ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~ 作:月ノ輪
「……で。今度は誰から開ける?」
「タカナ、行け」
「えぇ…僕からですかぁ…?」
【部屋に戻った五人は早速、入れ替えられた引き出しに挑むことに。今回、中に入っているのは――】
「――えいっ…! ……あれぇ?」
「なんや。何も入っとらんやんけ」
「いやまだ大きいとこ一つ残っとりますから…」
「それでも珍しい気がするなぁ。いつもはもっと何か…」
「そっすよね。いつもは映像再生用のアレがポンと入ってるパターンで…」
「とりあえず最後の開けますよ……! それっ! ――ん!?」
「なんか入ってたんか? …なんやそのようわからん顔」
「はよ出せって。 ……なんやそれ? マスクか?」
「ケツ叩きミミック達が被っとる、舞踏会マスクみたいなやつっすね……」
「でもなんか上部分に豪華なんくっついとりますね。 宝箱の絵のでっかいの…」
【出てきたのは、煌びやかな宝箱を模した装飾付きのドミノマスク。 更に加えて、手紙も入っていたようだが――】
「……開けちゃいますか? この手紙……」
「んー……。 とりあえず全員の開けてからにしよか」
「ほな、今度は俺がいくわ。 マツトモ、開きますぅ―」
「もうええねんてそのネタ…。 わ。鍵や…」
「あそこの棚のですね……」
「とりあえず保留やな」
「じゃあ次は、僕が――アヴッ!?」
「ふっ…! まーたエンドオに電撃トラップ仕込まれとる…!」
「さっきのはエンドオ相手のとは限らんけどなぁ。俺が行け言うたんやから…! ふはっ…!」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、OUT!』
「「だぁっ…!」」
【ということで五人はそれぞれの引き出しを開き、中身を確認していく。 そして…地獄のネタ消費タイムが幕を開ける――】
「――はぁぁああ……! もうそろケツが限界な気がするわあ…!」
「いやぁ…いつも通りと言うかなんというか……エグイすねぇ…」
「……きっつぅい……」
「どれもこれも、かなりのでしたね……」
「なんやねん今回……。 俺のとこのこれ、酷かったわぁ……」
「あぁ、『召喚魔導書』っすね…。書かれてた指示通りにやったらホンマに魔法陣出てきたやつ…」
「それはまだええねん! でもなんでそっから出てきたのが、おにぃのあいつやねん!」
「ふっ…! 今回もアレでしたねぇ…。で、その後魔導書回収に入ってきたのが……」
「デラックスのあいつな! なんやねん『ヘルメーヌ様の魔女友』って!」
「そりゃ確かに、いつも魔女っぽい服着とりますけどあの人…。 ふふはっ……!」
\デデーン/
『全員、OUT!』
「だぁっ……! ほんで次はあれですよ、『笑い袋』……」
「あれもなぁ……。いつも通りの勝手に笑うヤツかと思ったら一味違ったなぁ…」
「思いっきりミミック入ってましたね…。 そして、勢いよく飛び跳ねまくって……」
「まあ笑いながら逃げ回るせいで大惨事やったなぁ…。今ケツ痛いの、大体それが原因やもん…」
「ミミックは捕まえられませんわ…。 …さっきの泳ぐカツラ然り……。 ふふっ…!」
\デデーン/
『全員、OUT!』
「あぐぁっ…! ててて……。後は僕のとこ入ってた鍵の、『宝の地図』っすね…」
「あの『カワサキ』って書いてあるロッカーの中に入ってたヤツよな」
「『伝説の武具』が隠されてるって言うから、ちょっと期待して探したのに……」
「なんでそれがマツトモの筋トレ道具一式やねん! ごっつ腹立つ…!」
「ふっ…! これな。 よう持ってきた――ア゛ア゛ッ!?」
\デデーン/
『全員、OUT!』
「ハンドグリップにビリビリ魔法付与されてたんすね…! どぁっ…!」
「癖で握るからや…! おゔっ…!」
「ごっつぅ腹立つぅう…! だあっ…!」
「ぐぁっ…! あれそういえば…さっきからずっと、アナウンス役1人になっとりません?」
「ててて…。 あ、ホンマや。 えーと…隊長の方、おらんくなっとる? 副隊長だけやな……」
『隊長は只今所用で席を外しております。ですのでその間は、私1人で担当させていただきます!』
「お。答えてくれた」
「所用ってなんでしょ…? なんか怖いわぁ……」
「いやけど、そういえば凄いっすね。 ずっとアナウンスしてくれとりますけど、全然めんどくさがる様子無いの」
「確かに。なんというか常に生き生きしとるというか…。 元気一杯やから、元気貰えてる気がしますわ」
「わかるわぁ。この声で今回結構癒されとるもん。 何か笑顔になってまうな――」
「「「あ…! マツトモさん…!」」」
\デデーン/
『マツトモ、OUT!』
「嘘やん!? にやけただけやん! てか褒めたやん!! 褒めただけやぁん!!! あばぅっ!」
「副隊長も容赦ないわぁ……」
「えーと…。とりあえず残りの二つ、処理します?」
「そうするかぁ。 えーと、マツトモのと、タカナのやな」
「マツトモさんのが鍵で、タカナのが手紙付きの…お仕置き部隊のマスクの強化版みたいな?っすね」
「あ。じゃあ僕、とりあえず手紙を開けてみますわ」
「頼むわぁ」
「よいしょっと…開いた」
「特に仕込まれてる様子は……ないな。鍵とか入ってる様子も……ない」
「で、なんて書いてあるん?」
「――えぇ…!? あ、そういう…! だから…!」
「何独り言ちとんねん! 見せろや!」
「えーと何々…? 『このドミノマスクはお仕置き部隊隊長の証です』ぅ!?」
「『これを被れば、ミミック達は貴方の言う事を聞くでしょう』やって…!?」
「なんやそれ!? とりあえずタカナ、被ってみ?」
「あ、はい。 えーと……こうすかね?」
「「「「フッ…!!」」」」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、エンドオ、ホーセ、OUT!』
「ダメやなぁ…。タカナがつけるとただの変態やもん…! ぐぁっ!」
「中々にアカンなぁあれは…。 あぶっ…!」
「誰がつけても駄目でしょうけど、でもあれは……。 づぁっ…!」
「ぶぁっ…! ……タカナ、ちょっとそこに鏡あるから見てみ?」
「はぁ。 ふはははっ…!!」
\デデーン/
『タカナ、OUT!』
「まあそりゃ笑うわなぁ…」
「あ、ミミック入って来て……あれ?」
「おぉ…! ミミックの動き止まったやん!」
「そんでタカナに仕えるように待機しとる…!?」
「え、え…!? ええっと……叩かずに、帰って! ……くれますかね?」
「おー! タカナの命令に従って帰ってった!」
「効力バッチリですね!」
「すごぉ…!」
「ずっこぉ……」
「良いですねこれ…!」
「うわタカナ、酷くニヤけとるやん……」
「ちょっと副隊長さーん? タカナ笑っとりますよー?」
\デデーン/
『タカナ、OUT!』
「またお仕置きミミックが来ました」
「けど……。 おー」
「タカナが手で制しただけで帰ってった…!」
「無敵やん……! ……ちょっと貸してくれへん?」
「えっ。嫌ですよ! なんでホーセさんに…」
「ええやんちょっとぐらい…! 俺もケツ痛いねん…!」
「それは僕もですって…!」
「頼むからぁ…! 一生に一度のお願い…!」
「いやでも……」
「…タカナ。お前今お仕置き隊長なんやから、ホーセにお仕置き出来るんちゃうか?」
「えっ。 あっ…! そ、そうかも…!」
「え゛。 ちょっとハダマさん…!? タカナ待っ……」
\デデーン/
『ホーセ、OUT!』
「嘘ぉ!? 笑ってへん! 笑ってへんよ!? 止めっ……ぼああっ!」
「「「「ふっははっ!!」」」」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、タカナ、エンドオ、OUT!』
「いや流石隊長の仮面やなぁ…。 だぁっ…!」
「ホンマに通るとは思わんかったわ…。 ほぅおっ…!」
「づぁっ…! んでやっぱり叩かれませんね…」
「ててて……タカナ、ちょっと耳を……マスク別に取らんから!」
「なんですかホーセさん…。 ……えっ。それは……」
「聞いてみたらええんちゃうか? 丁度そこに居るし」
「わ、わかりました。 えーと…ミミック…さん?」
「…なんか企んどるなあれ……」
「おいホーセ、変な入れ知恵すんなや」
「ミミックに何を聞く気なんでしょ?」
「僕の分のケツ叩き、他の人にやることってできます?」
「―!? 何聞いとるねんあいつ!?」
「うわしかもミミック、しっかり頷きましたよ!?」
「勢いよくケツバット振り回し始めたやん! やる気満々やんか!」
「ハダマさんや…! ハダマさん狙え…!」
「おいホーセぇ!! …タカナ、わかっとるやろな? さっき教えてやったん俺やぞ?」
「で、す、よ、ね……じゃあ、えーと……。 …………ランダムって…できます…か?」
「ん!? なんか急に画面が点いたぞ?」
「うわ…! ルーレット表示されとるぅ…!」
「タカナ抜きのや…! 用意周到やなぁ……」
「うわうわうわ回転しだした…! 誰に止まる……――」
\デデーン/
『マツトモ、OUT!』
「なんで俺やねん!!! だブあっ!?」
「――くっそぉ……。 タカナ、好き放題しおって…」
「あいつニヤけるたびに誰かにケツ叩き回ってくるの辛いわぁ…」
「というかさっきから延々とにやけ続けてるの止めて欲しいっすね…。 ああほらまたアナウンスが……」
「で、タカナが指示する度に……」
\デデーン/
『ハダマ、OUT!』
「今度は俺かいな…。 がっ…! あいつ絶対許さへんからな…!」
「あっ駄目ですってハダマさん…! そないなこというたら…!!」
「副隊長さん、ハダマさんにもう一回お願いしますわー」
\デデーン/
『ハダマ、OUT!』
「はぁああ!?!? あいつマジで許さへんからな!! ばあっ…!!」
「――じゃそろそろ、マツトモさんの鍵、開けましょうよ」
「うわあいつ仕切り始めよったで…」
「とりあえずニヤけんのやめーや!」
「え???」
「ウザぁ…! ほらまたアナウンス鳴って…――」
「今度は俺かい! あうっ…! もうその仮面外せって!」
「嫌ですぅー」
「なんやあの態度ごっつ腹立つ…!!」
「このままじゃ話進まへんねん!」
「本物の隊長の方がまだマシっすよ……!」
「どこ行ったんすかあの方……!!」
『ただいまー、副隊長』
『あ、お帰りなさい。隊長』
「「「「あっ」」」」
「えっ……!?」
『探し物は見つかりましたか?』
『それがまだ見つかってないのよ。私の隊長用マスク…。 どこ行っちゃったんだろ……』
「あ…!!」
「それや! タカナの!! それや!!」
「タカナなんて顔しとんねん! ぶふっ…!」
「まさに吠え面って感じや…! はははっ…!」
『――ん? あれ? あーーっ! タカナ、そのマスク私の!! なんで勝手につけてるの!?』
「ゔっ…! いやこれはその……! 引き出しに入ってて…!」
「ふふははっ…! しどろもどろや…!」
「今更外しても遅いやろ…!!」
「ざまぁみさらせ!」
「相手はお仕置き部隊隊長やしなぁ。なら当然――」
『人の物を盗むなんて泥棒! お仕置き執行よ!!』
「いやちょっと待って…!!」
『問答無用! えいっ!』
\デデーン/
『タカナ、タイキックぅっ!!!』
「嘘ぉ! 嘘嘘嘘嘘嘘嘘…! ちょっと待って隊長さん…!? 違うんですって!」
「何が違うねん」
「もう諦めとけ。ほら音楽流れ出したで」
「あ、入ってきましたよいつもの方」
「このためのネタ振りやったんやなぁ……」
「いや嘘嘘嘘…! 勘弁してくださいって! あぁっ…! せめて優しく…優しく……!! あ゛あ゛あ゛ゔっっあ゛っっ!!」
「「「「ふふはははっ!」」」」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、エンドオ、ホーセ、OUT!』
「――ま。自業自得やなぁ」
「おー悶えとる悶えとる」
「あ、隊長マスク、回収されていきましたね」
「……ん?」
「痛ったぁ……。 勘弁してくださいよもぉ……」
「おいタカナ」
「――な、なんですかハダマさん…?」
「なんかお前、今回そんなに痛がってないんちゃうか?」
「……っ! い、いや…そんなことは……」
「そういえば確かに……。いつもはもっと痛がるよな」
「しかもそれでも、『実は痛くない疑惑』あるのに……」
「今回すぐに起き上がりましたよね……」
「もしかせんでも、今回のあんま痛くなかったんちゃうか?」
「そ、そんなことありませんよ!! ケツ肉取れるぐらい痛かったですから!! うん!!」
「ふっ…! 言い訳下手かいな…!」
「そう言いながら普通に立ってるし……」
「もう痛がってる素振りないやん」
「タカナ、正直に言え。 そしたらさっきのヤツ許したるから」
「……………………実は、そんなに……」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、エンドオ、ホーセ、OUT!』
「自白しよったでこいつ! あうっ…!」
「言わなきゃええのに…。 ぐぅっ…!」
「ハダマさんの圧に負けたなぁ…。 どぅっ…!」
「やっぱりなぁ……。 だうっ…!」
「いや違うんですって! なんかいつもより明らかに弱かったというか…思いっきり手加減されてる感じが……!!」
「だから何が違うねん!」
「寧ろ自白の内容、強化してますね……」
「もうアカンなあれ…」
「ですってよ隊長さん方ぁ。 弱かったみたいですよお」
「ちょっ!? ハダマさん何言って――」
『なんですってえ!? なら、もっと強いお仕置きが必要ね!』
「いやちょっ…! ちょ、ちょっと…! 隊長さん待ってくださいって! 痛かったですから!!」
『問答無用、パート2! えいっ!』
\デデーン/
『タカナ、ウサキックぅっ!!!』
「「「「「――は? ウサキック???」」」」」
「…って、なんやそれ?」
「え。あれのことですよね…。兎の……」
「兎のキックってことか?」
「――あ。 あ!! 俺わかったわ!!」
「な、なんです…? うっ…! 扉が開いて……――」
「ぴょぉお~~ん! ぴょおおお~~~んっ!!」
「――!?」
「―――えっ!?!?」
「あ、そういう…!!」
「ふふふっ……ふふふはは…!!」
「え。嘘マジで!? いやいや…! いやいやいや!!」
「そう、私っぴょん! ある時は村娘、ある時はお仕置き執行兎! その正体は――!」
「「「「「イスタ姫様やん!!!!」」」」」
\デデーン/
『全員、OUT!』
【なんとバス以来の再登場、バニーガール族の妹姫様。 今回は村娘の服ではなく、バニー服型のお仕置き部隊制服でのお出まし――。】
「まさかまた現れるとはなぁ……」
「しっかりお仕置き部隊の仮面被って……」
「ものっそいノリノリっすね……」
「あ。タカナ震えてるわ」
「いやいや!だって! さっきフロッシュ王様を思いっきり蹴って軽々吹き飛ばしてらっしゃったじゃないですか!! 手すりのポールがあらぬ方向にひん曲がるぐらいに!!」
「せやなぁ…」
「えっぐいドロップキック嚙ましてましたね」
「姉妹共々な」
「岩程度なら砕けんちゃうかってレベルでしたね」
「あ。岩ぐらいなら簡単に蹴り砕けるっぴょんよ?」
「!!? ま、マジですかぁ……!?」
「マジっぴょん! さ、お尻を出すっぴょん!」
「いやいやいやいや! 無理無理無理無理!! 死にますって!! 僕死にますって!!!」
「大丈夫っぴょんよ、本気で蹴る訳じゃないんだし! おーい、お手伝いミミック達~!」
「うおっ…! ミミックも入ってきよった!」
「あ、ふっ…!! 全員ウサ耳付けとりますね…!」
「そんで皆触手を出して、タカナ捕えて……」
「ケツ向ける態勢で押さえて…! うわうわうわ…!」
「さー、いくっぴょんよぉ~!! せぇのっっ――! ぴょオんッッ!!」
「――――――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!」
「うーわぁえっぐい蹴り!!」
「とんでもない破裂音が……!!」
「タカナ、声すら出せず倒れたで」
「あー。あれはマジの苦悶顔っすね。 ……フッ…!」
\デデーン/
『ハダマ、マツトモ、エンドオ、ホーセ、OUT!』
「「「「あ゛うっ……!」」」」
「あ゛あ゛ゔ ゔ…………ゔああ゛……!」
「これに懲りたら隊長の真似はしちゃいけないっぴょん! じゃあねっぴょ~ん!」
【勝手に隊長を名乗った罰を受けたタカナ。 しかし、まだ引き出しネタは残っている―――】