ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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人間側 とある芸人達と使い⑨

 

 

「いっっっやぁ……! まさかのご登場だったなぁ……!」

 

「ホンマですよ! 先代の魔王様なんて! あー恐ろしかった……!」

 

「ドラルク公爵のあのネタ、魔王様に許可頂いてやってるんでしょうねぇ……」

 

「正直、漏らさんようにするので精一杯やったわ……!」

 

「あと御覧になってくださってるの嬉しいねんけど…ほんま畏れ多いわぁ…!」

 

 

 

 

 

【夜も更け、普段ならば眠気が襲う時間帯。しかし五人は興奮冷めやらぬ様子】

 

 

 

 

 

「でも流石に、ドラルク公爵様以外の貴族の方々は出演されないんすね。…出たら出たでこっちの身が保ちませんけど」

 

「どうもお忍びっぽいしなぁ。 あでも、ちょい前にグリモワルス(魔王配下の大公爵陣)の娘さん方登場したことあったよな」

 

「あぁ、『レオナール家』と『エスモデウス家』の! あん時も散々暴れていかれましたわ……」

 

「今回トップの方(魔王様)が御出演なされたんですし、また今度、あのお二方みたいにどなたかが…?」

 

「そういうこと言うとマジで出してくるから言うなって…。恐縮過ぎて、胃がものごっつ痛くなんねん…!」

 

 

 

 

 

【彼らには珍しく、時と欠伸を忘れるようにお喋り。 と、そこへアナウンスが――】

 

 

 

 

 

『皆さん、そろそろ当ダンジョン1日体験も終了間近です。 色々とトラブルもございましたが、お疲れ様でした』

 

 

 

「あ。副隊長さん」

 

「本当にお疲れですよぉ…」

 

「そうかもうそんな時間なんやなぁ」

 

「なんか気づいたら急に眠なってきたわ…。 ふああぁ……」

 

「副隊長も隊長も、お疲れ様ですわ」

 

 

 

『有難うございまーす! そだ。ここまでお供させて頂いた身としてちょっと聞かせてくださいな! 当ダンジョンは如何でしたか?』

 

 

 

「如何…と言われたら…そりゃあ」

 

「あれやな。見事に『やりたい放題』って感じやな!」

 

「ふふっ…! 本当そうっすね…! …あやばッ…!」

 

「…あ、今は許してくれるんか。良かったな」

 

「ふっ…! まあ確かに言う通りやりたい放題でしたけど…案外楽しかったですよ隊長さん」

 

 

 

『そう言って頂けると幸いでーす! 今日一日、つきっきりのアナウンスをしていた甲斐がありました!』

 

 

 

「あ、そうそう! それマジで凄くないすか?」

 

「丸一日ずぅっとケツ叩き宣告してくれて…。他にも色々アナウンスしてだもんなぁ」

 

「下手すりゃ俺らより過酷っすよね……」

 

「な。笑ってるのを見逃さないようにせんといかんから…。本当、お疲れ様です」

 

「大丈夫なんですか? 体力とか喉とか……」

 

 

 

『ご心配には及びませんとも! うちの副隊長は色々と魔法が使えるので、その辺はちょちょいのちょいって!』

 

『はい! それに、全く苦ではありませんでした。 皆さんの雄姿を楽しく拝見できましたから!』

 

 

 

「フハハッ! 雄姿て!!」

 

「ケツしばかれて蹴られて頬ビンタされて、悲鳴上げてんのは雄姿言わんのちゃうかなぁ…ふふっ…!」

 

「まあ喜んでくださってるなら何よりですけれども」

 

「そうっすねぇ。叩かれた甲斐がありますよ」

 

「じゃなきゃやっとられんもん……!」

 

 

 

『副隊長ったら今朝の自己紹介ではガッチガチに緊張していたのに、以降ずっとご機嫌ですもの! アナウンスも常に溌剌でしたでしょう?』

 

 

 

「わかりますー! 昼ぐらいにも言ったんですけど、常に生き生きしとる様子だから元気貰えてる気がしますわ」

 

「俺あん時は無慈悲にケツシバかれたけど、ホンマに癒されとりますよお」

 

「それは全面的に同意やなぁ。 なんつぅか、良い感じに清涼剤になってくれとるわ」

 

「ホントそうっすね。 いつものフジラワさんの録音音声なんか目じゃないっすもの」

 

「まあその分手間でしょうけども…正直、すっごく助かってました。副隊長さん」

 

 

 

『えっ…! そんなことを言って頂けるなんて…っ!! そんな、有難うございます!!』

 

 

 

「あー照れてる照れてる…!」

 

「嬉しそうやなぁ」

 

「なんかこっちまで嬉しくなってしまいますね」

 

「勿論隊長さんのアナウンスもですよ。無邪気で天真爛漫って感じで!」

 

「ちょっとSっぽさもあってな。 良いコンビよなぁ」

 

 

 

『あら!私にまでどうも! で・す・け・ど…私よりも副隊長を、もーっと褒め殺してくださいな!』

 

 

『…へっ? 隊長? 何を仰って…???』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?? ……あ、もしかして…。 ―――いやぁ、ホンマな! 次回以降もアナウンス役やって欲しいぐらいやわ!」

 

「??? まあ、ハダマさんの言う通りですよね。毎回これなら楽しく乗り切れそうですし」

 

「それなぁ。 声綺麗やしハキハキやし、聞いていて不快感全くないですわ」

 

「寧ろ、お二方の声が聞こえてきたら『おっ!』と思っちゃいますよね」

 

「わかるわぁ。可愛いもん」

 

 

 

『え…え…!!! そ、そんな…! え、えっと…! 皆さん、別にそんな、その……!』

 

『どうやら足りないみたいなので、もっともーっとお願いしまーすっ!』

 

『し…隊長!!? なんでそんな…!?』

 

 

 

「やっぱりそういうことやな…!  ―――お世辞とかじゃ全くないよなぁ。 なぁ?」

 

「そりゃあもう! 澄んだ声で、キュートさとセクシーさが合わさったような感じで!」

 

「しかもこうして良い反応してくれるのがまた…!」

 

「初々しさもあるんやろうけど、なんか小気味良いんよな。逸材やわ」

 

「ちょっと本当に次回以降も出演考えてくださりませんか…? 大変なのはわかっとるんですけど……!」

 

 

 

『え…! あ、あの……そ、その……! え…えっと……! そんな……!   …………ふふふっ…!』

 

 

 

『皆さんお見事! えーいっ☆』

 

 

 

 

 

\デデーン/

()()()、OUTぉ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………へっ!?!?!?』

 

 

 

「「「「えっ…!?」」」」

 

「ふっ…! やっぱりかい…!」

 

 

 

 

『ということで副隊長、お仕置きよ! さ、お尻出しなさい!』

 

 

『えっ、ちょっ、ええっ!? き、聞いてませんよ!?』

 

 

『聞いてないも何も、【笑ってはいけない】のよ? 知ってるでしょう?』

 

 

『勿論存じてますけどもぉ! アナウンスOFF状態の時、笑っても何も…!』

 

 

『でも今はアナウンスON状態! 笑い声はしっかり響いたわ! ということはぁ…お仕置き対象よ!』

 

 

『ちょ、ちょっとにやけちゃっただけで…!』

 

 

『あらぁ? さっきそれでお仕置き執行したの、どこの誰かしらぁ?』

 

 

『それは隊長がやれって……!』

 

 

『もんどうむよーう☆ たいちょうめいれーい☆ ようぎしゃかくほー!!』

 

 

『ひゃあっ!? ちょっと待ってくださいっ…社……隊長っ!! 待っ―――!』

 

 

『せーのっ! ばーんッ!』

 

 

 

 

『ひぃんっッ!!!?』

 

 

 

 

『そしてもういっちょ!』

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUTぉ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやそら笑ってまうって!! だあっ…!」

 

「さんざ褒め殺してからのオトシって…。策士ですねぇ隊長…。 あぐぁっ…!」

 

「そのための褒めてあげてアピールやったんやなぁ…。 ずぁっ…!」

 

「やっぱ怖いわ隊長! だぅっ…!」

 

「ばぅっ…! ――いや、だと思ったんよなぁ。 やっぱそういう流れやったかぁ」

 

 

 

『やはりお気づきでしたか! 流石希少種族イエティ!』

 

 

 

「やかましいねん! なんか今日ちょいちょいおかしいと思ってたし…。 なんなら副隊長から、俺らと同じ『仕掛けられる側』の匂いしてたもん」

 

 

「てててて……。 あー…確かにわかりますわ…」

 

「そういや昼もアドリブやらされてましたしね……」

 

「なるほどなぁ。逆ドッキリやったんやなぁ…」

 

「今日一日、この機会を虎視眈々と狙ってたんすかねぇ…」

 

 

 

『そういうことで、ということよ副隊長! どうだったかしら?』

 

『うぅぅ……。 嬉しいやら悲しいやらですよ、隊長…!』

 

 

 

「ふっ…! 因みに副隊長の嬢ちゃん、嘘は一切言ってないかんな? マジで良いアナウンスやと思っとるで?」

 

「それは本当の本当です!」

 

「ホンマにええ声だって思ってます!」

 

「次回も出て欲しいって本気で思ってますよぉ!」

 

「いよっ、名コンビ!  ……褒め言葉に…なっとるよな多分…?」

 

 

 

『――っ! あ…有難うございます…!  ……ふふっ…!』

 

 

 

\デデーン/

『副隊長、OUTぉ!』

 

 

 

『え゛っ!? い、一回だけじゃないんですか!!? 待ままままま……!! ――ひゃあんっッ!!!』

 

 

 

「見事に二度目を引き出されましたね…。 ふふっ…!」

 

「流石にちょっと可愛そうな気も……ふふはっ…!」

 

「隊長容赦ないっすねぇ…ふっふ…!」

 

「でもホンマええコンビしとるなぁ」

 

「な。 さて、立っとこか」

 

 

 

 

 

\デデーン/

『全員、OUTぉ!』

 

 

 

 

 

 

 

【そう、和気藹々のムードに包まれる一行。  しかし、事態は急転をみせる――!】

 

 

 

 

 

 

『――ん? わっ!? きゃあっ!!』

 

『えっ? わわわっ…!  何を…―――っ……;/@[..#!$/......』

 

 

 

 

「―!? なんや急に…!?」

 

「隊長達のアナウンスが急にノイズまみれに…!?」

 

「わっっ!?!? 急に真っ暗になったで!?」

 

「うわぁっ!? 誰!? うわ何す……もごごごっ!!」

 

「なんですか!??? なんですかこれぇ!????  助けてええぇぇぇぇぇ……―――」

 

 

 

「なんや…!? おい、ホーセ!? エンドオ!? …返事ない…」

 

「どっか連れてかれたんや……!」

 

「あっ! 見てください画面!」

 

 

 

 

「ヘッヘッヘッ……!  ヘェッポッポ…!!  ヘェッ―――ポッポッ!」

 

 

 

 

「なんやこの笑い声…?」

 

「というか、この声…!」

 

「ガーキー様の使いの1人の……『ヘェポォ』さんっすよね!?」

 

 

 

「ヘッヘッヘ…! その通りだぁ! 俺はヘェポォ。フジラワと同じく、このダンジョンに棲む魔物の1人だぁ!」

 

 

 

「うわ悪魔族の恰好のヘェポォや…!」

 

「どこやあれ…! 金ぴかの宝の山に囲まれとる…!」

 

「エンドオとホーセさんをどうしたんですか!?」

 

 

 

「なに、ちょっと監禁させて貰っただけさぁ。 我が計画の邪魔となるからなぁ」

 

 

 

「計画…?」

 

「――あ! 見てくださいヘェポォさんの後ろ…!」

 

「ん…? うわっ…! フジラワ、とっ捕まっとるやん!?」

 

 

 

「気づいたようだなぁ! こいつは人質だぁ。俺が新たなるダンジョン主になるためのなぁ!」

 

 

 

「「「ダンジョン主…?」」」

 

 

 

「そうだぁ! このダンジョンの創設者であるガーキーのヤツは、この俺をダンジョン主に選ばなかったぁ! ならば、反旗を翻すまでだぁ!」

 

 

 

「野心たっぷりやなぁ…」

 

 

 

「大体、ダンジョンの名前がダサいんだよぉ! なんだ『ガーキー禿げ光りダンジョン』ってぇ! 『ヘェポォおまめダンジョン』の方が格好いいだろうがぁ!」

 

 

 

「いや変わらんわぁ……」

 

 

 

「俺は今日のために色々と準備をして来たぁ。 使えるかもと思って、『世界の半分をあげる券』なるものも盗っても来たぁ! ……いつの間にかどっかに無くなってしまったがなぁ…」

 

 

「あぁあれ…! ホーセさん聞いたらキレそうっすね……」

 

 

 

「そしてとうとうダンジョン乗っ取りの時だぁ! 既に俺の部下や使い魔達が暴れ出しているぅ! お前達も仲間二人のようになりたくなければ、そこを動かないことだなぁ! ヘェ――ポッポォ!」

 

 

 

 

 

 

 

「あ…画面消えてもうた…」

 

「ここを動くなって言われたけど……」

 

「どうします…?」

 

 

 

『...お...応答......応答してください…! 皆さん、応答してください!』

 

 

 

「おっ! アナウンス! 灯りも戻った…!」

 

「副隊長さん…!」

 

「なんか、ヘェポォつぅヤツが反乱起こしたみたいやけど……」

 

 

 

『その通りです…! 私達も今しがた襲撃を受けて…!』

 

『とりあえず叩きのめしましたけどね~!』

 

 

 

「うわ強ぉ…!」

 

「流石お仕置き部隊の隊長副隊長やな…!」 

 

「俺らどうすればいいんすかね? 二人捕まってもうたんやけど」

 

 

 

『そうですねぇ…。私達が助けに行く! と言いたいところなんですが、他の皆の救援にも向かわなきゃいけなくて……。 ですから――』

 

『――発見しました、隊長。 捕まったお二人は【食糧庫】に監禁されている模様です!』

 

『彼らの救出は皆さんにお願いして良いでしょうか? 聞いての通り、食糧庫に囚われてるそうですから!』

 

 

 

「しゃーないなぁ」

 

「わかりましたぁ」

 

「そちらも頑張ってください…!」

 

 

 

『くれぐれもお気をつけて…! 既に通路はヘェポォの一味によって占領されてるも同然です…!』

 

『ここからは【笑ってはいけない】は解除しますが、【驚いてはいけない】ですよ~! さ、急ぎましょ副隊長! ではでは!――――――』

 

 

 

「…切れてもうたな……」

 

「すー…ふー…! よし、行くかぁ!」

 

「行きましょ! ちょっと怖いですけど…!」

 

 

 

 

 

【突如の緊急事態。これより、『驚いてはいけない』開幕である―――】

 

 

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