IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
「入学手続きはこっちでやっておこう。しかし困ったな」
「何がですか?」
「病院に戻すわけにもいかんし、かといって他の所で泊まらすと危険だしな」
「ああ、そうですね」
さて、入学はもうすでに決定事項になった。(そうじゃないと実験動物or遺伝子レベルまで分解される)
ISを男なのに起動させたので病院に帰ったら色々危険なので病院には帰れない。ホテルとかも泊まれない。さて、どこに泊まるか分からない。
ちなみに無鉄は待機状態になっている。形は赤い勾玉で首にかけている。
「しかたがない、私の部屋で今日は泊まれ」
「え?」
いやいやそれはまずくないか?年は十歳近く離れているが男と女が同じ部屋を過ごすのは教師としてはどうかと思うが。
「あの、さすがに女性の部屋に入るのは…」
「なに、心配は無用だ。お前と同じ年の弟と思えば私は気にしない」
「俺は気にしますが」
「とにかく今日は私の部屋で泊まれ。明日には別の場所を用意する」
「はい…」
仕方がない。大人しく従おう。と言うか弟いたんですか。
「こっちに来い。案内する」
「はあ、分かりました」
「ここが私の部屋だ」
千冬さんに案内されて部屋の前まで来た。千冬さんは一年の生の寮長をしているので家にはなかなか帰れなく、大体がこの寮長室にいるらしい。
「分かっていると思うがあまり部屋を部屋じろじろ見るなよ」
「分かってますよ」
そんなこと微塵もしませんよ。記憶なしのまま監獄行きはいやだし。
そして部屋に入るとそこには……
「汚い…」
脱ぎ捨てたスーツやシャツ。缶ビールや何かを食べた後の皿が部屋全体にあった。
「しかたがないだろ。これでも結構忙しい身でな」
「それでもこれはひどい」
何故だろうか。こういう風なことあったような……。それよりも掃除するか。
「千冬さん。掃除しましょう」
「いや、今からでは…」
「そ・う・じ、しましょう……!」
「あ、ああ。掃除しよう」
強引に掃除を強要させて、掃除をした。あ、パンツまであるし……
「はい。お茶どうぞ」
「すまんな」
あれから一時間掃除をして部屋は大体綺麗になった。本当はもっとしたかったが食堂が八時までなのでやめた。隅とかが汚れがあるけどしかたがないな。
「手慣れたものだな。記憶を失う前は専業主夫だったか?」
「いやいやそれはないでしょ。けど、やり方は体が覚えていました」
「そうか。しかし、ここまで家事が出来ると料理も出来るのか?」
「多分ですけど、出来ると思うますよ」
「お前は本当に何者だろうな」
「さあ?」
あ、そういえば思い出したのが一つだけあった。
「千冬さん」
「なんだ?」
「俺に彼女がいること思い出しました」
「ぶッ!!」
「あちゃちゃちゃちゃ!?!?」
千冬さんお茶噴かないでくれよ。向かい合いながら飲んでいるんだからさ。
「熱いですよ千冬さん。それに下品です」
「お前が、そうさせたんだろうが」
むせながら返事をしてくれた。その間に俺はタオルで顔を拭いた。なぜふいたんだ?
「俺は別に変なこと言ってませんよ」
「記憶がないやつに急に彼女がいると言われたらふくだろうが」
そうかな?
「で、名前は?」
「いえ、分かりません。いるってことは確かですけど、名前も顔も思い出せないので分かりません」
「はあ……。期待したのがバカのようだ……」
それよりも食堂に行かないと。
「食堂にはもう少し時間を過ぎてから行くぞ」
「なぜです?」
「忘れたのか。ここはIS学園だ。男がいると色々と面倒だからな。あまり見つからないためにも七時過ぎに行くぞ」
「ああ……はい」
いかん。掃除をしていたせいかここがIS学園ということを忘れかけていた。
その後は食堂で夕食を食べた。幸いにも生徒は一人もいなくて良かった。あとは部屋に戻って千冬さんが先にシャワーを浴びて、そのあとに俺もシャワーを浴びた。
そしてあとは寝るだけになった。ベットは当然千冬さんで俺は床に布団を引いた。なぜかIS学園にあった。謎だ。
「男と一緒に寝るのは弟以外初めてだな」
「そういえば弟さんいるんでしたね。名前はなんて言いますか?あと、どういう人です?」
「質問が多いな。まあいい。名前は一夏。漢字の一に夏と書く。家事全般をこなしてマッサージが得意だな」
「へー」
なんだか気が合いそうだな。
「あとは言動がときどき年寄りっぽいなるな」
…大丈夫か弟さん。
「心の機微に鋭いが境界線の無い優しさと天然で女性をときめかせる言動や行動を見せるせいで多くの女子に好意を寄せられているな。だが恋愛に関してだけは呆れるほどに異常な鈍感なせいで何人女子を泣かしたことか」
いつか背中から刺されるぞ。普通気付くだろ。
「苦労してますね」
「まあな」
あれ、そういえば親は何をしているんだろうか?
「ご両親は何をしているんですか?」
「……………………」
まずいこと聞いてしまったか。
「……一夏が物心つく前に両親に捨てられて、その後はずっと私と二人で暮らしてきたさ」
「すいません。なんか悪いこと聞いてしまって」
「なに構わんさ。昔の事だ。それより早く寝ておけ。私は教師だからな」
「はい。千冬さんお休みなさい」
「ああ、お休み」
すぐに眠ることができた。なぜか病院で寝るより気持ちが良かった。