ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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人間側 とある芸人達と使い②

 

「皆、着いたで。 ここが『ガースー禿げ光りダンジョン』や」

 

 

「おおぉ~…! 趣あんなぁ」

 

「洞窟遺跡型なんですねぇ」

 

「こん中、蟻の巣みたいになってんやろな」

 

「…なんか既に、走り回れそうな広場が横に……」

 

「嫌な予感しかせんわぁ……」

 

 

 

【ダンジョンに到着した五人は、フジラワに導かれその入口へ。 まずは、いつもの――】

 

 

 

「一旦ここで止まってくれ。 この石像、誰かわかるか?」

 

 

「…ガーキー様、すよね」

 

 

「そや。 このダンジョンの創設者にして初代主、ガーキー様や。 最も、今は御隠居の身や」

 

 

「そうなんすねぇ」

 

 

「そうなんすや。 …あっ、そうなんです、いや…そうなんや!」

 

 

 

 

\デデーン/

『マツトモ、タカナ、OUTぉ!』

 

 

 

 

「しょーもない噛みで笑うの止めたいわぁ…。 ッィ…!」

 

「ボーッとしてると結構キクんすよねぇ……。 いたっ…!」

 

 

「あ、見てくださいハダマさん。ほら、今ケツ叩いたミミック達が…カメラ外に出て……箱になって、ちょこん」

 

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUT!』

 

 

 

「止めえ言うたろエンドオ! アゥッ!」

 

「いて…! すみません…! 痛ぁっ!」

 

 

 

 

 

 

 

「――話戻すで。 ガーキー様が御隠居されたから、今は別の方がダンジョン主を務めてる。 まずはその方に会いに行くで…――」

 

 

「――待つがいい、フジラワ。 その者達は、貴様が言っていた新入りとやらか?」

 

 

 

「ん? 誰や…?」

 

「ダンジョンの中からでしたね」

 

「中、暗くてよく見えんわぁ…」

 

「あ、姿が」

 

「あれは……。 って、わぁっ…!?」

 

 

 

【ダンジョン内に入ろうとした彼らを止めるように、入口に何者かが。 その正体は――】

 

 

 

「新入りよ。我が名はドラルク。 見ての通り、ヴァンパイアだ」

 

 

 

「嘘やん…!! 今度は公爵閣下やん……!」

 

「大丈夫なんですかね…? 色々と……?」

 

「おっそろしい人選しとるわぁ……」

 

 

 

【なんと、魔界公爵が1人、ヴァンパイアのドラルク閣下。 普段はご自身のダンジョンにて、冒険者を迎え撃っている名うての実力者だが――】

 

 

 

「ふむ。中々の顔ぶれだ。鬼、カッパ、エルフ、イエティ、スライムか。 ならば一つ、新入りの実力試しだ。 手合わせを願おう!」

 

 

 

「えぇ…!? なんでそうなるんすか…!?」

 

「こわいこわいこわいこわい…!」

 

 

 

「止めるんや、ドラルク。 まだ一日体験の子達や」

 

 

 

「もっと言うたってぇ…!」

 

 

 

「その頼みは聞けぬな、フジラワ。 では新入り達よ、構えるがいい!」

 

 

 

「いやマジで来るんか!?」

 

「こわいこわいこわいこわいこわいっ!!」

 

「むっちゃ武闘派やん! うわ力貯めてこっち来る!!」

 

「ヤバいヤバいヤバい! ……って、あっ…!」

 

「そこ日光が照って……!」

 

 

 

 

「グワ――――――――――ッ!」

 

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUTぉ!』

 

 

 

 

「一瞬で塵とコウモリになっとるやん……! イッ…!」

 

「凄く強そうに出てきたのに……。 タッ…!」

 

「やっぱりヴァンパイアだから光に弱いんすね…。 アッ…!」

 

「身体張らせすぎちゃうか…? ウッ…!」

 

「あれ生きてるんすかね…? ツッ…!」

 

 

 

「フッ…。 吾輩を日光の元に誘導して倒すとは…中々の策士。 有望な新入りのようだ」

 

 

 

「あ、良かった。元の姿に戻った」

 

「いや自分から日光に出てきただけやん…」

 

 

 

「できれば再戦を願いたいものだな。次はこうはいかんぞ。 では、さらばだ!」

 

 

「皆、凄いな。 あのドラルクを容易く退けるなんて。 見込んだだけあるわぁ」

 

 

 

「いやだから、勝手に日光の元に出てきただけやん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ダンジョンの実力者ドラルクを倒し、一行はようやくダンジョンの中に。 まず案内されたのは……】

 

 

 

「皆、ここが現ダンジョン主がいる最奥の間や。まずは挨拶しとかんとな。 失礼します」

 

 

 

「失礼しますー。 うわ、ここも雰囲気あるなぁ…!」

 

「廊下?もそうでしたけど、THEダンジョンって感じですね」

 

「……で、あれなんや…?」

 

「真ん中に何かありますね……」

 

「水溜まり……いや、泉…?」

 

 

 

 

「――よく来たデース! ダンジョン主として、歓迎しマース!」

 

 

 

 

「わぁっ!? 泉が湧き立って…!?」

 

「水ん中から登場ってことか…!?」

 

「んでこの口調って…もしかして……!?」

 

 

 

「初めましてデース! 私がこのダンジョンの主の、魔女のヘルメーヌですヨー!」

 

 

 

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUT!』

 

 

 

「泉の女神様やんもう…! イダテン神様然り、神様を雑に扱い過ぎちゃうか? あぐっ…!」

 

「そもそもなんで神様にオファー出しとるん…? いやガーキー様も神様やけども…。畏れ多い…。 イァッ…!」

 

「よう祟らんでくれてますよね……。 うっ…!」

 

「というか、超ノリノリですやん……。 たっ…!」

 

「な。魔女帽まで被って杖もって……。 ッたぁ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

【なんと、登場したのはあの『泉の女神』、ヘルメーヌ様。 まさかの御出演に一同、驚愕】

 

 

 

「えート。 鬼族のマツトモさんに、カッパ族のタカナさん。エルフのエンドオさん。この禿げ光りダンジョン、楽しんでいってクダサーイ!」

 

 

 

「あ、はい」

「有難うございますー」

「よろしくお願いしますー」

 

 

 

「良いお返事デース! そして…ハダマ…さん? あなたの種族は……」

 

 

 

「…イエティ、らしいです…」

 

 

 

「oh! そうでしたカー! 私てっきり、ゴリラ・ゴリラ・ゴリラな種族かトー! だって、雰囲気的にシルバーバックなボス猿さんデスシー!」

 

 

 

 

\デデーン/

『マツトモ、タカナ、エンドオ、ホーセ、OUTぉ!』

 

 

 

「結局今回もそこなんやなぁ…。 いてっ…!」

 

「まあイエティの恰好で出てきた時からアレでしたけど……。 あっ…!」

 

「そこなんすよ…。 今回服女装じゃなくて毛むくじゃらイエティだから、その分…。 あゥ…!」

 

「強調されてますわぁ…。 女装以上に直視できませんわぁ……。 うぐっ…!」

 

 

 

 

 

 

 

「そして最後は……スライムのホーセさんですネー! あ、でも貴方……」

 

 

 

「痛て……へ? 僕、なんかありました?」

 

 

 

「ハーイ! どうやら、今の姿が気に入らないご様子。 良かったら、別の姿に転生させてあげまショー! この泉の中に入れてクダサーイ!」

 

 

 

「別の姿…? あ、その服をヘルメーヌ様の泉に入れるってことじゃ?」

 

「えっ! てことは…泉の女神様のお力が見れるということなのでは…!?」

 

「でも脱げって、それ簡単に脱げるんか?」

 

「あぁはい。 これ見た通りの着ぐるみなんで、ここをベリッて剥がしたら…よいしょ」

 

「フッ…。 中、全身青タイツやったんか……」

 

 

 

 

\デデーン/

『マツトモ、ハダマ、OUT!』

 

「「ッテァ…!」」

 

 

 

 

 

 

 

「えっと…じゃあヘルメーヌ様、失礼します…。 ……これ入るんか? あ、沈んでった……」

 

 

 

「では、いきますヨ~! そ~れっ! ビビデ☆バビデ☆ブー!」

 

 

 

「おー…! ヘルメーヌ様が沈んでって、泉が光っとる…!」

 

「あ、出て来ましたよ。 何か持って……フッ…!」

 

 

 

「貴方が落としたのは、このカラフル三段タワーのスライム姿? それとも、このクラゲみたいな回復スライム?」

 

 

 

「いや結局スライムのままですやん!? 結局、両方とも目のとこ黒線引かれてますしぃ!!」

 

 

 

 

\デデーン/

『マツトモ、タカナ、エンドオ、ハダマ、OUTぉ!』

 

 

 

「てっきり転生いうから、別種族の服にしてくれるかと…。 だっ…!」

 

「まあ確かにさっきのよりかは強そう?ですかね…? や゛っ…!」

 

 

 

 

 

 

 

「サ! ホーセさん、どっちを落としたんデス?」

 

 

 

「えぇ…。 どっちと言われましても……」

 

「正直に答えなきゃ全没収かもしれんぞ?」

 

「そやそや。 そういうルールでやっとる御方なんやから」

 

「え゛。 でも答えたら答えたで……。 あー……普通の、スライムです!」

 

 

 

「ワーオ! 貴方は正直者デース! 御褒美に、三つとも差し上げマース!」

 

 

 

「ほらやっぱりぃ!」

 

 

 

 

\デデーン/

『マツトモ、タカナ、エンドオ、ハダマ、OUT!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ササ! お好きなのを着てくだサーイ!」

 

 

 

「そう言われましても…。この三段のは足まで覆って動きにくそうだし…こっちのは触手のびらびらが邪魔やし……。 じゃあ最初ので……うわやっぱ濡れとるぅ……というかなんかプルプルしとるぅ……」

 

 

 

「やっぱり基本が一番ですネー! お似合いデース! じゃ、この二つは……片付けちゃいまショー! ソーレ☆」

 

 

 

「――へ? うわあっ!?  勝手に動き出した!? なんで!?」

 

「なんやこれ…!? 人が入っとんのか!?」

 

「いやでも足とか手とか出てませんし…。 え、どういう……!?」

 

「うわ俺らの周り、ぐるぐる周り始めた…! ごっつ怖ぁ…!」

 

「人サイズだから、凄いでっかい圧が…! …あっ、三段の方から顔が出てき……――うわミミックですやぁん!!」

 

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUTぉ!』

 

 

 

「にゅって真顔出してくるのはズルいやろ…! しかもマスク、黒目線のになっとるやん…! 合わせんでええねん…! 痛っ…!」

 

「タワー、四段になりましたね…… あぅっ…!」

 

「宝箱だけやないんやなぁ…。 いぇっ…!」

 

「つぁっ…! あれ、じゃあ、あっちのクラゲの方は……あれ、触手増えてません…?」

 

「ホンマや…。触手型のミミックてヤツか…? うお急にスクワット始めよった!? いやむっちゃ動くやん!」

 

 

 

 

\デデーン/

『ハダマ、マツトモ、OUT!』

 

 

 

「「ったぁっ…!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハーイ! じゃ、お片付けの時間デース! カモーン!」

 

 

 

「あ、ヘルメーヌ様魔女帽を取って…。 わっ!?」

 

「着ぐるみが…帽子に向かって…!?」

 

「いやぶつかるっ……! ……っえぇぇ……?」

 

「……え。どこ消えたん? は? 帽子ん中か!?」

 

「嘘やん…!? ヘルメーヌ様のお力か? それとも、ミミックの能力か…?」

 

 

 

「クルリンパ☆ それじゃ、ダンジョンを楽しんでくだサーイ!」

 

 

 

「あぁ…。帽子被り直して水ん中に沈んでった……」

 

「結局どっちの力だったんやあれ……?」

 

「ん? 何か浮かんできましたよ?」

 

「なんや? ……ハッ!? あれって…カツラか!?」

 

「色合い的に…ヘルメーヌ様の髪色ですよね…!? えっ、どういう…!?」

 

 

 

「それじゃあ皆、部屋に案内するで。 こっちや」

 

 

 

「いやアレには触れないんかい!」

 

「「「フッ…!」」」

 

 

 

 

\デデーン/

『マツトモ、エンドオ、ホーセ、OUTぉ!』

 

 

 

「ツッコミなきゃ耐えられたんのにぃ…。 いたあっ…!」

 

「…あれ多分、また後で出る布石ですよね…。 ッア…!」

 

「本当嫌な予感しかせんなあ……。  ダァッ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ダンジョン主であるヘルメーヌ様に挨拶を済ませ、五人は部屋へと。 そしてここでもまた、毎回恒例の――】

 

 

 

「はぁあ……。そりゃあるよなぁ、引き出し……」

 

「気が重いわぁ……よいしょと」

 

「でもなんか、机もダンジョンぽいっすね。年季入ってそうな…」

 

「壁もしっかり岩ですし、灯りも松明型ですし…あ、武器立てとかもありますよ」

 

「…んで、しっかり『あれ』もあるで……」

 

 

 

「あれ? うわっ……宝箱や……。しかも堂々と……」

 

「そらダンジョンやからなぁ…あるやろなぁ……」

 

「さっきからミミックにケツしばかれまくってますから、怖なってきました…」

 

「番号とか書いてませんし、多分すぐ開けられるやつですよあれ……」

 

「そして開けたらミミック飛び出してくるんちゃうか……?」

 

 

 

「「「「「…………。」」」」」

 

 

 

「…エンドオ、行け」

 

「僕ですか!? ……わかりました」

 

「うわ怖…! 距離とっとこ…」

 

「蓋に触れた瞬間、バクーっといかれるかもなぁ…」

 

「おっそろし……」

 

 

 

「――はい…! 目の前までつきました。 で、手を……あ、なんともない」

 

「もう一気に開けたほうが気が楽ちゃうかな」

 

「そうしますー…。 せーの……はいっ!  っ……あ、あれ?」

 

 

 

「――…なに? なんともないんか?」

 

「は、はい。 中、空です」

 

「なんや驚かせよってからに…。じゃあ引き出し開けよか」

 

 

「あ、じゃあ席に戻ります。 よっー―ウバババババッ!?」

 

 

 

「はっ!? どしたエンドオ!?」

 

「蓋閉めた瞬間…! 電撃が……! ビビビビッてぇ…!」

 

「あー…そりゃ災難やったな……フフッ…!」

 

 

 

 

\デデーン/

『ハダマ、マツトモ、タカナ、ホーセ、OUT!』

 

 

 

「閉めたら起動するタイプやったかぁ…。 ツァッ…!」

 

「気が一番抜けた瞬間狙われましたね…。 イッ…!」

 

「ミミックやのうて、トラップ宝箱だったんか…。 アァッ!」

 

「そういうパターンもあんねやな……。 グッ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー痛…。 でもこれで安心して引き出し開けられますね。 誰から行きます?」

 

「ほな。俺から行くわ。 マツトモ、開きます―。 ……ここはハズレやな」

 

「まだわかりませんよ…? 何が入ってるか……」

 

「せやなぁ。 でも、ビリっと2つはないやろうから安心して――うおわっ!?」

 

 

「―!? え、どうしたんですかマツトモさん…!?」

 

「……ふっ…!」

 

 

 

 

\デデーン/

『マツトモ、OUTぉ!』

 

 

 

「いたぁっ…! …なるほど、そういうパターンだったんやなぁ……」

 

「どういうことです?」

 

「ちょっと全員こっち来てくれんか? 一回ここ閉じるから」

 

「なんです?」

 

「なんや?」

 

「何が入ってたんすか…?」

 

「ええか? そーっと…………ほら」

 

 

「「「「ふふっ…!」」」」

 

 

 

 

\デデーン/

『ハダマ、タカナ、エンドオ、ホーセ、OUT! マツトモ、OUT!』

 

 

 

「なんで引き出しん中でミミック寝とんねん…! アウッ…!」

 

「あの電撃トラップと場所入れ替わってるんすねぇ…。 いっ…!」

 

「ご丁寧に『起こさないでください』って札まで…。 った…!」

 

「朝早かったんやろなぁ…。 ムゥッ…!」

 

 

 

 

「――で、どうしますそれ?」

 

「起こすな書いてあるんだから、起こしちゃいかんやろ。 戻そ」

 

 

「「「「「フッ…!」」」」」

 

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUTぉ!』

 

 

 

「スーッと仕舞われていくのズっルいわぁ…。 だァッ…!」

 

「ミミックのおかげで全部の引き出し怖なってきましたよ…。 マァっ…!」

 

「つあっ…! …流石ダンジョンのお仕置き部隊やなぁ。そこかしこにいるんやろうなぁ」

 

「ですねぇ…。 今後もどこで出てくるか……」

 

「――あ。耳を澄ませたら……引き出しミミックの寝息が……」

 

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUT!』

 

 

 

「やめーやもう! ったぁっ…!!」

 

 

 

 

【ミミックの恐ろしさを垣間見た五人。 しかしまだまだ、魔物達の饗宴は始まったばかり――】

 

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