ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~ 作:月ノ輪
これが……ここが五つ目の挑戦の場であると!? 何もない、この場が!? い、いや……正しくは何もないという訳では
なにせディーラー構える遊戯机も、派手な輝きと音を放つスロット筐体も、家屋凌ぐビンゴマシンも、人が中で跳ね回れるピンボールも、それどころか天井にて輝く数多の照明や意匠凝らされし柱や壁も、何一つ無いの
ただ唯一ここにあるのは……広々とした一面の芝生! そしてそれを包みしは――明澄なる月世界!! その点だけは先まで
しかし全天が透明なる半球に覆われる中、物らしき物がほぼ存在してお
「か、身体が!?」
「軽うございます!?」
思わず一歩を踏み出せば、その違和感に、その浮遊感に否応なく気づかされ
「最後の挑戦舞台はここ、月の重力をそのまま活かした芝生広場っぴょん! さっきので慣れてたおかげで身体動かしやすいっぴょん?」
そうイスタに言われ、はたと息つき。……
「ご覧になってくださいまし! 身をこれほどまでに前へ傾けさせても倒れることはありませんわ!」
「なんと、ヒメミコ様! 通例であればそのまま地へ叩きつけられて然るべきでありましょうに! まるで無重力の如く!」
「ほう、ふむ……! このようなことも出来てしまうとはの! どうだ、上手く動けておるか?」
「おぉ! 見事にございますミカド様! 前に進んでいるように見せながら後ろへ下がって! まるで月を歩くかの如く!」
暫しの間、先の大玉の中では叶わなかった遊興に耽
「イスタよ。このまさしく天『野原』では何を行うのだ?」
「お! 上手いっぴょん! ここでは二つ挑戦を用意してるっぴょん! どっちか選んで貰うっぴょんけど、もし望むのであれば――」
「えぇ、えぇ! みなまで仰らず! こなた、両方試みとうございますわ!」
「ぴょぴょん! 良いっぴょんね~っ! じゃ、用意して来るっぴょん!」
早速跳ねてゆ
「出来立てを用意して貰ってる間に、こっちからやるっぴょ~ん!」
イスタに続く形で、宝箱が四つほど跳ねて! もはや勘ぐる必要もなく、ミミックで
「さ~まずは単純明快、『追いかけっこ兎探し』ぴょん! 出ておいで~っぴょん!」
と、イスタがミミック達へ声をかけ
「まあっ! 先程の! 兎の徒競走でこなたが応援いたしておりました! あの後撫でさせても頂きました、あの子!」
「そうっぴょん! 丁度今元気一杯だからお手伝いして貰う事にしたんだっぴょ~ん!」
飛び出してきたのは、競兎にて
「説明っぴょん! まずはこの子がまた箱の中に隠れるっぴょん! そしてミミック達はシャッフルした後、一斉に辺りへ駆け出すっぴょん! 皆はそれを追いかけて、兎を捕まえられたら勝ちっぴょん!」
成程、単純明快
「ミュージックスタートっぴょん♪ う~さ~ぎ追~いし、か~の~月~っぴょん♪」
イスタの歌に合わせ、4体のミミックが一斉に入り乱れ! 互い互いを飛び越えるように動いたと思えば、円状に並びぐるぐるぐると高速回転を。更には球となるように固まり辺りを転がり、積み重なって順番を入れ替えて……おぉ!? 急に兎が箱より飛び出し、別の箱の中へと!? こ、これはなんとも……!
「わ~す~れ~が~たき~ふ~る~さ~と~――っぴょぴょん♪ さ、シャッフルタイム終了っぴょん! どこに隠れてるか覚えてるっぴょ~ん?」
……うむ…! 正直に明か
「じゃあ~せーの!」
「それぞれが一体ずつを狙い!」
「手分けして捕らえましょうや!」
「「ははぁっ!」」
「スタートっぴょん!!!」
「――ま、麻呂が追っておったのは何処へ!?」
「あ、あちらに! しまっ…! 目を逸らした隙に混ざって…!」
「くっ…! ふわふわと……!! 地の利を活かしている…!」
「こちらへ、どうかそのままこなたの方へ…! あぁ、なぜ踵を!?」
くぅっ……! よもやミミック、これほどとは! 当たり前であ
故に自在に跳ね回られ入り乱られ、
なればと策を変え、今度は皆で力を合わせて一つを狙うことに
「そちらへ向かうたぞ!」
「はっ! ――かかったな! 私は囮だ!」
「捕らえた! ……なっ、すり抜けた…!?」
「あぁお待ちくださいまし! お待ちをーっ!」
それもまた中々に難しき
「「「「は、外れ…!!?」」」」
中には外れ札を掲げるミミックがあるのみ。結局、全てのミミックを捕らえることと
「なんとなんと! ふははっ! 宝箱の中から跳び逃げるなんて有りかの!」
「がんばれ~っぴょん! その子を捕まえたらクリアっぴょ~ん!」
「と、とは言えども……! 全速で走る兎を素手で捕獲なぞ……!」
「これはミミックを捕らえるよりも困難なのでは……!?」
なんとも楽しませてくれるもの
「どうか…どうかこなたの元へ……! また撫で撫でをして差し上げますから……あら!? まあ急に!」
「いやはや……この特殊条件下での追走がこれほどに難しいとは。思い知りました」
「それにミミックの実力もまた。私達相手ではああまで練度を変えるもので……!」
一息つく付き人共はそのように。そして
地に足つかぬ…一度地を強く蹴れば天まで浮き上がってしまうこの場で追いかけっこに興じるのがこれほどまでに楽しい
「うふふふふっ! とうとう姿だけではなく、跳ね具合もイスタに並べるほどとなりましたわ! ぴょんぴょん♪」
「ぴょ~ん♪ 良いジャンプっぴょんヒメミコ! ぴょっぴょっぴょ~ん!」
「嗚呼、愉快にございます! あら? 皆様も共に? では、ぴょんぴょんぴょ~ん♪」
あれだけ走り回った後だと言うのに、イスタやミミック、兎と共に跳ね合って
「これはもはやカジノ関係ないのではないのかの?」
「カジノゲームばっかりだったら飽きるっぴょん! それに基本座りっぱなしだから、こうやって身体を動かすことも必要っぴょんよ! まあこれも社長さん達の受け売りっぴょんけど、私もそう思うっぴょ~ん!」
「お待たせ~。『餅つき』の用意できたわよ~」
はて? 耳慣れぬ声が。ふとそれの聞こえし方を向くと、そこには宝箱に入った一人の上位ミミックが。ただ、兎耳こそ付けてはおれどバニーガールスーツではなく、
「ここで良~い? じゃあ準備するわね~」
と、その上位ミミックは箱を探り何かを取り出し……
「もう一つの挑戦はこれっぴょん! さ、準備は良いっぴょ~ん?」
「「「「おぉー!」」」」
「軽い、の……」
失念してお
「上手くつけぬではないか!」
なんとかもち米を潰すまでは総出の力尽くで
「ぴょふふふ~! ここでミミックの出番っぴょん!」
む? 苦心してお
「実はこの杵、特製品っぴょん! ここがパカッて開けられて、中がちょっと空洞になってるっぴょん!」
「「「「なっ……!? ――ということは……!」」」」
「は~い、失礼~♪」
「これで準備万端っぴょん! じゃあ餅つき再開っぴょん!」
イスタに促されるまま、
「きゅ、急に重く!?」
つい先程まで緩やかにしか動かせなかった杵が、突然に
「これぞ私達もお世話になっているミミック杵っぴょん! 中に入ってくれたミミックが杵を調整してくれるんだっぴょん! 重さどころか角度調整や手を挟まないように緊急停止もしてくれるっぴょんよ!」
「任せて頂戴ねぇ~」
「おかげで面白いこともできるっぴょんよ! ヒメミコ、お耳貸してっぴょん!」
「なんでございましょう? ……えっ! よ、宜しいので?」
「だいじょーぶっぴょん! 思いっきりやってっぴょん!」
「ヒメミコ、何を吹き込まれたのだ? ほれ、杵よ」
「有難うございます兄様! では……いざ! せーのっ、はぁっ!」
「なっ!?」
「ヒメミコ様、お跳びに!?」
「高っ……!」
「ぴょーーん!と飛んでぇ……どーーんっ! にございます!」
「どうっぴょん? 楽しいっぴょん?」
「えぇ! とても!! ね、イスタ、次はこなたと共に杵を持ちて、一緒に跳ねて…!」
「良いっぴょんね~! やるっぴょん!」
「はははっ、麻呂達の手を潰すでないぞ。最も、ミミックが見ていてくれようがの」
「安心して頂戴ね~☆」
再度
嗚呼、素晴らしきかな! 雲なき直なる天野原の下、麻呂達の居城抱くまるき世界に見守られ、荒涼ながらも霊妙な月景色に囲まれつつ、青々と生くる芝生の上にて、バニーガールや兎やミミックと共に餅つきに興じる――。嗚呼嗚呼、まさに鏡花水月を手にしたかの如き心持よ! ……
「――うむうむ、美味よのぉ。丹精込めた甲斐があったの、良い出来よ」
「えぇまことに! やはり手ずから作るとひとしおにございますね」
「「コシがあり程よき噛み応えで、伸びも見事にございます」」
「美味しい~っぴょん♪ 私達が作るのぐらいもちもちぴょ~ん♪ びょ~~んっ♪」
つきあげた餅を味付けし、休憩の出来る場…バーへと舞い戻り茶を一服。やはり餅は暖かく美味い内に食さ
イスタだけではなく、供してくれたミミック達や兎にも裾分けを
そして……勿論、
「うむ、確かに五枚あるの」
「こなた達のも揃っておりますわ」
先の月世界空間にて手にした『燕の子安貝』と『波模様の卵』がそれぞれの面に描かれしチップを合わせ、計五枚。これにて
「……幾ばくかの寂しさを感じてしまうのぅ。もう終いか」
「あら兄様、なればまた訪れれば良いだけでございましょう? こなたはその腹積もりですとも! イスタと約束いたしましたから!」
「そうっぴょん! 何度でも来てっぴょん! 挑戦用のゲームは皆でたっくさん考えたっぴょ~ん!」
「例えば『みんなで囲む巨大ジャックポットメダルゲームで、真ん中てっぺんにいるミミックからメダルの雨を降らして貰う』のとか、『巨大ルーレットをミミック入り大玉で回して、跳ねたり変な動きして貰う』のとか、『お助けミミック潜みのカードゲーム』とか……おっと、あんまり話しちゃうとお楽しみ半減っぴょんね!」
そこで慌てて口を押さえるイスタ。が、ふと悪戯な顔を浮かべ、囁くような素振りで
「それに私がカジノクイーンしてる時だったら、多分お姉ちゃんが皆の案内するっぴょんよ~?」
「おぉ! おぉおぉ! それは! それはそれは! なんとなんと!」
思わず喜色を湛えてしまう
「でも残念っぴょんね~。実は、カジノクイーンをやってる時だけの特別な務めがあるっぴょん! その時のお姉ちゃんは超超超~カッコい~いんだっぴょん!」
「ほう! 随分と心惹かれることを!」
「一体どのようなお務めで?」
「こればっかりは説明しちゃ面白くないっぴょん! それに、本当なら起きない方が良い事っちゃ良い事なことっぴょんで~~。うーん、どう言えば良いっぴょんね~」
言葉を探るイスタ。起きない方が良い事、とは如何に? うぅむ、
「はて、向こうの方が……?」
「なんだか騒がしく……?」
「一体何事かの?」
「人が集まっておりますが……」
騒ぎを聞きつけ、
「「――私共の後ろに」」
…む。付き人共が守護の態勢に。となるとつまりは、良からぬことが起きておるのは明白
「誰も近づくんじゃねえぞ!」
「こいつがどうなっても良いのかぁ!?」
「へへ……! こうも上手くいくとはな…!」
「人質を取ればこんなものよ!」
「と、いうことだ女王様? 大人しく俺達の言う事を聞いて貰おうか?」
そしてその予測通り、どよめく人垣や睨むバニーガール達に囲まれてお
「あの兎は……!」
「先程の!!!?」
なんとまあ! バニーガールの人質の他にもう一羽、兎が捕らえられて
「「どうか?」」
「はっ。あの程度の輩であれば支障なく」
「御命であれば立ちどころに。――ですが……」
付き人共に合図を向けると、即座にそう応じ
「あのバニーガール、全く怯えておらぬようだの」
「それにあの子も。すやすや眠っておりますようで……」
「多分お餅食べてお腹いっぱいになって、ぐっすり居眠りしてたとこを捕まったっぴょんね~」
と、兎の顛末について呑気に推測を。はてさてよく見てみれば、悪党共を囲むバニーガール達も他の客に被害が及ばぬように守っておるだけの様子。
即ち……バニーガールに連なる者達は誰もこの事態を憂懼しておらぬ
「イスタよ、これなるは……」
「演出の一部で?」
「ん? 違うっぴょん! ふっつーに悪い人っぴょん!」
「そ、そうか。……何故そのように落ち着いておるのだ。いやそもそも――」
「このような場合、胸に潜むミミックの方が対処してくださるのでは……?」
「普段ならそうっぴょん! でもお客さん達の前で脅されてーとかだとミミックでも反撃が難しい時があるっぴょん。倒すだけなら楽々っぴょんけど、皆をびっくりさせちゃいけないっぴょん!」
胸を張ってみせるイスタ。確かにその心得は良きもので
「そんな時は人気のないとこに誘導したり、お客さんの目を逸らしたりしてから始末してるっぴょん! け・れ・ど~~このイベント中は違う倒し方をしてるっぴょん! 言っちゃうと……『見せしめ』っぴょんね!」
そう語りつつ、イスタは天高くを指し示す。その先におるのは当然――。
「――我ら博兎を貶め、天運に唾吐く凶賊の方々。
嗚呼、カグヤ姫よ!
「おっと言葉を選んで貰おうか女王様?」
「じゃなきゃこいつらが無事に済む保証はないぜ?」
「まあ俺達はそれでも良いんだけどなぁ!」
沈黙を破ったカグヤへ下卑た声を向ける悪党ら。しかし天上に座す
「……チッ。俺達の要求は簡単だ。ちょっとばかし外に出して貰おうかってよ」
「カジノから帰るってことじゃねえぞ? このダンジョンの外、月のことだ!」
その睥睨に怯んだようで、悪党らは早々と目的を明らかに。成程、月の石の盗掘によって一獲千金を夢見ておる
「……ふぅ」
それを聞き届けし
―――ガコンッ
それにより閉じておった月世界が再度
暗澹たる虚空が、冷光放つ星々が、不毛なる月世界が、まるで女王の……
「「「「「うおおおぉおっ!?!!?」」」」
暗闇より飛来せし天隕石が、悪党ら目掛けて!! しかし、それは見えぬ壁となった天井に阻まれ塵へと砕け変わ
「見ての通り、外の世界は人間にとって息苦しき場。私共は貴方がたをもお守りしておりますわ」
「う、うるせぇ! た、対策ぐらいある! 良いからさっさと外に出せ!」
「つ、月の石を大量に採って稼ぐんだよ!」
「か、カジノ巡りよりも間違いなく効率が良いしな……!」
「わかったら早くしろ!」
「じゃないと…本当にこいつらを――……」
「どういたしますので?」
―――パチンッ
「「「はっ……?」」」
「「なあぁっ!!?」」
おぉ! なんとなんと!!
そしてそれと同時に、うたた寝してお
『ピョンッ☆』
金銀の紙吹雪と共に再度かのバニーガールが現れ、チップと兎を手に笑顔で決め姿を!
あれなるは間違いなくミミックの妙技。あの小さきチップの中にバニーガールを引き込み隠したに相違
「あ……う……」
「ど、どうしますクラモチの兄貴…?」
「ぐ……っ」
「く、くそっ! 誰も近寄るんじゃねえぞ!?」
「いやてか逃げられな……!」
混乱が収まり、悪党らはようやく置かれた現状に気づいた
事ここに至れば、バニーガールやミミック達であれば鎮圧も容易
「――興が乗りました。一つ賭けを致しましょう」
何……!?
「その『対策』とやらで我らが月の一撃を凌ぐことが出来たのであれば、えぇ、その願いを叶えて差し上げましょう!」
――
輝きに包まれし
「イスタ」
「待ってました~っぴょんっ!」
そこへ悪党らを一足跨ぎで飛び越え加わるは、イスタ! 彼女もまた大岩と並ぶように跳びあがり、天野原を背負うその姿はまるで天隕石を従え判決を下さんと舞い降りる天女――
嗚呼、思い違いをしてお
「月に代わりて――」
「「「「「お仕置きっぴょ~んッッ!!!」」」」」
「「「「「うわあぁああっっ!!!?!?」」」」」」
「賭けは私達の勝ちっぴょ~んっ!!!」
現われたるは兎耳の如き指印にて勝利を宣するイスタ、そしてそれを囲みし4つの天隕石よ!
万雷の喝采が未だ鳴りやまぬ中、イスタに連れられ
「けほん…。お見苦しいところをお見せいたしました、皆様方。どうかお許しを。仔細はイスタが伝えた通りでして」
更には詫びの一言と共にはにかみ、座し直した身を僅かに照れ捩り! 無慈悲なる女王の威圧は今や仕舞い込まれ、美姫たる愛いさが溢れて! 嗚呼、なんとも!
「いいやカグヤよ、まさしく夜を輝かせる冴えわたりし月の如き御業であったとも! あまりの鮮麗さに息が止まり立っておれず、ついこうせざるを得ないほどだ!」
「まあ……!! これほどまでのお褒めを賜るなんて、まことに嬉しゅうございます!」
「イスタもですわ! まさしく夜を照らす太陽が流星と変じ降り注ぐかのような御業にございました! あまりの眩さ故に目がくらみ、ついこのようなことを…!」
「ぴょんっ!? ぴょふ~ん♡ ぎゅううっぴょ~ん♪」
麻呂は座すカグヤの前へ跪き、ヒメミコはイスタの胸へ倒れこみ称賛を尽くす。付き人共が止めようが構
「うふふっ、しかしあれなるも私共だけの技では出来ぬことでして」
「これまた協力があっての大技っぴょ~ん!」
ほう!
「――実は疑問に思っておりました。あの悪党らについてでございます」
「巨石の下敷きとなったかと考えておりましたが、姿がどこにも……」
そう付き人共に指摘され、
「確かに……人の姿は無いの」
「まるで消え失せたかのようで……」
これまた不可解な。あの音であれば間違いなく悪党らは天隕石の餌食と成り果てたはず。されど、そのような痕跡は残されてお
「では僭越ながら。全てを詳らかに致しますと、まずは我らが五種の至宝の力を活かしておりまして」
「これを使って月の石を沢山操ってたっぴょん! 空中に浮かばせるのもおっきい岩にするのもちょちょいのちょいっぴょん!」
語るが早いか、
しかしそれは先よりも飛ばず、
「それはわたしたちの力で~す! ッピョン!」
「「「「おおぉっ!!?」」」」
こ、今宵幾度目かは忘れたが、またも肝が潰れ
それが月の石の放出と共に出で、岩の中を一時の箱として現れたということか……。――む、つまりは!
「あの悪党らが姿を消したのは……!」
「先の天隕石にもミミックが潜んでおりましたから……!?」
「「せいかいっ
「えぇ、ご推察の通りにございます。この操りの力だけでは、岩を作り凶賊目掛けて落とすが精々。しかしそれでは外してしまう可能性もございますし、凶賊が耐えてしまうやもしれません」
ふむ、確かに。イスタの地を蹴り割らんばかりの一撃はともかく、もしそのようなことがあれば悪党らに機を与えて
「そこでミミックの方々の力をお借りいたしまして。彼女達には狙いが逸れぬように調整を行って頂き、凶賊へ激突した暁には――」
「わたしたちがぎゅっと掴んでぐいっと岩の中に引きずり込んで始末してま~す! ピョンピョンッ!」
カグヤに続き、上位ミミックが兎耳の指印と共に答える。成程
まさか悪党らは消え去った訳ではなく、見えぬ内に岩の中へ囚えられてお
「――……ところでミミックよ。ということは……」
「へ? なんでしょ~ピョン?」
「カグヤの胸の谷には、それほどまでの数のミミックが……?」
「まあ
「……あ、に、さ、ま?」
「い、いやいや! 興味本位というものだとも! うむ! それに次は臼ではなく天隕石で潰されそうだからの……」
「――あっ」
「? …ミカド様は何を?」
「……臼? 潰される? どういうことですの?」
「あれ? ヒメミコ聞いてなかったっぴょん? ミカドさん最初、お姉ちゃんに猛烈にアタックして社長にお仕置きされたっぴょん! 臼でドーンッて!」
「……イスタ、そのあたっくとはどのような……?」
「えっとぴょんね、嫌がってたお姉ちゃんを力づくで連れ去――」
「ゴホンっ。――『この世をば
「まぁ良き一首。ですが誤魔化されませんわ兄様。どのような仔細か説明して頂いても?」
「そ、それはだな……。……う~さぎうさぎ、何見て跳~ねる~……」
「逃がすとお思いですか!? お待ちくださいまし! 皆も早う兄様を!」
「「は、ははぁっ!」」
「わたしもです?ッピョン? ならお任せあれ~! ッゴロゴロピョーンッ!」
「……追いかけっこの続きみたいになっちゃってるっぴょん。私、余計な事言っちゃったぴょん?」
「いいえイスタ、これもまた悦ばしきかな。うふふっ、『逢ふことも
「は~い! わたしだけ戻りました! あの人達からお届けもので~す! ッピョン!」
「あ、さっき皆で作ったお餅っぴょんね! お姉ちゃんの分を取っておいてたっぴょん!」
「まあそれはそれは! では早速――ふふっ、美味しゅうございますこと! 貴女様方も如何です?」
「わたしたちは頂けないですよ~。カグヤ様のために作ったお餅だって言ってましたし!」
「あら、それは申し訳――」
「――で・す・の・で~! わたしは自分用にとっておいたお団子を頂きます! カグヤ様、お胸を少々失礼致しま~す! ピョ~ン!」
「ぴゃんっ…! もう、くすぐっとうございますわ。ふふっ!」
「お姉ちゃんの胸の谷間に触手を入れて、潜ませてたお団子を引っ張り出す……。ミカドさんが見てたらまた鼻血出して倒れてたかもしれないっぴょんねぇ」