あべこべ世界でVやろう   作:ヨォ

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前回の3倍くらいの文字数だよ


配信中だヨォ

「みんなゲンキだネェ。通学中カナ?通勤中カナ?在宅勤務の作業用BGM代わりに覗きに来たのカナ?」

 

敢えてカタコトを意識してマイクに声を拾わせる。

日本語に慣れてない風を醸し出す。

 

『漫画描きながら聞いてるよ』

『私は通学中です。

 友達と一緒に電車の中でみてまーす!』

『自宅を警護しながら見させてもろうてるわ』

『ビッチをボコりながら見てる』

『なんか格闘漫画の主人公がいますね』

クリボー:¥1000:オメーの配信をながら見なんぞするか!

『クリボーネキ!?』

『ピーチに踏まれて死んだ筈じゃ…』

 

オレの外見…Vtuberとしての顔は、四角黒縁メガネ青色の目に、もじゃもじゃの青髪が七三分けならぬ五五分けで左右に分かれていて白衣を着ている…いわゆるヤブ医者、マットサイエンティストっぽいアバターだ。

 

白衣のサイズがブカブカに設定してあるため…なんだっけか、萌え袖?みたいになっている。種類がまた違うかもしれないが大体そんな感じである。

 

そんで、オレが頭を掻くと、

連動して(がわ)も頭を掻く。

 

初めて見た時は感動したし、ぶっちゃけ今でも科学の力ってスゲーって思ってる。

 

カタコトなのはアバターが外国人っぽいからなのと、『この国の言語に慣れていない外国人の若者』という初期設定を守っているからである。

 

まぁ、嘘は言っていない。

実際異世界からの来訪者…亡命者だしな。

 

……まぁ、既に13年も滞在しちゃってるが。

そのせいで魂の年齢は30を超えた。

もう立派なオッサンの仲間入りだぜ…。

肉体はまだ13歳なのにな。

 

んで、13年もいれば流石に慣れてくるかと思ったが…状況が特殊なこともあって、殆ど外出出来ないからなぁ。

 

外の世界は未知がいっぱいだ。

 

TVやネットだけでは

わからない事もあるだろうし。

 

そんな事情であればカタコトでもギリギリ押し倒せる筈…という考えのもとこの設定が組み上がった。

 

まぁ、それはともかく。

クリボーネキと呼ばれるスパチャ(投げ銭のようなもの。しばらくの間名前がコメントに表示されるようになる)を投げつつコメントをくれた人物に返答しないとな。なんだかんだ初期からの付き合いだし、気楽な感じで。

 

「オォ!クリボー・サン。スパチャありがとナ」

 

『クリボー:へっ!オメーの配信はオレの生き甲斐だからよ…止まるんじゃねぇぞ…』

『死んだ!?』

 

死んだ!?

 

『クリボー:勝手に殺すな!!』

『生き返った…』

『クリボー:だから死んでねぇっての!』

 

すまんクリボー。

オレも死んだと思った。

だって流れがあまりにオルガだもの。

 

ちなみにこの世界にもガンダムは存在する。しかし、アムロとかオルガは女になってた。

 

というか登場人物全員女だった。仮面ライダーも戦隊もウルトラマンも同じ現象が起こってる。

 

プリキュアはそもそも存在してない。

この世界だと男が戦うことなるからきっとボツになったんだろう。

 

男は出るには出るが、それも日常系のアニメや逆ハーレムモノ(この世界ではハーレムモノ)数は少ないが異世界モノにしか出てこない。

 

その異世界モノでも僧侶系の戦闘しないジョブだったのだ。

 

なんだかんだでここがあべこべ世界なんだなと強く感じた出来事である。

 

閑話休題。

 

「若干残念そうで草だネ」

 

『あぁ、とうとう圭ちゃんがネット用語を使い始めてしまった…』

『(割と最初から使ってなかったか?)』

『クリボー:どうすんだよ男にこんなの覚えさせちまってヨォ…それもショタだぜ?』

『半分はクリボーネキが原因だけどな!』

『初期の頃から丁寧に教えてこんでいましたよね?』

『クリボーサイテー!』

『でも私たちの手で少年を魔改造してると考えると…興奮しない?』

『しますねぇ!(食い気味)』

『それな』

『それな』

『それな』

『この流れさっきも見たぞ!』

『"イザナミ"だ!』

『クリボーサイコー!』

 

「お前ら手のひらドリルでできてんのかヨォ!?」

 

思わず笑いながら突っ込んでしまった。

性欲に忠実過ぎないか?

 

『何言ってんだドリル持ってんのはお前だろ』

『股間に立派なモノあるでしょ?』

 

…忠実スギィ!

アウトだぞそのコメント。

じゃけん通報しましょうね〜。

 

「おっと手が滑った」

 

【まりもっこり さんがブロックされました】

【目玉焼き さんがブロックされました】

 

【まりもっこり さんが通報されました】

【目玉焼き さんが通報されました】

 

『おっと手が滑った(ユーザーブロック)』

『おっと手が滑った(通報)』

『容赦なくて草』

『クリボー:いや残当だろ』

『魔改造云々はセーフなのか…』

『ジュースとビールみたいなもんじゃね?』

『例えがようわからん…』

『性癖語るのと性器を見せつけるのとじゃまるで違うだろ?つまりはそういうこと』

『まりもっこりと目玉焼きか性器扱いされて笑う』

『ネタにできるかできないかの違いじゃないかな』

橙姫:¥200:こういう連中を野放しにしてると芋づる式にどんどん湧いてくるからね。早めに対処しといて正解

『デイジーネキ相変わらず橙じゃないのな…』

桃姫:¥5000:もっとスパチャの値段上げて、どうぞ

『橙姫:アンタみたいにリッチじゃないのよ!』

『姫同士で格差が出てる』

『世知辛いなぁ…』

 

「アイアイそこまでだゾ。

 これ以上は外交問題になるからナ

 アト桃姫さん橙姫さんスパチャありがとサン!」

 

外交問題ってのは冗談だ。桃姫さん橙姫さんか本当の姫さまだとも思ってない。ただ、コメント欄で喧嘩が起こると収めるのは難しい。一度火のついた喧嘩は中々止まってくんないしな。

 

だから少し茶化しつつ始まる前に潰すのが最善手。

本題が始まる前に問題が起きてちゃ世話ないぜ。

 

「まーそろそろ始めようカナ。今回はタイトルにもある通りピーチメーカーやってくヨォ。今日はどんなコースに出会えるカナ」

 

カチャカチャとコントローラーを動かしてゲームを起動させる。もちろん機器はSwitchだ。

 

技術レベルは元の世界とそこまで変わらないのか、生活レベルは殆ど変わらないのがありがたい。

 

ゲームの種類も一部ない物もあるが充実している。

 

SUPER PEACH MAKER!

 

『待ってました』

『キタコレ』

『スーパーピーチメーカー!』

『タイトルコールは基本』

『この起動音超好き』

『わかる』

 

【スーパーピーチメーカー】略してピーチメーカー…そこまで訳せていないが、定着してしまったので仕方ない。

 

ゲーム内容は

【スーパーマリオメーカー】とほぼ同じだ。

 

自分でコースを作り投稿できる。

世界中の人にプレイしてもらえるのだ。

無論いいねボタンもあるし、コースにコメントを書くことも可能。

 

ただ、この世界ではマリオとピーチの立場が逆転しているため、ピーチ、デイジー、キノピコ、キノピコの色違い(キノピノ)の4キャラクターから操作することになる。

 

「んー前々から言ってるけどヨォ…やっぱりマリオ操作したいんだよナ」

 

前世持ちのオレからすると違和感がすごい。

マリオのゲームなのにマリオが操作できないとか斬新過ぎる。

 

この世界ではピーチのゲームだけどな!

 

『また言ってるよ』

『気持ちはわかる。でも男を危険な地帯で走らせるのはちょっと気が引ける』

『えっマリオをギザギザにぶつけたくないの!?(リョナ好き並感)』

『桃姫:気持ち悪いです』

『橙姫:アンタがぶつかってたら?』

『クリボー:逆に刻まれてろ』

『リョナネキスパチャ勢からボッコボコで草』

『でもクリボーネキは前にピーチに踏まれて喜んでましたよね』

『クリボー:職業病だ。同じにすんじゃねえ』

『草』

『抜』

『種』

『植』

『芽』

『花』

『蕾』

『果』

『収穫』

『販売』

『完売』

『すげえなwww』

『農業勢の華麗な連携始めてみた…』

『てっきり種から下ネタコメがくると思ってた私は汚れてる』

『大丈夫だ基本女は汚れてる』

『悲しいなぁ…』

『何も大丈夫じゃ無いんだよなぁ…』

 

そりゃそうか…。

確かにこの世界の感性だとそうなるかぁ…。

ってか農業勢連携すごいな…。

 

でも言霊って言葉もあるくらいだし言い続ければきっと声が届く事もあるかも知れない。

 

オレはいくらでも待つぞ。

 

「マァ、運営さん実装待ってまスってことで」

 

『せやな』

『おっ、そうだな』

『かわいいショタ直々のお願いだ。きっと気合を入れて作ってくれるさ』

 

コメントもなんだか慰めムードになって来た。

うーん…そもそも社員の人が見てくれてるとも限らないしなあ。

 

「だといいけどナァ」

 

『いやでも今更だけど影響力半端ないからね』

『Vtuberが認知され始めたの圭ちゃん(男)が活動してるって広まったからだしな』

『普段着てるって言ってたアニメのTシャツ売り切れ続出になったの知ってます?』

 

「知ってる。その節はちょっと頭を抱えたもンだヨォ…マネージャーに怒られたしネ。cm断ったのもやりたいことでもないのにワザワザテレビに出るのもなぁ…って考えだしナ」

 

そのTシャツ売ってる会社から感謝とCMスカウトの電話が事務所に凄い勢いでかかって来たらしく珍しくマネージャーが疲労困憊になっていて、もうちょっと考えて発言してくださいと小言を言われてしまったのだ。

 

いくらでも払うと言われても金はゲーム買えるだけ有ればいいし、毎回有難いことにスパチャを投げてくれるお陰で資金も潤沢。

 

とどのつまり、やる必要がない。

それに市場を混乱させないでくれとマネージャーに泣きつかれた以上、出演するわけにはいかなくなってしまったのである。

 

「でも今回は規模が違うし大丈夫デショ

 …それはそれで悲しいケド」

 

そう、今回は流石に

現実的に無理があるので心配はない。

 

実機一人追加するのだって重労働で時間もかかるし、多分DLC行きになるからどれだけ売れ行きが伸びるかわからない。

 

そもそもコメントにもあったが、

男を危険なコースで走らせる事に罪悪感のような物を覚える人もいる。

 

その方面からの批判もあるかも知れないのだから、可能性は限りなく低いだろう。

 

「というわけでこの話は終わり!

 ランダムコースで…遊ぶゾー!」

 

『イクゾー?(幻聴)』

『デ』

『ン』

『デ』

『ン』

『カ』

『デ』

『デ』

『I』

『ン』

『クリボー:デンデンカデデーンってなんだよ!』

『なんで農業はできてこっちはできないんだよ!』

 

今日も仲のいいコメント欄に若干上機嫌になりつつも、オレはゲームを開始した。

 

 

 

 

ランダムコース。

ピーチメーカーの機能の一つで、

無数に存在するステージの中からランダムに選んで挑戦するモードだ。

 

その性質故に簡単すぎるコースに当たることもあれば、鬼のように難しいコースに当たることもある。

 

今回は後者だった。

 

「うおおおおお!2マス壁キックゥゥ!!あっなんでそこでズルんだよマッ!!」

 

『あらら』

『キャラ変わってますよ』

『今回の切り抜きポイント』

『マッ(死亡)』

『男でもこんな高い声出せるんだね…』

 

下から迫り上がってくるマグマのスピードに負けないように上に登っていく単純なステージ。

 

しかし登り方が問題だった。

 

ブロック2マス分の広さしかない中で、壁キックしながら登っていくという方法なんだが…3マスならやり易いが2マスだとほんとに辛い。

 

タイミングが掴みづらい上にちょっとでもズレると壁を蹴れずにズリズリと操作キャラが壁に捕まりながら徐々に落ちていくのだ。

 

これを通称【ズル】という。

【ズっちゃう】とも言う。

 

そしてそんなステージを何回もやっていたら手がジンジンしてきた。明らかな危険のサイン。

 

一旦休憩しよう。

考えるのも面倒くさくなって来た。

コメントはもう反射で返していこう…疲れた…。

 

「アー…すみません。

 一旦雑談に切り替えまス」

 

『まぁしゃあないわなw』

『かれこれ24回も連続でやってるしね』

『絵的にもそろそろ飽きが来るな』

キャベツ:¥2000:でもショタの悲鳴を聞けて私は満足してますよ

『さてはリョナネキだな?』

クリボー:¥3000:千切りになってろ

桃姫:¥6000:煮込まれてスープにでもなっててくださる?

橙姫:¥200:そしたらアタシに頂戴。美味しく食べてあげる

『リョナネキに負けじとスパチャしてるクリボーネキと桃ネキに比べて橙ネキはさぁ…』

『橙姫:なによ!100円もスパチャしてない貴方達よりはマシじゃない!』

X:¥2000

カリバー:¥2000

ライダー:¥2000

パンツ:¥2000

『橙姫:(´・ω・`)』

『みんな要求額の20倍払ってて草』

『橙姫より橙してる…』

 

「やめたげてヨォ…!200円でも嬉しいから…!橙姫さんをイジメないであげテ」

 

『橙姫:圭ちゃんさん…!』

 

「ア、それはそれとして、スパチャしくれたキャベツさんクリボーさん桃姫さんXさんカリバーさんライダーさんパンツさんありがとうございマス」

 

『橙姫:圭ちゃんさん…』

『上げて落とす』

『落胆がコメから滲み出てて笑う』

 

…おっと不味い。

橙姫さんはクリボーさんや桃姫さんと同じく初期からの付き合い。

 

好感度が下がってしまうのは心苦しいし、何か別のアプローチで機嫌取らないと。

 

……確か、オレの身の回りで起きた事件的な話題が好きだったよな?橙姫さん。

 

なら、今朝起きたばかりの新鮮なネタがある。

それで挽回しないとな。

 

それに、リスナーのみんなは兄さんの話が大好きだから一石二鳥でもある。

 

「あーそういえば今日、兄さんがナ?」

 

『おっ、お兄さんの話題だ!』

『キター♪───O(≧∇≦)O────♪!』

『圭ちゃんさん!お兄さん共々私にください!』

『クリボー:あぁん!?』

『X:ンダトゴルルァ!?』

『ステイステイッまだまだッ』

リンゴ:¥50000:お願いします!

『金で釣ろうとしたな!』

『今だ行けッ!GO GO GO!!』

『リンゴ:ウァァァァァァァァ!?』

『おしい人を亡くした』

『い抜き言葉やめろ』

『おいしい人で草』

『橙姫:ちょうだい』

『食うの!?』

 

「五万っ!?リンゴさんスパチャありがとナ!でも無茶なスパチャはしないでネ!?あと橙姫さん食べちゃだめだヨォ!」

 

最大金額投げてくるとかマジでやべえよこの人。

ガチじゃん。いやネタだろうけどさ!

流石に心配になってくるぞ。

 

とりあえず麦茶を飲んで…ふぅ。

よし、切り替えよう。

いつまでも動揺してられない。

皆も兄さんの話が気になるだろうしな。

 

『飲み物でも飲んだ?』

『嚥下音がセクシー…エロイッ!』

『今回の切り抜きポイントその2』

 

…思春期男子かよぉ。

無視だ無視。話が進まん。

 

「みんな知っての通り兄さんは学校に行ってるんだけどナ?その登校中に性犯罪と出くわしたらしいンだヨ」

 

『カリバー:!?』

『!?』

『!?』

『ファッ!?』

『!?』

『パンツ:マジで!?』

『キャベツ:興奮して来たな』

『やっぱり治安悪くなって来てるよな、日本』

『桃姫:大丈夫だったの?』

『リョナネキはさぁ…』

『パンツの後に興奮は不味いですよ!』

『圭ちゃん兄大丈夫か!?』

 

おおう。怒涛のコメント量。

最初のこれくらいしか拾えなかったぞ…?

やっぱ愛されてるなぁ兄さん。

 

「落ち着ケ落ち着ケ。もう警察に捕まってるし幸い腕掴まれたくらいで済んだみたいだからサ」

 

『マ?』

『よかった』

『クリボー:よくねーよ!』

『橙姫:よくもお義兄様に触れてくれたわね…!』

『桃姫:貴方の兄さんではないわよ?』

『ライダー:ぜってぇゆるさねぇ!』

『パンツ:桃姫字面だけでもプレッシャーやばくて草も生えない。ちびった』

『どうやって助かったの?』

『ってかどうやって知ったんだ?』

 

「オレが洗濯と掃除してるときにメールが送られて来たんだヨ。性犯罪者発見、警察に通報してくれってナ。でもヨォ…警察待ってちゃ手遅れになるかも知んないから、おんなじバスに乗ってる兄さんの知り合いの番号調べて電話したんだヨォ…バスの速度上げれば警察より早く着くかも知れないっテナ」

 

兄さんはバス停にくるまでの道は平坦な道路しかないと言っていたし、何より朝早い時間だったからほかに車もいないだろうし、速度上げても事故る確率は低い。

 

事情をバスの運転手に伝えればもしかしたら…と考えて学校の連絡網から適当に選んで電話したのだ。

 

ちょうどバスに乗ってる人で助かったよ。

 

で、その結果、電話してから3分くらいで女子全員で取り押さえました!との報告が返って来た。

 

その女子…神崎さんは、オレの電話番号をゲットした上に兄さんと友達になれたと電話口で嬉しそうに

 

「高校で初めて

 友達が二人もできて嬉しいです…えへへ」

 

と、話していた。

無害そうな子で安心した次第である。

 

しれっとオレも

友達認定されてたが特に問題はない。

むしろ現実(リアル)で友達ができてこっちも嬉しいのだ。

 

今度一緒にゲームでもしてみたい物である。

 

「とまぁ、そんな感じで助かったのヨォ。その後警察が来て性犯罪者は逮捕されたんダ。兄さんも兄さんで口先八丁で性犯罪者が逃げないように、襲われないように立ち回ってたらしいしナ」

 

『はぇ〜すっごい判断力』

『圭ちゃん兄もよく性犯罪者相手によく粘ったな』

『やっはすげぇよこの兄弟』

『友達になれた子羨ましい』

『Vtuber化キボンヌ』

『電話で話したくらいで気が早すぎる…』

『圭ちゃん兄Vtuber化キボンヌ』

『それはわかる』

『でも男が態々女だらけのネットで活動するかね』

『圭ちゃんしてんじゃん』

『それは圭ちゃんが特殊過ぎるだけなのでは』

 

「うーン…まぁ、オレは元々メンタル強い方だと思ってるしネットくらいなら別に平気だけド…」

 

テレビでも

街中を歩く男の姿はあまり見かけない。

じゃあ家で何してるの?

と聞かれてもオレは分からん。

 

男はメディア露出を嫌う傾向にあるのだ。

 

『性犯罪者って無闇矢鱈に襲いまくるイメージあったけどどうやって足止めしてたんだろ』

『X:物理?』

『クリボー:な訳ねぇだろ口先だってんだろが』

『性犯罪に殴り勝つとかどんだけ鍛えてんだよって話だしな』

 

「いやあ…殴り勝つなんて無理無理。こちとら13歳のもやしっこだゾ?兄さんだって16歳だけどアスリートレベルで鍛えてるわけじゃないしネェ」

 

部活はしてるけど、それでも一般的な男子高校生レベルの筋力量だしな。まさか大人に勝てるほどではあるまい。

 

そもそも男の筋力量が女より劣るこの世界ではアスリートになるのも予想以上に努力が必要だろうし。

 

「…もしかしてマリオが参戦しないのもそういう理由で…?」

 

『そうかただの筋力不足だったのか!』

『パワーアップアイテム使えヨォ!』

『クリボー:そしたらオレが死ぬ!』

『キノコを食べて大きくなる!』

『下ネタかな?』

『でも実際マリオって何回もクッパ姫に攫われてんのに良く心折れないよな』

『マリオ=圭ちゃん兄説』

『そもそも拐われてないぞ?』

『そしたら圭ちゃんがルイージになるんですけど』

『全然臆病者じゃないな!』

『早速説が破綻してて草』

 

いや結構臆病者だぞ?

外出るの面倒臭いしな!

 

『ルイージって誰?』

『…そっか2、3回くらいしか登場してないもんな知らない奴もいるか』

お節介焼き:¥200:この世の男の具現化みたいなキャラ。デイジーと恋仲という説もあるが殆ど登場せず家でマリオと二人暮らしをしている。ルイージが拐われないのはただ単純にクッパ姫の好みではないからと言われている

お節介焼き:¥200:マリオは魔法使いの末裔なのではという説があり、抵抗できないにせよ心を頑丈にする魔法を使い精神へのダメージを和らげているのではないかと語られている

 

「お節介焼きさんスパチャ及び解説ありがとナ!そんな設定あるんだネェ。勉強になったヨォ…さて、そろそろ再開しまスか」

 

『おっ、マジか』

『がんばれー!』

 

充分休憩できたし、次こそクリアしてやる…!

オレは気合十分で再チャレンジボタンを押した。

 

 

 

 

 

とある会社。とあるオフィス。

その一角で二人の黒いスーツを見にまとった女性たちが顔を突き合わせていた。

 

『んー前々から言ってるけどヨォ…やっぱりマリオ操作したいんだよナ』

 

「…とのことです部長。男性Vtuberの圭ちゃんが実装を望んでいるようです」

 

その長い黒髪を後ろで束ねたポニーテールの女性はスマートフォン内で流れる動画を部長と呼ぶ女性に視聴させている。

 

その動画を視聴している部長と呼ばれた茶髪のショートに丸メガネをかけた女性は顔を緩めながら…しかし真面目な口調で切り返す。

 

「うーむ…しかしいくら男が望んでいるとはいえ、開発に注ぎ込んだ金額分以上取り返せるかどうかね」

 

「前々からマリオ実装を望む声はありました。需要は充分あるかと」

 

「…それは私も把握している。

 だが問題点はそこではない…わかるか?」

 

部長の問いかけにポニーテールの女性は間髪入れずに答えた。

 

「声優…ですね」

 

その答えに満足そうに頷いた部長はカップに注がれたコーヒーを飲み干してから再び二人だけの会議を再開する。

 

「そうだ。『作る以上はクオリティの高い物を』が我が社のモットーだろう?男性キャクターに男の声をつけなくてどうする…仮につけられたとしても出演料はバカにならんぞ。それとも、安く済むアテでもあるのかな?」

 

これで諦めてくれると助かる。

万が一彼女の案が通ったとして、仮に失敗してしまった場合、責任を負うのは自分なのだ。

 

なるべく無茶は避けたい。

そんな思いで吐き出した、半ば八つ当たり気味の論は、彼女の一言であっさりと突破された。

 

「アテはありますよ」

 

「なにっ?」

 

自信満々。

どんな伝手があるというのだろうか。

家族か?親戚か?はたまた男の弱みでも握ったか?

 

「圭ちゃんにオファーを出すんです」

 

正解はそのどれでもなかった。

 

「圭ちゃんに直接か!?いいかもしれんが仮に取れたとしてもしかしやはり出演料が…」

 

思いがけない提案にたじろぐも、なんとか反論を述べようとするが、それを遮るようにポニーテールの女性は矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。

 

「圭ちゃんはやりたいことでもないのにワザワザテレビに出たいとは思わない、と話していますが…裏を返せばやりたいこと、自分が得することであれば好んでやるということになります。以前の配信ではお金に困っていないとも話していたため、女性声優と同価格で通る可能性は高いです」

 

筋は通っていると部長は思った。

もしかしたらいけるかもしれない、とも。

 

「…むぅ、なるほど。

 わかった。上に掛け合ってみよう」

 

数分間検討した結果、

重い口を開いて出たのは承認の言葉。

 

ポニーテールの女性はホッと肩を下ろし、笑顔で大きく頭を下げた。

 

「ありがとうございます!」

 

「ただ許可が取れたら交渉はお前がやれよ」

 

「え、いいんですか!?」

 

「私は男の前だとあがり症が出てしまうからな…他に適任は…いるにはいるが怪しい奴ばかりだし、頼んだぞ」

 

「はい!全力で務めさせていただきます!」

 

 

後日、圭の所属するVtuberの事務所に仕事のオファーが寄越され、マネージャーの胃が痛くなるのだが…それはまた別のお話である。

 




感想、評価、お気に入り登録ありがとう!
感謝だヨォ!

今回長かった?

  • 長い1話か2話くらいの分量にしろ
  • このままでいい
  • もっとVtuber描写長く
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