夢を見ているカズマさん。 作:たんぼ
今日は素晴らしい日だ。
なにが素晴らしいかって?
それは俺が生まれた日……とかでは無く、俺のいる屋敷には今誰もいない。
「ふっふっふっ! つまり俺のパラダイスっ!」
拳を打ち上げ、自分の自由を喜ぶ。
「ここまで長かった! あいつら魔王を倒した勇者をなんだと思ってんだ!」
この機会が訪れるまで、カズマは色々辛かった。
アクアは俺をパシるし、めぐみんは誘ってくるがあいつらのタイミングが最悪だから正直諦めた、ダクネスもなんか誘ってくるし、俺の精神は生き地獄状態だよ!
「だが、今日1日は違う!」
だが、ここからどうするか。
久しぶりの自由、無駄にするには惜しい、ただ寝るだけでは勿体無いし。
酒場にでも行くか? でもなあ、魔王倒して結構有名になり酒を飲む暇なく話が振られるからな。ダメ、却下。
冒険者に行く? いや俺は基本ニート、てかこの時間じゃカエルのクエストしか残ってないだろう。却下で。
ここでカズマの頭に電流走る。
「アイリスに会いに行こう!」
カズマは意気揚々と、屋敷を飛び出して行きましたとさ。
王城前に着いた様子のカズマさん。
「うーっす。勇者が来たぞー」
「おい、なにを入ろうとしている、許可証の提示をしろ」
ちっ、流石に顔パスは効かないようだ。
「いや、俺カズマだよ? 魔王を倒したカズマだよ?」
「それは知っている、だがそれとこれじゃ別事だろう?」
くっそコイツなんかどっかのロリコンに似てやがる。
そしてここから、門番とカズマのイタチごっこは10分くらい続いた。
売り言葉に買い言葉、そして門番との激闘は続く。
その時、カズマに幸運が訪れる。
「お兄様!? どうしてここに!?」
「よお、アイリス、遊びに来たんだ。今暇か?」
まあ、多分返事は決定されている。
アイリスは満面の笑みで返事をする。
「もちろんです! ゲームでもなんでも相手になります!」
「よしきた! まあ、そう言うことだ門番君、ここを通してくれよ?」
俺は門番にニヤリと笑い、これからの事を考えてもう一度笑い、門を通った。
アイリスの部屋にて、カズマは色々後悔した。
「お兄様、お話があります。座ってください」
「お、おいなんだよ、なんか怖いぞ」
なにか怒っている様な気配を感じ、カズマはビクつく。
「まず質問です。なぜ魔王を倒してすぐ私に会いに来なかったのですか?」
「……」
「あと! 魔王を倒したら私を貰ってもいいんです! なぜもっと速く会いに来てくれないのですか!」
なんだ、いつも通り可愛い妹か。
「おい、今の後半の話詳しく!」
今、女王の結婚の話があったか!?
「それはいいんです! さあ、冒険の話を聞かせて下さい!」
どれくらい時間が経っただろう。
窓から覗かせる景色は暗い。
だがまだ話は終わらない。
「そこでな、魔王が言ったんだ「それを知りたくば、この我を倒してみるのだな!」って、流石趣味の悪い魔王軍幹部の元締めだと思い知らされたぜ」
「でも流石お兄様です! そんな事をされても勝ってしまうのでしょう」
……俺も卑怯なことしたとは言えない。
「カズマ様、そろそろお帰りになられてはいかがでしょう、そろそろ夜も回ってくる頃ですから」
使用人の言葉に、少し考える。
今帰るべきか? てか屋敷に誰か帰ってきてるのか?
目の前の期待した眼差しを向けてくるアイリス、
帰るのか、いやでも帰りたくない。
てか、一度帰ったら随分とこっちに来れない気がする。
なぜかそんな気がする。
まあ、別にいいだろう、帰らない事を伝えれば。
「じゃ、俺は王城に泊まるよ」
アイリスはやったーっと喜び、俺はそれをみてクスリと笑う。
うん、幸せだね。魔王を倒してよかった。
魔王……魔王ね。
俺は魔王戦から帰ってなにしたっけ?
……まあ、いいか。
一応シリアス的な感じでまとめるつもりです。