艦つくこれくしょん~つくこれ~   作:焦げた焼き石

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初投稿なのでとりあえず一話だけ…
続くかは未定です。


Bring her to Life

 

 砲弾が雨のように降ってくる。誇張表現でなく、言葉のままの事実として。敵艦から放たれた数十もの鋼とトリニトロトルエンの滴が、6秒間隔でワタシの体に降り注ぐ。艦首で火災が発生し、「耐久値」が半分を切ってしまった。全力で回頭したワタシは、敵から距離をとる。敵を見やれば、ノロノロと僚艦に狙いを定めるべく舵を切っていた。

 

 敵艦の主砲である14cm単装砲は、各々が干渉して旋回すらできないほどに敷き詰められ、まるで針山を横倒しにしたかのような見た目だ。ある船はそれが前方を向き、またある船は右を向いていた。艦橋や煙突は艦尾にゴチャゴチャと纏められている。おおよそ軍艦とは思えない見た目だ。

 

 再び周囲に水柱が立つ。どうやら敵の針山は僚艦を食い終えたらしい。食われたのはあろうことか戦艦だった。その厚い装甲は機能することなく、非装甲区画が数百発の榴弾に粉砕され、広がった火災が船体を包み込んでいる。

 ワタシの艦尾に砲弾のシャワーが降り注ぐ。艦尾の副砲が吹き飛ばされ、火の手が上がった。そして数秒と立たずにさらに被弾。「耐久値」が削りとられていく。

 やがて、「耐久値」が消滅し、船体が傾いてく。戦闘が始まって数分。「あの人」の夢を背負い、建造されたワタシはあっけなく沈められてしまった。

 

 ああ。もしも、もしもあの異形たちを沈められるのなら。「軍艦」としてアレらと戦い、打ち倒せるのなら。どんなにすがすがしい気分なのだろうか。

 波間に消えるさなか、ワタシはきっと、そう願っていた。

 

 これが、「私」の、最初の記憶。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 鎮守府にその指令書が届いたのはつい先日のことだった。曰く、太平洋上のとある海域が突如として深海に呑まれたとのこと。それだけならまだしも、報告によればそこには未確認の深海棲艦が出現するらしい。高錬度の高速軽空母と護衛の駆逐艦による偵察部隊を編成、海域を調査せよとの指令だった。今回はあくまで偵察、戦闘は極力避けるべしとのことだったが、しかして不測の事態はつきものである。

 

 

♦第一艦隊/浸食海域偵察部隊

 CVL「龍驤改二」

 DD 「吹雪改二」「夕立改二」「満潮改二」

   「初霜改二」「曙改二」

 

 

「吹雪ちゃん!危ないっぽい!」

「え?わ、わぁ!」

 

未確認の敵からの発砲。先頭を行く吹雪が間一髪で攻撃をよけるも、至近距離に派手な水しぶきが上がる。

 

「こんなに近づくまで誰も気づかないなんて!一体どうなってるのよ!」

「そんなん、うちやってびっくりしとるわ!なんでこいつら哨戒網すりぬけてこれたんや!?」

 

 満潮が龍驤の護衛につき、迎撃のために主砲を向ける。

 

「とにかく、今はここを突破するしかありません!」

「突破って言っても!あいつどんだけ砲を積んでんのよ!こっち来んな!」

 

 初霜と曙が右舷に発砲。進路から右の前方には、件の未確認の深海棲艦部隊が接近していた。

 

 哨戒機を飛ばしていたにも関わらず、3000mと離れていない超近距離に突如として出現した6隻の深海棲艦。大きさからしておそらく駆逐艦級なのだろう。しかしその見た目は一般的なイ級などとはかけ離れていた。

 顔……に見える器官は小さな尻尾と一体化し、まるで後ろを向いているように見える。尻尾に対して大きな比率を持つ胴体部分には無数の円柱が乱雑につき刺さっており、それぞれの先端に軽巡洋艦クラスの単装砲がうごめいていた。

 

「当たってください!」

「ぽい!」

 

 艦隊は砲撃をしながらも、とにかく敵部隊に頭をとられないように動きまわった。

途中で満潮と初霜が被弾し中破したものの、幸いにも敵の深海棲艦は砲火力以外、あまり秀でていないらしく、吹雪らも敵駆逐艦2隻を砲撃により大破させた。そして、鈍足な残りの深海棲艦とも、速度差からだんだんと距離が開いていく。

 

「艦爆隊!頼むで!」

 

 龍驤が放った彗星が急降下爆撃を仕掛け、さらに2隻を撃沈。混乱する敵部隊を引き離すことに成功した。

 

 結果としては勝利B、といったところだ。しかし、大損害とまではいかなかったものの二人が中破している。未知の敵という事もあり、復路のリスクを考え一行はいったん引き返すことなった。

 

「にしても、なんや不気味な連中やったなぁ……」

 

 爆撃機と偵察機を収容しながら龍驤が言う。

 

「攻撃力がはっきり言って異常でした。けれど、耐久力も速力もあまり高くない様子でしたね」

「クソ提督のもらった指令書には書いてなかったタイプだったし、他にも何種類かいるのかもね。冗談じゃないわ」

 

 初霜を横目に、曙は大きくため息をついた。

 

「……あれ?」

 

 あたりを見回していた夕立が何かに気づいた。

 

「ねぇ、なんかそこの海光ってるっぽい!」

 

 そう言って彼女が指さした先の海面には、青白い光が灯っていた。

 

 一応の警戒をして陣形を保ちつつ距離を詰めていくと、円の形が鮮明になっていく。

 

「あれってドロップの光っぽい?」

「さっきみたいなのがいる海域でのドロップ……まるで想像がつかないわね」

 

 見守ることしばらくすると、人影が浮かび上がってくる。

 帽子には、日本の軍艦であることを示す黄金の紋章。そして、携えているのは15.5cm三連装砲3基と2()0()()()()()2基。

 

「え?この子って……?」

 

 そこには、見たことのない艦娘が横たわっていたのだった。

 




・深海駆逐12-5級
 主砲:14㎝単装砲14基
 装甲:なし
 最大速力:10ノット
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