IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男   作:運命の担い手

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一ヵ月ぶりに更新できました。
諸事情で書く事が出来ませんでした。不甲斐ない作者ですがどうぞよろしくお願いします。
では、どうぞ!


第45話「終結」

狙いは俺か。だがなぜ俺なんだ。普通なら一夏の方だ。織斑先生の弟でISを造った篠ノ之 束博士との交流がある。俺はというと爺さんと父さんが弓道で有名だけだ。価値にすれば断然一夏の方が上。

 

「大人しくこちらに来れば他の者に手出しはしない」

「信用出来ないな。いきなり現れて、はいそうですかと言えるか」

 

しかも識別不明。打鉄は確かに日本で造られた物だが、海外にも少なからずある。ISが世に出てから日本語が標準、英語が準標準と確立しているので搭乗者が日本語で話しても日本人とは限らない。

 

「それに一夏の方が価値がある。なぜ俺なんだ?」

「確かにそこにいる織斑一夏に十分過ぎるくらい価値はある。しかし、同等又はそれ以上にあなたに価値がある」

「何?」

 

同等又はそれ以上だと?俺は一夏と違って一般人だぞ。ISの関係を持っているのは久宇企業だけだ。それなのに同等又はそれ以上とはどういう事だ?

 

「疑問に思っていますね。なぜ一般人である自分に価値があるのだと。それはあなたが―――」

『そこのIS!今すぐ投降しなさい!』

 

突然聞こえる大声に言葉が途切れる。アリーナには続々と教師部隊が入って来る。ラファールのみのオールラウンダーで全距離対応した編成部隊か。

 

「少し待っていただこう。話しをつけてくる」

「お、おい」

 

再度声をかけたが応答はしなかった。通信を切ったのか。

 

『名前と国籍、所属している所を言いなさい』

「……………………」

『聞こえないですか。それとも言葉が分からないのですか』

「……………………」

 

言葉は分かるはずだ。さっき俺と普通に話しをしていたから。やはり何を考えているか分からない。

 

『拘束するので警戒してください』

『はい』

 

このまま捕まるつもりか。いや、それはない。なぜなら―――

 

『がっ!』

 

アイツは一度も隙を見せていない。突然の攻撃、近づいて来た教師の一人をアリーナの隅まで思いっきり蹴り飛ばした。動かないようでどうやら気絶したようだ。

 

「なるべく戦闘は避けたかったが、状況が状況。排除してから再度説得を開始する」

『抵抗の意思と断定!全員戦闘態勢!』

 

教師部隊はそれぞれ武器を取出した。アサルトライフル、マシンガン、ショットガン、ハンドガン、グレネードランチャー、シールド、近接ブレード、ヒートブレード、ショートブレードなど多くの武器武装が見受けられる。

IS学園の教師は知識もそうだが操縦技術は最低でも代表候補生と渡り合う事が出来る実力者である。どう考えても勝てる見込みがないと普通は思えてしまうが黒い打鉄はそれを覆している。

 

「………………」

 

僅かにある弾幕の隙に飛び込み、少しずつ前に進む。それはまるで当たらないのが当たり前のように。

 

『あ、当たらな―――ぐあ!』

『掠りもしないなんて……う!』

『なんなんだこのパイロットは!?』

 

実力者である教師達を次々と倒していく。アイツが使っているのは近接ブレードだけだが、ただの近接ブレードではない。

 

「は!」

 

振り払えば斬撃のようなモノが出る。その正体はエネルギー波。アイツの近接ブレードはエネルギーブレード。セシリアのブルー・ティアーズ(ビット)を近接ブレードにしたようなモノだ。イギリスがレーザー兵器を開発する以前に存在していて、使われていたのは第一世代だけ。使い方としては通常の近接ブレードと同じだが、チャージして振り払うと今のようにエネルギー波が出る。射程は中距離までなのでエネルギーブレード一つだけで至近距離から中距離まで戦闘が可能。

しかしこれには問題があった。それは重量が重い。ISには補助動力があってそれによりある程度なら生身で使っているのと変わらない。エネルギーブレードはその補助動力の許容範囲を超えているので動きにブレが生じる。そこまで重くなるのは動力のエネルギードライブが原因だ。当時の日本代表であった織斑先生の専用機の武器、雪片を造ろうとしたが結局出来なかったのでせめてそれに近い物を作る事になった。エネルギードライブは雪片の特殊能力を真似るような物なので必然と重くなってしまった。最初こそはそれなりに使われて、改良も施されたが、第二世代が登場すると境に次第に使われなくなっていった。

だが近接ブレードに限っては雪片に次ぐ威力である。

 

『こんな……わけの分からない者に……』

 

残っていた最後の一人が気絶する。教師部隊八名全員がアイツ一人に負けた。決して先生達が弱いわけではない。アイツが強過ぎなだけだ。使っているエネルギーブレードは学園にあるデータベースで見た事がない。恐らくオーダーメイドのようなものだろう。それにエネルギードライブが小さい。知る限りでは小さい物で辞書二個分なのだが、アイツのは辞書一個分にも満たない。誰が何の為にそこまでしたのか分からないがこちらが知る技術を上回っているのは確か。

 

「さて。こちらは片づきました。考えてくれましたか?」

「……ああ。実力は明白、加えて今の俺は状況が不利。負ける確率が高い」

「ではこちらに―――」

「だが、そちらに行く理由も必要性もない。せっかくの誘いだが断る」

「………………」

 

まったく。なぜ知りもしない相手に誘われ、行かなければならん。状況は不利には変わらない。シールドエネルギー残り四割弱。無鉄の右腕多数損傷しているがまだ大丈夫。生身の右腕は裂傷などあるが出血は止まっている。このままではいかん。

設定変更。絶対防御数値、最小限。拡張領域(バススロット)にある武器を全て廃棄。競技用リミッターは継続。

戦闘は全て投影ですればいい。拡張領域(バススロット)にある武器を展開するより投影の方が早い。

 

「では――――――無効化して連れて行きます」

 

直後にエネルギー波が襲う。が、それは想定済み。

 

「………………」

 

右腕を突き出し、再び熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)を出す。威力は先程の正体不明のIS以下でセシリアのビットより以上くらいか。一枚も割れないのは牽制程度だからか。

 

 

 

 

 

 

土煙が上がる。さっき出した盾のような物は士郎が俺と鈴を守ってくれた盾だ。

 

「ふん」

 

まだ舞い上がっていた土煙から三本の矢が同時に出て来た。それを黒い打鉄はいとも簡単に弾き落とした。俺だったら絶対当っていたな。

 

「はっ!」

「!?」

 

いつの間にか間合いを士郎が詰めていた。そう、黒い打鉄の懐に。

両手にはいつも使っている白と黒の剣が握られている。それを左肩に白と黒の剣の両方で斬り付けた。

 

「っ!――――――ふっ!」

 

一瞬怯んだが、すぐに握っている近接ブレード?で振り払い、士郎は距離を置いた。

 

「あいつはなんなの。一夏、あいつは一夏と同じくらいしかISを乗っていないんでしょ」

「同じというより少し上だ。俺が白式を貰ったのは一か月前で士郎は二か月前なんだよ。ニュースでもやっていただろ」

「そんな事知ら………一夏がISに乗れたニュースを見て以来見ていなかった……」

 

馬鹿かこいつは。

 

「それにしてもあいつ、士郎ってあんなに戦えるの?」

「ああ。俺と同じで近接戦闘するんだよ。銃はもちろんだけど、弓も使うぞ。今の所、士郎は負けていないんだ。一度も」

「そうですわね。入試試験のISでの戦闘でも織斑先生にも勝っていたと言っていましたわ」

「……マジ?」

「マジだ」

 

千冬姉との戦いでは負けそうになった時に突然、能力(スキル)が発動してそのまま勝った、て言っていたな。今の所は一番士郎が勝って、一番俺が負けている。

…………改めて思うと滅入りそうだ。

 

 

キィィィィンッッ!!

 

 

「「「!」」」

 

金属同士がぶつかり合った音が鳴り、目を向ける。士郎と黒い打鉄が打ち合っている。互いに避け難い場所に狙っているが、それを造作もないように互いに避ける。

舞い散る火花が幾度も出る。それは本気で打ち合っている証拠でもある。士郎との戦いでは僅かしかない。セシリアも同じ位だが俺より少しだけ多い。箒が一番多く火花が出ていると記憶している。

正直士郎が羨ましい。俺は昔剣道をやっていた。IS学園に入るまではしていなかったがセシリアと戦うまで箒に鍛えられて、勘を取り戻した。今も箒に剣道で度々鍛えてもらっている。

少しでも強くなっている。それは今でも思っている。でも、今目の前で戦っている士郎を見るとそれは今の自分では到底勝てないと嫌でも思う。それでも、いつかは勝ってみせる。

 

「なあ。あの黒い打鉄が使っているのは近接ブレードなのか?」

「あれはエネルギーブレードよ。第一世代のISの武装で少数だけど使われていた物だわ」

「ですが第二世代のISが出来てからは見る事が少なくなりましたわ」

「なんでなんだ?」

「重量に燃費の問題ですわ。ISの補助動力を持っていてもバランスを保つのが難しく、燃費が悪かったからですのよ」

「まあ近接ブレードに限っての威力だと千冬さんが使っていた雪片、あんたが使っている雪片二型の次にあるわね」

「へぇ」

 

あんまりISの武器、武装の事は知らない。と言うか鍛える方に時間を費やして、基本的な事を勉強しているので分からない。今度から武器、武装も勉強しないと。

 

「せあ!」

 

士郎が上に高く飛び、両手に白と黒の剣ではなく、違う剣を持っていた。それを黒い打鉄に向けて―――投げた。

 

「………………」

 

投げられた剣を黒い打鉄は移動しながら避ける。なぜなら上では士郎が次々と様々な剣を出しては投げて、出しては投げてを繰り出しているからだ。避けられた剣はアリーナの地面にぶつかると砕ける。偶に避けられないのはさっき鈴とセシリアに教えてもらったエネルギーブレードで弾いている。

 

「―――トレース・オン、オーバーエッジ」

 

そう呟くといつもの白と黒の剣が出てきて、鳥の羽のように大剣と成した。

 

「はあっ!」

「ふ……!」

 

再び金属同士、剣と剣がぶつかり合い、火花を散らして戦闘が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄い。弓塚君がこんなに強いなんて……」

 

真耶が言うのも分かる。現時点で一年の中では強いと確信している。基礎、基本の操縦技術に近接戦闘から遠距離戦闘、加えて天候や大気といった不安定要素も考慮されている。

来月にはドイツから転校生が来るとなっている。昔、私がドイツで教官をしていた頃の教え子が。アイツとはいい勝負が出来そうだ。

 

「それで山田先生。解析はどうだ?」

「はい。ただの黒い打鉄ではないのは確かです。細部が違いますし、何より性能が普通の打鉄とはかけ離れています。解析では性能は第三世代とほぼ同等となっています」

「そうか」

 

突然現れた黒い打鉄。すぐに教師部隊が対応に当たったが、全員が気絶させられた。現れた時からなんとなくではあるがただの打鉄ではないと分かった。すぐに真耶に解析を頼み、たった今終わった所だ。

 

「それにあのエネルギーブレードは私達が知っているより数段上の性能で、エネルギーブレードの中枢部のエネルギードライブもかなり縮小していて使いやすい物になっています」

「だろうな」

 

エネルギーブレード。私が現役で使っていた唯一使っていた武器、雪片の次に威力があると言われていた物。第二世代が登場以降、姿が見えなくなった武器。それを使ってここ(IS学園)に現れるとはどういった事なのか。

 

「あとあのバイザーなんですが、どうやらただのバイザーじゃなさそうなんです」

「何?」

「これを見てください」

 

軽快にキーボードを叩くと画面が変わる。

 

「このバイザーから特殊な電波が流れているんです」

「電波だと?だとするとこのパイロットは」

「はい。何者かに操られていると思います。洗脳もしくはマインドコントロールです」

 

洗脳、マインドコントロールか。ISが登場する以前にそういう事は世界中どこにでもあった。簡単な事だと変な宗教に無理矢理入れさせられたのではなく、自らの意思入ったと事もある。

ISの登場後、当初はそういった事もあったが同時に発足したIS委員会による摘発、内部告発、エージェントによって今では無いに等しい。

 

「壊せばいいのか?」

「そうですね。でも近づく事が出来ても壊す事は……」

「……弓塚にプライベートチャネルを」

「はい」

 

本当なら他の教師に当たらせるべきだが、今は士郎にしか出来ない。一夏と鈴はエネルギー切れ。オルコットは接近戦には向いてはいない。

 

「弓塚、聞こえるか?」

『聞こえます。なんですか?戦闘中で少しでも気を抜くと危ないんですが』

「あの黒いバイザーがあるのは分かるな。あれには特殊な電波が流れてその黒い打鉄のパイロットは操られていると分かった」

『操られている?洗脳という事ですか?』

「そうなる。だがバイザーはお前が思っている以上に頑丈だ。何か威力のある武器で壊せ」

『壊せって……はあ。分かりました。元よりそのつもりでしたから。っとそろそろ切ります』

 

あとは士郎に任せるしかない、か。

 

私達(教師)がやらないといけないのに子供達(生徒)にやらせるなんて。なんでこういった時に限って出来ないんでしょうか……」

「それは私も知りたい。だが、今は子供達(生徒)を信じるしかない」

 

真耶の言葉が嫌というくらい分かる。守るはずの私達(教師)が守られる子供達(生徒)に守られているのが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パキン!

 

 

これで八本目。投影で出来た干将・莫邪が砕けた。そこいらの近接ブレードよりは強度はあるんだが。向こうのエネルギーブレードは強度は思った以上に頑丈だ。目的のバイザー破壊もエネルギーブレード位に頑丈だと思うと滅入りそうになる。

 

「はあああああ!!」

「しっ!!」

 

本当にこれで操られているのか?俺には本人の意思でやっているようにしか見えない。だが、織斑先生の言っている事もまた事実。少しばかりおかしい所がある。普通なら頭に何か当たりそうになると人間は咄嗟に庇うのだが、こいつはそれをしていない。防衛反応というものが見受けられない。

 

「「―――――――――」」

 

互いに距離置き、体勢を整える。さて、どうする?

 

 

バッ!!

 

 

「!?」

 

急にあいつが空に上がる。上から見下ろしてこちらをじっと見ている。

 

「はあああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

咆哮した。エネルギブレードを腰だめに構えた。刀身にエネルギーを圧縮させて。

威力は先のゴーレムが放った最大出力より低いか。だが十分過ぎるほどの威力であることには変わりはない。

 

「士郎!」

「士郎さん!」

「士郎!」

 

一夏、セシリア、鈴の声が聞こえる。心配してくれてるんだな。

ああ。ここで諦めてはいけない。なぜなら俺は―――

 

「―――投影、開始(トレース・オン)

 

眼はあいつに向ける。両手を見る必要などない。不思議に投影する物が至極当たり前のように分かる。それはまるで自分の一部のように。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

投影した()()()()をあいつに振るように構える。剣には光が収束していく。

 

「……………………………!」

■■■■■■■■■(■■■■■)!」

 

タイミングは同時。それぞれの嵐が放たれる。真名解放はなぜか自分で言ったのに解らなかった。しかし今はそんな事を考える時じゃない。

 

 

ジジジジジジッッ!!!!

 

 

僅かにせめぎ合うがすぐに崩れた。

 

「はああああああ―――はっ!!」

 

俺がせめぎ勝ったのだ。残りのシールドエネルギーを使い、文字通り全力を出した。

 

「――――――ッ!」

 

瞬く間にあいつは黄金の渦に巻き込まれた。

 

「………………………」

 

アリーナはようやく静かになった。

ようやく終わった……。今にも倒れそうだ……。

 

 

ドサ

 

 

「?」

 

音がした。見ると、黒い打鉄だ。シールドエネルギー切れたの、か待機状態になり、パイロットが、見える。バイザーは、ない。壊せたようだ、な。ああ、もうそろそろ限界だ……。

 

「あ……」

 

糸が切れた人形のように地面に倒れる。かなり疲れた……。瞼が重い……。すこし眠らせて欲しい……。

 

「………………………!」

 

誰かの声がする。多分だが心配してくれているんだろう……。大丈夫だって……。

だって俺は……正義の……味方に……な……る……んだ……。

 

 

 

 

 




感想、誤字脱字がありましたらお願いします。
二、三話したら設定を出す予定です。今まで出た人物を出すのでかなり多くなるので分割した方がいいかな?
では次回もよろしくお願いします。

関係ないですが楽天が日本一になったぞ!これは歴史になったな!
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