ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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人間側 とある悪漢達と成龍

 

「おぉ! こりゃマジで美味えな! ケチなんてつけらねぇ!」

 

 

「今まで食って来た中華料理の中で一番だ…。 まさに中華一番って感じだぜ…」

 

 

「俺の背景にぶわって、美味そうなエフェクトがかかってる気がする…! 料理漫画みたいに…!」

 

 

 

…テーブルに並べられた料理の数々を口に運び、恍惚の表情を浮かべる仲間達。 ケッ、メスの顔…じゃなくて、メシの顔を浮かべやがって…!

 

 

 

…だがよ、確かに美味え…。やるじゃねえか、キョンシー共……。 腐ってもなんとやらだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は4人組の冒険者だ。ジョブは全員『盗賊』だが。 今、訳あって『長城ダンジョン』というとこに来ている。

 

 

ここの主をしてるのは『キョンシー』って魔物だ。元人間なあいつらだ。 けど、そいつらの討伐をしにきたわけじゃあない。

 

 

…いや、下手したらそんな結果になるのか?

 

 

 

俺達は盗賊らしく、ここにある金目の物を盗みに来たんだが…その標的の中に『キョンシーの御札』ってのがある。

 

 

キョンシー共の頭についてるアレのことだ。実はそれ、かなり高く売れてな。狙うにはもってこいなんだ。

 

 

ただ、それを剥がされたキョンシーは、そのまま放置されたら復活すらできずに死んじまうらしいが…。 ま、一回死んでんだから別に良いだろ。

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ腹が減っては盗みは出来ねえ。だから、こうして飯屋に入ってんだが……。

 

 

 

 

「「「美味かった……」」」

 

 

…普段荒くれな仲間共が、全員骨抜きにされてやがる。難癖つけて、店から何かせしめてやろうとも考えてたのによ…。全て平らげやがった…。

 

 

「特にこのラーメンが良い‥! 鮎の風味が素晴らしい…!」

 

 

はぁ…。ハゲの仲間が語りだしやがった。こいつ、ラーメンに関してはうるせえんだよな。ラーメンハゲめ。

 

 

ったく。いい加減目を覚まさせてやるか!

 

 

 

 

 

 

「お前ら! 目的を忘れてんじゃねえ!」

 

 

テーブルを勢いよくブッ叩いてやると、ようやく仲間達も正気に戻った様子。

 

 

「悪い…」

 

「仕方ねえ…行くか…」

 

「おーい、お愛想……」

 

 

 

 

「大馬鹿が!」

 

 

再度、バンッとテーブルを叩く。なに普通に金払おうとしてやがんだ! 盗賊なんだから食い逃げする気概でいろや!

 

 

 

「どうか、しましたか?」

 

 

 

お、音を聞きつけて丁度キョンシーの店員が来やがった。不甲斐ねえ仲間共に代わって、俺が手本を見せてやるとするか。

 

 

 

 

 

「おうおう! こんな不味い料理食わせてどういう料簡だコラ!」

 

 

ドスの効かせた声でそう怒鳴ってやる。するとキョンシーの奴はビビッて…あん? 首を捻って…?

 

 

「??? 全部食べてるのに?」

 

 

うっ……。あの馬鹿共…! 余計な事しやがって…! チッ、通すしかねえ!

 

 

 

 

「うるせえ! 不味かったモンは不味かったんだよ! だから、金は払わねえ!」

 

 

「駄目です…。 支払ってください!」

 

 

「知った事か! おいお前ら! さっさと出るぞ!」

 

 

 

店員キョンシーを押しのけるように、俺達は店を後にしようとする。 ―と、そこに…。

 

 

 

「食い逃げ? なら、許さないアルヨ!」

 

 

 

 

 

 

目の前に立ち塞がったのは、別の席で飯を食ってた女キョンシー。 へぇ…中々過激なチーパオ着てんじゃねえか。

 

 

良い女だが、邪魔をするなら容赦はしねえ。ぶん殴ってどかしてやるか。 おらよっ……!

 

 

 

「ハッ! ハイヤ!」

 

 

ドカッッ!

 

 

「ぐえっ!?」

 

 

 

 

 

 

こ…この女キョンシー…! 俺のパンチを弾いて…蹴りを食らわせてきやがった…!! く、くそ…!

 

 

「やっちまえ、テメエら!」

 

 

俺の号令に、一斉に武器を構える仲間達。相手のあいつは…。

 

 

「料理店で悪漢となんて、オーソドックスな戦闘シーンネ!」

 

 

…構えやがった…! なら、容赦はいらねえ! ボコボコにしてやれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハイヤ! アタタタタタ!!!」

 

 

「ふぐえっ…!」

 

「こ、このっ…!!」

 

「こいつ…強え……!!!」

 

 

 

…ボコボコにされてるのは俺達のほうじゃねえか…! 武器持ちvs徒手で、なんで負けてんだよ…!

 

 

しかもこっちは、椅子とか皿とか壺とかもぶん投げてるのに…全部キャッチされやがる! 皿に至っては、厨房の方に返却されてるし…!

 

 

最初驚き怯えていた他の客も、気づけば俺達を取り囲んでやんややんや観戦してやがる…!

 

 

 

 

 

「はいよチェンリン! 加勢ね!」

 

 

…なんだ…? 厨房に居たキョンシーが、俺達と戦っている女キョンシーに何かをパスしたぞ…? ラーメン…?

 

 

「シェシェ! これ食らうネ! ソォイ!!」

 

 

そしてそれを……ハゲの仲間に向け、頭からぶっかけたァ!?

 

 

 

「熱っ!? …くない…? あれ…?」

 

 

ビビり暴れるハゲだったが、すぐになんともないのに気づいた。なんだ、こけおどしか…。…けど、何か入ってたような……。

 

 

「背徳ダンジョン直伝! ラーメンミミック! ある!」

 

 

ギュルッ!

 

 

「ぐへっ!?」

 

 

 

 

!?!? ラーメン鉢の中から、触手が!? なんだありゃ!? うおっ! しかも、その触手でもう一人絞められやがった…!

 

 

 

「隙ありネ!」

 

 

…しまっ…! 変なのに目を奪われちまってたから…! ひえっ…!

 

 

 

 

ドゴゴッッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ぐへあっっ…」」」」

 

 

 

「二度と来るなアル!」

 

 

「その通りあるね! …なんて!」

 

 

 

 

…女キョンシーと変なラーメンに、俺達4人はダンジョンの外に叩きだされた…。 しっかり食った料金を財布から回収されて……。

 

 

…多分あのラーメン、上位ミミックだ…。姿的にそうだし、なんなら軽く名乗ってたしな…。

 

 

 

―クソッタレが! これで終わると思うなよ! とられた料金分、盗み返してやるからな…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり踏み倒すべきじゃなかったと愚痴る仲間共を引っぱたき、ダンジョンへの再侵入を試みる。とはいえ、入口は警戒されてやがる。

 

 

 

なら、ここを取り囲む城壁…。『長城』から忍び込めば良いだけのこと。登るための道具は持ってきてるからな。

 

 

 

それに、長城は長大だ。ということは、綻びも多いってこと。 少し探して歩けば…ほら、あったあった……。

 

 

「……なんだここ?」

 

 

 

 

見つけたのは、簡単に登れそうな砕け具合の壁…なんだが、妙だな…。 経年劣化とかじゃなく、闘いの跡みたいな壊れ具合だ…。

 

 

しかも、結構ド派手。よほど強い奴らが闘ったのだろうか。―まあいい。俺達には好都合。よいせっと―!

 

 

 

 

 

 

 

 

「―うし。へっ、良い眺めだぜ」

 

 

登り切り、街を見下ろしてみる。どこもかしこも賑わってやがる。赤い提灯もたっぷりだ。

 

 

さて、どこを狙おうかな…と。 ……ん?

 

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドド……――

 

 

 

 

 

 

 

 

……何か、こっちに走ってきてねえか…? キョンシー…じゃねえな…。小さいのか、壁に隠れて良く見えねえ。

 

 

けど、跳ねたりもしている…?じゃあ、やっぱりキョンシーか…? んんん…?

 

 

 

 

…とりあえず、俺達の敵なのは間違いねえだろう。さっきの女キョンシー共には不覚をとったが、今度はそうはいかねえからな。

 

 

再度武器を構え、臨戦態勢。さあ…何が来る? …ん? なんだ?

 

 

 

 

 

 

ようやく見えたのは、白と黒の模様な何かと、黄色と黒の模様な何か。…察するに、パンダと虎か? キョンシー共の番犬的なヤツか?

 

 

ならちょいと面倒だが…。こちらには魔法を使える面子もいる。狭い道を一直線に走ってくるなんて、狙い撃ちしろって言ってるようなモンだ。

 

 

 

 

さあ、そろそろ接敵だ。 ブッ飛ばして、その毛皮を剥いでやるからな! ……―って……。

 

 

 

「「シャアアアアアッ!!!」」

 

 

 

「「「「げぇっ!? ミミック!?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走って来たのは獣じゃねえ! パンダ柄の宝箱ミミックと、虎柄の宝箱ミミックじゃねえか!! なんでそんな紛らわしい模様なんだよ!

 

 

 

いやてか、驚いてる場合じゃねえ! 俺達も一応冒険者、ミミックの強さは知ってる…! 魔法を撃ち出しても…ほら躱しやがった! 逃げるしかねえ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「うおおおおっっ!!?」」」」

 

 

「「シャアアアアアッ!!」」

 

 

 

長城の細い道をひたすらに走り逃げる俺達、白く尖った牙をガキンガキン鳴らし追いかけてくるミミック共。

 

 

く…くそ…! 一本道でミミックから逃げるなんて無理だろ! 普通は入り組んだ道とかで攪乱するのがセオリーなんだぞ!? なのに、ここじゃあ逃げ場ねえじゃねえか!

 

 

しかもよりによって、高機動な宝箱型ミミックなんてよ…!! クソッ! お前らもっと走れ!! 

 

 

 

 

 

 

どっちが先に力尽きるか、必死の攻防。…チクショウ、さっき飯食った直後だから、横っ腹が痛え…!

 

 

けど、ここでやられてたまるか…! なんとしても盗賊の使命を全うして……っ!?

 

 

 

 

 

……俺達の正面に、何かがいやがる…!  あれは…キョンシー兵! 封鎖してやがる!

 

 

なら、蹴り飛ばしてでも突破しなければ…あん? その前に、何かが跳ねてやがる…? 緑で、髭みたいな模様もあって、青龍偃月刀(えんげつとう)を咥えて……!!

 

 

 

 

「「「「げぇっ 関羽!?……じゃねえ! またミミックかよ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

キョンシー共の前に立っていたのは、如何にも手練れ感満載な宝箱ミミック。真っ赤な舌で青龍偃月刀をブオンブオン回してやがる!

 

 

 

前方の関羽…ならぬミミック、後方の虎&パンダ…ならぬミミック。 このままだと挟み撃ちされちまう!

 

 

どうすれば…! せめて、この一本道から、長城から逃げられれば…!! …ハッ!

 

 

 

 

……そうだ、ここは長城。下には、街。 逃走経路はこれしかない…!

 

 

 

 

「テメエら! 飛び降りるぞ!」

 

 

「「「はぁ!?」」」

 

 

明らかに狼狽する仲間達。だが、もうこれしか手段はねえ。 街の方はダンジョンだ。仮に死んでも、復活できる!

 

 

そして、もう説得する猶予はない。近くの仲間二人を無理やり掴み…!

 

 

「跳べぇっ!!」

 

 

「「はぁああ!? あああああっっっ!?!?」」

 

 

 

俺達は、ダンジョンの中へと飛び降りた―。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボズンッ  ボズンッ  ボズンッ   ドサァッ…!

 

 

 

「痛てて…てて……」

 

「死ぬかと思った……」

 

 

地面にベシャリと転がりながら、ひぃひぃ言う仲間二人。だが、無事だ。勿論俺もな。

 

 

偶然、落下コースに布の屋根が幾枚もあったのが幸いした。それを突き破って落下することで、なんとか無事に済んだってわけだ。

 

 

全く、某カンフーアクションスターみてえだぜ。時計塔からじゃねえけどよ。

 

 

 

 

ところで…俺が掴めなかった仲間一人の姿がない。飛び降りることに怖気づいたくさいな。 多分今頃、ミミック共の餌食だろ。

 

 

まあ、仕方ねえ。それより一刻も早くここから離れちまおう。 追っ手が来る前に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間二人を引きずり、とりあえず街角に身を潜める。さて…。復讐の時間だ。

 

 

ボコられて、金盗られて、ミミックに襲われて、仲間一人やられて…損失はデカい。となると、やっぱり狙い目は高値で売れるキョンシーの御札だが…。

 

 

 

――お。丁度良く数体のキョンシーがこっちに来るじゃねえか。しかもまだ身体が硬くて、ピョンピョン飛び跳ねることしかできねえやつだ。

 

 

 

飯屋の女キョンシーや、長城の宝箱ミミックと比べればまさに雑魚と言ってもいい。 テメエら、行くぞ!

 

 

 

 

 

 

 

「おっと待てよキョンシー共」

 

 

「その頭の御札、置いてきな。あと有り金も全部な」

 

 

「あーん? 持ってない? 嘘つけ!ちょっと跳ねてみろ! …跳ねてたわ…」

 

 

 

三人でキョンシー共を取り囲み、威圧してやる。ヘッ、案の定ビビり散らかしてやがる。まともな抵抗はしてきそうにないな。

 

 

丁度いい。さっきからボコられまくった恨み、こいつらで晴らしてや……

 

 

 

「あばばばば…!?」

 

 

 

 

 

 

 

な、なんだ…!? 仲間の1人が、突然に倒れた…!? キョンシー共、まだ動いてないぞ…!?何故だ…?

 

 

ッ…もしや…。 キョンシーは暗器を…隠し武器を使うと聞く…! まさかそれを…? 怯えているように見えたのは、こちらを油断させるための策ってか…!?

 

 

 

……ん?

 

 

 

 

 

 

ブブブ…ブウウンッ…!

 

 

 

 

 

 

 

なっ…!? 変な音が聞こえると思ったら…! 倒れた仲間に纏わりついている、あの赤青のキモい蜂は…!『宝箱バチ』じゃねえか!

 

 

あれもミミックだ…! 群体型の…!! ヤベえ…あいつにひと刺されでもされたら、丸一日麻痺するってのに…!

 

 

 

ってうおっ!? キョンシーの袖から、帽子から、数珠から、団子髪カバーの中から…!大量に湧き出て来ただと!?

 

 

死体に群がるのは普通ハエだろうが! なんで蜂なんだよ!  てか、なんでミミックなんだよ!!

 

 

 

そりゃダンジョンだ、色んな魔物が棲むモンだが…わざわざキョンシーを守るかのようにくっついてるのは異常だろ! キョンシーとミミックの共通点なんて、移動の時跳ねるぐらいじゃねえか!

 

 

 

 

 

 

 

一匹程度ならまだしも、この数は…! しかも、弱いとはいえキョンシーもいる。二人になっちまった俺達では勝てねえ…!

 

 

なら、やっぱり逃げるしかねえ…! おい、急いで走って…! ――ぁ…?

 

 

 

「ぐぇ……っ」

 

 

 

 

 

――残ってた仲間1人の悲鳴と同時に、そいつの身体が空中に引っ張り上げられた…。 何が…???

 

 

 

訳も分からず、俺は上を見上げる。そこには…ぶらんとぶら下がる仲間。その頭には、至る所に飾られている赤提灯…。

 

 

 

…っあぁ!? 提灯から、触手が出てるじゃねえか!! 間違いねえ…!触手型ミミック…!!

 

 

 

 

どうなってんだこのダンジョン…! キョンシーの中には元冒険者もいるだろ…! なのに、俺達の天敵を配置しまくってるって…裏切り者共め!

 

 

 

――決めた。 なんとしても、キョンシー共に吼え面をかかせてやる。御札越しでもわかるほどに。

 

 

 

 

だがその前に…『三十六計逃げるに如かず』!!! 逃げるが勝ちだ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はひたすら逃げに逃げる。後ろを振り返らず、必死に。 そして…観光しに来ている連中の中に飛び込んだ。

 

 

 

はっは…! 木を隠すなら森の中、人を隠すなら人混みの中だ…! これで俺がどこにいるかわからねえだろ…! 

 

 

 

さて…。今度は俺の番だ。何を盗めば連中を驚かせられるか…。 ……なんだ? 向こうの方が騒がしいな…?

 

 

 

 

 

 

興味を惹かれ、そちらへと進んでみる…。 するとそこには――。

 

 

 

「…龍…?」

 

 

 

 

 

 

見物客に囲まれた場で舞っていたのは、極彩色の龍。ワイバーンとかドラゴンじゃなく、東洋龍って呼ばれる胴が長いヤツ。

 

 

 

…いや、それも間違ってる。その龍は、作り物。胴の下らへんに棒が付いていて、それで操作されている見世物だ。

 

 

聞いたことがある。『龍舞』っていう踊りだ。中々流麗に舞っているが…チッ、金目の物じゃねえ。

 

 

 

…って、ゲッ…。 龍を動かしてるのはキョンシーと…まーたミミックだ…。どれだけいるんだよ…。

 

 

 

こんなのを見てる暇はねえし、バレない内にどっかを漁りにいこう……―。

 

 

 

「そこの人! さっき食い逃げしようとした人間あるね?」

 

 

 

 

 

 

ッ!? どっかで聞いたことがある声が…! 思わずそっちを見ると……龍舞の龍と、バッチリ目が合った…! 顔怖っ…!

 

 

「下ある!」

 

 

そう言われバッと目線を下げると…っ…! さっき俺達を追いだした、ラーメン鉢に入ってた上位ミミック…!

 

 

 

「二度と来るなって言ったあるよ! それとも、改心したあるか?」

 

 

 

ジーっとこっちを見てきやがる…! ここでまた追い出されるわけにはいかない。とりあえず嘘をついて…!

 

 

「あ、あぁ…。 もうあんなことはしな…」

 

 

「嘘あるね! さっき報告受けたある! 長城から侵入してきたあるよね!!」

 

 

 

…………。 ……三十六計、以下略!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見物客を押しのけ、俺は再度逃走する。 ―と、その後方から…。

 

 

「逃がさないある! ミミック達、出番ある!」

 

 

 

そんな、上位ミミックの号令が。 だがよ、こんな人混みの中、いくらミミックと言えども簡単には追いつけねえ……―。

 

 

 

 

 

 

『グオオオオオオンッッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

―ッ!? なんだ、今の龍の鳴き声…! 本物…!? …いや、違う!

 

 

 

「グオオオオンッ!  待て~! ある!」

 

 

 

 

龍は龍でも…さっきの作り物の龍…! そいつが、屋根の上を伝ってきている!?

 

 

 

正しくは……! ミミック共が龍を操作し、追いかけて来てやがる!!!

 

 

 

 

 

 

く…くそ…! まるで本物みたいな挙動してやがる…! こ、怖え…! 迫力が怖えっ! 威圧感ヤベえっ!! 

 

 

 

しかも、俺は混んでいる道中。相手は誰もいない屋根の上を軽々跳ねて…! 逃げられるわけ…ぐええっ!

 

 

 

 

「捕まえた! あるよ!」

 

 

 

 

獲物を仕留めるかの如く降りてきたその龍は、俺の身体をグルグル巻きにして締めてくる…! 駄目だこれ…逃げられねえ…!

 

 

「仏の顔は三度までだけど、ミミックの顔は一度まで! 復活魔法陣送りにしてやる、ある!」

 

 

そう言うと、龍の顔を操作していた上位ミミックは少しもぞもぞ。すると――。

 

 

 

 

「グオオオォオオッッ!!!!」

 

 

 

 

 

ひぃっ…! また鳴いた…!! 上位ミミック、作り物の龍の顔に入って…!顎をガキンガキンって、生きてるように動かし出しやがった…!! 

 

 

く、食われる…!!や…止めてくれ…! もう来ねえから…! その恐ろしい顔で、牙で、こっちを見るなっ!!!

 

 

 

「願い事は叶えてないけど…『では、さらばだ』!  あ~るっ、じゃなくてが~ぶっ!!」

 

 

 

 

ぁ…ぁ…! アイヤァああああああああっっっっ!!!!!

 

 

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