の期待に応えるために奮闘している。
セシリアは代表候補生としての知識で一夏の足りない所を補っている。聞いた話では一夏と共に織斑先生と指導を受けたら、心が折れそうだとか言っていた。やはり誰であろうと容赦しないとは鬼だ。決して口してはいけないが。
「明日からゴールデンウィークだけどみんなはどこに行くの?」
「私は家族で旅行に行くわ」
「家でゲームしまくる」
「ぐーだらしている」
明日からはゴールデンウィーク。教室では女子達が長い連休をどう過ごすかを話している。
「一夏はどうするんだ。ゴールデンウィークで何か予定でもあるのか?」
「そうだな。家を掃除してあとはちょっと友達の家に行ってIS学園に戻って特訓の続きってところだな」
クラス対抗戦までそれほど日がないから大体そんなもんか。久宇研究場からは何も連絡がきていないが、不安だ。何をされるか全く分からん。
「そういう士郎はどうするんだ。俺と違ってずっとIS学園にいるわけじゃないだろ」
「ああ。だがこれと言ったことはないから何をするのかはまだ未定だ」
長い連休だ。有効活用するには持って来いなのだが、全くといっていいほどに予定がない。
「それじゃ俺と「ピンポンパンポン♪」ん?」
呼び出しのベルが鳴った。休み時間にたまにある事だ。
『えー、一年一組の弓塚 士郎さん。職員室に来てください』
はて。何かしただろうか。覚えがない。
「何したんだ士郎。職員室に呼び出しなんてされることしたのか?」
「全く見覚えがない。とにかく行けば分かるさ」
何もしてはいないんだが。研究場からは俺に直接連絡が来るか美沙夜から連絡が来るかの二つしかない。よって研究場からではない。だとすると、なんなんだ。
教室を出てすぐに職員室に行く。何度か用事があって来たことがあるので場所は知っている。
「失礼します。一年一組の弓塚 士郎です。放送で呼ばれたので来ました」
入ったら学年とクラスを言い、名前を言う。それから用件を言う。職員室に入る時の常識だ。
「こっちよこっち。来て来てー」
………声の主が分かった。まさかあの人に呼ばれるとは。
「呼ばれてすぐ来るとは良い事だぞ。うむ」
「はあ……なんですか藤村先生。今度は何を修理するんですか?」
この人は藤村 大河。IS学園の教師の一人だ。俺と藤村先生は接点がないわけではない。俺の爺さん、弓塚 治朗と藤村先生のお爺さんは親友らしい。らしいというのは藤村先生から聞かされただけなので詳しくは知らない。
「そんな他人行儀にしなくてもいいのに。お姉ちゃんと呼んでいいのよ」
「誰が呼ぶか。この前言った藤ねえで決まったからいいでしょう」
「ぶー。つれないなー。お姉さん寂しくて死んじゃうよ」
ついこの間なぜかお姉さんと呼ぶようにと言われた。即却下したが引き下がらず、渋々決めたのが藤ねえというわけだ。滅多に呼ばないが。
「まさか、呼び出したのはそんな事ではないよな」
「そんなんじゃないわよ。今度のゴールデンウィーク、時間ある?」
「今の所何もない。それが何か?」
まさか大型連休を使ってまで直さないといけない物があるとか言わないだろうな。さすがにそれは勘弁願いたい。
「家に行って来たら。いい機会なんだしさ」
「家?」
「アンタの実家よ、実家。弓塚家の」
実家と呼べるのだろうか。そもそも記憶がまだ思い出せてもいないのに実感もわかん。
「うーんそうですね。…………行ってみます。場所はどこですか?」
「場所は。えーと………ここよ」
地図を出して場所を指す。それほど遠くはない。
「聞きたいことあるかしら?」
「そうですね。家の管理は誰がしているんですか?確か爺さんが亡くなったのは三年前なので相続する人がいないはずですが」
「うちで管理しているよ。私の爺ちゃんここいら一帯の大地主だからね。あんたの父親母親の友達とかもたまに掃除してくれるから助かる助かる」
父さんと母さんの友達か。色々と恵まれているんだな。学生時代が知りたいものだ。
「あ、はいこれ鍵。失くさないように」
「当たり前ですよ。それじゃ、教室に戻ります」
行ってみる価値は十分ある。もしかすると、失くした記憶を取り戻すチャンスがあるかもしれん。
「あ。ちょっと待って待って」
「はい?」
「はいこれ」
紙袋を渡された。中を見るとビデオテープの再生機だ。これは一体。
「今度それ直して。お願いね」
「そうだろうと思った。直るか分からないけどやってみる」
「ありがとう!頼んだぞ!」
早々職員室から出た。ちなみに一年四組の担任をしている。つまり、簪のクラス担任だ。
「お。士郎なんだった……なんだその紙袋は?」
「また藤村先生からの頼まれ事だ。気にするな」
「はは。お前器用だから色んな人に頼まれるよな。この前は何直したんだっけ?」
「エアコンだな。職員室のが調子が悪いと業務の人を呼ぼうとしたら士郎が直したんだったな」
「その前は黒板ですわ。授業中に突然真っ暗になって山田先生が慌てていたのを士郎さんが直したんですわ」
一夏が答える前に箒とセシリアが答えた。
「そうだったな。本当に器用だよな」
「直せる物は直す。使えるのなら直してまた使った方がいいだろう。特に愛着を持つ物だとなおさらだ」
俺の制服は常に工具を持ち歩けるように改造をしているのでいつでもどこでも修理が出来る。
「で、なんで呼ばれたんだ?」
「藤村先生に弓塚家の家に行ってみたらどうだと言われてな。ゴールデンウィーク中に行くことにした」
「へぇ。どんな家なんだ?」
「聞いていなかったな。まあそれは行ってからの楽しみということにしておこう」
家がどんな風になっているのか楽しみだな。まさか、屋敷だったりして。
この時、本当になるとは思いもしなかった。
時間が経ち、昼になる。弁当派、食堂派、買い食い派などそれぞれ好みで昼ご飯を食べる。
「ね、ねえ弓塚君。ちょっといいかな?」
弁当を取り出すと静寐から声をかけられた。
「どうした。何か用でもあるのか?それと名前で言っていいんだぞ」
「まだちょっと名前で言うのは恥ずかしいからもう少ししたらで。それで今度のゴールデンウィーク時間ってある?」
「最初の二日は予定があるがそれ以外は今の所ないぞ。それがどうした」
「えっと、えー、ちょっと……」
なぜモジモジする。それに顔が赤い。何をしたいのかさっぱり全く分からん。
「ま、まさか。鷹月さんが弓塚君に告白を!」
「くっ。思わぬ伏兵がここに居るなんて……!」
「なんてことだ。私のミスだ!」
教室に残っている女子達がワイワイと騒ぎ始めた。それより、用件を聞き出さねば。
「はっきり言ってくれなければこちらも分からん。ないのなら―――」
「し、士郎君!」
「は、はい!」
突然の返答+大声でつい、声が裏返ってしまいながら答える。教室の女子達もピタリと騒ぐのをやめる。
教室中に異様な緊張感が包まれる。
「五月五日に私――――――」
『おおおおおおおおおおお!!』
女子達のボルテージが急激に高まり、静寐の言葉の続きは―――
「――――――の妹と遊んでくれないかな?」
『だああああああああああ!!』
ガタガタバタタタタン!バゴォォォォン!
ただの頼み事であった。その答えに教室の女子達、全員が一人残らず、ずっこけた。すごい音がしたが大丈夫だろうか。特に最後の。
「ああ大丈夫だ。何度か電話でも話したし、一度合っているからな」
「あはは。あの後、弓塚君の話ばっかりで心が軽く折りかけていたしね」
実はセシリアと戦う二日前ほどに静寐に声をかけられた。話の内容は妹の真美ちゃんが俺と話しをしたいという事であった。で、第一声の声が大きく鼓膜が破けそうなくらいであったのが今でもはっきり思い出せる。それからは携帯電話の番号とかけてもいい時間を教え、何度も話しをしている。
「ん?五月五日と言えば子供の日だな。両親とは遊ばないのか?」
「本当は一日中どこで遊ぶつもりだったらしいんだけどお父さんとお母さんが急に用事が出来ちゃって行けなくなったんだ。それを昨日私に相談されちゃって」
「なるほど。それで俺に適任だと思ったわけか」
それはさぞ、怒っただろうな真美ちゃん。急な用事では仕方がないとはいえ、遊べなくなるのはショックだろうに。
「ごめんね。迷惑だったよね」
「そんなことはない。会ったのは一度きりだったからいつかは合おうと思っていたところだから迷惑ではない。そうだ。今夜真美ちゃん電話するか?」
「うん。それがどうしたの?」
「なに、驚かせるだけさ」
◇
放課後。俺は整備室に向かっている。少し前に打鉄二式の装備が決まったからだ。すでに整備室には簪、本音、楯無さん、虚さん、薫子さん、フィーネさん、京子さんがいる。
「すみません。遅れました」
「大丈夫よ。作業は順調にやっているわ」
入るとすでに作業が行われて他にも人がいた。クラス対抗戦が近いのか使う人がいつもより多い。同じ一年もいれば二、三年生もいる。
「思った以上に進んでいるようですね」
「そうね。簪ちゃんと京子ちゃんが気合入っているから余計ね」
この調子ならクラス対抗戦の一週間前に終わるペースだ。十分なテストと調整が出来て本領発揮が出来る。
「お。士郎来ていたのか。こっちを手伝ってくれ」
「分かりました。すぐ行きます」
京子先輩に呼ばれたので手伝いに向かった。
「武器・武装の追加だけじゃなくて二式の改良をするとは思わなかったぞ」
「改善出来る点をやって、出来なければ別の物で補うしかありませんよ」
「それもそうだな。二式の方は簪に本音、虚先輩に任せてこっちは新しい武器を造ろうぜ」
「はい」
装備だけではなく、打鉄二式を改良する事になっている。簪の大まかな欲しい武器を教えてもらったがそれだけでは足りないと感じたので打鉄二式にも手を加えることにした。
背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲の春雷を三点バースト方式に出来るように改良し、両脇に移動出来るようにして手動で出来るようにもしてカートリッジに変更できるので燃費改善する事も出来た。
三点バースト方式にしたのは弾は限りがあるのでフルオートによる弾の消費を避けるためにした。
対複合装甲用の超振動薙刀の夢現には高周波電流を流して切れ味を強化した。高周波電流を流すことによって金属結合が高まり、それにより切味が今より格段に上がる。
その他にもブースターやクラスターを別の物にしたりして速度上昇、機動強化された。
新武装は箱型ランチャー、試験型MLRSと手持ち型ランチャー、ミサイルスロアー。そして以前から秘密で作っていたスマックショットの三つだ。
試験型MLRSは箱型ランチャーから、誘導ミサイルを連射する。山嵐のマルチロックオンシステムを流用しているので同じくマルチロックオンが出来る。
なぜ試験型と言うと時間があまりないからだ。クラス対抗戦まであと数日なので今から時間をかけると間に合わなくなる可能性があるので出来る範囲で仕上げた。
名前の由来は同じく箱型ランチャー車両の「MLRS」から付けた。ちなみにMLRSはMultiple launch rocket systemの略である。
ミサイルスロアーは最大ロック数は1、一射でマガジン全弾を発射で、単体への集中攻撃となる。
この二つをそれぞれ二つずつ今作っている。この二つをそれぞれ二つずつ
打鉄二式にはMLRSを腕部に付けられるようにジョイントパーツを付け終え、山嵐にはすでに作業を終えて、試験型MLRSは二式だけにしている。なので完成した暁には打鉄二式はミサイル倉庫とも言える物になる。
ちなみにこの二つは京子先輩が作った設計図から作られた。先日、完成した設計図を俺に見せて、多少改善したので後は作るだけになっていた。
スマックショットはポンプアクション式の実弾ショットガン。威力・弾数・拡散率の総合バランスに優れ、中距離での牽制と近距離戦を両立しやすい物になっている。
本当は俺が作ったD90カスタムを渡そうと思ったがリロードに時間が掛かるため、やめた。中距離から長距離は山嵐と春雷で大丈夫だが、至近距離から中距離までの装備がなかった。
そこで以前から作っていたこのスマックショットを渡す事にした。春雷か山嵐で時間を稼ぎ、その間にスマックショットのリロードの隙がなくなる。これでどの距離にも対応出来るようになった。
「まさかこんなに早く出来るとは思わなかったな。これも士郎のおかげだ」
「ちょうどクラス対抗戦もありましたし、簪から要望もあったのでいい機会です」
「そうだな。でも本当に材料もそうだけど、全部出して大丈夫なのか。なんなら私も出した方がいいんだが」
「大丈夫ですよ。印税でかなり貯まっているので思っている以上にあるので心配はありません」
そう。38式狙撃銃シリーズでかなり貯まっている。この間通帳を記載した際見て見るとびっくりして思わず通帳を投げてしまった。鈴からは聞いていたが、まさかこれほどとは。折角なので使っておくのも悪くはない。全額俺が負担しても大丈夫というわけだ。
「お前がそう言うなら大丈夫か。よし、これで大丈夫だよな?」
「大丈夫です。部品の位置も配線も問題ありません。このまま順調にいくと終わります」
「そうか。さっさと終わらすぞ!」
「はい」
こうして作業は順調に進み、打鉄二式の改良、新装備の製作が終わった。MLRSの腕部装着も問題はなかった。
「ゴールデンウィークはみんなはどう過ごすのかしら?」
片づけが終わり、一服していると不意に楯無さんが質問してきた。
「私は親の工場を手伝いに行くぞ。たまに親孝行でもしないとな」
「んー私はー。家に帰るねー。家族がちょっと恋しくなっちゃってさー」
「私はお姉ちゃんの職場見学に行くわ」
京子先輩は親の工場で手伝い。フィーネ先輩は帰国して、祖国で過ごす。薫子先輩は姉の職場見学。色々だな。
「家に戻ってのんびりする。息抜きしないと持たない」
「私もかんちゃんと一緒に家に戻ってのんびりする―。お母さんのお菓子食べたいしー」
簪は息抜きで家に戻り、本音はそれに付き添う形か。本当に本音はメイドなのだろうか。一度もそんな事見た事ない。
「楯無さんはどうするんですか。ゴールデンウィークを」
「私は特にないわね。生徒会の仕事は大方済ませたし、気軽に過ごすわ」
「虚さんは楯無さんの付き添うんですか?」
「基本そうですね。なるべくいるようにします。従者ですから」
楯無さんは予定なしに家に戻るか寮で過ごすか分からないが気軽に過ごすらしい。虚さんはその付き添い。本音と違ってちゃんと仕事をしている。さすがだ。
「そう言う士郎君はどうするの?」
「俺ですか。弓塚家の実家に行きます」
「へえー。そうなんだ。………………え?」
どういう家なんだろうか。いや、形はともかく掃除はされているだろうが細部までしているのか。そもそも毎日とは無理だろうから何日おきか週に一度が限界なはず。すでに人は住んでいないから生活器具がないと思うが多少は残っているだろう。なかったら買いに行けば問題ない。
「え、えっと、士郎。今なんて言ったの?」
「ん?弓塚家の実家に行くと言いました。何か変ですか?」
「……え」
「はい?」
「「「「「「「ええええええええええええええええ?!」」」」」」」
なぜか大声を出す。しかも全員。家に帰るのがそんなに驚くのだろうか。
「それいいの!ていうかいつ決めたの!?」
「今日、藤村先生に呼ばれてのがその事でした。その時に決めました」
「あの時か。でもいいの」
「何がですか?」
「あなたの両親は駆け落ちしたって母さんが言っていたわよ。親子の縁を切ったんじゃ―――」
「それなら大丈夫です。昼に実家の事を久宇企業の社長に連絡した時に聞いたんですが、縁は切っていないそうです」
「そ、そうなんだ。でもなんで?」
「それが分からないんですよ。社長も分からないと言っていたので」
聞いた時は驚いた。普通なら親子の縁を切るはずなのに切っていなかった。真相は爺さんが墓場まで待って行ったので分からない。
「ね、ねえ士郎。その、家に行ってもいいかな?」
「いいぞ。一人で行くのも味気ないし誰かと行くのもいいだろう」
簪が家に行きたいと言ってきた。断る理由がないので連れて行くことにしよう。
「わ、私も行くー!」
「本音もか。いいぞ。他に行く人はいませんか?」
行く人を全員に聞いた方がいいだろう。予定変更が出来ないのが決まっているが一応聞こう。
「今更行けないなんてさすがに言うのは気が引けるから無理だ。てことで私は無理だ」
「私もー。チケット買っちゃったし、電話で言っているから無理ー」
「私もね。行きたいのは山々だけど、職場見学は念願だったから、今更お姉ちゃんに断りの電話できないわ」
「私は大丈夫ね。生徒会の仕事は済ませたし、何かしろ連絡がない限り大丈夫だわ」
「会長が行くのなら私も同伴します」
行けないのは京子先輩、フィーネ先輩、薫子先輩の三人で、行ける人が簪、本音、楯無さん、虚さんの四人になった。俺を含めて計五人。
「少し多くなったがいいか。そうだ。何か質問ありますか?」
「はい!」
真っ先に薫子先輩が手を挙げた。質問の内容は聞かずとも分かるが聞いておこう。
「代わりに写真撮ってきて。なるべく多くお願い」
だと思いました。写真か。カメラないのだがどうしよう。
「予備のカメラ渡しておくからお願いね。デジカメで大容量のメモリーカードだから百枚以上撮っても大丈夫よ!」
カメラの心配はないようだ。しかし、百枚以上撮れるとはすごい。百枚以上は撮らないと思うが。
「あとは?」
「はーい」
「本音なんだ」
「お菓子は五百円までですかー?」
「制限はないがあまり汚すなよ」
「はーい」
遠足かよ。
その後はそれぞれの寮に戻り、夕食を食べ終えた。
「ここでいいな」
目の前のはドアがある。場所は静寐の部屋である。ちょうど頃合いだと思い、ドアを叩いた。
「はーい。あ、弓塚君どうしたの?」
「休み時間に言っていただろ。真美ちゃんには電話かけたのか?」
「まだだよ。これからするところ」
「そうか。電話をしてくれ。そして途中俺に代わってくれないか?」
「そういうことね。部屋に入って。早速電話かけるね」
部屋に入り、携帯電話を取り出して真美ちゃんの携帯電話にかける。
しかし、静寐の部屋に初めて入ったな。簪と本音の部屋とはまた違う。女性向けの雑誌にぬいぐるみといった物がある。今時の女子はこんな風なのだろうか。
「……でね。子供の日に連れて行ってくれる人に変わるから失礼のないようにするんだよ」
考え事をしている内に電話で話しが進んでいたようだ。静寐から携帯電話を手渡され、出る。
『……もしもし?』
「どうしたんだ真美ちゃん。随分と声が沈んでいるが大丈夫か?」
『え?もしかして……!』
「ああそうだ。士郎だ。子供の日には俺が遊んであげよう」
『……や…』
「ん?」
『やったぁぁぁぁ!!』
「―――ッ!」
相変わらず大きい声だ。こうではなくては真美ちゃんではないからな。
「それでどうする。生憎、何もないがどこか行きたいとこはないか?」
『大丈夫だよ。お母さんから遊園地のチケットもらっているから』
「ほう。そうか。それでは大丈夫だな」
『うん!
「そうだな。三人で……ん、三人?あと一人は誰だ?」
『持ちろんお姉ちゃんだよ。元々お父さん、お母さん、私の三人で行く予定だったんだけどお父さんもお母さんも急に行けなくなっちゃったからさ』
元々そういう予定だったからそれはそうだろう。てことは。
「そ、そうだな。静寐は知っているのか?」
『知らないよ。お兄ちゃんから言って』
「はい?」
『じゃそろそろ切るね。あまり電話し過ぎるとお母さんに怒られるから』
「ちょっ―――」
『それじゃお休みお兄ちゃん。子供の日、楽しみにしてるからね。バイバイ~』
舞い上がっていたせいかこちらの声が通じなかったようだ。すでに通話は切れて、虚しくもツー、ツーっと音が鳴るだけである。
「えっと、どうしたの?」
「どうやら静寐も一緒に行くことが決まったようだ。元々三人分のチケットだから一人分余ってしまうからもったいないと思ったのだろうな。真美ちゃん」
「それって決定事項?」
「そのようだ。あ、待ち合わせ時間を決めていなかった。どうする?」
「えーと。五月二日にメールで集合場所に時間をメールで送るから」
「分かった。それでは五月五日にまた会おう」
「そうだね。お休み」
「ああ。お休み」
部屋から出て自分の部屋に向かう。
さて、大方予定は決まった。五月一日、二日は弓塚の実家で過ごし、三日、四日は予定はないがこのまま弓塚の実家で過ごしか。あ、服を買わないと。今ある服では少々恰好がつかない。
そこの所は簪たちに聞けばいいか。で、五日は真奈美ちゃん、静寐と遊園地か。その遊園地少し調べるか。
こうしてゴールデンウィークの予定が決まった。
この時の俺はまだ知らない。弓塚の実家に驚くべき事が知ることになることを。
誤字脱字、感想などがありましたらお願いします。
次回は弓塚家の実家の話になります。
そしてタイガーを出したぜ。正直いつ出すか迷っていました。年は千冬よりも1つ上です。
他にもFateキャラを出します。いつ出すか私自身分かりませんが。
あと言い遅れましたがお気に入りが400件超えました。
これもみなさんのおかげです。
てことで次回もよろしくお願いします。