ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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人間側 ある冒険者達と火炎

 

「「「「熱(あ゛)゛っっっつ゛う゛う゛うぅ……」」」」

 

 

ひぃ…ひぃ…駄目だここ…。マジで『クソ熱い(ファッキンホット)』…。高いレベルの耐熱魔法を重ねがけしているってのに…効果薄っす…。

 

 

装備も軽装…というかインナー程度しか纏ってないんだぞ…。鎧…? 着てられるか! 蒸し焼きになるわ!

 

 

けど…普段は厚手の魔導服に身を包んでる女魔法使いの、汗だく姿が見れて眼福……って、んな余裕あるか!! 熱くてどうでもいいわ!

 

 

 

…うっ…。駄目だ…。変にキレてたら、頭がぐらぐら煮えてきた…。周りのマグマみたいに…。

 

 

み、水……。……もうこれ、お湯じゃねえか! アッツアツじゃねえか! 

 

 

 

 

 

くぅ…なんかないものか…。冷たい飲み物を冷たいまま保存できる箱みたいなのは……。それか、入れた飲み物の温度が変わらない魔法のような瓶とかはぁ……。

 

 

 

いや、もうそんなのどうだっていい…! さっさと『フレアジュエル』を大量に回収して、大金を手にして、腹壊すほどにビールや高級アイスを堪能してやる!!

 

 

 

ふへへ…そう思うと…俄然やる気がでてきた…! サウナで耐えた後に冷たいモンが美味いように…!耐えた分だけ、素晴らしい報酬が待ってる…!

 

 

見てろ…火の精霊サラマンドラ共…! こんな熱さ、俺達はものともしねえ…! お前らの『フレアジュエル』、根こそぎ奪ってやるからな!!

 

 

 

…………まさに『熱に浮かされてる』って感じもするが…。気にしたことか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハァ…ハァ…改めて…。俺達は4人組の冒険者パーティーで、ここは火の精霊『サラマンドラ』が棲む『火の山ダンジョン』。

 

 

狙うは『フレアジュエル』という、火の力を宿した魔法石。魔法を使う連中には必須級の宝石というのもあって、かなり高く売れる。

 

 

…が、そのフレアジュエルは火の力がふんだんにある場所にしか生成されねえ。特に高価な…つまり質が良いならば猶更。

 

 

だからこそ、火の力の主とも呼べる、精霊サラマンドラの棲み処に来たというわけだ。

 

 

 

 

 

 

……ただ、『火の山』という名称通り、ここは本当にえげつない。

 

 

周囲のほとんどは紅蓮の炎で包まれ、更に足元には大量のマグマがごぽりごぽり。まさに、地獄みたいなところだ。

 

 

そんな場所を、おっかなびっくり進まなければならない。時には、立っているのがギリギリな幅の道すらある。

 

 

耐熱魔法をかけているとはいえ…マグマに落ちたら一瞬で復活魔法陣送り。丸焼きになる暇すらないだろうな。

 

 

 

 

 

……そういやガキの頃、塀や道に引かれた線の上を歩いて、『落ちたらマグマだ』とかやってたなぁ…。

 

 

 

まさかこの年になって、リアルにその状況になるとは思わなかったわ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そんな必死の行軍の甲斐あり、なんとかフレアジュエルの結晶塊の元へ到着できた…!

 

 

しかも、中々に大量…! ただ、軒並み岩壁や岩塊から生えて、簡単にはとれそうにない。どうするか…。

 

 

 

…あーくそっ!熱くて頭回んねえ! 一つ一つ時間をかけて丁寧にとってられるか! 熱中症になるわ!

 

 

どうせたっぷりあるんだ…! 思いっきり爆破して、残った欠片だけ拾い集めりゃいいわ!

 

 

 

 

 

 

と言っても…流石に火炎に包まれているこのダンジョンへ、爆弾を持ち込むわけにはいかない。死因がマグマへ落下死から、爆死になるだけだ。

 

 

 

だが、爆弾が使えなければ爆破魔術を使えば良いだけ。とはいえ頼みの綱な女魔法使いも、ほぼインナー姿。

 

 

魔導服がない分、火力は下がってしまう。…『火』力なら周囲にたっぷりあるってのにな。ま、仕方ない。何度もぶつければ…―。

 

 

 

「ねえ…今更なんだけど…。これ爆破したら、岩壁の後ろからマグマが溢れ出してくるとか…ない?」

 

 

「……あっ…」

 

 

 

 

ふと女魔法使いが呈した疑問に、俺は口をあんぐり。……確かに…。 ……でも。

 

 

「もうどうでもいいわ! どうせサラマンドラのダンジョン、壊しても俺達には関係ない! ヤバかったら逃げて、別の場所を探せば良いだろ」

 

 

「…それもそっか! じゃ、盛大にドカーンとやっちゃうよ!」

 

 

 

俺の言葉になるほど!と頷き、杖を構える女魔法使い。他二人の仲間も、やっちまえー!と賛成の声。

 

 

うーん…俺含めた全員が、熱さで暴走気味だなぁ…。 これがほんとの『熱暴走』ってか? 

 

 

 

……頭、上手く回らねえ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何はともあれ、詠唱を始める魔法使い。…そういえば、爆音でサラマンドラ達が駆け付けてくるかも…。

 

 

……いいや、もう…! こちとら冒険者、戦うのも逃げるのも慣れている。まあ普段はもうちょい賢く立ち回る…が…!

 

 

今は『こんな(熱い)ところにいられるか! 俺は部屋に戻るぞ!』って気分だ! 

 

 

 

 

さっさと採って、ダッシュで帰っちまおう。もう汗だくだから、多少汗が増えても問題ないな! そして、儲けた金で…!!

 

 

 

 

「きゃあああああああああっっっ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

――なんだ!?悲鳴!? 女魔法使いの…!! 別に部屋に戻ったわけではねえし…というか本人、目の前にいるぞ!?

 

 

 

何事かと思い、俺達は彼女の様子を窺う。すると―。

 

 

「み…ミミック…!!」

 

 

「なにっ…!? うおっ!?」

 

 

女魔法使いの言葉に即座に首を動かすと…なんと、フレアジュエルが生えた岩塊に擬態していた触手ミミックが、俺たちに飛びかかってきて…!!

 

 

 

「あ、危ねえッッ!」

 

 

反射的に武器で弾いて、事なきを…! どうやら、爆破予定地点に潜んでたらしいな…!危機を察し、慌てて襲いかかってきたってことか…!

 

 

 

女魔法使いが早めに気づいたのと、装備ほぼ無しの軽装だったのが功を奏した…! おかげで肝が冷えて、ちょっと涼しくなったわ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし…ミミックか…。心底面倒な魔物だ…。面と向かって戦っても結構時間かかるってのに…。

 

 

てか…なんであんな元気そうなんだ…? 俺たちは汗だくだってのに、あのミミックはヒュンヒュン触手を唸らせてる…。

 

 

まるで、今しがた冷たい部屋から出てきましたって言わんばかりだ…。コンディション最高ってか…?

 

 

 

うむむ…。この調子で戦えばどうなるかは、まさに火を見るより明らか…。

 

 

…幸い、まだ爆破もしてないし…。よし!

 

 

「一旦逃げるぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

こんなとこで体力を無駄に削ってられるか! 俺たちはここから逃げるぞっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ひぃ……ひぃ……。必死に走ったせいで、喉が焼けるように痛え…。多分、ほんとに焼けてるわ…。

 

 

み、水……だからもう白湯じゃねえか! ……でもこの際、あるだけ有難い…。…んぐ…んぐ…

 

 

 

 

 

ふう…。とりあえず、ミミックから逃げおおせることができた。誰もマグマや炎にやられずにな。

 

 

 

だが…なぜこんなダンジョンにミミックが…。あいつらだって生物だ、熱くてたまらないだろうに…。

 

 

……いや、『冒険者あるところにミミックあり』と言われるような奴らだ。いてもおかしくねえか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、勿論同じ場所に戻るわけにはいかない。けど、問題ない。このダンジョンは広く、奥地であればフレアジュエルは至る所にある。

 

 

次は爆破前に警戒して、採掘すればいいだけのこと。では、気を取り直して――。

 

 

 

「待て…! サラマンドラ共がいる…!」

 

 

 

 

 

 

仲間の1人の喚起に、全員気を引き締める。バレたら絶対に追い返される…。バレないように通り過ぎるか、奇襲して倒すか…。

 

 

「何体だ…?」

 

 

武器に手をかけつつ、そう聞いてみる。…しかし、そいつから返ってきた答えは……。

 

 

 

「い、いや…二体なんだが…。…様子がおかしい…。何してんだアレ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

燃え盛る火を壁替わりに、俺達は様子を窺う。…たしかに火の精霊達はいた。…けど…。

 

 

「いやホントに何してるんだアレ…。倒れて…いや、寝ころんでる…?」

 

 

…よくわからねえことに、二体のサラマンドラが、地面にべちゃりと横になっている…。熱さでダウンした…わけはないな、火の精霊なんだから。

 

 

「…ん…? 何かあるな…」

 

 

ふとその奥を見ると…ベッドサイドテーブルぐらいのサイズの『何か』が置かれている…。どうやらサラマンドラ達、それを見つめているらしいが…あれは…。

 

 

 

「……暖炉……?」

 

 

 

 

 

 

 

…いや、なんで?  周囲はさんざん燃え盛っているというのに、わざわざ暖炉を設置する意味は…?

 

 

けどサラマンドラ達、その暖炉の火を楽しそうにボーっと眺めてるし、足パタパタもさせてるし…。…観賞用ってか?

 

 

 

…駄目だ…。考えれば考えるほど、頭がオーバーヒート…。もうなんだっていい! 構わねえ!かかれ!

 

 

 

 

 

 

 

武器を手に、一斉に飛び出す俺達。その物音でサラマンドラ達もバッと飛び起きるが…。

 

 

「んもー! 折角、火を見てリラックスしてたのにー!」

 

「なんてボヤ…じゃない、野暮な人達!」

 

 

…と、非難轟轟をこちらに。そして―。

 

 

「「じゃ、後でねー!」」

 

 

……そう言い残し、ふわっとどこかに飛んでいった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…戦いを避けれたのは有難いんだが…。なんでこうもあっさり…? 最後の言葉が気になる…俺達に向けた台詞じゃなかったぞ…?

 

 

…ま、良いか…。じゃあフレアジュエル探しを続け……。って…。

 

 

 

「…この暖炉。良い造りしてるな…!」

 

「ホント。 …それに、なんかこの火、ずっと見てられるね…」

 

「…欲しいかも…」

 

 

 

ふと顔を動かすと、仲間達が暖炉に見入ってる。…けど、気持ちはわかる。暖炉の火を見ながら一杯やるってのは、結構良い。チーズとかのつまみも焼けるし。

 

 

フレアジュエルついでに、これ持ちかえってしまおうか。そう算段を立ててると…。

 

 

「あれ…? 中に入ってるの、フレアジュエルじゃない!?」

 

 

 

 

仲間の1人の声に、全員で火を覗き込む。確かに燃料となっているのは、フレアジュエルらしい。それも、そこそこの量。

 

 

つまりは…これを持って帰るだけでも充分な収穫。そうと決まれば――!

 

 

「頂き!」

 

 

我先にと、1人が暖炉を掴む。なんとか背負える大きさだから、そいつはそれを持ちあげようと…。

 

 

 

「井戸端…もとい暖炉端おしゃべりの邪魔するなんて…。アンタたちで(暖)炉端焼き作ったろうかしら?」

 

 

 

パカッ ギュルンッ!

 

「へっ…きゃあっ!? 冷(ひ)ぇっ…!?ぐへぇっ…」

 

 

 

 

 

――なっ…!? 変な声とともに…暖(・)炉(・)が(・)開(・)い(・)た(・)…!?火のところが、蓋みたいにパカッて…!

 

 

そしてそこから触手が伸びてきて…! 暖炉を掴んでた仲間が、中に引きずり込まれただと…!?

 

 

…『冷ぇっ』…て悲鳴あげた気がするんだが…。冷たいわけないし…普通に『ひぇっ』って悲鳴か…うん…。

 

 

 

 

……いや、そんなこと考えてる場合か! なんだこの暖炉…は…。…っ…!?

 

 

「それとも…。箱工房特製『クーラーボックス』機能で、アイスにしてあげましょうか!」

 

 

「「「上位ミミック!?!?」」」

 

 

 

 

 

 

ひょっこり顔を出したのは、上位ミミック…!なんで暖炉なんかに擬態して…!? アイスってなんだよ俺達が食べたいわ!

 

 

…いや、今はとりあえず……!

 

 

「「「逃げろ!」」」

 

 

仲間一人やられて、しかも上位ミミック相手なんて戦えるか!

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てぇ! 炉端焼きもアイスも好みじゃないなら、マグマに放り込んでグツグツのシチューにしてあげるわぁ!」

 

 

「「「ひぃいいいいっ!!?」」」

 

 

しかし、上位ミミックは追ってくる…! 暖炉姿で疾走してくる…!! マグマと炎の中、暖炉が走ってくる!!!

 

 

こ、このままじゃ追いつかれる…! なんとかしなければ…!

 

 

 

 

 

「クソッ…! ここはオレに任せろ!」

 

 

――ふと、仲間の1人が、足を止める。そして…!

 

 

 

「シチューになるのはお前もだ! うおおおっ!!」

 

 

「きゃっ!? やるわね…!」

 

 

ミミックに飛び掛かり…! 掴んで…傍のマグマの中に…!!

 

 

 

「ミミック! 地獄で会おうぜ(アスタ・ラ・ビスタ)…!!」

 

 

「行き先は復活魔法陣でしょうに! でも、私は戻って(I'll be)くるわよ?(back)」

 

 

 

 

ドボーーンッと、二人でマグマに落ちる音が盛大に…。 あぁ…。俺の仲間が、親指立てて沈んでく…。…なぜかミミックも親指立ててるけど…。

 

 

 

クソッ…。あいつの死は無駄にしない…。二人分の復活魔法代金、稼いで帰ってやるからな…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残されたのは、俺と女魔法使いのみ。警戒を強めて進まなければ…。

 

 

周囲にサラマンドラがいないか、ミミックがいないかを逐一確認しながら、フレアジュエル探しを続ける。

 

 

――と、そんな折…。

 

 

 

「ね、ねえ…なんか、変な音しない…? 『メラメラ』って…」

 

 

女魔法使いが、身を慄かせるように聞いてくる。俺も急ぎ辺りを窺うが…。…誰もいないし、何もない。火炎と、マグマだけ。

 

 

「…きっと、火の燃える音だろ」

 

 

少し気になりながらも、彼女をそう落ち着かせる。 そして、再度歩み出すが…。

 

 

 

 

「ね、ねえ…やっぱり、変な音しない…? 『ボウボウ』って…!」

 

 

再度、そう問うてくる女魔法使い。 もう一度周りを見てみるが…。やはり、火と溶岩だけ。

 

 

「…きっとそれも、火の燃える音じゃないか…?」

 

 

またもそう言い、鎮める。…とはいってもこいつ、仲間二人がやられたからおかしくなるというタマではない。

 

 

熱に浮かされ変になって、変に周囲の音が大きく聞こえるのか…? それとも、やはり近くに何かがいるのか…? どちらにせよ…あまり長居するわけには…。

 

 

 

「ね、ねえ…! 絶対変な音する…!! 今度は『カチカチ』って!!」

 

 

 

 

 

か、カチカチ…? なんだそれ…? メラメラ、ボウボウに続いて…カチカチ? なんか、順番おかしくねえか…?

 

 

それとも…この火の山ダンジョンは、本当は『カチカチ山』とか言う名称…。な訳無いな…うん。

 

 

 

しかし、カチカチとはおかしい。そんな火をつけるかのような音、常に燃え盛ってるこのダンジョンで鳴るはずがない。

 

 

ならば、女魔法使いの幻聴…? 俺には……。

 

 

 

 

カチ カチ カチ カチ

 

 

 

 

……!!!! 聞こえる…! 変なカチカチ音が聞こえる!! なんだ…何の音なんだ!?

 

 

 

 

慌てて武器を構え戦闘態勢をとるが…。やっぱり、何の姿もない…。ボコボコいってるマグマと、メラメラボウボウな火だ…け……へ?

 

 

 

「お、おい…なんかそこの火…やけに近くないか…!?」

 

 

 

 

 

この業炎の中、俺は奇妙なことに気づいた…。一応、安全に通れる道を選んで進んできたんだ…。

 

 

だというのに…何故か…! 女魔法使いの真後ろが…!数mの距離もない位置が…! さっき俺が歩いてきたはずのその道が…!

 

 

燃えている…だと…!?

 

 

 

 

「へ…? わっ!?」

 

 

女魔法使いもそれに気づき、俺の方へ飛び退く。 いくら耐熱魔法をかけているとはいえ、周囲が炎まみれとはいえ、その距離ならば熱さはかなり感じるはず…。

 

 

だというのに何故気づかなかった…!? 何故そこに、炎が…!

 

 

 

カチ カチ  ガチンッ! ガキンッ!!

 

 

 

…へ…? その炎から…さっきのカチカチ音が…? というか音が変わって…火の動きが変わって…下の方が消え…。

 

 

「シャアアアッ!!」

 

 

「宝箱ミミックぅ!?!?」

 

 

 

 

 

炎の中から悠然と登場したのは…宝箱姿のミミック…!! いや違う…!火を、纏っているのか…!

 

 

…って、えぇ…!? その火がパッて消えたぞ!? もしや、火の能力者…メラメラボウボウの実とかを食べた…? ―いや違う! あれ作り物の火か!?

 

 

 

 

――というか…さっきのカチカチ音は…!あの宝箱ミミックが牙(蓋)を鳴らしていた音ってことか!! 

 

 

だってそれを証明するかのように、今もカチカチガキンガキン言わせて、こちらに…!!

 

 

 

うおおおっ! 逃げるんだよォーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日三度目の、熱さに包まれての逃走劇。これが本当のデッドヒート(heat)…言ってる場合か!

 

 

だが…! 相手はさっきの上位ミミックより格下…! そしてさっき犠牲になった仲間が良い方法を示してくれた…!

 

 

 

「おい…! …あのミミックを、マグマに突き落とすぞ…!」

 

「あっ…! うん!」

 

 

 

そう…! さっきのように、突き落とせばいい…! 溶岩の温度は1000度(多分)! ミミックと言えども、カスまで燃えて無くなっちまうわ!

 

 

 

そして、丁度いい位置に、溶岩溜まりが…! 女魔法使いと目配せをして…せーので!

 

 

「「そりゃあ!」」

 

 

「ギャウッ…!?」

 

 

一斉に振り返り、武器を思いっきり振ってミミックの側面に叩きつけてやった…! 宝箱は空中を舞い…!

 

 

 

ドボーンッ!

 

 

 

 

 

 

「「やった…!」」

 

 

大成功だ…! 普通のダンジョンだったら、吹き飛ばしただけではすぐ追ってくるのがミミック…!

 

 

しかし、ここは全てを焼きつくすマグマまみれ。いくら頑丈なミミックと言えど……へ…?

 

 

 

 

 

「あっちゃー! やられちゃったかー!」

 

「結構やるね~。あの冒険者達!」

 

 

 

ふと聞こえてきた声の方角にバッと顔を向けると…少し離れたマグマの上を、先程見かけたサラマンドラ二体がふわりふわり。

 

 

その余裕ぶった様子がやけに癇に障り、俺はつい、煽り返してしまった。

 

 

 

「ヘッ…! じゃあお前らが置いたミミックは、『敗北者』ってか!」

 

 

 

…『冒険者』にかかるような単語を探したが…。頭が熱くてこれぐらいしか思いつかねえわ…。

 

 

まあ良いか…。それより、攻撃される前にサラマンドラ達から逃げなけ―――…。

 

 

 

「『敗北者』…? 取り消しなさい、今の言葉!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…!!! こ…この声は…! サラマンドラ達の声じゃねえ…! さっき聞いたから覚えてる…!

 

 

これは……さっきマグマに落ちていった…上位ミミックの声だ…!!

 

 

 

俺達の仲間1人を犠牲に、沈んでいったあいつが何故…! い、一体どこに…!?

 

 

 

 

 

そう焦る俺達を余所に、サラマンドラ二体はにっこり顔を合わせ…。

 

 

「別に、海を干上がらせて陸地を増やす気なんてないけど!」

 

「『とくせい;ひでり』で『じめんタイプ』なグラ何とかを復活させるとかもないけど!」

 

 

そんな訳の分からないことを口にしながら、下のマグマに手を向け…!

 

 

 

「「せーの…マグマだーん(弾)!」」

 

 

 

って…! うおおおっ!? マグマを噴き上がらせた!?!? そんなのアリかよ!?

 

 

 

 

 

 

や、ヤベえ…! け、けど…そこそこ距離あるから逃げられ……ん…?

 

 

 

何かが…!降ってくる…!? 噴き上げられた溶岩の中から、謎の塊が…! まさか、マグマ弾…というか火山弾…―!!

 

 

 

「戻って来たわよ(I'm Back)!  アンタたちの抹殺者(ターミネーター)としてね!」

 

 

 

…―はぁあっ!? 火山弾じゃねえ!? 飛んできたのは…さっきマグマに沈んだ、上位ミミック入り暖炉ぉ!?

 

 

しかも…今しがた落とした宝箱型ミミックも! そしてフレアジュエル擬態の触手ミミックも!? 

 

 

 

な、なんで…マグマに落ちても無事で…!? その入れ物、耐熱容器ってか…!?

 

 

 

――っあ…しまっ…! 逃げる隙が…!! もう、俺達に激突を…ひっ…!!

 

 

 

 

「「ぎゃああああっ!!」」

 

 

 

 

も、もうダメだ…!熱いし縊られてるし噛まれてるし、何故か冷たさも感じるし…!これは死ぬぅ…! 

 

 

 

く、クソぉ…!なんて日だっ……!! なんて『火』だぁッッ……。

 

 

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