IS〈インフィニット・ストラトス〉 射手の男 作:運命の担い手
あ、お気に入り600件超えました。これもみなさんのおかげです。
それでは、どうぞ!
断っておくべきだった。
屋上に来て見ると一夏、箒、鈴、セシリアが来ていた。シャルルは少し遅れて来た。
その中でも箒が不満ありげな顔をしていた。恐らく、一夏と二人っきりで昼食をしようと思ったが俺達が来たことで予定が台無しというところだろう。
あとで何か埋め合わせるように考えておくか。
「天気がいいから屋上で食べるって話だっただろ?」
「そうでなくてはだな……!」
鈴とセシリアがいるので余計にイラついている。箒の手は2つの弁当がある。片方は自分の、もう片方は一夏のために作ってきたか。ちなみに鈴も自分のと一夏のを用意していてセシリアはバスケットがある。何が入っているんだ。
「せっかくの昼飯だし、大勢で食った方が上手いだろ。それにシャルルは転校してきたばっかりで右も左もわからないだろうし」
「そ、それはそうだが……」
バチバチと火花が見えそうなくらいに3人は互いに睨めっこしている。
「えっと、本当に僕が同席しても良かったのかな?」
それは俺も同意見。正直俺とシャルルはどう考えてもこの場には居づらい。この状況を作った一夏は何も気にしていない。悪気がないのが余計に腹がたつ。
「はい一夏。アンタの分」
「おお、酢豚だ!」
「そ。今朝作ったのよ。アンタ前に食べたいって言ってたでしょ」
今のところ、鈴の父親に関する記憶はない。何度思い出そうとしても結局思い出せなかった。楯無さんが頭に強いショックを与えれば思い出せるかもと言ってバールを取り出して俺の頭を叩こうとしたら、本音が押さえつけて、簪がバールを奪って楯無さんの頭にガン!と強いショックで気絶した。正直簪と本音のコンビネーションの方が怖かった。
「コホンコホン。一夏さん、実はわたくしも今朝はたまたま早く起きましたのでこういうものを用意してみました。よろしければおひとつどうぞ。イギリスにもおいしいものがあると納得していけませんとね」
バスケットの中身はサンドイッチだった。きれいに並べている。どれもおいしそうな感じだ。
「へえ、言うだけあるな。それじゃ1つもらうぞ」
「ええ。士郎さんもどうぞ」
「なら1つもらおう。どれほどの味なのか試してもらうぞ」
野菜と卵が入ったのを選び、口に運ぶ。その味は―――
「!?」
―――地獄だった。
なんだこれは!甘い、しょっぱい、辛い!素材の味を根こそぎ殺しているではないか!
これは料理ではない。テロだ!
「うう……」
一夏もどうやら地獄を味わっているようだ。顔が若干青い。
「どうですか。お味は?」
「あ、ああ。えっと……」
「まずい」
「え?」
「まずいと言った。聞こえなかったか」
「なっ!?どうしてですの!」
一夏は誤魔化そうとしているがこのままではこの学園全体が危ない。それに俺は料理を、素材をここまで殺しているのは我慢ならん。
「セシリア。味見はしたのか?」
「いえ。本に書いてあったようにできたのでしていませんわ」
「そうか。なら食べてみろ。本に書いてあったようなままにしたらどうなるか」
「ひどいですわ。こんなにおいしく―――」
サンドイッチを1つ食べるとセシリアがみるみる青くなってくる。
「とても……まずい……ですわ……う……」
自分の料理がのどれくらいのモノかよく味わったようだな。味見は重要。食べてもらう相手のことも考えなくてはならないからだ。
「で、どうすんのこれ」
「全部食べるのはどうだ?」
「それじゃ午後の授業は出れなくなるぞ。俺はもう十分だし」
「でもこのままじゃまずいよね」
とにかくこれをどう処分すればいいか。
食べる。これは却下。午後は保健室のベットでお休み行きだ。
捨てる。これも却下。捨てる場所がない。それにここは屋上。ゴミ箱がない。
さて、どうすればいいものか。あ。
「このサンドイッチ全部もらうぞ」
『え?』
バスケットにあるサンドイッチ全部を俺の弁当の包みに入れて影に移動して一夏達に見えない位置に来た。
「……おい。ザイードいるか?」
「ここいいますぞ」
一夏達に見えない位置にきた。常に監視しているとこの前聞いていたがすぐに来るとは驚き。
「これおまえにやる」
「え?これは?」
「サンドイッチだ。とある代表候補生が作ったものだ。作り過ぎたから貰ったんだ。まだ食べていないだろ」
「これはこれはありがとうございます。では少々抜けますのでしばらく警戒を怠らぬよう注意してください」
「ああわかっている。じゃあな」
「はい。では」
煙のように消えて去って行く。
すまんザイード。そして死ぬなよ。
「あれ?サンドイッチはどうしたんだ」
「この前出かけた時に知り合ったやつに送った。味のことは一切言わずに」
『うわぁ……』
後悔はしていない。反省もしていない。俺はタダで食べ物をあげただけ。
「次は箒のをもううぞ」
「あ、ああいいぞ。私のはこれだ」
弁当の中は鮭の塩焼きに鶏肉の唐揚げ、こんにゃくとゴボウの唐辛子炒め、ほうれん草のゴマ和え。バランスがとれた献立になっている。
「おお!どれも手が込んでそうだ」
「つ、ついでだついで。あくまで私が自分で食べるために時間をかけただけだ」
「そうだとしても嬉しいぜ。箒、ありがとう」
「ふ、ふん……」
鶏肉の唐揚げは先日教えたことので早速使って来たか。
「ねえ、ケ……士郎。一夏ってもしかしてあれが普通なの?」
「もしかしなくてもそうだぞ。あれくらいのアピールだと誰しも気付く筈なんだが一夏はそれでも気付かん。つまり鈍感ということさ」
「ははは、そうなんだ」
一夏のアレは鈍感を超えた鈍感。シャルルが疑問に思っても不思議じゃない。
それよりケ、てなんだろうか。何か言いかけていた気がするが……気にするほどではないか。
「おお、うまい!これって結構手間がかかってないか?」
「味付けは生姜に醤油、おろしニンニク。それとあらかじめコショウを少しだけ混ぜてある。隠し味には大根おろしが適量だな」
「本当にうまいぞ、箒」
生姜、醤油、おろしニンニクは教えたが、コショウと大根おろしは箒なりの工夫か。
料理を教える前は味のないチャーハンだったのに自分で工夫するまでになるとは教えたかいがあったものだ。
ちなみに料理を教えているのは誰にも言っていない。そうでないと鈴とセシリアが押しかけて来そうな気がする。
「箒も食べてみろよ。ほら」
「そ、そうか。それもそうだな。食べてみるか。あむ」
「「ああああああああああ!!」」
何やっているんだこの馬鹿は。一夏が箒に唐揚げを箸で食べさせた。なんでそんな風にできるのか不思議。一夏に関しては考えるのをやめた方が楽だとこの頃感じてきた。
「あ、これってもしかして日本でカップルがするっていう『はい、あーん』っていうやつなのかな?仲睦まじいね」
「ただしカップルでもないのにするのが一夏だけいうことだと付け加えておくぞ」
「それもそうだね」
何気に一夏に毒吐いたなシャルル。
で、その後は1つずつおかず交換となった。人気だったのはなぜか俺の卵焼きだった。一夏達は「こんなうまい卵焼き食べたことない!」と言っていた。
それと今日の俺の弁当はゴマ塩をかけたごはんに卵焼きの2つだけ。なぜこの2つだけになったのかというのは朝の料理番組を見ながら料理をしていたらフライパン一杯に卵焼きをしていた。そのせいで他のおかずを作るのをやめて、この2つになった。
一方あのザイードはどうなったのかというと―――
「おーい。飯にしよう」
「え、俺達別に食べなくても大丈夫なんだぞ?」
「そう言わずによ。ほれ」
『おおおお!』
ある森の中で髑髏の仮面をかぶった者達がいた。それはザイードの中まである。人数は10人ほどで年齢はそれぞれ違い、体格も違う。子供のように小さい者や背が2メートルを超える者とバラつきがある。
「これどうしたんだよ」
「へへ。士郎殿からいただいたのさ。なんでもある代表候補生が作り過ぎたから貰ったそうだ」
「ほー。なら食べてみるか」
「そうだな。そんじゃいただきまーす」
『あむ………………………………!?』
食べてすぐに彼らの表情がみるみる青くなった。
「辛い!」
「甘過ぎ!」
「苦い!」
「しょっぱい!」
「味がねぇ」
「噛めば噛むほど味が……変わる!」
セシリアのサンドイッチはどれも味にバラつきがあり過ぎ。それゆえにまともなサンドイッチが1つもない。
「このまずさは……あの人が作ったのに似ているな」
「ま、まさか!」
「ああ。だとするとこれはあの人の娘が作ったのだろうよ」
「今思い出したんだが娘さんは確か代表候補生だったな。それで士郎殿はとある代表候補生と言ったのか。人が悪い」
彼らが明日の昼まで苦しんでいた。
そして胃薬がこれほど恋しいほど思ったことはないと後に語る。
感想、誤字脱字がありましたら報告お願いします。
実はですね、この頃行き詰る事が多くなってきたので別のを書こうと思っています。
内容はシリアスじゃないようにするつもりです。
それでは次回もお楽しみに!