あべこべ世界でVやろう 作:ヨォ
すみません。その上前回の3分の2くらいの文字数で後半になるにつれて雑になっていきます。そして今回はV要素のない日常編です。
期待していた皆様、重ね重ねお詫び申し上げます。
趣味で投稿しているのでどうかご容赦ください。
[side 佐藤 巧]
冬休み。
数多くの
ある人は喜びを雄叫びに表し、
またある人達は何処へ遊びに行こうか思案する。
正直、僕も嬉しさを隠せないでいる。
その証拠にニヤニヤが止まらないし、
「たっくんご機嫌だねー!」
ってお姉ちゃんに言われたしね。
隠しているつもりはなかったけど、そこまで表情に出るものなのかと自分の素直さに少し驚いた。
けど、そうなるのも仕方がないと思う。
実際、冬休みというのは魅力たっぷりだ。平日の昼間からゲームセンターで遊ぶことも、一日中家に篭り本を読み明かしてもいい。
自由で気軽で…なんとも心地の良い。
この心地よさはきっと、勉学や仕事に励んでいる者にしか理解できないだろう。普段から長期休暇のような生活を送っている人にとっては、なんの面白みもない日常の延長なのだから!
くぅ〜!わっしょいわっしょい!
やっほ〜い!バンザーイ!
…こほん。
思わず小躍りをしてしまった。
これは恥ずかしい。
…ま、まぁでも課題も出ているから、自堕落な生活を送り続ける事はしないけどね。
学生として、
適度に休暇を楽しみつつ勉学に励むとしよう。
そして今日はその一環。
休暇の側面を持った本日の日付は……12月24日。
そう、クリスマス・イブである!!
【side 佐藤 圭】
今日は12月24日。クリスマスイブだ。
オレはそれ用の飾り付けをやっている所である。
毎年のことだが、大事な行事な訳なので手抜きは許されない。ってわけでクリスマスツリーやらご飯の支度やらで昨日から大忙しだぜ!
それに、今日はスペシャルゲストが泊まりに来るし、俄然やる気が出るってもんだ!
因みにゲストの性別は当然女である。
普通なら貞操倫理的にアウト。
が、今日は姉さんがいる上に信用のある人物、ということを加味すればギリギリセーフになる…とオレは思ってる。
…結構危ないラインを綱渡りしている気もするが、なるべく考えないようにしよう。
寝床は別にする、自室で寝るときに鍵をかける等の対策するから大丈夫だと考えていいはずだ。
閑話休題。
飾り付けをしているとは言っても無音かつ無言で作業するのは気が滅入るのでTVをつけながらしているわけだが…。
どうやら世間はチキンやケーキ、
年末の過ごし方の話題で持ちきりのようである。
中には
『仮面ライダー新商品発売!』
『家に籠ってるから漫画消化しまくれて助かる』
『ああ〜心がぴょんぴょんするんじゃあ〜^ ^』
『今年のゲームは豊作だった』
等の話題で盛り上がっている層もいる。
…そういや、兄さん。
つまりこの世界の現役の高校生ってクリスマスの何が楽しみなんだろ。
やっぱりプレゼントか?
オレん家は、去年まで集まれる家族でプレゼント交換をしていたため、今年もそれに倣ってオレも【
プライドを傷つけたら口聞かなくなるとかあったりするのかね?その辺はよくわからん。
因みに、姉さんが高校生の時はオレはまだ3歳だった為判断基準には入れられない。
いくら捻くれてても
赤ん坊に手出すやつなんていないし、
赤ん坊に当たるやつもいないだろうからなぁ。
そもそも男が二人もいる家庭環境で育った姉さんがこの世界の基準になり得るか…?
という疑問もある。
更に言えば兄さんは男だ。オレもだけど。
元の世界の男がズボラだとかは言うつもりはない。
ないんだが…
この世界の男はすごーく繊細らしいしなあ。
兄さんは大丈夫だと9割9分考えてるが、それでもちょっと心配なのである。
「…ま、大丈夫だ。多分」
そうつぶやいて
オレは作業を続行していった。
屋根裏から取り出しておいたツリーにカラフルなライトを巻き付け、姉さんが調達してきた中身のないベル、赤色や緑色のリボンを両面テープで貼り付けていく。
そして脚立を使って、ツリーの頂上にスターを飾れば…うっし完成!
我ながら中々の出来栄え。
流石に何年もやってるだけあるなあ!(自画自賛)
だが念のため
兄さんに問題ないか確認取っとくか。
「兄さーん
ツリーの飾り付けこんなもんでいいか?」
「ヒャッホイ!」
…なんか踊ってる。小躍りだ。
よっぽど嬉しいことでもあったのだろうか。
あっ、こっちに気がついた。
「うーんバッチリ!流石だねぇ!」
そう言った兄さんは一息でオレの方へ近づき、何故か頭をワシャワシャと撫で出す。
「ちょっ、兄さんどうしたよ。
姉さんみたいになってるぞ?」
思わず本音がこぼれ出る。
いつもの兄さんなら絶対こんなことしない。
だってすぐ身近に反面教師がいるしな…。
勿論姉さんのことである。
姉さんはまるで仔犬を褒めるが如くめちゃくちゃに撫でてくるから髪の毛がすっげぇ乱れるんだよ。
普段ならともかくお客さんが来る今日はしっかりと髪をセットしていたから前もって
去年までの兄さんなら『いいんじゃない?』って微笑みながら返事するだけだったのに本当にどうした?
「ハッ!
…ぼ、僕はなんてことをしてしまったんだ…っ!
お、お姉ちゃんと…全く同じ行動をとるなんて…!
これが……魔性のクリスマス!!」
「何言ってんだこいつ。
あっこいつとか言っちゃったごめんなさい」
や、余りに兄さんのイメージからかけ離れたこと(右腕を抑え苦しそうな演技しながら天を仰ぎ叫ぶ)してるからオレもバグってしまうのだ。
とどのつまり兄さんが悪いな、うん。
…さて、この場合助けになりそうな人物は…。
家には今3人しかいないから自動的に姉さんになるな!頼むぞ!
「姉さーん!兄さんがおかしくなってる!」
「ありゃりゃ…かわいいねぇ!」
「こっちもか!」
ダメだった。
寧ろ平常運転な姉さんが追加されてオレの髪は無気力系主人公みたいにボサボサになったのでした。
「兄さん。
神崎さんってあとどれくらいで着くの?」
「んっとね〜。
もうすぐだと思うよ」
「たっくんのお友達でしょ!?
お泊まり会なんて初めてだもんね!
私すっごいたのしみー!」
「今までだ〜れも連れてこなかったもんな兄さん」
「信用に足る人がいなかったからね」
「そりゃ仕方ない」
「それじゃあ仕方ないわね〜」
髪ボサボサ事件から数時間後。
粗方パーティの準備が終わり、あとはゲストを待つだけとなった。
オレ達は何をするでもなく座布団の上に座り、
長テーブルに肘をつけながら駄弁っている。
要するに暇なのだよ。
兄さんはもうすぐ着くと話してたけど、ここって結構田舎だし、"あと少し"は余り信用ならない。
話す内容も段々と無くなってくるし、話題が尽きたらその先は沈黙地獄だ。
クリスマスイブで
(何かかいい方法がないだろうか…)
そんなことを考えていると、
兄さんがポツリと呟いた。
「………しりとり」
「「!」」
戦いの火蓋は落とされ、
姉さんの目がキラリと輝きを放つ。
「りんご」
オレは兄さんの尻をとり姉さん渡した。
次は恐らくゴリラだろう。定番の流れってやつ。
「ゴリランダー」
ズらしてきやがったナ…!
この姉、本気モードである。
「ダイオウグソクムシ」
さては兄さんどう森で釣ったな?
オレに隠れてプレイしてるのバレバレだぞ。
高校生にもなってどう森は恥ずかしいとか思ってるかもしれないが精神年齢30になったオレでもやりたいんだから全然恥ずかしいことじゃない!
誇れ!
「…シリンダー」
単語は知ってるが実際何に使うか明確なイメージはできないもの。
無駄すぎる知識ではあるがしりとりでは
大変重宝する。
「ダークライ」
姉さんはポケモン大好きだな!?
後でポケモン勝負しよう。厳選なんてしてない純粋な旅パで勝負だ…!
「イカ」
姉さんがハッ、と
した顔でこちらを見ている。
…なるほど、ポケモンで『カ』といえばアイツだよな。姉さん。いいぜ、譲ってやる!
「カイロス」
な ん て な !
ポケモンGOの孵化作業で何回見たことか…。
動画でだけど。
やけに出てくるから名前覚えちまったぜ。
『カイロスめ!』『カイロスじゃねーか!!』
とはあまりに有名なフレーズである。
「…ッ!!スワンナ!」
オレは立ち上がった。
兄さんもオレに習って立ち上がる。
座んなって言われたからな!
「違うそうじゃない!」
「草」
「wwwww」
オレはニヤッと笑い
兄さんはクツクツと笑いを堪えている。
《ピンポーン…》
と、このタイミングで
玄関から呼び鈴が鳴り響いた。
スペシャルゲスト…オレと兄さんの友達、神崎さんの到着である。考えてた以上に早かったな…。
「むぅ、この負けてないのに負けた感…!」
「まあ、お後が?」
「よろしいようで」
こうして第96回佐藤家しりとりバトルは姉さんの雰囲気的敗北という形で幕を閉じたのだった。
玄関を開けると、オレと同じくらいの身長、金髪碧眼ショートカットとかいう漫画のキャラみたいな髪型した女性が立っていた。
無論神崎さんである。
眉毛薄っ。肌白っ。白すぎて心配になるレベルだ。
「はうっ、暖かいですぅ」
「第一声それでいいんですか…?」
よっぽど寒かったんだろうな…神崎さんは肩に雪を積もらせながら我が家へと入場した。
肌が白いのも寒さを我慢してたせいか?
後で暖かいココア出しておこう。
あ、兄さんが肩の雪を払った。
「神崎、いらっしゃい」
「お、お邪魔するね巧くん…」
おや?兄さんが敬語じゃないってことは本当に友達なんだな…流石にオレは年上なので敬語は崩せないけど…ヤベっちょっと泣きそう。
「え、ええっと、貴方が圭…くん?」
オレが感傷に浸りながら二人を眺めていると、遠慮がちに神崎さんが話しかけてきた。
オレはこくりと頷いて返答する。
「こうして会うのは初めてですねえ。
メールとかでやりとりはしてましたけど。
いつも兄がお世話になってます。
今日はめいいっぱい楽しみましょう」
「あわわっ、やっぱり声すっごい似てる…。
え、えっと、友達なんだし、敬語じゃなくていいんだよ…?」
「いや、流石に年下なのでそれはちょっと気がひけると言いますか」
「そ、そっか…。ごめんね無理言って」
「…いえ。
でも気持ちは受け取っておきます。
気遣いに感謝です」
どうしよう。
ここまでしおらしい人だとは思ってなかった。
メール上では結構食い気味にツッコミとか入れてくれるのに…いやオレの対応のせいでもあるのか。
この後のパーティで
打ち解けられればいいんだがなあ…。
「それじゃ、二人とも。
そろそろリビングに行こう。
きっとお姉ちゃんが待ちくたびれてる」
「「はーい…」」
兄さんの助け舟を借りて
漸く動き出すオレと神崎さん。
これ本当に大丈夫なのだろうか…?
結論から言うと、
オレの心配はまるでもって杞憂だった。
というか、
心配できる状態にオレがなれなかった。
〈GAME SET〉
〈カービィ!WIN!〉
「だー!また負けた!
神崎さん強すぎないっスか!?」
「ホントそれ!
神崎ズルしてるのかってくらい強いよ!」
「くっ、この私が最下位なんて…!屈辱ゥ!」
「へっへーん!スマブラ歴の長い私にかかったらこんなもんでーすよーだ!ホラホラ早く次選択して!」
「クッソー!次は勝つッスよ!」
「負けないからね!」
「最下位はいやだー!」
「フハハハハ!その挑戦受けて立つ!」
とまあ、こんな感じでゲームを握った瞬間、神崎さんは天才ゲーマモードになったのだ。
オレも負けじと食らい付いているので周りのフォローなんてできやしない。
そんくらい神崎さんは超強い。だけど超楽しい。
神崎さんはゲーム時の盛り上げ方が上手だからか負けてもストレスは余り感じないのがすごい。
快適すぎる…。
〈トゥーンリンク!〉
〈ポケモントレーナー!〉
〈サムス!〉
〈セフィロス!〉
それぞれの対戦キャラクターが決まった。上から神崎さん、オレ、兄さん、姉さんの順である。
神崎さんは軽量級で技の出が早いキャラクターを使う傾向があるようで、オレのような
でも一撃の威力が重く、逆転しやすいから重量級はやめらんねぇんだよなあ…。
で、兄さんは射撃系…ロックマンとか射撃Wii。最近サムスも使い始めたようで、チクチクと遠距離からダメージを稼いでくるのがめんどくさい。
姉さんは…新しいもの使いたがりだ。女版セフィロスで剣をこれでもかと振り回してくる。前までアレックス(マイクラ)ばっかり使ってた。
まあ、そんなプレイングだから戦績はかなり悪い。
けど、時折神がかったテクニックを発揮することあるから心臓に悪いぜ…。
戦績といえば、現在のやつを纏めると。
1位 神崎さん
2位タイ 兄さん オレ
最下位 姉さん
こんな感じだ。
2位タイとは話したが、
多分若干オレの方が勝ってるくらいのパワーバランスである。
「見えた!隙の糸!」
「やべっ!」
『デァッ!』
『ブファン!?』
あー…リザードンが横スマくらってぶっ飛んで負けた。やっぱ考え事しながらの操作はダメだな〜。
パーセンテージも200%も溜まってたし、これは完全にオレのミス。
「うぅ〜ん、負けたぁ!」
早くも脱落してしまったオレは、気を紛らわすかのようにコントローラーを手放し、餃子の皮で作ったピザを口に放り込んだ。
「あっ圭ちゃんずるい!」
姉さんがなんか言ってるが気のせいだ。
…うん、ケチャップとハムがいい味出してる!
餃子の皮のパリッとした食感も花まる満点。
それをコーラで流し込んで…くぅぅっ!美味い!
やっぱゲームしながらの間食が最高だわ。
ん?行儀が悪いって?
シャラップ!お黙りよ!
クリスマスパーティは別に食卓を囲むことが全てじゃない。こうしてゲームしながらピザを食べたりポテトチップスやポテトフライ、唐揚げ、コーラ…etc。
そういう体に悪そーな食べ物をこれまた体に悪そーな食べ方をする。
いつもなら絶対にやらないことだけど、年に一度のお祝いなんだから思いっきり羽目を外して楽しまなきゃいけないんだ!
普段溜め込んでるなら特にな!
…あっ、そうだ。ちょっとイタズラしよう。
オレは普段割といい子ちゃんだからな。
発散発散。
ポテトフライ2本ほど手に取り先端にケチャップを付与。こうすることで旨みが増加する。
マヨネーズでも可。
属性違いで二度美味しい。
そしてそれを今しがた姉さんを吹っ飛ばした神崎さんの口元へ運んで…。
「神崎さんあーん」
どうだこのアーン攻撃は!
動揺でそのテクニックも鈍るだろう!
「サンキュゥー!」
「あれえっ?」
な、なにいっ!?バカなっ、この世界の女性は男のこういうのに弱いのではないのか!
「きさまこのゲームやり込んでいるなッ!」
「答える必要はない」
さすが天才ゲーマーK!ゲームにおいて精神的動揺による操作ミスは決してない!
そう考えていいだろうッ!
いやしかし実際すごい集中力だぞこれは。
このあべこべ世界において、ここまでおいしいシュチュエーションで一切手が鈍らないなんてな。
「圭ちゃん、わたしにも〜」
「はいよっ、あーん」
はむっ。
マヨネーズによって味付けしたポテトフライか姉さんの口の中に消えていく。
そのまま指も食べられてしまいそうな勢いだったが、こう見えて良識のある姉さんは、ポテトの部分だけをきっちりと完食した。
やはり出来る姉である。
好感度が少し上がった。
「くっ…あっ…まって…うわっ…ああっ!」
「…なんかいやらしいよたっ君」
「まんま喘ぎ声だな…」
えろい。
好感度が上がった。
そしてそのまま神崎さんが無双して今回のしあいは神崎さんの優勝で終わり、休憩を挟むことになった。
なったのだが…。
「はうっ…やめてくださいしんでしまいます」
ゲーム時はテンション振り切っていたので平気だったようたが、いざ冷静になると恥ずかしやら嬉しいやらの感情がバグってしまったらしい。
ごめん寝の状態でプルプル震えてる。
耳はかなり赤い。キムチ又はトマトみたいだ。
……数分後、いい思い出になったよ、と吹っ切れた顔で復活してきた神崎さん。
あんた結構図太いな…と、いたずら仕掛けた側が何言ってんだと言われそうなことを考えながらもゲームを再開させた。
ただし、プレイするのは
テレビゲームではなく————人生ゲームだ!
現在時刻は20時16分。
オレたちの夜はまだまだ始まったばかりだ。