ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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アストの奇妙な一日:グリモワルス女子会⑱

 

 

「あぁ、そういえば……」

 

 

ルーファエルデ、そんなこと言っていた。『今回、とある重大な御予定がございますの。(わたくし)グリモワルス(魔界大公爵)の者として、とてつもなく重要な、ね』と。正直、すっかり忘れてしまっていた。

 

 

いやだって、色々あり過ぎて……! 仕事先について必死に隠そうとし続けていて、それが社長達の乱入で破綻して、結局それで盛り上がりに盛り上がってだもの。仕方ないと思う。そしてどうやら他の皆

もそうだったらしく――。

 

 

「予定ってな~にルーちゃん?」

 

「なんかヤバ気な予感するわ~★」

 

「なんだか穏やかではないわね」

 

 

ベーゼもネルサもメマリアも、ルーファエルデの説明を待つ姿勢。なにせ重大な予定とだけ言われ、肝心の内容が語られていないのだから。しかも『グリモワルスの者として途轍もなく重要』となんて言われてしまえば、ネルサやメマリアの言う通り身構えてしまう……!

 

 

「ウフフッ! どうか心は穏やかに、されど引き締めていただけますと幸いですわ~!」

 

 

そんな私達へ向け不敵な笑みを向けながら、召使呼び出しベルを手に取るルーファエルデ。どうやら説明する気はないらしい。まるでサプライズを計画しているかのよう…!

 

 

「ですがまずは、化粧直しと参りましょう! ――あぁ、その前に。秘密は全て仕舞うと致しましょう。ネルサ、魔導画面を。アストはその…フフっ、副隊長の衣装や仮面を」

 

 

「りょ~★」

 

「あっと…! じゃあ扇子も一旦……」

 

 

とりあえずはどうやら化粧直しのために召使を呼ぶらしい。私達がそれらを消滅させたのを見届け、彼女は次に社長達へと。

 

 

「そしてミミン様、オルエ様。使用人達が混乱してしまうと少々手間ですので、どうか一時的に……」

 

 

「はいはーい! 宝箱になっとくわね!」

 

「皆のお♡色♡直♡し♡ こっそりと覗いているわね♡ うふふ♡盗撮みたいで…あぁん♡」

 

 

社長触手によってベーゼの下から引っこ抜かれ、宝箱へと仕舞われるオルエさん。蓋もパタンと閉じ、社長達は宝箱形態に。万全の準備を整ったのを確認し、ルーファエルデは改めて手にしたベルをチリリンと鳴らした。

 

 

「「「「「皆様方、失礼いたします」」」」」」

 

 

するとすぐさま扉を開け、バエル家の召使達が恭しく入って来て……って、あれ!? 私のも!? 私が伴って来た、アスタロト家のメイドも数人!!?

 

 

いやそれだけじゃない! エスモデウス家、レオナール家、アドメラレク家、それぞれの……! つまり、ベーゼネルサメマリアがそれぞれ伴って来た召使達が数人ずつ、化粧道具やらを手に入ってきた!? 化粧直しって私達も!?

 

 

「失礼いたしますルーファエルデお嬢様」

「はい、お申しつけ通りに各位へ伝達済みです」

「手甲と剣はお外しに? 再装備なさるのですね」

 

 

「失礼いたしますベーゼお嬢様」

「ふふ、また口元にお菓子の欠片が」

「くすぐったいのは我慢ですよ」

 

 

「失礼いたしますネルサお嬢様」

「あら、珍しく盛りが崩れ気味で…」

「よほど興奮なされたようで。うふふっ」

 

 

「失礼いたしますメマリアお嬢様」

「御髪、梳かせていただきます」

「……扇子が曲がって…?」

 

 

「失礼いたしますアストお嬢様」

「そちらの宝箱は――ではそのままで」

「なんだか晴れ晴れとされましたね!」

 

 

 

それぞれの召使が、それぞれの主へメイクを施し、身なりを綺麗にし。化粧直しを行っていく。ルーファエルデの指示がバエル家の召使経由で伝えられているようで、皆テキパキと。……でも、その誰も、何のための化粧直しかは知らされていない様子。

 

 

「「「「「失礼いたします」」」」」

 

 

その間にも更に召使達が現れ、円卓の上やカートの整理整頓を。空になったお皿やポットやカップは新しいものへと交換され、場はまるで女子会開始前のように――。

 

 

「えー!? 片付けちゃうの!?」

 

 

おや? ベーゼが悲しい声を。見ると、ケーキスタンドが一旦下げられている。ティーカートも後ろに引かれ、円卓の上にはカップ一つもなくなってしまった。多分これもルーファエルデの指示。

 

 

一体何なのだろう、重大な予定とは……。少なくとも身綺麗にし、飲み食いを控えなければならないものであるのは間違いなさそう。本当にヤバ気な感じがしてきた……!

 

 

「「「「「では私共はこれにて。どうかごゆるりと」」」」」

 

 

緊張を身に走らせている中、召使達は任を終え退室してゆく。型通りの台詞を残して。さて……――!

 

 

 

 

「「「「予定ってなんなの!?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び私達だけとなった瞬間、皆で声を揃えてルーファエルデを問い詰める! だが彼女は意味深に微笑みながら懐中時計へと目をやり――。

 

 

「もう少しお待ちくださいましね。ウフフッ! 驚き過ぎて我を忘れぬようご注意を!」

 

 

やっぱり教えてくれない! ただ想像力と不安を掻き立てるだけ! と、社長とオルエさんも箱からスポッと出て来て――。

 

 

「ま、私達がいるから安心しなさいな!」

 

「困ったらリードしてあげるわぁ♡」 

 

 

それぞれの所定位置…私の膝の上とベーゼの下に収まりそんなことを。するとルーファエルデはポンと手を合わせ、納得したように頷きを。

 

 

「今更ながら、ミミン様オルエ様が突然にいらした理由が解せましたわ~! 成程、このためでしたとは!」

 

 

「ま~、そういうことね」

 

「前戯♡は念入りに♡っておねだりされちゃって♡」

 

 

そして三人で笑いあって……! なにがなんだか……。私達四人は完全に蚊帳の外。

 

 

「どーいうこと? ルーちゃん、ししょー?」

 

 

と、ベーゼは首を捻り――。

 

 

「……さっきの私、あんな感じだったのかしらね」

 

 

と、メマリアは先程の自分と重ね合わせ独り言ち――。

 

 

「ッ!? ちょっ、るふぁちんもしかして!?」

 

 

あ、ネルサは何か感づいたらしい。凄い目を見開いている。なら私もメマリアへ『探し当てるのはだいぶ慣れた』とか言った手前、推理しないと!

 

 

……とは言ったが、正直ある程度はもう……! それでもまさか、とは思うし、信じられないのだけど……!

 

 

そんな私達…特にメマリアと私を見やりながら、ルーファエルデは高らかに胸を張った!

 

 

「メマリア、そしてアストにとっても少々肩透かしとなってしまいましょうが…ふふっ、構いませんでしょう! ()()()()の御威光がその程度で消え失せることがありましょうか! いえ、寧ろだからこそ際立つというもの!」

 

 

その言い方……まさか本当に!!? チラッとメマリアに目を向けると、彼女も私と同じような表情に…! そこにネルサも加えた三人がごくりと息を呑む中、ルーファエルデは改めて懐中時計を覗き込み――!

 

 

「時間となりますわ~! 3、2、1――!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――グニャリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わわっ!?」

「なっ……!?」

「円卓が消えて…!?」

「ティーセットも消えちゃったぁ!?」

 

 

ルーファエルデのカウントダウンが終わった瞬間、ネルサもメマリアも私もベーゼも揃って驚愕の声を上げてしまう!! だって目の前にあった円卓、そして下げられていたティーセットが歪んで消滅したのだから!! いや、それだけじゃ済まない!!!

 

 

「ちょまっ!? 周りも!?」

「これは……!」

「まさか……!」

「わぁ~!! ここどこ~!?」

 

 

周囲の壁消えて……ううん、空間全てが歪み、全く違う装いへと変貌してる!! さっきルーファエルデが模擬戦場を作るために空間魔法を行使した際も色々と変わったが……これはその比じゃない!

 

 

消えた円卓にほんの数瞬目を奪われている間に、瞬きの暇すらなく、左右上下の空間が様変わりしたのだ!! 今座っている椅子と、私達だけを残して! まるで厳かなる広間のように……!

 

 

 

……いや、ように、ではない! まさしくここは厳かなる広間! それも、見覚えがある…あってしまう、ここは!! まさかとは思ったが……まさか……本当に――……!!?

 

 

 

 

『――よくぞ来た。我が剣(バエル)我が顔(レオナール)我が血(アスタロト)我が手(アドメラレク)我が心(エスモデウス)(われ)の誇る忠愛なるグリモワルスが次代達よ』

 

 

 

 

……っっっ!!! こ……この御声は……!!! 気迫漲る男声と威圧感極まる女声が合わさったかのような…しかしそれでいて、二重の意すら分けて聞き取らせることすら可能とするこの御声は……!!! 全身から汗が噴き出て瞬時に引いていくような感覚すら覚える、身を竦ませて余りあるほどの威厳を備えられているこの御声は!!!

 

 

「……マ……!? か、身体が……!」

 

「顔も動かせないよぉ……!?」

 

「よもや、これほどとは……! 嗚呼、偉大なりしや――……!」

 

 

更に、その御声の元から放たれているのは……暴風すら柔く感じてしまう、全身を凍てつかせるかのごとき波動!!! ネルサもベーゼもルーファエルデも、たじろぐことすら許されていない!!!

 

 

「普段以上に……それも今までにないほどに気を漲らせていらっしゃるわね……!」

 

 

そして……比較的()()()()()()()のメマリアですら! 私も動けなくなっている中、目だけを動かして改めて周囲に目を……!

 

 

やはり、疑いようはない……!!! ここは、『謁見の間』……!!! そう、魔王城の!!! つまり、この御声と波動の主は当然ながら――!!!!!

 

 

『皆、面を上げるが良い』

 

 

「「「「「ははぁっ!」」」」」

 

 

その御命に応じ、私達グリモワルスは一斉に声の元へと顔を動かす。先程まで固まっていた身は容易く動き、代わりに視界へと飛び込んできたのは……()()を隠すベールの如きカーテンに映る、豪儀にして荘厳にして畏怖すらをも抱かせる、常闇のような影――!!!

 

 

 

『顔合わせは初となる者もおるな。ではまずは――我が名はマオ・ルシフース・バアンゾウマ・ラスタボス・サタノイア85世。現下の魔王を務める身である。宜しく頼もう』

 

 

 

 

本当に……魔王様ぁ!!!!!?????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「非礼をお許しくださいませ!!!」」」」」

 

 

直後、私達は即座に床へ膝をつき、礼を示す姿勢に。社長とオルエさんを椅子の上に残して。そしてまずはルーファエルデから。

 

 

「ルーファエルデ・グリモワルス・バエル。ここにまかり越してございますわ。此度の不心得なる願いを叶えてくださいました魔王様の寛大な御心へ、心からの尊崇を」

 

 

今回の女子会ホストとして、恐らく仕掛け人として、代表らしく挨拶を奉じた。その次に絶妙なタイミングで続いたのは、ネルサ。

 

 

「ネルサ・グリモワルス・レオナールと申します。此度は若輩の身ながら御前(ごぜん)へお招き頂くという名誉を賜りまして、幸甚の至りにございます!」

 

 

見事。全大使の一族として、状況を把握しきれない中でも緊張を出来る限り押し殺し、最大限の礼拝を果たして見せた。私が初めて魔王様に謁見をさせて頂いた時、あんな立派にはできなかった。まさにさすねる(流石ネルサ)……!

 

 

 

そんな彼女のおかげで、私も比較的落ち着いて謝意を述べることができた……! 次にはメマリアもそつなくこなし、最後は――。

 

 

「っ……え…あ…そ…その……! あ、アタシ! ベーゼ・グリモワルス・エスモデウスですっ!! ま、魔王様に謁見できまして、とっても嬉しくて……!!! ぁぅぅ……」

 

 

驚きからかぼーっとしてたベーゼ。自分の番だと気づき、しどろもどろに自己紹介を。いや、彼女を責めることなんて出来るわけがない。寧ろあれが当然の反応であろう。

 

 

仕組んでいたルーファエルデ、一族の矜持を見せたネルサ、そして謁見は初ではない私とメマリア。それと比べてはいけないのだ。加えて、状況が状況。

 

 

なにせさっきまで美味しいお菓子と紅茶を味わい、気の許せる友人や師匠と共に女子会を楽しんでいたのだもの。それが急転、何も説明なしに突然謁見の間に連れられ魔王様へ謁見なんて……しかもこの圧。気を失ってないだけ頑張っていると思う。

 

 

だが当の彼女は……あの楽天的な彼女を以てしても、そんな風に考えられてはいない様子。エスモデウス家の名に傷をつけたと思ったようで、平伏の姿勢のままプルプルと生まれたての小鹿の如く震えてしまっている。涙目にも……。助けに入らないと……――!

 

 

「うふふ♡ ベーゼちゃんったら、びくんびくん♡イっちゃって可愛いわぁ♡ で♡も♡そんな硬ぁく♡ならなくていいのよ♡」

 

 

――とっと…! 私達が動く前に、オルエさんがベーゼを抱っこ。そして先程までと同じく自らの上に彼女を座らせ、良い子良い子と撫でだした!!

 

 

「イケないのは魔王様なんだもの♡ ルーファエルデちゃんのおねだりを聞く代わりに、無理やり要求を飲み下させるなんて♡ さいて~い♡」

 

 

「ホントよねぇ。ドンと構えてりゃあいいのに。何が詳細は伏せておけよ、こうなるのは目に見えてたでしょうが!」

 

 

それに続き、社長まで魔王様相手に説教を!? 私は以前似た光景を見ているからともかく……実際の光景を始めて目にしたメマリア、最強トリオの関係性を目の当たりにしたベーゼネルサルーファエルデは唖然と!! そして叱られてしまった魔王様は……!

 

 

『貴様ら……! ……っ。いや、我の落ち度であるか。皆楽にせよ』

 

 

ほんの一瞬語気を強められたが、すぐに落ち着きを取り戻された……! ……なんだか私とメマリアを見てから怒りを収めてくださったような……? 最も見えているのは影だけだからよくわからないのだけど……。

 

 

 

 

『ルーファエルデよ、皆へ仔細を明かすがいい』

 

 

「はっ、魔王様! 仰せのままに!」

 

 

私達が席についたのを確認し、魔王様はルーファエルデへそう指示を。彼女は深々と一礼を返し、私達へと語り出した。

 

 

「事の発端となったのは私の身を弁えぬ我が儘ですの。私達ももう年頃。メマリアに至っては登城を行うほどでしたので、此度のグリモワルス女子会を期に、一度揃って我らが魔王様へ拝謁を――。そう考えた次第でございまして」

 

 

成程そういう……! と、ルーファエルデは恍惚の表情を浮かべ――。

 

 

「それをお父様お母様経由で祈念いたしますと、書簡にて裁可を頂きまして! もう夢のようでございましたわ!」

 

 

改めて深々と頭を下げ、魔王様へ感謝の意を。どうしてルーファエルデが、と思っていたけど…バエル様が繋げてくれたらしい。更にその後の説明をやれやれ口調の社長が。

 

 

「ただその代わりに、って条件を付けたのよ魔王様は。日程や時間こそ決めるけど、自分のタイミングでここに呼ぶってこと。それとその時まで詳細は話すなってね」

 

 

「もう♡ 恥ずかしがり屋さんなんだからぁ♡」

 

 

「フン……。次代グリモワルス達のことを考えてのことよ。無暗に緊張を与え、折角の茶会の興を削いでしまってはなるまい。加えてその方が飾らぬ会話が出来るというもの」

 

 

「「「おぉ……!」」」

 

 

その魔王様の御言葉に、ルーファエルデ達は感銘の嘆息を。皆の目にはオルエさん達のからかいを物ともせず、その御立場に相応しき威厳を醸し出す魔王様が映っていることだろう。いや……確かに眩いほどなのだけど、私は……。

 

 

「自分の姿見てから言ってくんないかしら……」

 

 

社長の私ぐらいにしか聞こえない声量のボヤキによって、笑みを嚙み潰すのが精いっぱいで……! 魔王様の真の御姿を知っている身としては……そのなんというか……。

 

 

間違いなく私達のことを思ってくださってもいるのだろうけど……。あの、シャイで可愛らしくて、今もなお姿を大きく飾っていらっしゃる魔王様がそう仰られると…くふっ、言い訳にしか聞こえなくて!

 

 

きっと魔王様のこと、バエル様方に諭され、ルーファエルデのお願いを恐々ながらも聞いてくださったに違いない。それでせめてもの譲歩として、そんな条件をつけて……! ふふふふふっ、勿論魔王様本人に聞かなければわからないけど、多分間違いない!

 

 

――あ。となると……社長達が魔王様の命で来たと言うのはもしかして――!

 

 

「予想している通りよ。全く困ったものよねぇ、あの緊張しぃは!」

 

 

社長、肩を竦めてこっそりと……! やっぱり! 魔王様、私達を試すために社長達を派遣してきたんじゃない! そして、私達の手助け役とするために送り込んでくれた訳でもない!

 

 

恐らく……ううん絶対、魔王様が自分のために――魔王様自身の手助けとなるために、グリモワルス女子会に社長達を侵入させたのだ! 初対面且つ今後深い関係になる次代グリモワルス相手との初顔合わせの、潤滑油役として!

 

 

そうまさに……知らない人と会う際に、共通の友人を挟んでアイスブレイクするかの如く! それならわざわざ社長達が選ばれたのも腑に落ちる! だって社長達は最強トリオ…最も信の置ける親友達なのだから!

 

 

まあその派遣代償は私の仕事先の暴露なのだけど……。そういうことならば何も問題はない! 魔王様が勇気を出されたのならそれぐらい幾らでも、である! おかげでわだかまりも解けたのだし!

 

 

「どうやらメマリアちゃんも察したみたいね」

 

 

そう社長に囁かれ見ると、確かにメマリアも微笑みを無理やり抑え込んでいる! 扇子で上手く隠して! 私もさっき化粧直し前に消してしまった扇子、とっておけばよかった! ふふふっ!

 

 

 

 

 

しかし僭越ながら魔王様、そのご不安は杞憂でございましょう!  裏事情を知る私達はともかくとして、そうではない三人…ルーファエルデ、ネルサ、ベーゼをあまり見くびってはなりません! だって彼女達もまた――!

 

 

 

「――と言う次第でございまして! 魔王様の執政は常に的を得ていると、各地を巡っておりますだけでも毎日の如く耳にいたしますわ! いずれそのような名君の元に仕えることができると思いますと胸が高鳴りに高鳴って!」

 

 

『ほう……! ルーファエルデよ、嬉しいことを言ってくれるではないか』

 

 

「あーしもです魔王様! あーしもるふぁちんみたいに色んな人に会いに行ってみてるんですけど、皆すっっっごいリスペクトを向けててくれてて★ 特に先代様から続くダンジョン繁栄策をさらにパワーアップしてくださっているのが評判高い感じで★ そんなアイドルみたいな魔王様にお会いできてるなんて…あーし、夢見てたりしてませんよね!?」

 

 

『フッ、ネルサめ、愛い奴よ。確かに我だ、安心するがいい』

 

 

「魔王様! アタシもアタシも! アタシも凄いってのあちこちで聞いてます! 魔王様がどこかへご視察に行く度にそこがお祭りみたいになって、そこでお食べになったご飯が超人気メニューになってますから! この間も魔王様が頂いたっていう悪魔風ハンバーグを食べに行ったらほっぺた落ちるほどでした!」

 

 

『あぁ、あれは実に美味であったな。 ……む。あれはかなりの辺境であったが、そこまで赴いてくれたのか』

 

 

 

そう、魔王様に忠誠を誓うグリモワルスの娘達! この時のためにお伝えしたいことを考えてぬいてきたであろうルーファエルデ、持ち前のコミュ力を駆使し既に打ち解けだしたネルサ、そして緊張が解れれば誰よりも楽天的であどけないベーゼ! そんな彼女達が魔王様との会談で亀裂を生じさせることなんてないのだ!

 

 

更に私とメマリア、社長とオルエさんも加われば……ふふっ! 空気張り詰める謁見が一転、先程までの女子会の延長のよう! 言うなれば、魔王様緊急参加って感じ!! 

 

 

こんな機会滅多にない! ルーファエルデの言う通りに心は穏やかに、されど引き締めて楽しんじゃうしかないでしょう!!

 

 

 

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