色んな世界を渡り歩く男は、早く元の世界に戻りたい。 作:アラランド
この世界で目覚めてから多分1時間も経ってないが、いつのまにか2つの能力を使えるようになっていた。
波紋の呼吸とスタンド……、波紋の方は息を吸えば傷が癒える、という使い方ができるからまだしも、スタンドの方はまだ出現させるくらいしか操作ができないのが現状だ。
「お前、自我はあったりするのか?」
広瀬康一のエコーズAct3や、5部のミスタが持つセックス・ピストルズ、トリッシュのスパイスガールのように、スタンドによってはそれ自身が自我を持っていて、本体と会話したり情報を仲間に伝達出来たりといった種類のものがあるのだが……
「……ないな」
エイリアンのような大きな目と頭全体を覆うように揺らめく透明な布を被っている。
薄い青と紫を基調とした、パワードスーツのようなゴツゴツとしたボディは、その上からでもわかるくらい筋肉質であるが、それは俺の問いかけに反応する事はなかった。
緊張を解いて少し息をつくと、スタンドは拡散するように消えていった。
何回か試したものの、スタンドの出し入れは可能ではあるが、それ以外の操作はやはり出来なかった。
「何かを殴ろうとしてもピクリとも動かないな……、息使いで肩が上下するくらいだ」
……スタンドの方はしばらく使える物ではなさそうだ。
そのうち使い方もわかるだろうし、今の音石みたいな敵対者と遭ったときには、今のところ波紋の方でどうにかするしかないな……。
「……腹、減ったな」
手持ちの荷物を確認しようとしたが、その必要はなかった。
俺はそれまで寝ていた、俺の寝巻きは上下セットの黒のスウェット。
それ以外に持っているものは何もなかったのだ。
「どうしたらいいんだよ……この状況で」
「……とりあえず、警察にでも行くか?」
とりあえず生き延びる為にはこれしか無い、食べ物も寝るところもなければ、どうやって元の世界に帰ればいいのか調べる事すらままならないからな……。
「とりあえず、駅前にでも行ってみるか」
「お前、道知ってるか? って、わかんねえか……」
返答はないが、寂しさを紛らわせるための藁人形に俺のスタンドはちょうどよかった。
スタンドをそんな使い方するやつなんて多分俺くらいだろうが……。
「とりあえず音のする方に行ってみるか、大きい交差点にでも出ればどこに駅があるかくらいわかるはずだろ……」
俺は肌寒い風が吹くなか、薄手のスウェットをさすりながら歩を進めた。
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「……彼の後ろにいたのは、確かに……」
「……面白い、面白いぞ!」
潜む影の眼光は、1人の男に鋭く向けられていた。
主人公の能力
・波紋の呼吸
・スタンド(名前、能力共に不明)