さて今回は初の戦闘回&デスゲーム開始です。
では、どうぞ
それは俺が空に向かって叫んだ直後のことだった。
・・・ブブッブッブブブブ・・・
「!?」
後ろから蜂が飛んでいるような音がした。しかも、複数。
俺は音のする方を向く。
そこには、3匹の巨大な蜂がいた。
「何でこのタイミングで・・・!」
「ドリルビー」それが奴らの名前だ。
名前の通り、ドリルのように回転する針を持った蜂だ。人の顔ほどの大きさで、
素早く、連携して攻撃してくるのが特徴だ。
針の攻撃はやっかいで、たまに針が通常の何倍も早く回転させながら突撃する特殊攻撃がある。
ちなみにその攻撃はベータの時は「ドリル針」などと呼ばれていた。なんと安直な名前か。
どうする?戦うか?逃げるか?試しにやられてみるか?
相手は今の俺より早いから逃げるのは論外。
ちゃんと黒鉄宮で復活するか確かめたいが、スタート地点があんなんだったんだ、
おかしな所に飛ばされるかもしれない。ならやめたほうがいい。
なら・・・
「戦うしかない・・・か」
そういって戦う体勢――といってもただ腰を少し落とし、両腕を構えただけだ――をとり、
敵の攻撃に備える。
敵の中の一匹が一気に俺に迫り針を突き出してくる。
俺はそれをステップで横に移動し避ける。
そこに残りの二匹が、片方は上から、もう片方は下から先ほどの蜂と同じ様に攻撃をしてくる。
「・・・・っ!」
それを俺はバックステップでかわし、上から攻撃してきた蜂の頭を殴る。
俺は直ぐに地面を転がるようにし、その場から離れる。
その直後先ほどまで俺がいた所に最初に攻撃してきた蜂の針が通り過ぎる。
俺は起き上がると後ろに跳び、距離をとって体勢を立て直す。
さっき殴った蜂のHPゲージを見る。
(十分の一も減ってねえ・・・)
今の自分の攻撃力のなさに少し驚くが、そんな思考は直ぐに捨てる。
蜂達が俺に向かって一斉に向かってきたからだ。しかも一匹はドリル針を使おうとしている。
ドリル針を使おうとしている蜂以外が一気に針を突き出しながら突進してくる。
俺はそいつらの攻撃をステップでかわし、残り一匹の攻撃に備える。
その蜂は他の蜂よりも数段早いスピードで迫りドリル針を俺に向け放つ。
俺はその攻撃を体をそらすことで避ける。そしてすれ違いざまに、
「シッ・・・!」
下から上に突き上げるように殴る。
「グゲェッ!」
そう、はき捨てるように叫びながら跳んでいく蜂。
HPゲージを見てみるとさっき殴ったときよりも減りが大きかった。
後ろから蜂が迫っていることに音で気づき、その場から一気に飛びのく。
また距離をとり体勢を整える。
気は抜けない。まだ戦いは始まったばかりなのだから!
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攻撃が来る、それを避ける、隙があれば攻撃をする、攻撃を避けながら距離をとる。
そんな戦い方をし続け、もう二十分以上たっていた。
「ハアァ・・・ハアァ・・・」
息が荒くなる。ゲームなので疲労は無いし、息をする必要は無い。
だが、精神面では話は別だ。長時間ずっと集中しながら体を動かしているのだ。
無意識のうちに脳がそういう信号を出しているのだろう。
敵のHPゲージは全てレッドまで減っていた。
対して俺はまだHPゲージはイエローまで減っていた。
やはり武器無しで戦うのは難しい。
「そろそろ・・・こっちから仕掛けるか・・・?」
そう呟く。敵のシステムはもう俺の戦い方に対応してきていた。
つまりあいつらの中では「俺がこうしたこうすればいい」みたいなものが出来上がっているのだ。
このままではとてもやりにくい。が、裏をかえせばこのままじゃなければいいということだ。
そこまで考えたら、俺は全力で地面を蹴り一番近くの蜂との距離を詰める。
初めての行動。蜂にとっては予想外な行動。それが蜂の動きを鈍らせる。
「セェッア!!」
そう短く叫びながら蜂を思いっきり殴る。
その攻撃は、相手の弱点である腹を捉え、一気に蜂を吹き飛ばす。
途中でいきなりその蜂の動きは止まり、ポリゴンの欠片となって砕け散る。
「まず、一匹!!」
次は右のほうにいた蜂を狙う。
その蜂は針を突き出し応戦する。が、その攻撃を俺は予想していたため、
その攻撃を簡単に避けて見せる。
「ラァッ!!」
攻撃が当たらず隙ができる。その隙を俺はのがさず、拳を握り、蜂を地面に叩きつける様に殴る。
まだHPゲージが残っていたが、もう一匹の蜂に邪魔され攻撃できなかった。
距離をとる。さっきまでと同じ行動、同じ状況。唯一違うのは、敵が一匹減っていること。
体力が残っていない方の蜂がドリル針のモーションに入る。
もう片方の蜂は俺に一気に近づき針を突き出してくる。
俺はそれをバックステップで避け、蜂に膝蹴りをする。
「グギャァッ!」
そう蜂が叫ぶが気にしない。
蹴られた蜂を俺は掴み、ドリル針を今まさに発動しようとしている蜂に投げつける。
当然、投げられた蜂はドリル針の餌食となり、ポリゴンの欠片となって砕け散る。
そして投げられた蜂に当たることでドリル針は止まり、投げつけられた蜂には
硬直時間が課せられる。
俺はその隙に距離を詰め、その蜂を殴る――!!
「ハアァァァァァァ!!!」
――俺の拳は蜂を貫いていた。
こうして俺の初めての武器無しでの戦闘は終わった。
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初の戦闘を終えた後、俺は「始まりの街」に移動していた。
移動する途中でスキルのことを思い出し、
「索敵」と「隠蔽」のスキルを取得しておき、
この2つのスキルを駆使し戦闘を最小限に抑えながら移動していた。
「やっとついた・・・」
周りの人達が俺に奇異の目を向けるが、俺は気にしない。
俺はとある店に行くために、街の中を歩きだす。
しばらく歩き目的の店に到着する。
「ほんと、なんでここはこんな分かりにくい場所にあるんだ?」
店の名前は「ホロン防具店」。かなりの格安で防具を売ってくれる店だ。
通常、NPCの店では商品をシステムで決められた値段、つまり定価でしか売ってくれない。
が、各層に一つだけ、見つかりにくい所に商品を安く売ってくれる店がある。
まあつまりこの層のその店がこの、ホロン防具店なのだ。
俺はそこに入り、防具を買い、そしてそれらを装備する。
どうやら防具はしっかりと装備することが出来るようだ。
「良かった~・・・」
すごい安心感に包まれる。
さっきまでは装備してる間に攻撃される
可能性があったため確かめられなかった。(けして、忘れていたとかそういうのでは無い。)
その後街を歩いていると
『おい――ログ―――が――ねえぞ』
『まじ――。GMコール―――のか?』
そんな声が聞こえる。
(・・・!?・・・そうだ、GMコールすればこのバグも治してもらえるかも・・・!!)
そう考え直ぐにGMコールをする。
が、
「・・・またかよ」
GMコールは届かなかった。
次は周りから叫び声が聞こえる。
『おい、GMコールが届かねえぞ!?』
『はあ!?じゃあどうやってログアウトすんだよ!!』
「ログアウト出来ない・・・?しかもGMコールを他の奴等もできないのか・・・?」
俺はメインメニューを開きログアウトボタンを探す。
「無い・・・だと・・・!?」
絶句する。
ログアウトボタンを押す以外、VRゲームでは、ゲームを止める方法がないからだ。
が、直ぐに考え直す。
このバグは周りのプレイヤーの話を聞く限り、どうやら全プレイヤーに発生しているらしい。
なら運営側が強制ログアウトなりなんなりをするはず。
だが、いつまでたっても強制ログアウトはおろか、運営からのお知らせみたいなのさえこない。
「本当にどうしたんだ・・・?」
色々考えるが答えはでない。
いや、一つだけ考え付いたが、あまりにも荒唐無稽なもので、ありえる筈がない。だけどそれならこの状況にも納得がいく。
(この状況が意図的なものだなんて、あるわけが・・・)
直ぐにこの考えを捨て、また考え始めるが
・・・リンゴーン リンゴーン ・・・
という鐘の音が俺の思考を遮った。
「なんだ・・・?」
直後、俺は青い光に包まれた。
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「なんなんだよ・・・いきなり・・・」
青い光に包まれた後、俺は、いや全プレイヤーが始まりの街の中央広場に強制転移させられていた。
プレイヤー達は皆、「やっとログアウトできるのか?」などといっている。
だが俺はそう考え無かった。
なぜか、それはただの勘だった。
ただ、何か嫌な予感がしただけだ。
しばらくプレイヤーの声が響くだけの時間が続く。
それもだんだん収まりはじめた時、
「お、おい!!う、上!上!!」
誰かがそう叫ぶ。それにつられ上を見ると何時の間にか、空が赤い警告ウインドウで埋め尽くされていた。
「なっ・・・!」
思わず口に出してしまう。
さらに、よく見るとウインドウの間から血のような物が垂れていた。
それは俺達の上で何かを形作っていく。
それはやがてGMのアバターがいつも着ていた、ローブになる。
そして、そのローブはこう言った。
「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。
私の名前は茅場 晶彦。この世界をコントロールできる唯一の人間だ。」
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それから茅場を名乗る人物は、次のことを俺達にいった。
ログアウトが出来ないのはこのゲームの仕様だということ。
このゲームで死ねば、本当に死ぬこと。
全ての蘇生アイテムが使えないこと。
ログアウトするには、この世界をクリアしなければならないこと。
俺はそれが信じられなかった。信じたくなかった。
が、同時に心の何処かで、何故か納得している自分もいた。
(まあ男なら、異世界に行きたいってみたいとか、普通思うよな)
と。
説明が終わると奴はこう言った。
「諸君にプレゼントがある。アイテムストレージの中に転送しておいた。」
それを聞き俺はメインメニューを開き、
そこからアイテムストレージを開く。
そこには、手鏡というアイテムがあった。
その欄をタップしアイテムを出現させる。
出現したのは只の手鏡だった。
その手鏡には、まさに勇者といった感じの顔が写っている。
「これがどうしたんだ・・・?」
そう呟く。
周りのプレイヤーたちも俺と同じ様な反応をしていた。
それはいきなり起こった。
なんの脈絡も無く、青い光が身を包む。
そしてその光が消えた時、周りのプレイヤー達の容姿が変わっていた。
いや、違う。戻っていたのだ。もとの、本来の容姿に。
俺は手鏡をみる。そこに写っていたのは、
目付きの悪い目
低い鼻
女子みたいに小さい顔
周りと比べ、明らかに小さい身長
もやしの様な体型
完璧なまでの「吉野 純一」だった。
「これでソードアート・オンラインのチュートリアルを終わる。ゲーム攻略に励んでくれ」
茅場はそう言うと、ローブは消えていった。
俺は信じられなかった。この世界に閉じ込められたことを。
これが遊びでは無くなったことを。
俺は気付けば始まりの街の門に向かって走っていた。
普通に考えれば自殺行為だろう。武器を使えないのにモンスターの巣窟であるフィールドに出るなんて。
だがこの時の俺はそんな事は微塵も考えていなかった。
胸に抱くのはたった一つ
「絶対にぶん殴ってやる・・・!」
あの
俺は門をでる。そして走り出す。
目の前に「フレンジーボア」というモンスターがいた。
「ウアァァァァァァ!!!!!」
俺はそいつを殴った。
思いっきり、殴った。
自分の思いをぶつける様に
この世界に反抗するように
どうだったでしょうか。
多分、元の作品を読んだことのある方はこう思ったはずです。
「ほとんど変わってなくね?」と、
ま、僕の文章力が上がってないのが悪いんですが。
では、また次回!