ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~ 作:月ノ輪
――コホン。では早速、五つの試練とやらに臨み、五枚のチップを集めると
「まずは小手調べっぴょ~ん!」
「ふむ、ここは――先までのとなんら変わらぬな」
「賽を用いる遊戯のようでございますが……」
イスタに連れられ訪れたのは、多数の賭け机が並ぶ場。先程札に興じたものと大した違いはない。強いて言えば
「ルールは超簡単っぴょん! ディーラーがダイスを三つ、この壺に振り入れてテーブルの上に伏せて置くっぴょん! その出目の合計数字が10以下だと思ったら『小』、11以上だと思ったら『大』、奇数だと思ったら『奇』、偶数だと思ったら『偶』を宣言して、見事五回当てたらチッププレゼントっぴょ~んっ!」
「ほう、小手調べには相応しいの」
「あら、賭銭の必要はありませんので?」
「そうっぴょん! イベントだからっぴょん! 因みに三つの数字を全部当てたら一発でチッププレゼントっぴょんよ? 運試しするっぴょん?」
「難しいことを。しかし幾度か試してみるのも悪くない」
「えぇ、運試しと参りましょう!」
「――いやはや、やはり全ての数字を当てるのは至難の技よ」
「大小奇遇だけでも思うほどに当たらぬものでございました…」
幾度か天運に問いかけてみはしたが、やはりそう簡単には
そして幸い、そう時間もかからずにチップを手にすることが出来
「早速熱く楽しんでくれたっぴょんね~! さ~、次行くっぴょん!」
そんな
「イスタよ、ひとつ良いか?」
「なにっぴょん?」
「この場にはミミックはおりませんので?」
気になって
「いるっぴょんよ。皆相手には出番なかっただけっぴょんで」
「おぉ、おるのか!?」
「やはり!? しかし
「あんま声をおっきくして言っちゃいけないっぴょんけど……。すっごく運が悪い人とか、粘る人とか相手に活躍して貰ってるっぴょん。ほら、あそこのテーブルみたいにぴょん」
声を潜めながらイスタはとある賭け机を指し示
「ぐっ‥‥! まだだ‥‥! まだ‥‥! 次は‥五ゾロ‥‥! 五が三つ‥‥! 五が三つだっ‥‥‥!!」
「もう止めましょうよ! 何回やってるんですか‥‥!」
「そうっスよ! いい加減五回当てて次行きたいですよ!」
「何を言うか‥‥! お前達、そうそうにあがりおって‥‥! 張ってみろっ‥‥‥! 男なら大枚をっ‥‥!」
「いや大枚もなにも‥‥‥‥」
「何も賭けれないじゃないですか!」
「ぐぐぐっ‥‥‥! また‥‥またハズレ‥‥‥! 恐ろしいなっ‥! 本当に博奕は恐ろしいっ‥‥‥! うううっ‥‥‥!」
どうやら一度の正答での攻略に固執しておるよう
「あんな風に、ぐにゃあ‥‥ってなってる人にはミミックの出番っぴょん! ぴょぴょぴょん♪」
と、イスタは挑み続けておる
「なら‥‥‥! 次はシゴロだ‥‥! 4・5・6だっ‥‥! 今度こそ‥今度こそ‥‥‥っ!」
「なんでそんな、班‥‥‥お‥? おおっ‥!?」
「普段とキャラが違‥ん? あぁ‥‥‥っ!!」
そして賽が振られ、壺の中より現れたのは……
「見たか‥‥! 見たかお前達‥‥‥! カカカッ‥‥‥! キキキ‥‥‥フォフォフォ、ククク‥‥!ククク‥‥‥!」
仲間二人に自慢するよう笑みながら、褒賞のチップを貰い意気揚々とその場を後にするその者達。しかし、今のどこにミミックが?
「内緒でこっちに来るっぴょん~♪」
はて、イスタがいつの間にやら先の
「「「「群体型の……!」」」」
「しーっ、ぴょん!」
イスタに窘められ、
「さっきみたいな感じに時間かかり過ぎちゃう人には、この子達に手伝って貰ってるんだぴょん!」
成程……。先の者は自力で当てたのではなく、このミミック達によって当たりにされたという訳
しかし遠目からとはいえ、
「「これはイカサマでは……?」」
「確かにバレたらノーカンノーカン叫ばれそうっぴょんけど…バレなきゃ良いんだっぴょん! それに~私達が得してるわけじゃないからセーフって社長が言ってたっぴょん! アストさんもオッケーしてくれたっぴょん!」
……それは
――
「安心するっぴょん! こういったミミックの出番はこういうイベントの、あんな風に詰まってる時だけっぴょん! 皆がやってた時だけじゃなく、普通のゲーム中は決してイカサマしてないって断言するっぴょん!」
「「「チュビッ!」」」
「ほうほう、そち等も自負するように鳴くか! それを聞けて心が晴れた。なれば良し!」
「えぇ、これこそ優しき嘘というもので! ふふふっ、可愛らしゅうございますこと。羽根触りもなんとも…!」
「さ~さ~! お次はここっぴょん! じゃじゃぴょぴょ~んっ!」
「ほう! これは…スロットであるな!」
「先も興じました遊戯にございますね!」
次なる挑戦は、煌めき放ち軽快な音鳴り響かせる筐体が並ぶ場。回胴を止め絵柄を合わせるスロットなる遊戯が対象のよう
「ここではこのドル箱一杯にメダルを集めればクリアっぴょんよ!」
「うむ、任せるが良い。既に一度興じておる故な」
「立ちどころに集めてみせましょうや!」
意気勇み空き席に腰かけ、いざ尋常に――なっ!?
「「は、速い!?!!?」」
「ぴょっふっふ~! 気づいたぴょんね!」
笑むイスタ…! この筐体が回胴の動き、先のとは全く違
「勿論ここでも賭け金要らないっぴょん! 狙うもよし、運を信じてテキトー押しもよし! ドンドン回せばいずれ幸運が巡ってくるかもしれないっぴょんよ~?」
そうは言えども……! くっ、これは難敵よ……!
「――嗚呼、また外れてしもうた…!」
「つ、次こそ…! よぉく見つめまして…!」
「ミカド様……」
「ヒメミコ様……」
「えぇい、急かすでない!」
「横槍は無用にございます!」
「「いえ滅相もございません…!」」
暫し集中してお
そう悪戦苦闘している間に、付き人共は既に挑戦を達成済み。最も
だが
しかしこのままでは次へと進め
「そろそろ幸運が巡ってくるかもしれないぴょんね~」
……はて? イスタ、何を……――?
「「ッ!? ミカド様ヒメミコ様! 正面を!!」」
「? おぉおおおぉっ!?!!?」
「? きゃぁあああっ!?!!?」
―――バグンッ!
な、な、な、何事
「「ご無事ですか!!?」」
すぐさま付き人達が
―――パンパカパンパンパンパカパンパン♪
「「「「なっ!?」」」」
その中から派手な音と共に現れたのは……絵柄の変わった回胴!? 先程とは違いまばゆいほどの金色に染まり、7の数字……最大役の絵柄が幾つも描かれた……! まるで宝物のよう……!
「お~! ボーナスタイム突入ぴょん♪ さ~! チャンス逃しちゃ駄目っぴょんよ~!」
筐体より流れる音楽が忙しきものに代わり、宝箱??が煽るように上下へ動き続け…! まるでいつまた閉じてもおかしくないと伝えるように! そして新しき回胴は勢いよく回転を! こ、これは……しかしこれであれば!
「おぉ! あ、当たる! 当たるぞ!! 乱雑に押そうが幾らでも!」
「急ぎ、急ぎ箱を…! いえ足りませぬ! 先よりも多くの箱をくださいませ!」
「――おぉ!? またも宝箱?が噛みつきを!?」
「あぁ……戻ってしまわれました……。宝箱?も中へとお戻りに……」
「ボーナスタイム終わりっぴょ~んっ! すっごい出たっぴょんね~」
「「これほどまでとは……至福の雑用、至福の傍観でございました」」
必要な量の何十倍と
「イスタよ、感謝する」
「こなた達のために計らってくださいましたのでしょう?」
「ぴょん? 私はなにもしてないっぴょんよ?」
「「へ?」」
「言った通りっぴょん! 幸運が巡って来ただけっぴょん!」
白々しいまでに嘯くイスタ。しかし、
「「あの宝箱、ミミックであ
「…ぴょふふ~! 流石にバレちゃうっぴょんね! でも私、本当に何もしてないっぴょんよ。いつ役物演出してもらうかは皆に自由に決めて貰ってるっぴょん!」
やはり! これもまた、先の賽の目当てと同じ
……しかしそうなると気になるのが――。
「ぴょ? どうやってるか見てみたいっぴょんて? んー、あんまり見ない方が楽しめると思うっぴょんけど……」
渋るイスタを説き伏せ、周囲の客に気づかれぬように筐体の裏へ。するとイスタ、裏面の蓋を開け――。
「こうなってるっぴょん!」
「「「「なっ……」」」」
意外や意外……! そこにちょこんと収まって
「……もしや先の噛みつきのように見えたのは?」
「まんま噛みつきっぴょん! 筐体の隙間からがぶがぶっぴょん!」
「……回胴が変わったのは?」
「隠してる間に、もごもご~って口の中で変えてたっぴょん!」
「……ボーナスタイム中、蓋が上下していたのは?」
「この子がぱくぱくしてたっぴょん! 手拍子みたいな感じらしいっぴょん!」
「……ずっとスロットの中に潜んでいたのですか?」
「ううん、好きに動いて貰ってるっぴょん! だから『幸運が巡ってくる』なんだっぴょん!」
う、うむ……。なんとも物理的で直接的な方策であるが……これであれば完全なる天任せ、もといミミック任せのため、見事なる運試しと
また、かのミミックも楽しんでおるようで
「あ、因みにあの子じゃないけど、メダルの補充もミミックにお願いしてるっぴょん! 二人が出したメダル以上の量を一気に補充してくれるから大助かりなんだっぴょん!」
「……驚異的だの、ミミック」
「えぇ、まことに……」
――さて。二枚目の…『金銀の玉の枝』と『兎と懐中時計模様の卵』がそれぞれの面に描かれたチップを手に入れ、次は三枚目。
「さ~てどうかな~っぴょん。お! 大分集まってるっぴょんね! やっぱりビンゴは人沢山いないと盛り上がらないっぴょん!」
「「イスタよ、これなるは!?」」
「ビンゴマシンぴょんよ! ガラガラして、数字を出すやつっぴょん!」
「「い、いやそれは見ればわかる…! その点ではなく……この大きさよ!」」
またも肝を潰して
「折角のカジノっぴょん! 派手~にってお願いしたらこんなアイデア出して貰ったんだぴょん! どうっぴょん? 驚いたっぴょ~ん?」
「あ、あぁ。心底驚いたとも。だが、だがイスタ……」
「このような大きな抽選機、どのようにして回転させますので?」
「ぴょふふふ~! 私達を舐めて貰っちゃ困るっぴょん! はいどうぞっぴょん!」
ふふんと胸を張るイスタにビンゴの紙を渡され、椅子へと座らされ。見ていろ、と。ふむ、どうやらこのビンゴ、この催事中は止まることなく動かされておる
即ち、この巨大なる抽選機は既に幾度も動いておるの
『さあ続いて参りま~す! そ~っれ! ピョーン!!』
おぉ! うっかりして
『よいしょー!』
飛び跳ね取っ手を掴み、ガラガラと回転させることも容易いという訳
「はて、数字が……」
「書かれておりませんね……」
抽選機より滑り出てきたのは、人ほどの大きさもある巨大な……無地の白き玉。よくよく見れば抽選機の中にひしめいておる玉も全て、赤や青、緑や桃や橙、金や銀等の色をしてお
よもや間違いという訳でもあ
―――パカッ!
『85~っ!』
『出ました85! さあビンゴの方は~?』
「「「ビンゴ!」」」
『おお~っ! ナイスビンゴ! さあ、このチップをお受け取りください!』
なんと!? あの白き大玉が割れ、中より紙吹雪と共に勢いよくバニーガールが飛び出してきたでは
そして出番が済むと玉の中に戻り、ゴロゴロゴロと転がり抽選機の裏手へと……! これはなんとも……!
「ぴょふふん♪ 中に入っているのは私達だけじゃないっぴょんよ~」
――なんと、なんとなんと! よもやこれほどに演出を設けておるとは! 大玉より出でるバニーガールの技は多種多様!
ぴょんっと跳び出すだけではない。蹴りによって玉を割るかのごとく現れる者、見えを切るかの如く様々な体勢を演じ現れる者、わざと玉をカタカタ震わせ開けてもらう者、団子や餅を頬張っておる者、複数人で組み合い派手に登場する者などなど。
更に、大玉より出でるのはバニーガールだけでは
ただ最も驚くべきは、なんとまあ……!
「平然とミミックが出てくるのぅ!」
バニーガールや眷属兎に紛れ、まさかの兎耳を身につけたミミック達までもが大玉より現れる
宝箱型のが身の内より数字の札を咥え出し、群体型のが札を持ち飛び回り跳ね回り、触手型のが札を掲げ振り回し、上位種である人姿のミミックはバニーガールスーツを身につけ、玉の内の箱の内から盛大に! もはや潜むことすらしてお
そしてその三者、バニーガールと眷属兎とミミックが協力し合っておる演出もまま
ミミックの箱の内から一匹また一匹と兎が跳ね出る演出や、ミミックが兎の立ち台として鎮座あるいは跳ね動く演出。更には三者合わさり、バニーガールの頭の上に耳付きミミック箱が不安定に乗り、その上に更に兎が不安定に乗ってバランスを取りつつ一斉に耳を動かす演出はなんとも……はて、ミミックは付け耳なのでは?
他にも、大量のチップが湧きだし続けるミミック箱の内より数字札を取り出すという演出や、バニーガールが取り出せど取り出せど小さい箱が出続け、最終的に手のひらほどもない箱から札を咥えた兎が出てくる無限箱演出など――つい紙の数字を折るのを忘れてしまうほどに見応えのあるものばかりで
うぅむ、許されるのであればこのまま一通り見物しておりたいところ
「時にイスタよ、ミミックはあのように現れて良いのか?」
せめてもの抗いとして、『燃えぬ皮衣』と『竹と筍模様の卵』が描かれた三枚目のチップを手に、次の挑戦へ移る前にそう時間稼ぎを。と――。
「良いんだっぴょん! でも隠れてる子もいるっぴょん。だって動く大玉全部の中にいるっぴょんから!」
「まぁ! そうだったのですか!」
「そうっぴょん! だってじゃないと、私達ぎゅうぎゅう詰めで苦しいっぴょん!」
ふむ、確かに少々懸念を抱いてお
しかしイスタの口ぶりより察するに、それはミミックによって解消されておるよう
ではそれに乗じ、これまた舞台裏の見学へと赴かせて貰うと……ほう!
「これまた見ものよの!」
「ふふ、壮観でございますこと!」
出番を終えゴロゴロと転がっていった大玉は抽選機の裏、客より見えぬ位置へと集まってお
「「「「おぉ!」」」」
バニーガールもかくやという跳躍力にて、巨大抽選機の中へ跳ね入ってゆくでは
「因みにネタバラシしちゃうっぴょんと~…ここも他の挑戦みたいにちょっとイカサマしてるっぴょん! ほら、客席の周りに私達が待機してたっぴょん?」
「うむ、そうであったな」
「賑やかしや案内役ではなかったので?」
「それもあるっぴょんけど、実はお客さんの今のビンゴカードの様子を確認してるんだっぴょん! またまた運悪く詰まってる人がいたら、その数字をここで伝えたり、抽選機の中へ直接ウサ耳ジェスチャーで伝えてるっぴょん!」
「ほう、そうであったのか! はて、しかしそれでは……」
「目当ての玉が出て来るまでに時間がかかってしまうことがあるのでは?」
「ぴょふふ~ん! そこがミミックの力の見せ所っぴょん! まず数字の札は全部持ってもらってるっぴょんから問題ないっぴょんし、ミミックだから抽選機のガラガラに合わせ出口付近に移動するのも楽々楽勝らしいっぴょん!」
はははっ、ここでもまたミミック、天晴で
「お、なんだか感心してくれてるっぴょんね~! なら次の挑戦のも気に入るっぴょんよ!」
「さ~ここっぴょん! どうっぴょん? ビンゴ並みに大きいっぴょんよ!」
「「「「おおおぉおお……!!!」」」」
4つ目の挑戦へと招かれた先には、これまた巨大なる建造物が今度は群を成して!
「これは……ピンボールにございますな」
「「ぴ、ぴんぼぉる……??」」
「左様にございます。筐体の内にて球を弾き出し、点数が設けられた各所にぶつけることで合計値を稼ぐ遊戯にて」
付き人共が指し示す先には、確かに球……いや、やはり先程のビンゴと同じ、いいやそれよりも一回りは大きな玉が。
それにとく見れば、筐体の各所にはバニーガールや兎を模した柄や関わる模様に始まり、天野原の星景色まで! そして最も麻呂達に近い最下部分には、ほほう!
そこには更に…うむ、これは間違い
「それはこれを使うっぴょん! このレバーをそれぞれ動かすとフリッパーが動くっぴょん! これで落ちてくる玉を弾き返して、ポイントを稼ぎ続けるっぴょん!」
ほう! これまたとく見やれば、最下部分に穴が。そしてその穴の手前、ダンジョンを模した柄を護るかのように、二つの動く装置が。成程、これを駆使し玉が落ちてゆくのを防ぎつつ
「現在のポイントはここに表示されるっぴょん! んで、こっちのポイントを超えたら4枚目の『龍の首の珠』と『卵模様の卵』模様なチッププレゼントっぴょん! さ~ぴょんぴょん弾いて弾いて弾きまくるっぴょん!」
「では麻呂から参ろう。これで始めるのだな。おぉ! 玉が……いや月が、勢いよく天へと上がった! 大迫力よの!」
「――むっ、もう目標の点数に到達してしまいましたか……」
「つい時と我を忘れ楽しんでしまいますな……」
嗚呼、付き人共の挑戦もとうとう幕引きとなってし
「少しばかり蹴鞠に少々似ておるの。最も、これは手で操る仕組みであるが」
「えぇ兄様、まことに。跳ね上げる拍子や狙い澄ます技巧など、どこか通じてございますわ!」
規模の大きさゆえに、つい相通じるものを感じてし
それはこの筐体に仕込まれた装置によるものか術によるものか、やはりここが月ゆえか。――いや、それも
「イスタよ、もしやせぬともあの月の如き大玉……」
「中には先のビンゴと同じく……?」
―――パカッ!
「半分ビっンゴ~!」
おおぉっ!? 大玉……ではなく、巨大なピンボール筐体の端より、上位ミミックが姿を見せて!? 麻呂達の予測は的外れで
「ぴょふふ~! だから半分
「それは詰まっちゃってる人相手だけ! それ以外はこうやって隠れてるんだ~! あ、後ちょっと裏でバンパーとかフリッパーとかをチューニングしてたりするかな。でも箱工房とアストちゃんやバニーの皆の魔法合作だからほぼ弄る必要ないんだけど~」
ほ、ほう、そうで
「ところでイスタ姫様! ということは~?」
「そういうことっぴょん! 用意お願いっぴょ~ん!」
「は~い只今~!」
パタンと筐体内へ消えていく上位ミミック。はて……なっ!? 次弾として装填されておった月…いや大玉が急に動き出し、筐体の側面より飛び出し
「お待たせしっました~!」
……ゴロゴロゴロと音を立て戻って
「「「「透明な大玉!?!!?」」」」
月模様の大玉は
「ぴょっぴょっぴょっ~! ここからがこのピンボールの本領だぴょん!」
イスタ
「なんでここまで大きなピンボールを作って貰ったか。それはこれにあると言っても過言ではないっぴょん! いや~社長さんとアストさんはたっくさん楽しいこと考えてくれるっぴょん!」
「姫様~説明を~!」
「おっとっぴょんぴょん! このピンボール、あるサービスもやっておるぴょん! その名も、『ピンボールボール体験』っぴょん!」
ふふんと胸を張るイスタと上位ミミック……もしや!!?
「そのもしやっぴょん! 今遊んで貰ったピンボールのボールになれるんだぴょん! 楽しそうっぴょん? さっきビンゴの玉を気にしてたから絶対気に入ると思ったっぴょん!」
やはり!! だが事実、気にはなってお
「だいじょ~ぶ! 酔わないように安全に安定させるのが、私がいる理由~!」
ふむ……懸念事項に対し上位ミミックはそう応え
「お待ちをミカド様…! どうか私も共に!」
「寧ろ二人ずつぐらいの方がワイワイできて楽しいと思うよ~! あ・と~誰かがピンボールの操作をすると更に更に面白くなること請け合い!」
「ならばまずはこなた達が操作を担当いたしますわ! ふふっ、兄様が入った大玉を弾き上げる……そのような体験、他ではまず味わうことができませんでしょう! ね?」
「え、えぇ。まあ……え、私も操作を!? ミカド様が入っておられますのに!? いえ確かにレバーは二つございますが……え、あの、その……!」
「うむ、良きに計らえ。折角の催しよ、盛大にな。……ヒメミコは手加減する気はないようだしの」
「さ~さ~! では玉の中へご招待! 少し身体に失礼~」
組み分けが決まったところで、
そして先程通りに、装填場所へと収まり――!
「よいしょっと! セット完了! では~~どうぞ!」
「兄様方、いってらっしゃいませ! えいっ☆」
「「のあああああああぁっっ!!!!?」」
「――うふふふふっ! 全く、良き体験にございました! 欲を申せばもう暫く耽りたいところでしたが……」
「相変わらずお転婆よの、ヒメミコ。あれほど弾き上げてやったというのに。麻呂なぞまだ浮き心地よ。身体が自然と跳ねてしもうておるわ」
肩を竦める
手摺りどころか足場すら不安定な透明なる大玉に入り、砲の如く跳ね上げられたと思えば今度は流れ星の如く落下を。かと思えばまたも天へと弾き飛ばされ、あらゆるものへ激突し勢いそのまま天野原を…もといピンボールの内部を右へ左へと!
ひと瞬きの安らぎすらも許されぬその応酬に臓腑は常に浮き暴れ、息は無意識に漏れ出す叫び声と引き換えにしか手に入らず、とうとう手足は置き場すら失い身と共に宙を舞い続けて! それでも目は迫りくる障害物を捉えてしまい、その度に総毛立つも、あなやと思う間に突き放され!
そう、目に映る景色
――そして、
「さ~! 跳ねるのに慣れたところで~~最後っぴょん!」
と、
「この扉の奥っぴょん! さあくぐって……どうっぴょ~ん?」
……ん?
此処は……五つ目の挑戦とはどのような仕掛けを――!? ―――っえ!!?
「「「「何もない!?!!?」」」」