ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~ 作:月ノ輪
「ミカド様、到着いたしました。目的地の『お月見ダンジョン』にございます」
「うむ、くるしゅうない」
案内の付き人と共に、
嗚呼、まるであの時のようだ。寝ても覚めても忘れられじ過日。戯れに訪れたこの地で、天女を凌ぐ美姫と出会った彼の日のことが、殊更に瞼に浮かび上がる――。
麻呂はあの夜、『お月見ダンジョン』なる兎人――バニーガールが棲むダンジョンへと赴いた。そして、その姫であるカグヤを見初めたのだ。
最も、亡状にも彼女に迫り、その従兵に手痛い一撃を貰ってしまったが……それでもカグヤは麻呂へ詩を送り、
そして今でもそれは続いており、此度もダンジョンへの誘いを受けたのだ。――だが、ふむ。
「
「えぇ、そのようでございます」
麻呂の付き人もまた、強く頷く。かつて此処を訪れた際に目にした、夜風に静かに揺れる芒と相反するかの如き賑わい振りは今や無い。成程、これもまた風情があるとも言えようが……これほどの閑散、侘しさを覚えてしまう。
とはいえ、それも致し方なし。なにせ今、このダンジョンにはバニーガール達はおらぬ。なんでも此処より繋がる新たなるダンジョンへと身を移しているようなのだ。
故に麻呂の前にあるのは、静かなるダンジョンの入り口と、そこに設けられた術による転移門。加えてそこをくぐる幾人かの客のみ。では麻呂もそれに倣うと――。
「お待ちくださいミカド様。この先、何が潜んでいるかは不確か。僭越ながらまず私が転移門をくぐって参ります」
「カグヤが麻呂を
「ははぁっ! まさしくカグヤ様方の手製の品でございましょう。ですが万が一ということがございます。全ては御身のため、どうかお許しを」
頑として譲らぬな。とはいえ、それが付き人としての責務か。麻呂がそれを許すと、奴は深く一礼。そして刀に手をかけながら転移門を潜り消えた。しかし、すぐさま戻って来て……はて、
「如何にした?」
「はっ……。いえ、確かにバニーガール達によるダンジョンに繋がっておりました……」
「で、あろうよ。なれば――」
「いえお待ちを…! この先は御身には少々……その……!」
「危険、と? 老若男女が出入りしているというのにか?」
「い、いえっ! 安全ではありましょうが……ある意味危険と言いましょうか……」
「随分と奥歯に物が挟まった言い方よな。もうよい、麻呂がこの目で確かめればすむこと」
「お、お待ちを!!!?」
付き人を押しのけ、早速転移門へと足を踏み入れる。嗚呼愛しきカグヤよ、今麻呂が――――何と!?
「こ、これは―――!?」
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「ヒメミコ様、到着いたしました。目的地の『イースターダンジョン』にございます」
「えぇ、くるしゅうございません」
案内の付き人と共に、
嗚呼、あの時とはまるで違います。寝ても覚めても忘れられじ過日。兄様を追い訪れたこの地で、天女すら羨む美姫と出会った彼の日のことが、殊更に瞼に浮かび上がります――。
こなたはあの夜、『イースターダンジョン』なる兎人――バニーガールが棲むダンジョンへと赴きました。そして、その姫であるイスタと
しかも、不注意により濡れ姿となった私に揃いの装束を快く貸してくださり、共に屋根の上で舞を踊ったりも……! なんと心広き姫でございましょう。
そして彼女との交友は
「
「えぇ、そのようでございます」
こなたの付き人もまた、強く頷きます。かつてこちらへ訪れた際に目にした、陽光浴び照る青草に負けぬ賑わい振りは今やございません。成程、これもまた風情があるとも言えましょうが……これほどの閑散、侘しさを覚えてしまいます。
とはいえ、それも致し方なし。なにせ今、このダンジョンにはバニーガールの皆様方はおらぬようなのです。なんでも此処より繋がる新たなるダンジョンへと身を移しているようでして。
故にこなたの前にあるのは、静かなるダンジョンの入り口と、そこに設けられた術による転移門。加えてそこをくぐる幾人かの客のみ。ではこなたもそれに倣うと――。
「お待ちくださいヒメミコ様。この先、何が潜んでいるかは不確か。僭越ながらまず私が転移門をくぐって参ります」
「イスタがこなたを
「ははぁっ! まさしくイスタ様方の手製の品でございましょう。ですが万が一ということがございます。全ては御身のため、どうかお許しを」
頑として譲りませんね。とはいえ、それが付き人としての責務でございましょう。こなたがそれを許すと、彼女は深く一礼。そして刀に手をかけながら転移門を潜り消えました。しかし、すぐさま戻って来て……はて、
「如何にいたしました?」
「はっ……。いえ、確かにバニーガール達によるダンジョンに繋がっておりました……」
「そうでありましょう。なれば――」
「いえお待ちを…! この先は御身には少々……その……!」
「危険、と? 老若男女が出入りしておりますのに?」
「い、いえっ! 安全ではありましょうが……ある意味危険と言いましょうか……」
「随分と奥歯に物が挟まった言い方で。構いません、こなたがこの目で確かめればすむこと」
「お、お待ちを!!!?」
付き人を押しのけ、早速転移門へと足を踏み入れます…! 嗚呼親愛なるイスタ、今こなたが――――何と!?
「こ、これは―――!?」
「「これは一体!!?」」
「「……ん!?」」
「ヒメミコ!?」
「兄様!?」
「「何故此処に!?!?」」
な、何故に
――い、い
「ヒメミコ、此処は一体何なのだ!?」
「兄様、此処は一体何なのでしょう!?」
……揃って同じことを……! どうやら
「賭場、あるいは鉄火場……。『カジノ』とも呼ばれる、賭けによる娯楽を提供する場のようでございます」
「『バニーカジノダンジョン』。それがこの場の正式名称なようで……。ともあれ、バニーガールの者共が運営しているのは確かなようでございます」
付き人に説明を受け、
煌びやかなる灯りに包まれるは、贅を凝らした重厚なる空間。言うなれば――まばゆい陽光に染められし星々輝く天野原。この世に有り得ぬ夢幻にありし金色なる宮殿。その絢爛なる趣に唆された故か、はたまた不慣れ故か、身が浮くかのような心地
しかしとく見やれば、各所には見覚えのあるモチーフが散りばめられて。大樹の如き竹の柱、刻まれた兎の彫物、閑に飾られし芒、床一面に広がる青々とした芝生。そして、新たなる装束を纏ったバニーガール達。
加えて至る所より聞こえるは、小気味の良い音や曲の数々。訪れし者達の歓喜、興奮、熱狂の声。不意に鼻へ届くは、
「ふふ、ようこそいらしてくださいました。委細を伝えずにお呼び立ていたしました非礼、お許しくださいまし」
「サプラ~イズっぴょん! でもまさか2人共同時に到着するなんてっぴょん! こっちが驚かされっちゃったぴょ~んっ!」
「おぉ! カグヤ!」
「まぁ! イスタ!」
なんと良き拍子
「カグヤ、イスタ、此度の招待、誠に痛み入る。しかし、この賭場は……かじの、だったか?」
「えぇ、ミカド様。新しきことに挑戦を、と思い立ちましてこのようなものを。ご安心くださいませ、不徳義な代物ではございませんわ。乾坤一擲の思いこそ必要なれど、僅かな元手で老若男女が長く楽しめる造りをしております」
「そうなのですか? しかしこれほどまでの壮麗さ、どのように……」
「心配いらないっぴょんヒメミコ! だってここ月だから幾らでも素材あるっぴょん!」
「「「「……は?」」」」
「お姉ちゃん、いいっぴょん?」
「えぇ、構わないわ」
「やったぴょん! ぴょんぴょんぴょ~んっ!」
突然に跳ね、何処かへと跳ねていくイスタ。向かう先は……このダンジョンの中央にて威容放つ、巨なる段壇。それはまさしく玉座のようで……なっ!?
「せーのっ! ぴょおおおおおっん!!」
イスタが跳んで…いや、飛んで!? そして玉座が直上、半球の天井を蹴りつけ……なっ……なっ!?
「こ、これは……!?」
「これは一体!!??」
大きな駆動音が一つ響き、周囲の天井が、壁が、透き通りし氷のように変貌を!? そしてそこより望む……いや、麻呂らを望むは、雲一つかからぬ天野原に天ノ川、目が潰れんばかりの閃光放つ炎星、更に……あの大きくまるいのは……よもや……――!
「書物において見た限りではあるが……これは……!」
「これは間違いなく、月よりの光景……!?」
な、なんと言う……! つい先まで見上げていたあの天の輝きの……その根源に
「ぴょんっと! ということで! ようこそ私達の故郷へ~!っぴょん! さ、皆こっちこっちっぴょん!」
「遠路はるばるいらっしゃってくださったのですもの、まずはごゆるりと耳…いえ、身をお伸ばしくださいませ」
お、おぉ…!
「――ふぅむふむ。気を落ち着けてみれば、何と美しき景色よの。地上よりではなく寧ろその地上までもを、これ以上なき程に瞬く星々と共にこうして眺められるとは……花鳥風月もかくや、まさしく天に昇る心持ちよ」
「まあお上手で! ふふっ、お気に召してくださいまして重畳にございますわ」
「そしてまた、それを見やりながらの団子や茶がまさに至福でございました…! 元より至上と称しても良い佳味なるこれらが、殊更に……!」
「ぴょふふふ~! まだまだ種類沢山あるっぴょん! 遊びながら食べ歩きもまた楽しいっぴょんよ!」
招かれし部屋の柔らかき椅子に腰かけ、味わい深きバニーガール達手製の団子や餅や茶に舌鼓を。――なんとも変わった皿、特に茶はかくてるを入れる硝子の洋盃で進上を受け驚
だがこれらは単なる休息、心に平静を呼び戻したこれよりが本題。折角カグヤとイスタ達が作り上げたというバニーカジノダンジョンに招かれたの
「……ところでヒメミコよ……。そなたもその……装束を纏うとは」
「『バニーガールスーツ』にございますわ兄様! うふふっ、イスタ達とお揃い! 如何にございましょう、似合っておりますか?」
「う、うむ。似合ってはおる。紫に輝く衣も、付け兎耳や付け兎尾もな。……だが、そなたの付き人にまで臙脂《えんじ》のそれを着せるとはの……のう?」
「い、いえミカド様、ヒメミコ様方と同じ衣装を纏えるなぞ誉れにございます。帯刀も滞りなくできておりますし……差添の身としては少々心許なくはありますが……」
「ミカドさん達もどうっぴょん? 元々人間達が作ったものだから、男性用のもあるっぴょんよ!」
「え、遠慮しておこう……のう?」
「ははあっ……!」
ともあれ、早速遊興と参
「むむ…………はっ! おぉ、見るが良い! 揃ったぞ!」
「お見事にございまする! 7・7・7と大当たりにて!」
「こなたもにございますわ! わわわ…!? た、たくさん!」
「メダルが零れるほどに…! わ、私共の手だけでは――」
「ふふっ、只今箱をお持ちいたしますわね」
「ぴょんぴょんぴょ~ん! 何箱必要かな~っぴょん!」
急ぎ入れ物を用意してくれる
「――さて……む、これまた微妙な! だがうむ……賭けよう。『コール』だ」
「ふふふ、兄様? 降りなくて宜しかったので? 最後の機会でしたのに」
「ほう、ヒメミコ。大層な自信ではないか。余程良き手であるのかの?」
「すぐにお分かりになられるかと! さあイスタ、お願い致します」
「ショーダウンっぴょん! お手元のカードを公開するっぴょん!」
「ではこなたから。同じ紋様が五枚、『フラッシュ』にございます!」
「……ふっ」
「? 兄様?」
「麻呂は同数字が三枚、別の同数字が二枚。『フルハウス』とやらだ」
「なっ!? え、えぇとカグヤ様、これは…!」
「残念ながら、ミカド様の方が上の役にございます。つまり――」
「ヒメミコのチップ、ミカド様行きだぴょ~ん! はいがらがら~!」
「そんなぁ!! だって兄様、良い手が出ておりますようには……!」
「
「まあ御人が悪い! もう一勝負ですわ!」
「――こなたはあの子の単勝に賭けますわ! 兄様に奪われた分、ここで盛り返して見せましょう!」
「人聞きが悪いのぅヒメミコ。あの後も幾つもの遊戯で麻呂の策に嵌り続けただけではないか。それに金に換算すれば……幾らぐらいかの?」
「はっ。凡そ千
「まあそれは言ってはならない約束、無粋というものですわ兄様」
「そういうものか。麻呂もまだ不慣れ故な、許せよ。――しかしのぅ、あの兎は倍率が最も高い。即ちは、のう?」
「はっ。ヒメミコ様、一獲千金狙いは重々承知にございますが、往々にして外れるのがこの世の理。やはりここは兄君様に倣い手堅く――」
「ぴょっふっふ~。わからないっぴょんよ~!」
「えぇ。この『競兎』は全てを走る兎達の心ままに委ねるレースにございます。なのでどうなるかは私共にでもわかりかねますわ」
「ほう、楽しみであるな。――む、始まったか」
「さ、頑張ってくださいまし! ……って、あぁっ!? あの子、い、居眠りを!?」
「はははっ、ほれみたことか。またも麻呂の勝ちかの。順調に最後まで……何故引き返す!?」
「ほ、他の兎達も草を食んだり兎団子となったりコースより飛び出して逃げておりまする……!」
「ぴょんぴょんぴょん! 今回のレースもまた大荒れっぴょんね~!」
「あら、ヒメミコ様ご覧くださいませ。あの子が……」
「どの子も可愛らし……へ!? あぁっ! あの子が目覚めて! そしてゆっくりゆっくりと……!」
『ゴール! 一着確定です!』
「やりましたわ~!! ふふん♪ 如何です?」
「ははっ、麻呂達の負けだの」
「「御見それいたしました!」」
「「お見事にございます(っぴょん!)」」
「――どうだったっぴょん? 『バニーファイト』!」
「えぇ…! あれほどの闘技、見たことがございませんでした! 苛烈ながらも華麗、迸る蹴りと拳の応酬…! あれを観戦するだけでもここに来る甲斐がございますね!」
「ぴょ~んっ! そこまで褒めてくれるなんて! バニーガールを代表してお礼するっぴょん!」
「うふふっ! そしてそなたも。こなたの我が儘を聞いてくださり有難うございます。よい闘いぶりでした!」
「ははっ…! 滅相もございません! 乱入させて頂きましたのに、辛勝で……」
「ううん、付き人さんも凄かったぴょん! 私達、月光のスポットライトで強化してるものっぴょん。それなのに徒手で勝っちゃうんだぴょん!」
「ふふ、伊達にこなたの付き人ではございませんもの! もっと言えばイスタの闘いぶりも見たかったところなのですが……」
「ごめんっぴょ~ん。私が出ちゃうとオッズ全部傾いちゃうっぴょん。また今度っぴょん!」
「えぇ! また今度! ――そう言えば兄様方はいずこへ? バニーファイト観戦前に別れたきりで……」
「兄君様とカグヤ様であればあちらのバーカウンターに……」
「――のう、カグヤよ。『天の野に
「ふふっ! まあミカド様ったら!『天の原 ふりさけ見れば 山河あり
「おぉ…! おおぉ…! なんと、なんと! そのように返してくれるとは! カグヤよ、やはりそなたは才色兼備、絶世の――」
「……なんか邪魔しちゃいけなさそうっぴょんね」
「はあ、そのようで。ではイスタ、今暫く
「そういえばさっき競兎でヒメミコが賭けた子、今ディーラーやってるっぴょんよ! ほぼほぼゲームはできないっぴょんけど……」
「まあそれは!! えぇ、えぇ! そちらへ向かうと致しましょう! あの子にも労いを授けなければ! それと…是非、撫で撫でを!」
――
しかし、それもまた
されど、この場にはそれが
うむ、これは実に称賛に値
「イスタよ。この賭場…カジノは安穏そのもの。この場ならではの弾む心が常に維持されておる。愚者は現れず、有るは花を添える程度の面映ゆき喧騒のみ」
「えぇ、このような場はもっと悪漢の類によって支配されるものと耳にいたします。ですが幾ら辺りを見回そうがそのような輩はおりません。何故にございましょう?」
麻呂達が揃ってそう尋ねれば、それに乗じる形で付き人共も口を開き――。
「よもや、賭銭の低さは関係ありますまい。愚者とはどのような場でも現れるもの、特に賭場となれば必ずや気を変貌させる者が現れましょう」
「加えて、バニーガール達は美人揃い。ご当人方を前に口にするのは憚られますが……その、このような衣装を纏っておりましたら、美貌に欲情し襲い掛かる者も一定数はおりますのでは?」
「っんぐ……!」
(み…ミカド様…! どうかお気を確かに……! 一般論にございます…! 私以外にあの詳細を知る者はおりませぬ…!)
(わかっておる…! ……カグヤには本当に悪いことをしたの)
「んー? 要は変な人がいない理由が聞きたいっぴょん? なら答えられるっぴょん!」
麻呂達の問いかけに気前よく頷いて
「ぶっちゃけちゃうと、ふっつーに居るぴょん! 盗もうとするヤツとか、暴れるヤツとか、変態とか! でも……全部潜んでくれてる強力な助っ人がやっつけてくれてるっぴょんよ!」
――覚えがある…! 覚えが
「「もしやそれは――!?」」
「「ミミックかの!?」」
「その通りっぴょ~ん! ぴょっぴょぴょ~ん♪」
なっ…!? イスタは歌うように口ずさみながら、硬きバニーガールスーツで押さえている自らの胸の谷間へおもむろに手を差し込んで……!? 何かを探り出して――!
「この子達がいるから安心っぴょ~んっ!」
「「「「……チップ?」」」」
彼女が胸の内より取り出したるは、一枚のチップ。
―――カパッ!
「「「「なぁっ!? しょ、触手!!?」」」」
お、お、驚
「筐体とか宝箱飾りとかテーブルとかもあるけど、大体はこうして隠れていてくれるっぴょん! 便利っぴょんよ~。例えばさっきスロットでドル箱重ねてたけど、それに一枚ぴょんっと入れておけば見張っててくれるんだっぴょん! さっきも入ってたぴょんよ?」
そ、そうであった
「それと、表に出てるバニーガールは皆こんな感じに何処かに潜ませてるっぴょん! もし変態とかに迫られたらこれを取り出して、ピンッて空中に弾くっぴょん! そしたら落下するまでの間にぜーんぶ倒してくれるから、パシッとカッコよくキャッチして胸にしまい直せるっぴょ~ん!」
そう語りつつ、閉じたチップを指で弾き上げるイスタ。くるくると舞い上がるチップは高く上がり……むっ、一瞬触手が伸びた……様に見
「ぴょっぴょっのぴょんっ☆ オールインっぴょん♪」
お、おぉ……! イスタは手で捕らえるどころか、胸の谷間そのものでぴょいんと受け止めたで
コホンッ。ともあれ、安穏の秘訣はミミックだったとは。
「ぴょふふふ~! そして今から始まるイベントでも、ミミック達は大活躍してくれるっぴょんよ~! 乞うご期待っぴょん!」
ほう! それはそれは! 中々に心惹かれるもの
なにを待っておるのか、と? イスタの口にした通り、とある催し
だからこの場にカグヤ
「――よくぞ集われました、我ら
おお!! ついに
「その覚悟に敬意を表し、当カジノの支配人、バニーガールの長、月の慈悲たる女王が一人たる私カグヤより、更なる勝負の機を与えましょう」
兎の如く、月の住い人の如く軽やかに嫋やかに小さく跳ね、再度月世界を開き。燃えぬ皮衣による鮮やかなマントを翻し、手には竜の首の珠を宝珠として掲げ、燕の子安貝を首にて煌めかせ、頭には金銀の玉の枝による角冠を長き耳と共に魅せながら、御石の鉢の玉座へ腰かけたのは――そう、カグヤ
望む天より座する地より霊験放つ光輝を威光とし纏う黒曜のバニーガールスーツを玲瓏に照り渡らせ、見る者奪う長き脚を蠱惑に組み、あの優しき微笑みに、煽り嗤うかのような不敵さを交えて――!
「ふふっ、皆様方のこと。この大博打を
「――――嗚呼、身が浮き上がり宙に浮いておるような心持ちよ…! あのようなカグヤもまた……嗚呼嗚呼……!」
「ほわぁ……! 思わず感嘆の息が出てしまいました……! 政に望まれております兄様と並ぶほどに美しゅうございます…!」
「ぴょふ~ん! 私のお姉ちゃんは凄いっぴょん! 私があの役をやる時より何倍も人気っぴょんよ!」
「あら、イスタはどのように?」
「そうっぴょんね~。ぴょ~っぴょっぴょっぴょっぴょんっ!って感じにやってるっぴょん! またはぴょははは~!って感じっぴょん!」
「まあそれはそれは! ふふっ、こなたはそちらも興味がございます。次の機には是非に!」
「うん! 約束っぴょん!」
「――では、始めるといたしましょう。天運が導きます饗宴を。『めぐりあひて 見しやそれとも 分かぬまに 雲隠れにし 夜半の
「「「オオオオォオー!!!」」」
「うむうむ……! 雅な詩よ…! 嗚呼、やはりそなたは――」
「さ、始まりましてございますわ、兄様! 早速向かいましょう!」
「お姉ちゃんは女王様やってるから動けないっぴょん。だからこっからは私がガイドっぴょん!」
恍惚としておる
歓声をあげ、興奮の色を浮かべながら次々と移動していく客の中で、まずは改めて先程行われた説明を思い返してみると
お月見ダンジョンやイースターダンジョンと事は同じ。ダンジョン内に設けられた会場を巡り、そこにて簡単な遊戯に興じ
それを五枚、計五ヶ所を巡り集めるのが此度の催しの肝。万事上手くゆき終えることが出来たならば、玉座にて待つカグヤへの元へとそれを持って行き、褒賞である『月の石』と交換して貰えるの
「まさか月の石が褒賞とは……あれほど貴重な……」
「成程ここは月……。ならばそれも……いやしかし……」
ふむ、付き人共は惑うて
「時にイスタよ……少し耳を近う」
「ん? どうしたのっぴょん?」
「先の説明の折、カグヤは月の石を胸の内より取り出しておったが……もしや……」
「あぁ! お姉ちゃんも
「ほ、ほう……」
「あ、そうそうっぴょん! もし月の石が要らなかったら限定お団子やお餅の引き換えアイテムとしても使えるっぴょんよ! だから――あれ? ミカドさ~ん? どしたのっぴょ~ん?」
「はぁ……。イスタ、兄様が惚けております内に連れてゆきましょう。先に続き、
「任せるっぴょん! どっから行っても良いんだっぴょんけど~私セレクトの順番でレッツゴーっぴょん! ぴょんぴょ~ん♪」