IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
それではどうぞ!
第2アリーナの更衣室に着くと時間はあと五分もなかった。
「うわ!時間ヤバいぞ!すぐに着替えちまおうぜ」
急いで一夏は制服を脱ぐ。中にISスーツを着ていないから急ぐ羽目になるのになぜあらかじめ着ない。
「わあっ!」
「どうしたデュノア?」
「な、なんでもないよ?き、着替えるからあっち……向いててね?」
「いやまあ、別に着替えをジロジロ見るつもりはないぞ。なあ士郎」
「当然だ。まあ文化の違いだろう。日本ではあまり気にしないが外国では気にする者がいると聞いている。デュノアもそうなのだろ?」
「そ、そうなんだよ!まだ慣れなくてね、ははは……」
本当に女だったなら色んな意味で問題だ。見えないように裏のロッカーに移動させた。
「あ、僕のことはシャルルでいいよ」
「なら俺も一夏でいいぜ」
「俺も士郎でいい。これからよろしく頼むぞシャルル」
「うん。ありがとう、一夏、士郎」
声だけ聞こえるが弾んで聞こえる。嬉しいのだろう。
「僕は終わったけど2人は大丈夫?」
「俺は大丈夫だが……」
「ちょっと待っててくれ、もうすぐ終わる」
ジッパーを閉めるのに一夏が必死になっている。このままではまずい。
ここは―――
「先にシャルルと一緒に出てるぞ」
「え、でも……」
「なに大丈夫さ。一夏だからな」
「ちょ、ま―――」
―――見捨てる事にした。わざわざ怒られるような事はしたくないから。
更衣室に一夏を
「良かったのかな?」
「覚えておくといい。織斑先生の授業がある時は何が何でも遅れないことだ。許されることはないと思った方がいいぞ」
「そうなの?分かった覚えておくね」
アリーナにはすでに1組と2組が集まっていた。
「弓塚、織斑はどうした?」
「後できます」
「はぁ……分かった」
いつも常備している出席簿からメキメキと音がするのは気のせい。そう気のせいだ。
「すいません!遅れました!」
「遅い!」
「ぐはぁ!」
謝罪をしたのに出席簿を喰らったか。それを見たシャルルがポカンとしているので肩を叩くとこっちを見て、遅れるとどういうことか分かったようで納得したのかコクコクと頭を縦に動かした。
「ゴホン。では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
『はい!!』
今日は二組と合同実習なので人数は倍。織斑先生から直々の指導があるので気合が入っているのか声がドンピシャに揃っている。
「今日は実践してもらおう。誰にするか。―――凰!オルコット!」
「「はい!」」
「専用機持ちならすぐに始められるだろ。前に出ろ」
鈴とセシリアが指名された。だが、2人は不満があるようでブツブツ言っている。
「めんどいなぁ。なんで私が……」
「はぁ、なんか見せ物のようで気が進みませんわね」
そんな2人に織斑先生が近づいて行く。何か言うのか?よし、集音機能を上げて、と。
「お前ら少しはやる気を出せ。―――アイツにいいところを見せられるぞ?」
「「!!」」
よく分かっている。すぐに鈴とセシリアはやる気になった。
「やはりここはイギリス代表候補生、わたくしセシリア・オルコットの出番ですわ!」
「実力の違いを見せるいい機会よね!専用機持ちの!」
やる気になったのは良いことだ。でも、それに一夏が気付かないんだよな。
「先生今何か言った?」
「いや、さっぱり。士郎は聞こえたか?」
「こっちも聞こえなかったぞ」
言ってもどうせ気付かないだろ。言ったら言ったで鈴とセシリアが傷つきそうで言わない方が正解のはず。
「それで、お相手は?わたくしは鈴さんとの勝負でも構いませんが」
「ふん。こっちの台詞。返り討ちよ」
「慌てるなバカども。対戦相手は―――」
キィィィィン………
ん?この音は物が落下する時の音。てことは―――
「ああああーっ!ど、どいてください~っ!」
上から山田先生がラファールに乗って落下している!?
「全員散開!」
ドゴーン!
ふう。なんとか指示をしたのでみんな無事ようだ。あれ、一夏はどこに?
「いてて……」
声がした方を向くと一夏がいた。だけど、下にいるのは山田先生だった。
傍から見れば一夏が山田先生を押し倒しているように見える。しかも胸を掴んでいる。ガッチリと。
「あ、あのう織斑君……ひゃんっ!」
なんと揉んだ。気付いていないとはいえ不用意に触るものではないのに。
「え?」
「そ、その、ですね。困ります……こんな場所で……。場所の問題もですが、私と織斑君は教師と生徒ですし……ああでも、このまま行けば織斑先生が義理のお姉さんってこともそれはそれで魅力的な―――」
「す、すいませ「ピュン!」へ?」
急いで離れるとさっきまでいた場所に青い光線が横切った。
「ホホホホホ……外してしまいましたわ……」
顔は笑っているが額に血管が浮いているセシリア。落ち着け。確かにやってはいけないことを一夏はしたがせめて殴るだけにしろ。
ガッシーン!
「一夏ぁぁぁぁ!!」
「うおおおおっ!?」
考えるより行動する鈴が双天牙月を連結させて両刃状態にして一夏に躊躇なく投げやがった!手間がかかる友達だ!
「はっ!」
ドンッ!ドンッ!
双天牙月が軌道を変えて地面に刺さる。一夏を救ったのは山田先生だ。山田先生の実力は織斑先生から聞いていたがこれほどとは。
両手でしっかりとマウントしているのは51口径アサルトライフル《レッドバレット》。アメリカのクラウス社製実弾銃器で、その実用性と信頼性の高さから多くの国で正式採用されて
いるメジャー・モデル。代表候補生、国家代表にも使われているので目にすることも多い。
だがあれほどの命中精度は山田先生の腕だからこそである。火薬銃は当然ながら
「織斑君、ケガはありませんか?」
「は、はい。ありがとうございます……」
驚きながらも答える一夏。まあ俺は聞いていたが一夏は聞いていなかったから驚くのも無理もない。
「山田先生は元代表候補生だからな。今くらいの射撃は造作もない」
「昔のことですよ。それに候補生止まりでしたし……」
山田先生で候補生止まり。つまり国家代表を狙うなら山田先生を越えなければならないということか。
「さて小娘どもいつまで惚けている。さっさと始めるぞ」
「え?あの、2対1で……?」
「いや、さすがにそれは……」
「安心しろ。今のお前達ならすぐ負ける」
「「む……!」」
あーあ。セシリアと鈴はまんまと踊らされている事に気付いていない。熱くなるなと言わないが冷静になることを心がけないと。
「では、はじめ!」
号令で山田先生、鈴、セシリアは上へと飛翔し、体勢を構えた。
「手加減はしませんわ!」
「さっきのは本気じゃなかったし!」
「い、行きます!」
先制攻撃はセシリア鈴組だったが、簡単に回避された。というより山田先生が先手を譲ったように俺には見えた。
「デュノア、山田先生が使っているISの解説をしてみせろ」
「あっ、はい」
急に言われたことに驚きつつ答えたシャルルは落ち着いて説明を始めた。
「山田先生が使用されているISはデュノア社製『ラファール・リヴァイブ』です。第2世代開発最後期の機体ですが―――――――」
説明を聞きつつ、上での戦闘を見ている。
セシリアのビット攻撃をよく見て回避行動をとって、続いて鈴の衝撃砲を避けて、避けきれない時はシールドでガードしてダメージを最小限にしている。俺は目のおかげで衝撃砲が見えるが、山田先生は経験と予測で補っている。伊達に元代表候補生ではないということか。
「―――といった全タイプに切り替えが可能で、参加サードパーティーが多い事でも知られています」
シャルルの説明が終わるのと同時にセシリアが面白いように山田先生の射撃で誘導され鈴と衝突して、グレネードを撃ち込まれた。
「うう……まさかこのわたくしが……」
「あ、アンタねえ……!何面白いように回避先読まれているのよ……!」
「鈴さんこそ、無駄にばかすかと衝撃砲を撃つからいけないのですわ!」
「それはこっちの台詞よ!ビット出すの早いし、エネルーギー切れるの早いし!」
「ぐぐぐぐっ……!」
「ぎぎぎぎっ……!」
どっちもどっちだろうが。山田先生を甘く見たのがそもそもの誤算。いや、最初から勝てるはずがないか。
「さて、これで諸君にも教員の実力は理解できただろう。以後敬意をもって接するように」
織斑先生がそう言うとみんなは「はい!」と答えた。山田先生は織斑先生に褒められたのか「えへへ……」と顔が赤くなっていた。
「時間が思ったよりあるな。織斑、弓塚」
「「はい!」」
「どちらか山田先生とやってみるか」
これはまたとない機会やってきた。
感想、誤字脱字等がありましたら報告お願いします。
ISの9巻買いました。個人的にはブルマの解説が驚きました。
次回は山田先生VS士郎になります。ちょっとやりたかったことをやります。ちょっとガンダムネタもやります。
それとマジコイ思ったよりかかっているのでお待ちください。すいません。
では次回もお楽しみに!