ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~ 作:月ノ輪
「皆、着いたで。 ここが『ガースー禿げ光りダンジョン』や」
「おおぉ~…! 趣あんなぁ」
「洞窟遺跡型なんですねぇ」
「こん中、蟻の巣みたいになってんやろな」
「…なんか既に、走り回れそうな広場が横に……」
「嫌な予感しかせんわぁ……」
【ダンジョンに到着した五人は、フジラワに導かれその入口へ。 まずは、いつもの――】
「一旦ここで止まってくれ。 この石像、誰かわかるか?」
「…ガーキー様、すよね」
「そや。 このダンジョンの創設者にして初代主、ガーキー様や。 最も、今は御隠居の身や」
「そうなんすねぇ」
「そうなんすや。 …あっ、そうなんです、いや…そうなんや!」
\デデーン/
『マツトモ、タカナ、OUTぉ!』
「しょーもない噛みで笑うの止めたいわぁ…。 ッィ…!」
「ボーッとしてると結構キクんすよねぇ……。 いたっ…!」
「あ、見てくださいハダマさん。ほら、今ケツ叩いたミミック達が…カメラ外に出て……箱になって、ちょこん」
\デデーン/
『全員、OUT!』
「止めえ言うたろエンドオ! アゥッ!」
「いて…! すみません…! 痛ぁっ!」
「――話戻すで。 ガーキー様が御隠居されたから、今は別の方がダンジョン主を務めてる。 まずはその方に会いに行くで…――」
「――待つがいい、フジラワ。 その者達は、貴様が言っていた新入りとやらか?」
「ん? 誰や…?」
「ダンジョンの中からでしたね」
「中、暗くてよく見えんわぁ…」
「あ、姿が」
「あれは……。 って、わぁっ…!?」
【ダンジョン内に入ろうとした彼らを止めるように、入口に何者かが。 その正体は――】
「新入りよ。我が名はドラルク。 見ての通り、ヴァンパイアだ」
「嘘やん…!! 今度は公爵閣下やん……!」
「大丈夫なんですかね…? 色々と……?」
「おっそろしい人選しとるわぁ……」
【なんと、魔界公爵が1人、ヴァンパイアのドラルク閣下。 普段はご自身のダンジョンにて、冒険者を迎え撃っている名うての実力者だが――】
「ふむ。中々の顔ぶれだ。鬼、カッパ、エルフ、イエティ、スライムか。 ならば一つ、新入りの実力試しだ。 手合わせを願おう!」
「えぇ…!? なんでそうなるんすか…!?」
「こわいこわいこわいこわい…!」
「止めるんや、ドラルク。 まだ一日体験の子達や」
「もっと言うたってぇ…!」
「その頼みは聞けぬな、フジラワ。 では新入り達よ、構えるがいい!」
「いやマジで来るんか!?」
「こわいこわいこわいこわいこわいっ!!」
「むっちゃ武闘派やん! うわ力貯めてこっち来る!!」
「ヤバいヤバいヤバい! ……って、あっ…!」
「そこ日光が照って……!」
「グワ――――――――――ッ!」
\デデーン/
『全員、OUTぉ!』
「一瞬で塵とコウモリになっとるやん……! イッ…!」
「凄く強そうに出てきたのに……。 タッ…!」
「やっぱりヴァンパイアだから光に弱いんすね…。 アッ…!」
「身体張らせすぎちゃうか…? ウッ…!」
「あれ生きてるんすかね…? ツッ…!」
「フッ…。 吾輩を日光の元に誘導して倒すとは…中々の策士。 有望な新入りのようだ」
「あ、良かった。元の姿に戻った」
「いや自分から日光に出てきただけやん…」
「できれば再戦を願いたいものだな。次はこうはいかんぞ。 では、さらばだ!」
「皆、凄いな。 あのドラルクを容易く退けるなんて。 見込んだだけあるわぁ」
「いやだから、勝手に日光の元に出てきただけやん……」
【ダンジョンの実力者ドラルクを倒し、一行はようやくダンジョンの中に。 まず案内されたのは……】
「皆、ここが現ダンジョン主がいる最奥の間や。まずは挨拶しとかんとな。 失礼します」
「失礼しますー。 うわ、ここも雰囲気あるなぁ…!」
「廊下?もそうでしたけど、THEダンジョンって感じですね」
「……で、あれなんや…?」
「真ん中に何かありますね……」
「水溜まり……いや、泉…?」
「――よく来たデース! ダンジョン主として、歓迎しマース!」
「わぁっ!? 泉が湧き立って…!?」
「水ん中から登場ってことか…!?」
「んでこの口調って…もしかして……!?」
「初めましてデース! 私がこのダンジョンの主の、魔女のヘルメーヌですヨー!」
\デデーン/
『全員、OUT!』
「泉の女神様やんもう…! イダテン神様然り、神様を雑に扱い過ぎちゃうか? あぐっ…!」
「そもそもなんで神様にオファー出しとるん…? いやガーキー様も神様やけども…。畏れ多い…。 イァッ…!」
「よう祟らんでくれてますよね……。 うっ…!」
「というか、超ノリノリですやん……。 たっ…!」
「な。魔女帽まで被って杖もって……。 ッたぁ…!」
【なんと、登場したのはあの『泉の女神』、ヘルメーヌ様。 まさかの御出演に一同、驚愕】
「えート。 鬼族のマツトモさんに、カッパ族のタカナさん。エルフのエンドオさん。この禿げ光りダンジョン、楽しんでいってクダサーイ!」
「あ、はい」
「有難うございますー」
「よろしくお願いしますー」
「良いお返事デース! そして…ハダマ…さん? あなたの種族は……」
「…イエティ、らしいです…」
「oh! そうでしたカー! 私てっきり、ゴリラ・ゴリラ・ゴリラな種族かトー! だって、雰囲気的にシルバーバックなボス猿さんデスシー!」
\デデーン/
『マツトモ、タカナ、エンドオ、ホーセ、OUTぉ!』
「結局今回もそこなんやなぁ…。 いてっ…!」
「まあイエティの恰好で出てきた時からアレでしたけど……。 あっ…!」
「そこなんすよ…。 今回服女装じゃなくて毛むくじゃらイエティだから、その分…。 あゥ…!」
「強調されてますわぁ…。 女装以上に直視できませんわぁ……。 うぐっ…!」
「そして最後は……スライムのホーセさんですネー! あ、でも貴方……」
「痛て……へ? 僕、なんかありました?」
「ハーイ! どうやら、今の姿が気に入らないご様子。 良かったら、別の姿に転生させてあげまショー! この泉の中に入れてクダサーイ!」
「別の姿…? あ、その服をヘルメーヌ様の泉に入れるってことじゃ?」
「えっ! てことは…泉の女神様のお力が見れるということなのでは…!?」
「でも脱げって、それ簡単に脱げるんか?」
「あぁはい。 これ見た通りの着ぐるみなんで、ここをベリッて剥がしたら…よいしょ」
「フッ…。 中、全身青タイツやったんか……」
\デデーン/
『マツトモ、ハダマ、OUT!』
「「ッテァ…!」」
「えっと…じゃあヘルメーヌ様、失礼します…。 ……これ入るんか? あ、沈んでった……」
「では、いきますヨ~! そ~れっ! ビビデ☆バビデ☆ブー!」
「おー…! ヘルメーヌ様が沈んでって、泉が光っとる…!」
「あ、出て来ましたよ。 何か持って……フッ…!」
「貴方が落としたのは、このカラフル三段タワーのスライム姿? それとも、このクラゲみたいな回復スライム?」
「いや結局スライムのままですやん!? 結局、両方とも目のとこ黒線引かれてますしぃ!!」
\デデーン/
『マツトモ、タカナ、エンドオ、ハダマ、OUTぉ!』
「てっきり転生いうから、別種族の服にしてくれるかと…。 だっ…!」
「まあ確かにさっきのよりかは強そう?ですかね…? や゛っ…!」
「サ! ホーセさん、どっちを落としたんデス?」
「えぇ…。 どっちと言われましても……」
「正直に答えなきゃ全没収かもしれんぞ?」
「そやそや。 そういうルールでやっとる御方なんやから」
「え゛。 でも答えたら答えたで……。 あー……普通の、スライムです!」
「ワーオ! 貴方は正直者デース! 御褒美に、三つとも差し上げマース!」
「ほらやっぱりぃ!」
\デデーン/
『マツトモ、タカナ、エンドオ、ハダマ、OUT!』
「ササ! お好きなのを着てくだサーイ!」
「そう言われましても…。この三段のは足まで覆って動きにくそうだし…こっちのは触手のびらびらが邪魔やし……。 じゃあ最初ので……うわやっぱ濡れとるぅ……というかなんかプルプルしとるぅ……」
「やっぱり基本が一番ですネー! お似合いデース! じゃ、この二つは……片付けちゃいまショー! ソーレ☆」
「――へ? うわあっ!? 勝手に動き出した!? なんで!?」
「なんやこれ…!? 人が入っとんのか!?」
「いやでも足とか手とか出てませんし…。 え、どういう……!?」
「うわ俺らの周り、ぐるぐる周り始めた…! ごっつ怖ぁ…!」
「人サイズだから、凄いでっかい圧が…! …あっ、三段の方から顔が出てき……――うわミミックですやぁん!!」
\デデーン/
『全員、OUTぉ!』
「にゅって真顔出してくるのはズルいやろ…! しかもマスク、黒目線のになっとるやん…! 合わせんでええねん…! 痛っ…!」
「タワー、四段になりましたね…… あぅっ…!」
「宝箱だけやないんやなぁ…。 いぇっ…!」
「つぁっ…! あれ、じゃあ、あっちのクラゲの方は……あれ、触手増えてません…?」
「ホンマや…。触手型のミミックてヤツか…? うお急にスクワット始めよった!? いやむっちゃ動くやん!」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、OUT!』
「「ったぁっ…!」」
「ハーイ! じゃ、お片付けの時間デース! カモーン!」
「あ、ヘルメーヌ様魔女帽を取って…。 わっ!?」
「着ぐるみが…帽子に向かって…!?」
「いやぶつかるっ……! ……っえぇぇ……?」
「……え。どこ消えたん? は? 帽子ん中か!?」
「嘘やん…!? ヘルメーヌ様のお力か? それとも、ミミックの能力か…?」
「クルリンパ☆ それじゃ、ダンジョンを楽しんでくだサーイ!」
「あぁ…。帽子被り直して水ん中に沈んでった……」
「結局どっちの力だったんやあれ……?」
「ん? 何か浮かんできましたよ?」
「なんや? ……ハッ!? あれって…カツラか!?」
「色合い的に…ヘルメーヌ様の髪色ですよね…!? えっ、どういう…!?」
「それじゃあ皆、部屋に案内するで。 こっちや」
「いやアレには触れないんかい!」
「「「フッ…!」」」
\デデーン/
『マツトモ、エンドオ、ホーセ、OUTぉ!』
「ツッコミなきゃ耐えられたんのにぃ…。 いたあっ…!」
「…あれ多分、また後で出る布石ですよね…。 ッア…!」
「本当嫌な予感しかせんなあ……。 ダァッ…!」
【ダンジョン主であるヘルメーヌ様に挨拶を済ませ、五人は部屋へと。 そしてここでもまた、毎回恒例の――】
「はぁあ……。そりゃあるよなぁ、引き出し……」
「気が重いわぁ……よいしょと」
「でもなんか、机もダンジョンぽいっすね。年季入ってそうな…」
「壁もしっかり岩ですし、灯りも松明型ですし…あ、武器立てとかもありますよ」
「…んで、しっかり『あれ』もあるで……」
「あれ? うわっ……宝箱や……。しかも堂々と……」
「そらダンジョンやからなぁ…あるやろなぁ……」
「さっきからミミックにケツしばかれまくってますから、怖なってきました…」
「番号とか書いてませんし、多分すぐ開けられるやつですよあれ……」
「そして開けたらミミック飛び出してくるんちゃうか……?」
「「「「「…………。」」」」」
「…エンドオ、行け」
「僕ですか!? ……わかりました」
「うわ怖…! 距離とっとこ…」
「蓋に触れた瞬間、バクーっといかれるかもなぁ…」
「おっそろし……」
「――はい…! 目の前までつきました。 で、手を……あ、なんともない」
「もう一気に開けたほうが気が楽ちゃうかな」
「そうしますー…。 せーの……はいっ! っ……あ、あれ?」
「――…なに? なんともないんか?」
「は、はい。 中、空です」
「なんや驚かせよってからに…。じゃあ引き出し開けよか」
「あ、じゃあ席に戻ります。 よっー―ウバババババッ!?」
「はっ!? どしたエンドオ!?」
「蓋閉めた瞬間…! 電撃が……! ビビビビッてぇ…!」
「あー…そりゃ災難やったな……フフッ…!」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、タカナ、ホーセ、OUT!』
「閉めたら起動するタイプやったかぁ…。 ツァッ…!」
「気が一番抜けた瞬間狙われましたね…。 イッ…!」
「ミミックやのうて、トラップ宝箱だったんか…。 アァッ!」
「そういうパターンもあんねやな……。 グッ…!」
「あー痛…。 でもこれで安心して引き出し開けられますね。 誰から行きます?」
「ほな。俺から行くわ。 マツトモ、開きます―。 ……ここはハズレやな」
「まだわかりませんよ…? 何が入ってるか……」
「せやなぁ。 でも、ビリっと2つはないやろうから安心して――うおわっ!?」
「―!? え、どうしたんですかマツトモさん…!?」
「……ふっ…!」
\デデーン/
『マツトモ、OUTぉ!』
「いたぁっ…! …なるほど、そういうパターンだったんやなぁ……」
「どういうことです?」
「ちょっと全員こっち来てくれんか? 一回ここ閉じるから」
「なんです?」
「なんや?」
「何が入ってたんすか…?」
「ええか? そーっと…………ほら」
「「「「ふふっ…!」」」」
\デデーン/
『ハダマ、タカナ、エンドオ、ホーセ、OUT! マツトモ、OUT!』
「なんで引き出しん中でミミック寝とんねん…! アウッ…!」
「あの電撃トラップと場所入れ替わってるんすねぇ…。 いっ…!」
「ご丁寧に『起こさないでください』って札まで…。 った…!」
「朝早かったんやろなぁ…。 ムゥッ…!」
「――で、どうしますそれ?」
「起こすな書いてあるんだから、起こしちゃいかんやろ。 戻そ」
「「「「「フッ…!」」」」」
\デデーン/
『全員、OUTぉ!』
「スーッと仕舞われていくのズっルいわぁ…。 だァッ…!」
「ミミックのおかげで全部の引き出し怖なってきましたよ…。 マァっ…!」
「つあっ…! …流石ダンジョンのお仕置き部隊やなぁ。そこかしこにいるんやろうなぁ」
「ですねぇ…。 今後もどこで出てくるか……」
「――あ。耳を澄ませたら……引き出しミミックの寝息が……」
\デデーン/
『全員、OUT!』
「やめーやもう! ったぁっ…!!」
【ミミックの恐ろしさを垣間見た五人。 しかしまだまだ、魔物達の饗宴は始まったばかり――】