IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
ちょっといざこざあるけど、気にしないで。
それではどうぞ!
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」
転校生の男、デュノアがにこやかな顔で一礼する。
「お、男……?」
誰かがそうつぶやいた。
「はい。こちらに僕と同じ境遇の方が二人いると聞いて本国より転入を―――」
しかしデュノアか。デュノアと言えばデュノア社、量産機ISのシェア世界三位の大手企業しかない。その社長の息子なのか。
だが、俺が気になっているのはそこじゃない。本当にデュノアは男なのだろうか。
身長はやや低く、中世的な顔立ち。髪は濃い金髪。髪は長いようで邪魔にならないように後ろに丁寧に束ねている。。
どちらかと言えば俺には女にしか見えない。胸はないように見えるが何かで胸部を圧迫してにすれば胸がないように出来る。本人に直接訊くのはすぐにしなくても大丈夫だろう。情報を盗みに来たスパイなら慎重に行動するはず。
このことを昼辺りに楯無さんに言った方がいいな。
「きゃ……」
「はい?」
『きゃああああああああ―――っ!!』
鼓膜が破けそうだ。これがソニックウェーブというやつか。咄嗟に耳を塞いだが、それでも十分過ぎる。
「男子!三人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形!守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれて良かった~~~!」
疑いもせずよくこの一組の女子は歓迎している。すでに他の教室にも伝わっているだろうから教員の方々は教室から出ないようにさぞ苦労しているだろう。お仕事お疲れ様です。
「あー、騒ぐな。静かにしろ」
「み、皆さんお静かに!まだ自己紹介が終わってませんから~!」
そう、まだ一人いる。こちらは女子なんだが格好は軍服を模した制服を着ていてデュノアの紹介からずっと微動だにしない。
銀髪で腰近くまで髪が長い。左目に眼帯。開いている右目は赤。その目はとても冷たく、誰一人も興味がないと言っているようにも見える。
小柄だが全身からは凍り尽くすのような鋭い気配を発している。
デュノアと並んでいるので温かい太陽、冷たい月と印象になる。
「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
教官?ということはコイツの軍で織斑先生が教えていたのか?放課後に聞いてみる価値はあるな。
「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではない、ここではお前も一般生徒だ。私の事は織斑先生と呼べ」
「了解しました」
どうみても軍人だな。そうでなくても軍の関係者に違いない。しかし、年は同じ位なのにすでに軍所属とは少し妙だ。国によっては軍に入る年齢が違うが日本で言えば中卒で自衛隊に入るようなもの。そんな事は当然だが無理だ。てことは訳ありか?
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
…………それだけ?
「い、以上ですか?」
「以上だ」
山田先生が確認を訊くと即答かつ素っ気ない回答だった。何気に涙目になりそうな山田先生はなんとか耐えている。頑張っている事はこのクラス全員が分かっていますよ。
「!貴様が―――」
俺の一つ前の席、一夏を見るとなぜか不機嫌になり、向かって来る。何かするつもりだな。
パシッ!
平手打ちをしようとしたのを止めた。中々速い。
「へ?」
何間抜けな声を出しているんだコイツは。何をされようと分かっているのか。
「邪魔をするな、二人目」
「出来れば名字か名前で言ってほしい。それより、何をしようとしていた?」
「お前には関係ないだろう。そこを退け」
「確かにそうだな。だが、友達を守るのは当然だろ」
「そうか。ならコレなら退くか」
振り払うと後ろ腰に隠していたのを取り出した。拳銃を。
拳銃はH&K USPか。メーカーは確かドイツの銃器メーカーのH&K社。なるほど、ということはボーデヴィッヒはドイツ軍か。ドイツ軍は9mmパラベラム仕様でP8の名称で制式拳銃になっているので納得がいく。
「うそ」
「あれって本物?」
「だとしたらヤバくない」
ザワザワと教室が騒ぎかけている。物騒なモノを持ってもいいが人目に付くにするなよ、まったく。
「………………」
「………………」
その間に織斑先生に視線が合った。なぜか言っているかのように分かった。任せると。
「……………」
「なんだ、怖気づいたのか。ISに乗らなければ何も出来ないのか?」
随分と上から目線。なんという傲慢。入学当初のセシリアを思い出せるようだ。
「……
「
10年以上か。かなり興味を持つが、今は後回しだ。
「はぁ……」
「……んっ」
呆れたように余所見をしているかのように装い、右目でしっかり見る。
視線を銃に向けたのを見計らい―――
「……ふ!」
「がっ!うわっ!?」
両手で銃口を床に向け、瞬時に右手を顎に強く当てる。ボーデヴィッヒの両手が緩んだ瞬間に、ボーデヴィッヒの身体を一回転して地面に落として仰向けにさせた。
周りはポカンとしている。
「ふ、これでよく10年以上も生き残れたな」
「お前は、それをどこで……!」
持っていたH&K USPは俺が持っていて、銃口をボーデヴィッヒに向けている。
それにしてもこの銃、よく手入れされている。分解したいな。
「……ではHRは終わりだ。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦を行う。ボーデヴィッヒの銃は私が預かる。解散!」
織斑先生の一声でテキパキとみんなが行動する。銃を織斑先生を渡す。
「織斑、弓塚。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」
「はい」
「分かりました」
当然だろう。さて、早く教室から出ないと。
「織斑君と弓塚君だよね?初めまして。僕は―――」
「自己紹介は後でいい。それより移動が先だ。女子が着替えはじめるから」
「確かに」
一夏はデュノアの手を取って教室を出る。コイツ、躊躇なく出来るのが凄い。
「男子は実習のたびに空いているアリーナの更衣室で着替えることになっているから早めに移動することを覚えてくれ、そして慣れてくれ」
「う、うん……」
頬が赤くなるデュノア。本当に男だよな。ますます怪しい。
「おい一夏そろそろあの集団が来る頃だ。気を引き締めろ。デュノアも」
「そうだな。今日はどうするか」
「へ?何のこと?」
「すぐに分かる。お、言ったそばからもう来たか」
何のことかデュノアは分からないようだがこれは絶対に覚えておかなければならない。
一階に降りるため階段がある廊下差し掛かったところにあの集団が来た。
「ああっ!転校生発見!」
「しかも織斑君と弓塚君もいるわ!」
あの集団とは各学年各クラスから来た情報収集に特化した女子のこと。この団体行動には先輩も後輩も関係ないそうで集団行動が凄まじい。
毎度違うルートを使っているのに先に待ち受けているので若干怖い。
「こっちよ、こっち!」
「者ども出会え出会え!」
城でも武家屋敷でもないのにそんな呼び方あるか。
「織斑君と弓塚君の黒髪もいいけど、金髪もいいわよね」
「しかも瞳はアメジスト!」
「きゃああああっ!見て見て、織斑君と転校生が手を握っている!」
「IS学園に入って良かったー!ありがとうお母さん!今度、ケーキ買うからね!」
手頃の値段がいいぞ。ショートケーキとか。
「な、なに?なんでみんな騒いでいるの?」
「ここには俺と一夏、デュノアの三人だけだからだろ」
「?」
なぜ首を傾げる。意味が分からないと顔に書いているぞ。
「男でISを動かせるのは世界で俺達三人しかいないからなおさら」
「あっ!―――ああ、うん。そうだね」
本当に男か。それはいいとして今はこの状況をどう打破するか。近くには窓がある。……よし。
「今日は窓から出るぞ」
「おいおい。飛び降りるのか?」
「ここ二階だけど危ないよ」
「大丈夫だ。安全に降りられる方法がある。俺がけむり玉を投げるから一夏は窓を開けろ。いいな」
「分かった。信じるぞ」
「僕も信じるよ」
作って良かったけむり玉、それ!
ボンッ!
「なにこれ!?」
「前が見えないよー!」
「ちょっと、私の胸掴まないでよ!」
色々と混乱しているが今のうちに逃げるか。
「肩に捕まれ。出るぞ」
「ちょ、ちょっと!」
右に一夏、左にデュノアと捕まっているのを確認して身を乗り出して外に出た。
「よっと!」
左手にしている腕時計からアンカーを出して屋上のフェンスに引っ掛けてゆっくりと下に降りた。
「007かよ」
「ちょっと工夫をすればできるぞ。使い捨てだが」
「いやいやできねーよ」
「それよりショートカットはできた。後は真っ直ぐアリーナに向かうだけだ」
「そうだね」
「あの二人目。よくも私を……!」
生まれながら軍人である。戦うための存在でずっと訓練をしていた。あらゆる武器も熟知している。
昔は落ちこぼれと言われていたが、今では私は一部隊の隊長になった。
なのに……あの男は容易く私を地面に付けるとは!!
「覚悟しろ。弓塚 士郎」
見事なCQCだ。だが、私の身体にはあの
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ちなみにですが、ラウラの近くで着替えてた女子は怯えていました。ブルブルと。
では次回もお楽しみに!