ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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人間側 とある陰キャっ娘と偶像⑤

 

 

「――――ぁぅ……ここ…………どこぉ……?」

 

 

道……道……正しい道は……どれ……ですか……? あはは……大道具エリアは何処でしょう……。私は今、何処にいるんでしょうね……??

 

 

―ハッ…! げ、現実逃避してしまっていました…! え、えっとその……はい……迷いました……。引き返しても道がわからなくて……。知ってる道だと思ったら似てる違う道で……。

 

 

しかもそれで急げば急ぐほど、焦れば焦るほどどんどん変な方向へ進んでしまったみたいなんです……。本当、私はどうして…あはは……はは……。

 

 

……なんだか、お昼とほとんど同じことをしてしまっている気がします……。唯一違うのは、ここがどのエリアかすらわからない…足を踏み入れたことのない場所かどうかすら分からないという……悪化してます……はぅぅ…。

 

 

その……やっぱりもう深夜ですから、どこもかしこも灯りが落ちてぼんやりの非常灯だけでして。ですから印象が普段と全く違くて、ちょっと怖くて……。一応、時たまに灯りが煌々と漏れている通路もあったんですけれど……それってつまり、誰かが居るという事で。

 

 

悪い事している以上その傍を通る訳にもいかなくて、道を選ぶ必要があって。同じ理由でミミックさんがいそうなところも避けていまして。箱が置いてあったり部屋の扉が絶妙に閉まっていなかったりとか、少しでも怪しい所は進まずに、別の道を選んでを繰り返していて…! だから迷うんですよね……あはは……。

 

 

で、でもその甲斐あってか、今のところミミックさんを始めとした警備員の皆さんに遭遇したことも見つかっている気配もありません…! 多分、上手くミミックさんみたいに動けているんです……多分…!

 

 

ですがリダさんやオネカさんといった凄いミミックさんは神出鬼没ですし…このまま用心して進まなければいけません…! 時間も、お昼の時よりかはありますけれど…そう長くはかけられないでしょうし。

 

 

ですから急いで、失くしてしまった差し入れのお菓子を…waRos(ウォーソ)が認めてくださった証を探し出して、誰にも気づかれない内に…迷惑をかけない内に寮の自室に戻りませんとっ…! そうだ、そのためには……すぅ……えいっ!

 

 

痛っ…! 音が鳴らないように頬を叩いて、弱い自分を追い出します!! 現実逃避をしている場合じゃないんですから! 勇気をもって行動して、自らのミスの埋め合わせをして、皆さんへお返しする――少なくとも、今の私はそれがやらなければいけないことで、やりたいことで!

 

 

だからこそ逃げちゃいけなくて、どんな目に遭っても努力で切り抜けなきゃいけなくて、スカウトされた時みたいに怖くとも一歩踏み出さなきゃいけなくて! そう、そんな覚悟を決めて寮をこっそり抜け出してきたんですから!

 

 

よし、気持ちを改めることができました! 諦めず、このまま進んで――っ!?

 

 

 

「誰か…来る…っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

気のせいじゃありません!! 誰かが、こちらに! この先の暗い廊下の奥の奥、姿も確認できない辺りから、誰かが歩いてくる音が聞こえます!

 

 

もしかして…警備員さんのどなたかでしょうか…!? いえ、でもこれ…なんというか……私みたいな歩き方…? そう、まるで…出来る限り音を立てないように、こっそり動くような――っまさか!?

 

 

「ヒッ……し…侵入者……!?」

 

 

可能性は…高いと思います…! このコンサートダンジョンへ昼夜問わず忍び込み、お金になる物やアイドル関連のアイテムとかを盗み出そうとする悪い人達がいると聞いていますし…! だから大道具エリアのあの方も、私をそういう人と誤認なされたんですし…!!

 

 

しかも、その、前にスタッフさんが話されているのを聞いたことがあります…! 実のところそういった厄介な侵入者は、アイドル寮が出来てから…私達がここに住むようになってから、目に見えて多くなったって!!

 

 

寮があるということは、アイドルが確実に居るということで。つまりはお宝が確実にあると認識されているらしく…! 昼間はスタッフさんに変装して、深夜は多分あんな風にこっそり侵入してきてるらしいんです! 

 

 

ただ、侵入者の数とは対照的に被害は激減しているみたいで。というか0というか。その理由は勿論、リダさんオネカさんを始めとしたミミックさんが優秀だからで! ミミックさん方が皆対処して、追い出してるみたいで!

 

 

え、あれ……じゃ、じゃあミミックさんが対処なされていないということは、今こちらに進んできているのって、もしかしてやっぱり警備員さん…? それともスタッフさん…? な、なら安心……?

 

 

い、いや…! 私が見つかっていないということは、この辺りにはミミックさんはいないはず! なら、あれが侵入者の可能性は大いにあります!! も、もし見つかったら私、どんな目に遭わせられるか……!

 

 

と言いますか、警備員さんでもスタッフさんでも見つかってしまったら駄目ですよね!!? 私今、侵入者と同じことしてしまっているんですから! ど、ど、ど、どうしましょう!!?

 

 

と、とりあえず逃げないと、隠れないと! え、えっと何処か…何処か……! こ、こっちの廊下は! こっちの通路なら! 同じく暗いですけど、なんだか他よりもほんの僅かですけど明るい感じがして、安心できて……!

 

 

あっ、しかも丁度良く、道にくぼみがあって、大きめの観葉植物が! 私の背丈ほどもあってちょっとした木みたいですし、葉っぱもわさわさ茂っていますから、こ、この後ろなら! しゃがんで隠れて、やり過ごせば! 急いで息を整えて、呼吸を控えめにして物音を立てずに……!!

 

 

だ、大丈夫です…! きっと大丈夫です…! あの人達が何者かはわかりませんが…通路は他にも沢山ありますし、その中でわざわざこの道を選ぶ確率は低いはずです! ですからこのまま、通り過ぎていくまで身を潜めていれば――……。

 

 

「――うぅん…アイドル寮こっちで合ってますかね…?」

「わからん……クソッ、やっぱりダンジョンだなここは」

 

 

っ! 微かな話し声が聞こえてきました…! やっぱり誰かが向かって来ていたみたいです…! そしてこの感じ、警備員さんやスタッフさんじゃなさそうです!

 

 

となると恐らく…侵入者!! ぁう…どうしましょう……このまま放っておくわけには…! けれど、私ひとりじゃどうしようも…! それに万が一どうにかなったとしても、私まで見つかってしまったら……ぅぅ…でも…なんとかしませんと…!

 

 

このままでは、アイドルの皆さんやスタッフさん方に被害が出てしまいます! あ、そうだ! せめて顔や姿だけでも見て特徴を掴んで、なんとかして警備の方に、ミミックさんにお伝えできれば! 

 

 

声の調子と足音からしてきっと、もう少しで私のいる通路を横切るはずです…! こ、怖いですけど四つん這いになって顔を廊下に少し出して、目を凝らしてなんとか確認して――。

 

 

「また何処かにマップあると良いんですけど…」

「だな。とりあえず、この道に行ってみるか…」

 

 

ヒッ!? なんで、なんで!?!? あの人達、私の隠れている道にピンポイントで入ってきました!? もしかしてバレ…いやそんな感じじゃ…! すぐさま顔を引っ込めましたし、二人組らしきその人達も私に気づいている様子はありません!

 

 

「しっかし、結局忍び込むことになるとは……特ダネ掴んでくるまでなんでもやれ、アイドル寮の深夜の様子でも撮ってこいって、上も心が無いですよ本当……」

 

「俺、こんなことするために記者になったんじゃねえのに……今から冒険者にでも転職したろうかな。waRos(ウォーソ)とは逆にな」

 

 

しかも、この廊下に入って来て少し安心したのでしょうか…先程までよりも歩調が緩くなり、声も少し大きくなって雑談交じりに…! こ、こっちに来てます…っ!

 

 

み、見つからないようにしませんと…! しゃがみ込んだ姿勢をもっと小さくして、葉っぱにぶつからないように、衣擦れの音を立てないようにして、息も抑えて…! いなくなるのを、発見されないのを祈るように耳をそばだたせて――!

 

 

「せめて冒険者上がりの連中がいたらなぁ。大体うち、古くは冒険者相手の魔物専門誌だったんでしょう? なんでアイドル追っかけやってんですかね」

 

「まあ……売れるからな。魔物アイドルも多いし、生態やらを『○○アイドルのヒミツ』とかで記事にすりゃあ売り上げ数は桁違いらしい」

 

 

へ…!? ということは……あのお二人、記者さん…!? そういえば一瞬見えた感じ、『週刊モンスター』の記者さんだったかもしれません…!! 私も以前から購入させて頂いている雑誌で、今は何故か取材を受ける側になってしまった、あの…! 昼間も寮の前で待機もなされていた、あの…!!

 

 

ど、ど、どうしましょう…! 正体は分かってしまいましたけど、この後どうすれば……! この辺りにミミックさんはいらっしゃらないでしょうし…! やっぱりここまま隠れ続けるしか…!!

 

 

「それに冒険者上がりの連中は今、例の『勇者一行』の取材にかかりきりだ。あのパーティ、魔王軍ダンジョン潰しに躍起になってるからな。皆血が騒いでるんだろ」

 

「あー。あ、そういえば。その連中の何人かが前、魔界奥地へ出張した時…ほら、例のイエティ探索の時、噂のM(ミミン)A(アスト)ぽい二人を何処かで見たと」

 

「は!? ……っと。なんでそんな特ダネを隠し持ってるんだよあいつら…!? それがあったらこんな冒険者だか盗賊だかの真似事しなくても……」

 

「いや、直接姿を見た訳ではなく、そっくりさんみたいなのが出てた映像を視界の端でチラッて見たような見てないようなレベルらしいです。第一あれってほら、M&Aのデビュー前でしたし」

 

 

っ……!?!?!? わ、私も思わず声を出しかけて、無理やり飲み込んで事なきを得ました…! あのお二方の、ミミン様アスト様のデビュー前のお話……とってもとっても気になりますっ!! 今も滅多に会える方じゃありませんし、あのお二方は私がこの道に進む最後の後押しとなった憧れですし! も、もっと――!

 

 

「寮住まいじゃないとはわかってたが……魔界奥地かぁ。それにミミンちゃんだろ? ミミックならダンジョン棲み確定だよなぁ…俺達じゃまず発見は無理だな」

 

「ですね。なんなら広い魔界奥地を探すより、ここのアイドルにインタビューしたほうがネタ掴めるかも。…この辺でバッタリ出会ったりしません? なーんて」

 

 

ッッッ!!!!!?!? つい前のめりになってしまっていた姿勢をガチッと止めて…しっ、心臓が跳ね上がってッ暴れてッ……痛いッ…!動悸が…うるさい…っ! お願い、止まって…っ! 今だけ止まって…!! 

 

 

あ、汗が……嫌な汗がにじみ出て…! 垂れないで…!垂れな…ヒッ!? 記者さんの足が、横を、観葉植物の、葉っぱの奥をっ! お願いお願いお願いお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますそのまま、そのまま、そのまま――!!!

 

 

「いやいる訳ないだろこんな時間にこんなとこに。……ここ何処かわからんけど」

 

「ははっ、そりゃそうですよね。会えて警備員かミミックか……会っちゃ駄目ですけどね」

 

 

通っりっ……過ぎて! よ、よ、良かったぁ…! 私が観葉植物の裏に隠れていることに全く気付かず、普通に通過なされていきました…! ほぅ……っ…まだ息もダメ…! 葉が揺れてバレちゃう…!もう少し我慢…!!

 

 

「あぁそうだ! 今度、趣向を変えてミミックにインタビューしてみます? 同族繋がりということでミミンちゃん情報を聞きだせれば! そうでなくともミミックの腕前について聞ければ…!」

 

「アリだな…! 普通は冒険者しか入れないダンジョンにいるミミックがこんな近場にいるんだ。しかもどっちに転んでもうち(週刊モンスター)的には美味しい……やるな…! 次はその線で行くか!」

 

 

あ…でも…! そのお二人はお喋りに盛り上がってるご様子で、私の呼吸に全く気付いていません…! 良かった…本当良かった……って、次はアイドルじゃなくてミミックさんがインタビューの標的にされちゃう!? 

 

 

その、色々と興味はありますけれど…あのしつこいインタビューでミミックさん方を困らせるに訳には…!  このこともリダさんオネカさん辺りにお伝えして、なんとか対策して頂いて――あ、でも。  

 

 

「まあ…そのためにはこのまま運よく、あの凄腕ミミック連中にバレないよう事を運ばないとな。大体なんなんだ、夕方の素人目でもおかしいミミックは。あれがミミックか?」

 

「あのアイドル帰寮、してやられましたもんね…。ミミックって本当謎が多いと言うか……。一応あれは上位ミミックでしたし、元冒険者連中曰く、あんな腕の良いのは極々稀らしいですけど」

 

 

そうですよね…! ミミックさん方はあの時みたいに華麗に回避なされるでしょうし、このことをお伝えしたらもうそこまで気負う必要はないかもしれません。

 

 

ただ片方の記者さんが仰る通り、あの動きはリダさんオネカさんのような熟練の方にしか出来ないのも事実みたいで。ふふっ…けれど、多分他のミミックさん方も問題ないと思います…! だって――。

 

 

「そりゃあん時みたいな逃げ方をされるのは毎回じゃないが…だからといって他の方法がわかる訳じゃないからなぁ……。人数割いて出入口全てを完璧に張っているのに、何処にも確認されずに既に現場入りしてたりするし。あれは何なんだ?」

 

「寧ろそれの方が回数あるかもですね。うーん…ダンジョンの何処かに転移魔法陣でもあるんでしょうか? いや、ダンジョン間ならいざ知らず、家と直接繋ぐとはどうも……魔力的にもセキュリティ的にも色々と危険らしいですし…」

 

「それに、家から出てこちらに向かってきているのを確認してるのに、乗せた車も到着したのに、アイドル本人の姿だけ掴めずに現場入りされてるパターンもあるときた。説明がつかねぇな……うぅん……」

 

「やっぱり何かしらの魔法でしょうか。透明化とか。ネルっさんは魔界大公爵(グリモワルス)一族ですから、なんでもあり得るでしょうし……」

 

 

ふふふっ…! あっ…つい…!声は出してませんけど抑えなきゃ…! で、でももうあのお二人の声は遠ざかってます…チラッと様子を……良かった、もうこの通路の端に行ってます…乗り越えました……!

 

 

あ、え、えっと…! ちょっと笑ってしまったのは、その……実は今記者さん方が話していた謎も、ほとんどがミミックさんのお力なんです! リダさんオネカさんの腕前に惑わされて、もっとシンプルな方法をお忘れになっているというか。どういうことかというと――。

 

 

「あっ…!」

 

 

へ? 記者さんの驚く声が? まさか――!?

 

 

「どうした…!? まさか警備員か…!? それともミミックか…!?」

 

「いえ、朗報です…! あっちにフロアマップが!」

 

 

えっ! マップがそちらに!? 見たい…! 私も見たいです! 今すぐ飛び出したいぐらいですが、その逸る気持ちを抑えて…! あのお二人が何処かに完全に去っていくのを待ってから…!

 

 

そうしたら、大道具エリアへの道を確認して……あっ……それよりもまずは、警備員さんのいる所に、あのお二人のことをお伝えしませんと…! そうです、そっちのほうが優先しませんと……! 

 

 

で、でも…どうやって伝えましょう…!? えぇと、えぇと…!! 出来れば私のことはバレないで、侵入者のことだけ伝える方法…! えぇと…えぇと……えぇと……な、なにも思いつかないです…!! 

 

 

かと言って伝えなければ、ぐっすり休んでらっしゃるアイドルの方々に、楽しくお喋りしているシレラさん達に、寮の管理をしてくださっている皆さんに迷惑が…! ぁぅぅ…どうにか、あのお二人だけが対処される方法は――。

 

 

「うわこんなとこに居たのか俺達。近くまでは辿り着いていたんだな。お、そうだ。これ撮っとけ!」

 

「あぁ! その手が! 次にも役立ちますね! よいしょと、よし、いきます。はい、チー――ぐぇっ……!?」

 

「……んっ!? は、え!? 何――ギャッ…!?」

 

 

っへ?  えっ……!?  きゅ、急に微かだった喋り声も消えて、辺りが静かになりました…!? な、何が!? それに最後、悲鳴みたいのが――はっ!?

 

 

ま、また誰か来ます!? 記者さんのルートを追うように、またこの廊下にっ!?!?!? しかも今の悲鳴を聞いたせいか、若干早足で!? 別の侵入者…いえ、多分そうじゃなくて……って!?

 

 

こ、この音っ!!! 二人分の足音に加えて、箱が床を跳ねる音!!! ぜ、絶対そうです! これは間違いなく!!

 

 

「ほうほう、こっちかい? ミミックちゃん」

「お仲間が捕まえてくれたって感ですかね?」

 

 

や、や、やっぱりっ! 警備員さんお二方と、ミミックさんが傍を通ります!!

 

 

 

 

まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいですまずいですっ!!!! 一難去ってまた一難と言いますか、一難どころじゃないと言いますか!!

 

 

だって私がここまでこれたのは、ミミックさんを避けてこられていたからで! それなのにミミックさんが傍を通るだなんて、どう考えてもバレちゃうでしょうし! かといって逃げ場も無くて!!

 

 

どうしようどうしようどうしようどうしようどうすれば!!!? と、とにかく動かないようにしないと! さっき以上に、もっと、もっと、静かに、固まって、何も音を立てずに、物のように!!!

 

 

そう…!私は箱…! 観葉植物の陰にポツンと置かれているだけの箱です…! 体育座りしているだけの、変わった箱なんです…! 呼吸もしなくて、心臓も鳴ってなくて、汗も垂れなくて…!! 瞬きの音も、脈の音も、全部が止まって…止まって…! お願い、止まってっ!!

 

 

今だけで良いから、一瞬だけで良いから! 全身の音、消えて…! 存在感、消えてっ…! 違和感、消えてっ! ミミックさんみたいにっっ!!! ひっ…!!?

 

 

影が…! うすぼんやりの灯りで照らされた宝箱の影が、ゆっくり通路に映って…!! それを追うように、宝箱本体が、ミミックさんが、葉っぱの奥を、ゆっくり着地して…! でも、キーンと耳鳴りしていてその着地音はわからなくて…!! 

 

 

でも、間違いなく地面に着いた宝箱は――そのまま床を蹴るようにポインッと跳ねて先へと進んでっ…!! その後に続くように、警備員さんお二人の足が、追いかけて、いって、そのまま、そのまま、そのまま――……。

 

 

「いたいた。どれどれ、戦果を見せてくれな」

「おぉ二人も! お手柄だよ、よーしよし!」

 

 

さ、さ、さ、去って……!! はぁっはぁっはぁっ…はぁぁあぁぁぁ……っむ…! ま、まだ気を抜いちゃダメ…! まだ、この廊下の端にいますから……!! でも、危機は乗り越えられたと思います……! 

 

 

だって、ミミックさんにバレずにやり過ごすことが出来ましたから! やっぱり私はよくイメージされるミミックさんみたいに、臆病で影薄くて、誰の邪魔をしないよう気づかれないように振舞うことに慣れてますから、本物のミミックさんですら気づかずに……誰も、気づかずに……。

 

 

…………あはは…ほら、こんなものなんです…。本当の私って…。アイドルの皆さんが照らしてくださっていたから、輝けていたように勘違いしていただけなんです。本当の私はこんな風に、影に紛れて、陰に染まっていて、誰にも気づかれないぐらい存在感がなくて、アイドルになんか向いてなくて――……。

 

 

いえ……今はこのことは考えないようにします。だって、こんな私の元に来てくださった差し入れお菓子に失礼ですから。まずはあれを見つけることだけに集中しませんと。

 

 

改めて、耳をそばだたせてみます。先程の警備員さん方の会話からして、あの記者さん方はミミックさんに捕まったみたいです。

 

 

「む、こいつら週刊モンスターの記者だな。全く、これで何度目だい。ノルマが厳しいとは聞いてるが、アイドルの寝姿狙いとはモラルがないこって」

 

「気を失っている内に仕置き担当に引き渡ししちゃいましょう。後はやってもらってる間にカメラを検分して、身分証を確認して報告書も作成…う…面倒…」

 

「そう言うなて。ミミックちゃん達が来てくれたおかげでどれだけ楽になったか。スタッフの手伝いをして、俺達と一緒に警備もしてくれる。頭が上がらんよ」

 

「フフ、確かにその通りで。あの手この手でアイドルを守ってくれていますしね。出入口での『アイドル搬入』とか、今でも驚いちゃいますもん」

 

 

お疲れ様です…! おかげで私達は、なんの心配をすることなく、ゆっくり眠ることが出来て――そんな恩恵を、皆さんの頑張りを、私は今無下にしてしまって……ぁぅ……。

 

 

う、ううん…! 沈みこんじゃダメ…! やりたいことをやり遂げるため、今は気持ちを上げなきゃ…! そうだ、waRosのお二方のアドバイス通り嬉しい気持ちに味を占めれば…! なら、今警備員さんが仰っていた『アイドル搬入』を…!

 

 

えと、実はそれこそが、さっき記者さんが首を捻っていた『到着したはずのアイドルが姿を見せずに現場入り』の答えなんです。実は意外とシンプルで、とってもミミックらしい方法なんです!

 

 

その、ここって色々な部署で成り立っていますから、その分物資も必要で。ですから基本、ひっきりなしに搬入物が届くんです。それらは当然出入口で警備員さんの確認を通って運び込まれるんですが……ふふっ…!

 

 

はい、お察しの通りです! アイドル、もとい、アイドル入りのミミックさんはその搬入物に紛れて運び込まれているんです! そう…つまり実は記者さん方、アイドルが通過していっているのを見逃してしまっているんです!

 

 

アイドルは待機場所だったり車の中だったりでミミックさんと合流し、箱の中に入れて頂いて。後は搬入物に合わせて――例えば、ガラガラガラと引かれている満載貨物カートの端にちょこんと乗っかったり、複数人でよいしょよいしょって往復運搬されている沢山の荷物の内の一箱になったり!

 

 

もし運悪く搬入物が無くとも、スタッフさんや警備員さん、プロデューサーさんが箱を抱えて『お疲れ様です』と記者さん方の前を通り過ぎれば全く怪しまれないんです! もしかしたら怪しんでいる記者さんもいるかもしれませんが…ふふ、荷物を勝手に覗く訳にもいかないですしね。

 

 

私も幾度かその方法のお世話となったことがありますが、なんだか楽しくて…! ドキドキ緊張で煩い身体を、頼りになるミミックさんが包んでくれていて…! 誰か来ないかと目を凝らしている記者さんの前を平然と搬入され、警備員さんの前でぽんって飛び出させていただいて! 

 

 

あの瞬間はまるで、記者さんを掻い潜らなきゃいけないぐらいのアイドルになれたみたいで嬉しくて! なんて、私には過ぎた扱いですよね……あはは――。

 

 

「そんまま運んでくれるのかい? 有難うよ、最近腰痛くてなぁ」

「よし、気張ります! アイドルの皆のために!」

 

 

 

あ、警備員さん方とミミックさんが去って行かれる音が……有難うございます皆さん、アイドルを守ってくださって…! すぐに辺りはシーンと静けさが舞い戻ってきて、また誰もいなくなって…………誰も、いませんよね……? えっと、こっそり…こっそり……観葉植物裏から抜け出して……!

 

 

そのままマップがあるらしい方向に…! まだミミックさんがいらっしゃるかもしれませんので…細心の注意を払って…そぉっと…角から…小さく……顔を出して――――っ…!

 

 

「あった…!」

 

 

ありました…! マップです! 額に入って、壁に備え付けられた、いつものフロアマップです! よかったぁ…! これで、方向がわかりますぅ…!

 

 

ミミックさんがいらっしゃる様子は…多分無いです…! ですけどいつ戻ってこられてもおかしくないですし、急いで確認しませんと! えっと、現在位置は…えっ、ここ!? 私、こんなところにいたんですか!?

 

 

ぅぅ…私、方向音痴なのかもしれません……。こんなですから、色んな方に迷惑をかけてしまって……ぅぅんっ! ですから今はそんな事考えている暇は無いんです! その分、今しっかり道を覚えませんと!

 

 

なにせ私は記者さんのようなカメラも、サラ様のような撮影魔法もありませんから。自分を、信じないと…自分を、頼らないと…! えっと指差しながら…今がここですから、大道具エリアはこっちって書いてありますから……ん? あれ?

 

 

うーん……? こんなでしたっけ…なんだか違和感が…? いえ道の繋がり方とかじゃなく……このマップ自体が。その……ちょっと厚みがあるような…? 

 

 

それに…この現在位置の丸印、立体でしたっけ…? 他のとこで見たのは、直接マップに書き込まれていた気がしないでもないですけど……記憶違いですかね。

 

 

あ、もしかしたらこのマップが新しいものなのかもしれません。ここってダンジョンですからすぐ通路や部屋の増設できるらしく、その場合こういうフロアマップもすぐ更新されるみたいで。

 

 

現在位置が立体になったのも、その際にアップデートされたからかもしれません。確かにそのおかげですぐに場所がわかりましたし……あ。

 

 

そうです……厚みが増えているのは当然じゃないですか…! だって印が立体になった分隙間が必要で、厚くする必要があるんですから! 考えてみたら当たり前のことです……! 

 

 

あはは……こんな単純なことにすぐに気づけないぐらいどんくさいから、よく皆さんに迷惑をかけてしまっていて、お菓子を失くしたことも気づけなくて、今度はアイドルの皆さんにすら――……っえい!痛っ…!

 

 

落ち着いて、私…! そう、お菓子を探しに来てるんだから…! 失くした努力の証を、認めていただいた証を探し出さなきゃいけないんだから…! そのために、警備員さんを、ミミックさんすらを騙してここに居るんだから!

 

 

道が分かったんだから、後は進むだけ! 祈るのも後悔するのも自分を嫌になるのも、この先アイドルを目指し続けるかどうかを決めるのも今は忘れて! 今がやりたいことを、やらなきゃいけないことを、成し遂げませんとっ!

 

 

……あの時リア様は、『誰かを頼れ』と仰ってくださいました。けれど、これは私の不注意、私のミス。誰にも迷惑をかけてはいけません! 私一人で、今度こそ、迷わずに――――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――着いた……着けた…っ! 大道具エリア…っ!」

 

 

なんとか到着できました、目的のところに! 良かったぁ…もう迷子にはならずに済みましたぁ……! ……とは言いましても、幾度も迷いかけてしまったんですけどね…あはは…。

 

 

もしかしたらまた侵入者と鉢合わせてしまうんじゃないかって思って、さっき以上に警戒してどんな物音も聞き逃さずにすぐに隠れてを繰り返してましたし……。おかげで侵入者にも警備員さんにもミミックさんにも遭遇せずに済みましたけど……。

 

 

でも、そうやって迷いかける度に運よくフロアマップを発見できまして! 本当、助かりました…! あ、そういえば…やっぱりマップ、新しく貼り直されていっているのかもしれません。見つけたマップのほとんどが現在位置マークが立体のやつでしたから。

 

 

そのおかげですぐに現在位置がわかって、すんなりと辿り着くことができて! これでようやく……そう、ここからがようやく、本題です! 鞄をぎゅっと握りしめ、深呼吸を!

 

 

なにせここからは記憶と照らし合わせて、あの時の再現を…コンサートエリアからこの大道具エリアに迷い込んでしまったあの道順の再現をしなければいけませんから! その、つまり…今度は自分から迷いにいかなきゃいけないというか…!

 

 

で、でも大丈夫です! ここも先程まで同じように、ほとんど灯りが落ちていてわかりにくくなってますけど……大道具用の場所だから道が広くてそこかしこに資材らしきものが積み上げられていますけど……ぁぅ……。

 

 

そ、それでも! オネカさんにお姫様抱っこで運んでいただいた以降は、オネカさんなら絶対に落としても気づいてくれますから除外できますし! 何より覚悟を決めてここまで来たんです! 

 

 

いえ、もうここまで来たら見つかってしまう覚悟も決めて! ここに落ちているはずの差し入れお菓子、絶対見つけ出して見せます――!

 

 

 

 

 

 

「――……ぅぅ……ない……ない…………ないぃ……」

 

 

見つかりません……ありません……落ちてません……。多分、この道で合っているはずですのに……この道も通ったはずですのに……。

 

 

昼間ウロウロしてしまったから、何度も同じ道を通ってしまったから、ある程度は覚えていますから……間違ってはいない……はず……です……。

 

 

なのに……なのに……見つかりませんんん……。それぞれの通路の隅っこまで隙間まで念入りに探したのに……そんなぁ……。通った道は全部、きっと全部巡りましたのに……――。

 

 

――……いや、全部じゃないです……。実は一箇所、避けている場所があるんです。でもそこは……その……危険で、それに……怖……っっえいっ!痛っ…!!

 

 

見つかってしまってもいいという覚悟も、さっき決めたはずです! 怒鳴られる覚悟も……ぅ……ん…! 出来ました…っ! すぅ…ふぅぅう……! い、いきますッ!

 

 

 

「……う…やっぱりまだ、灯りついてる……」

 

 

 

着いてしまいました…近づいてしまいました……。変わってません…遠目から確認した時から……。そうなんです…ここの作業場、灯りついていて人の気配もして…だから避けていて……。こんな夜遅くまで、お疲れ様です……。

 

 

でも、もうここしか残っていませんから、勇気を振り絞って探すしかなくて…! ふぅぅ…大丈夫……。作業場の扉はほぼ閉まってますし、中からの作業音も割としてますから、廊下を調べるぐらいなら多分気づかれなくて……でも、でも……その……!

 

 

足が、竦んで動かなくて…!! い、いえ…バレるのが怖いという訳……も、ありますけど……その……というかその延長線というか……あの……ぅぅぅ…!

 

 

だってここ、お昼に迷った時にあの方に怒鳴りつけられてしまった場所で…あの大道具作成担当のゲンさんという方に外に突きだされかけた場所なんですっ!

 

 

ですからもしかしたらまた怒られてしまうかもしれなくて、作業場内にいるのがゲンさんかもしれなくて! ひぅう……!

 

 

け、けど……もう避けては通れないんです…っ! き、きっと大丈夫なはずです…! 中にいるのがあの方とは限りませんし、途中でオネカさんに助けていただきましたから、探すのはそのポイントまでで良いはずで! 今はオネカさんの救いの手は望めませんけど、それぐらいなら――

 

 

 

「チッ! まァだいやがったか!!!」

 

 

 

ぴぃぃいぃぃっっっ!?!?!?!?

 

 

 

 

 

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっっっ!!!! ごめんなさいゲンさん悪い事してごめんなさいどうか追い出さないでくださ――…………あ、あれ……?

 

 

思わずその場にしゃがみ込み、頭を抱えて震えてしまいましたけど…いくら待ってもあのドスドスと怒りの籠った足音も、怒髪天の声も聞こえてきません…。で、でも今の声、間違いなくあのゲンさんの声で……作業場からの音が止まって?

 

 

「っびっくりしたぁ…! ビビらせないでくんさいよゲンさん。なんすか急に」

 

「なんすか、だァ? テメェ今何時だと思ってんだ! さっさと帰りやがれ!」

 

 

ひぃっ!? 誰かの声に続いて、ゲンさんの怒鳴り声が!? わ、私じゃなくて同僚の方へのご叱責だったようです…! で、でも確かにもう世間は寝静まってる時間ですし、お帰りになられたほうが……。

 

 

「いいじゃないすか、これだけ仕上げときたいんすよ。仮眠はとるっすから」

 

「んな問題じゃねえんだよ! 大体こんなド深夜まで作業しやがったらミミックちゃん達が騒がしくて眠れねえだろうが! それどころか付き合わせやがって!」

 

 

っ…! あのちょっと強面なゲンさんの口から、ミミックちゃん…ふふ、可愛い……! って、ミミックさんがあの作業場の中に!? もっと息を潜めて、バレないように…!

 

 

「この子っすか? いやそれは俺も気にしてて。でも手伝ってくれるって聞かないんすよ。受台になって支えてくれるし道具箱になって欲しい時にピッタリ出してくれるし。有難くてついつい頼っちゃって」

 

 

「っっったっくよぉ…有難えけど休むのも仕事だぜ? ほら、わかったら箱馬から出て休みにいきやがれ」

 

 

わ…ふふ…! ゲンさん、語調が明らかに柔らかく…! それにミミックさん今、箱馬に…あの穴の開いた木箱に入ってらっしゃるんですね…! ちょっと見てみたいです……! で、でも――。

 

 

「テメェも早く帰り支度しろ! それかさっさと仮眠室に行けってんだ! 明日寝不足でフラフラになってたらその頬張り付けるからな!」

 

「うーっす。俺にももうちょい優しく言って下さいよぉ」

 

 

ひぅっ…! またゲンさんの声が荒めに……! や、やっぱり近づけません…! ミミックさんもいますし、昼間のことがフラッシュバックしてきて、流石に覗くのは怖くて……!

 

 

け、けど……ふふふっ…! 怖いと思っていたゲンさんは、実は素敵な方なんだってわかっちゃいました…! ミミックさんに優しいし、同僚の方へも慮っていますし。ちょっと言い方がきついですけど…あれ、きっと照れ隠しなんです。

 

 

それに思い返してみれば、昼間の一件。ゲンさんは皆さんを、このエリアを、舞台を、そしてアイドルを守るために侵入者を捕まえたんですから。最も私が侵入者な動きをしてなければその手間は……本当、ご迷惑を……。

 

 

なのにゲンさんは私が侵入者じゃないとわかったら謝ってくださって、デビューしたら応援してくれるって約束もしてくださって……なのに私は今、その温情を仇で返すようなことを……――。

 

 

「てかゲンさん、一回家に帰ったはずじゃ? なんでまたこんな夜遅くに?」

 

「カッ! そりゃあ、テメェがまた残業してると虫の知らせがな。ネルサちゃん達から口酸っぱく言われてんだろうが、身体壊すから残業はほどほどに、ってよ」

 

「まあそれもあるんでしょうけど。どうもそれだけじゃ腑に落ちないんすよねぇ」

 

「あぁ? んだこのナマ言いやがって。良いからさっさと――」

 

「――なんでそこに座り込んだんすか? 一緒に帰りましょうよ」

 

 

……あれ? なんだか、作業場内の様子が…? そういえばゲンさん、最初から居られた訳じゃなさそうでした。作業場は広くて出入口は幾つかありますから、別の扉から入られたのでしょうけど……わざわざ?

 

 

「……チッ。折角来たからよ、ちょいと作業していくだけだ」

 

「言ってることとやってることが違うじゃないすか。それに俺が言うのもなんなんすけど、警備の人に頼めばわざわざゲンさんが来る必要もなかったすよね?」

 

 

そう…そこなんです。確かにゲンさんは正義感のお強い方ですけれど、残業を止めさせるためにわざわざいらっしゃるのはちょっと変と言いますか…。同僚の方が仰ったように、警備員さんにお願いしておけば多分対処してくださったはずですし。

 

 

なのにわざわざこんな夜遅くに一度帰ったはずの自宅からやって来て、警備員さんに入室…入ダンジョン?の承認を得て、廊下真っ暗の中ここまで…なんで……?

 

 

「……殴られてえのか?」

 

「すんませんっす。でも灯り落とすに落とせませんし…ほら、ミミックちゃんも気がかりっぽいすよ?」

 

「テメェな…。はあぁぁ……他の連中に話しやがったら本当にぶん殴るからな」

 

 

どうやら話してくださるみたいです…! その、こうやって盗み聞きするのは悪いことなのはわかってますけど……聞いてみたくて…! どんな裏事情が――。

 

 

「…昼間な、ちっと勘違いでアイドルの嬢ちゃんを怒鳴りつけちまってよ」

 

 

 

――へ…? え……? えっ…………それって……………私…!?

 

 

 

「あー。あの時のっすか。あれアイドルちゃんだったんすね。誰だったんすか?」

 

「ベル、っつてたな。デビュー前の子でよ、間違えて迷い込んじまったらしい」

 

 

やっぱり私です!?!? え、え、え、なんで、なんで私が!? そ、その…ごめんなさ――……。

 

 

「あっちゃー…やっちゃいましたね。結構詰めてたの聞こえてたっすよ」

 

「ぐっ……あぁ、ありゃあワシが悪かったよ。いつものアイドル好き拗らせた泥棒ヤロウかと思って、スタッフ証もまともに見てやらずに追い出そうとしちまった。あんな必死に…勇気を振り絞ってたってのに」

 

 

いえそんな!? だってしっかりと違うって言えなかった、アイドル見習いだって胸を張って言えなかった私のせいで! ゲンさんは何も悪くなくて……! そんな気にかけてくださって……――。

 

 

「そんで、すっかり怯えさせちまってな。勘違いってわかってから慌てて謝りはしたんだが……なんつーか……寝覚めが悪くてよ。詫びになんか小物でも作ってやるかな、ってな」

 

 

そんな気にかけてくださって!?!?!? え、い、いやいやいやいえいえいえ!? そ、そんな気を遣って頂かなくとも!!? 思わずそうお伝えしようと飛び出しかけましたが、それよりも先にゲンさんの同僚の方の笑みを堪えたような声が…!

 

 

「ははぁ成程、それで誰にもバレないように今来たんすね。プフッ…ホントゲンさん、腕以外はぶきっちょというか……」

 

「やれ」

 

「うわわわっ!? ちょっ、ミミックちゃん待つっす!? 箱馬で拘束しないで欲しいっす!? 板手枷みたいになってるっすから! まって個数多っ!? 笑ってごめんなさいっす!!」

 

 

な、なにが!? 作業場内でどたばた音が!? 覗きたいけど覗けないのがちょっと残念で…! ただちょっと楽しいことになっているのは間違いないようで、今度はゲンさんの笑い交じりの声が。

 

 

「ハッ、だからテメェを帰らせたかったんだ! だが話してやった以上逃がしゃあしねえよ。知恵貸せ、何作ってやったら詫びになる?」

 

「んなこと言われましても…。そういうのは本人に聞くのが一番…っすよね、聞けないっすよね! いやつーてもなぁ……とりあえずこの枷外してくれません?」

 

 

その…本人がここに居るんですけど…! そんなお詫びなんて、そんな…! …とは言いにはいけず、少しの間聞こえてくるもぞもぞという音に、その後に続く会話に耳を傾けることしか出来なくて……。

 

 

「んー。変に大きい物だとまた怖がられるでしょうし、チャームみたいな小さい物が良いかもしれないっすね。緻密なやつの方がゲンさんの腕が輝くし」

 

「ケッ。おべっか使いやがって。……んで、デザインは? 嬢ちゃんウケするモンはどんなだ?」

 

「えっ、それもっすか? ますます本人に聞いた方が良いと思うんすけど…大体俺、そのベルって子の顔すら見たことないっすのに――あ」

 

「あ? なんだぁ?」

 

「あ、いえ。夕飯食うため食堂に行った時にレッスンスタッフの知り合いに会ったんすけど、そん時にそいつからそのベルって子の話、聞いたような…?」

 

 

っっっ!?!?!? レッスンスタッフさんから!?!? えっ…!? 私、スタッフさんの口から語られることなんてしましたっけ…!? あり得るのは私のミスで顰蹙を買ってしまったとか――。

 

 

「おうおう、渡りに船じゃねえか。詳しく話せ!」

 

「確かそんな名前だった気がするっすけど…なんかレッスン終わりに廊下で突発ライブした子がいたらしくて。上位ミミック二人と『箱から飛び出た宝物』を歌い上げたとか。他の子達も舌巻くぐらい、とんでもなくエモかったみたいっす」

 

 

えっっっっ!?!? えええええっっ!?!?!? そ、それですか!? あのレッスン帰りの、リダさんオネカさんとの!?!? と、突発ライブというほど立派なものじゃありませんし! リダさんオネカさんはエモかったですけれど!

 

 

「んだそりゃ。エモとか訳わからねえ言葉言いやがって。何もわかんねえじゃねえか、ったく……ん、その上位ミミックってのにオネカちゃんはいたか?」

 

「あぁ、レッスンエリア担当の、よくレッスンに使う大道具を取りに来てくれるあの? えっと確か…あぁ、そんなこと言ってた気がするっす。もう一人はあのコンサートエリア警備主任のリダさんだとか」

 

「おぅ、リダちゃんもか! よう設営手伝いしてくれるし、部下捌きも上手いし、気も利くし、あの子の敏腕振りにゃあ毎度脱帽してるぜ」

 

「っすねぇ。そんな二人をリードして見事に歌いあげたってんだから、そのベルって子、今後すっごいアイドルになるかもしれないっすね」

 

 

も、もしかしたら別の方かもと考えてもしてみたんですけど…やっぱり私達のことで間違いなさそうです…!? けどあれはあのお二方が素晴らしかったからですし、私なんかが凄いアイドルになれる訳は……こんなミスばかりで悪い事してる私が、あんな素晴らしいお二方をリードなんて……――。

 

 

「んま、本当にその子がそれかわかんないすけど! あ、そうだ。ミミックちゃんはその子がベルって子だと思うっすか? お、そうすか! やっぱその子みたいっすよ! そっか、推しかー?」

 

「……ミミックが好き? いや、そうかはわからねえし…変にとられちまうか…? リダちゃんオネカちゃんに聞いて…まあ根付け程度なら幾らでも作れるし、まずはとりあえず作ってみるか……。ならデザインは――」

 

「っと。もう俺らはお役御免っぽいっすね。そんじゃミミックちゃん、仮眠しにいくっすか」

 

 

っ…! こ、こっちに来るかも…! 今の内に離れないと…ひゃっ!? しまっ……足先が傍の資材に触れ…倒れてっ――!!

 

 

「ッ!? 誰かいやがんのか!?」

 

 

ひっ!! 倒してしまった資材が、カランカランッと音を立ててっ! すぐさまゲンさんの大声が!! た、助け…に、逃げっ…!! 

 

 

「今度こそぜってぇ泥棒ヤロウに違えねえ! とっ捕まえて――うおっなんだミミックちゃん!? 邪魔すんじゃねえ!」

 

「ゲンさん落ち着いてくんさいよ。毎回叱られてるでしょ、そういうことは警備の人かミミックちゃんに任せろって。どうせ立てかけてたのが倒れただけっすし」

 

 

ゲンさんを止めてくれてる…!? あ、有難うございます…! け、けどミミックさんが出て来てしまったら捕まってしまうかも…あの記者さん達のように! に、逃げないとっ、全速力でここから離れませんとっっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――はぁっ……はぁっ……はあぁぁぁぁ……ぅぅ……」

 

 

い、一心不乱になって…脇目もふらずに逃げて…ひたすらに走って……も、もう逃げきれたでしょうか……。後ろを見ても誰かが追いかけてきている様子はありませんし、多分大丈夫……だと思います…。

 

 

けど…どうしましょう…。まださっきの場所を探し終えてませんから、なんとかして戻りませんと…! でもあそこにはまた怒髪天のゲンさんがいますし……。

 

 

う、ううん…! 覚悟を決めませんと…! あの場所しか残されてませんし、一番怪しいんですし、怖いですけど勇気を振り絞って戻らないと…! ですから今来た道を引き返して――……。

 

 

「…………ここ……どこ…………!?」

 

 

ど、どうやら闇雲に走り過ぎてしまったみたいです…! 暗い中ですから定かではないですけど……ここも見覚えが無いところで…! ど、どうしましょう…!?

 

 

お、落ち着いて…落ち着いて私…! えっと…フロアマップは…また近くにあったりは…あった!! 良かった……それで、ここって――えっ!? 

 

 

「事務エリア!?」

 

 

見覚えが無くて当然でした…! ここ、事務員さんやアイドルのプロデューサーさんがお仕事をなさっているフロアです! 私は全く足を踏み入れたことがなくて、今回の差し入れ探しに至っては関係すらない場所で!

 

 

ですからここに居る訳にはいけませんし、急いで離れませんと…! 大道具エリアは…こっち――!

 

 

 

 

 

 

 

――だったんですけど…こっち方向に行かなきゃいけないんですけど…ぁぅ……。

 

 

「ここも……灯り点いてる……」

 

 

またです……。また、通りたい通路に灯りのついた部屋があるんです……。これでもう何箇所目でしょうか……。

 

 

時折見つけるマップを確認しながら進んでますから、方角は間違ってはいないはずですが……。進む度に誰かが居る部屋が現れまして、その度に回り道していて…まだ事務エリアから脱出できていないんです…。

 

 

更にミミックさんを警戒しながらですから…もしかしたら大道具エリアから遠ざかっていっているかもしれません……! まっすぐ進めていたらもう戻れていたのに…。なんで、なんでこんな時間に、こんなに灯りが……。

 

 

……いえ、そういうことに決まってますよね。こんな時間にまでお仕事をなされている方が沢山いらっしゃるということです。先程の大道具エリアのお二方のように、明日のため、次のため、アイドルのために、皆さん睡眠時間を削ってまで頑張られていて……。

 

 

……そんな立派な方々を、私は避けてしまっていて…邪魔してしまっていて……。あんな素晴らしい方々に反して、私は…間抜けで嫌悪されるべきことを……。顔向けなんて出来なくて、やっぱり通れなくて…………別の道、探しましょう…。

 

 

「――……あの道からも…灯りが……」

 

 

とはいえ他の道も…。この先からもまた、通路角から灯りが見えてきています…。引き返さなきゃ…でも、もういけそうな道はほとんどありませんし……。

 

 

もはや避けられないのかもしれません…。無理やりにでも突っ切っていくことを考えないと…。けれど……ぁぅ……ッ、えいっっ!痛っっ…!

 

 

か、覚悟を決めませんと…! 働いている皆さんにはご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが……私も、差し入れお菓子を探し出さないといけません…! waRosとシレラさん達から頂いた頑張りを失う訳にはいかないんですから!

 

 

だから、勇気を振り絞って…! 誰にも見つからないよう、灯りの漏れる廊下へ近づいて、まずはこっそり、こっそり様子を窺って――……へ? 

 

 

「部屋の灯りじゃ……ない……? ……あっ」

 

 

…あ……あはは……あははは……あはははは……! そうでした……そうだったんでした……。この灯り、部屋の灯りじゃありません……あれは――。

 

 

「自販器の、灯り……!」

 

 

そう、コーヒーとかを自動で淹れて販売してくれる魔導器なあれです…! 昼間もぶつかりかけた、あれ…。深夜になると光るんでした、あれ……。今まで灯りを見たらすぐ逃げていましたから、全く気付きませんでした……。

 

 

あはは…もしかしたら他の道も幾つかもそうだったのかもしれません。事務エリアは利用者が多い分、台数が置かれているとは聞いたことがありますし。ですからもっと確認しておけば、怖がり過ぎなければ……本当、私は吐き気がするほどにおっちょこちょいで軽はずみでドジで間抜けで…あはは……あはははは……。

 

 

……急いで通り過ぎましょう。灯りがある以上影が出来て、ミミックさんに見つかってしまうリスクはあるんです。なので本当ならこの道も避けるべきですけど……もう四の五の言っていても意味はありませんから。早くここを立ち去らないといけません。

 

 

駆け足で、真っ直ぐに。足音を立てずに、全速力で――……そういえば喉が…ううん、だからそんな余裕は。眩しい自販器を一瞥だけして、通り過ぎて、後ろにして、先へ先へ――……ッ!?

 

 

「また誰か来る!?!?」

 

 

正面から、誰かの足音が聞こえてきます!? しかも割と近い気が…!? うっ……自販器に気を取られ、少し自暴自棄になっていたから、気づくのが遅れてしまったのかもしれません…!

 

 

逃げなきゃ…! 今来た道を引き返して……! で、でもこの距離感……下手したら自販器の灯りに私の姿が照らされて、来ている方に見つかってしまうかもっ! 

 

 

かといってこのままここに立ち竦むわけにもいかないし……か、隠れる場所は!? 記者さんから隠れたように、隙間とか、入れる場所とか、何か、何か――あっ!!

 

 

自販器の横、あれって……ゴミ箱!!!! 最初からあったんでしょうけど気づきませんでした…! あのサイズ、私なら入れそうですし……何よりゴミ捨ての後なのか、蓋は外されていて中身もありません!

 

 

もはや迷っている猶予すらないんです、これしか道は…! 鞄を抱いて、音を立てずに急いで入って…入れたっ! 後は蓋を被って――っ!

 

 

「……ん? 何か変な音聞こえませんでした?」

 

「聞こえたかもしれません。何処からでしょう」

 

「ミミックちゃんかしら? あぁ、あの自販器の音か」

 

 

っ…………! あ、あ、危な…! ギリギリ隠れるのが間に合ったみたいです…! 安堵の息は今は飲み込むしかありませんけど、良かった……。後はこの方々が去って行かれるのを待ってから――。

 

 

「それか、さっきまでのディスカッションの残響幻聴だったりしてね。折角だし目覚ましに一杯どうよ? 私の奢り!」

 

「おや、フフッ。有難く御言葉に甘えさせていただきます。では、コーヒーを」

 

「私は魔女スープで! まさに侃侃諤諤(かんかんがくがく)でしたものね。あふぅ…沁みるぅ…」

 

 

ふええっ!? な、なんで!? なんでここでご一服なされる流れに!? い、いえこの方々も先程までお仕事頑張っていらしたのでしょうし、ゆっくりお身体を休めていただきたくはあるんですけれど!

 

 

うぅ…出ていくわけにはいきませんし、いなくなられるのをゴミ箱の中で待つしか……。幸いゴミ投入口から外を覗けますので様子は確認できますし、休まれているのは丁度向いにあるテーブルですから灯りに照らされお顔も姿も良く見えて……んんっ!??

 

 

「いやーありがとね、こーんな夜更けまで付き合って貰っちゃって! 明日までに色々プランやらを練り上げておきたくて!」

 

「いえ、おかげさまでこちらも知見が深まりました。私では思いつかない発想の数々、ライブ演出の改善点、waRosの今後に活かせそうです」

 

「それは私もです! とはいってもメイン担当の子はまだいませんが、てへへ。でも、お力になれたようで何よりです!」

 

 

この方々…プロデューサーさんです! アイドルのプロデューサーさんですっ!!

 

 

 

 

 

間違いありません! だってあの真ん中の男性の方、リア様サラ様の…waRosのプロデューサーさんですもの! それに残る女性お二人も今日の私達の実践レッスンにお顔を出された後、プロデューサー会議へと向かわれた方です!

 

 

なんでそんな方々が、こんな夜更けに――……いえ、それこそもう考える必要もありませんよね。アイドルのため、アイドルを輝かせるために決まっています…!

 

 

「きみ、コーヒーだけでいいの? 時間も時間で今日は呑みいけないし、もう一杯奢らせてよ。ほら、魔女スープとか今の私達にピッタリでしょ。ねー?」

 

「はい!体力増強、魔力最大回復、疲労改善、美肌効果、他たっぷり効果が効きますよ! 更に混ぜる度ほら、色が変わって…うん、暗くてよく見えませんね!」

 

「クスッ…! あぁ、もう既に…有難く頂戴します。おぉ…これはいつも以上に染み渡りますね……。私も思っている以上に疲れていたのでしょうか」

 

 

そうですよ…絶対お疲れのはずですもん…! だって今日はwaRosのライブがあって、プロデューサーさんも裏で対応に追われていたはずです! なのにあの時私を気遣ってくださって、こんな時間まで――。

 

 

「それにしても今更ですけど…。良かったんですかこんな時間まで? 明日すぐに正式な顔合わせですよね?」

 

 

あっ、お一方がまさにそう切り出してくださって…いえブーメラン気味というか!? waRosプロデューサーさんだけじゃなく皆さんも……初顔合わせ?

 

 

「へーきへーき! あの子達のフレッシュさにゾクゾクさせられてた矢先に抜擢されたでしょ? だからもうエネルギッシュが止まらなくて! このまま明日のレッスンまでいってやるーう!」

 

 

え、えっと…!? 話的に今話された方が今日の残業?を率いられていた感じですけれど……フレッシュ、抜擢、レッスン…!? そして、正式な顔合わせ…アイドルプロデューサーが……えっ、まさか――!?

 

 

「気持ちはわかりますが、どうかご自身の健康管理も抜かりなく。これからはシレラさん、ニュカさん、ルキさん――彼女達のプロデューサーとなるのですから」

 

 

っっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!?

 

 

「んごく? なんかゴミ箱、カサッって?」

 

「そうですか? 中のゴミが崩れたのでしょうか」

 

「睡眠不足と魔女スープで感覚鋭敏になっちゃった~?」

 

 

あ、あ、あ、あ、危な、危なかったですぅっ…! 思わず驚いて入っているゴミ箱を揺らしかけてしまって…! ギリギリ抑えましたけど、音は微かになってしまって…! 幸い音に気づかれたのはお一方だけで、その方も残るお二方もそれ以上気にされることなく談笑の続きを…!

 

 

ふぅ……ふぅ…! 凄い…凄い…凄いです! あの方がシレラさん達のプロデューサーさんになるんですね! プロデューサー会議で決まったんですね! ふふっ、あのお三方と仲良くやっていけそうな、お姉さん気質でテンションもノリも良さげな方です! 

 

 

あぁ…ふふ……ふふふっ! なんだか明日が楽しみになってきました! 明日になったらシレラさん達がまた一歩、アイドルになっていって! あの方の用意したプランで、日に日に正式デビューの道を歩んでいって! 私も、その光景を傍で見ることが――。

 

 

――……許されるのでしょうか…。ゴミ箱の中に隠れて聞き耳を立てることしかできない私が、この狭い穴からしか先を見れない私が、マナー違反な記者さん方や侵入者よりも最悪な迷惑をかけている私が…?

 

 

そんなの…どう考えても許されないことですよね…。こんな私が、どんどんと輝いていくアイドルを傍でなんて…傍で、アイドルの一員を名乗るだなんて……。

 

 

「――え、例のプロデューサーアイドルユニット計画ってきみのアイデアじゃなかったの!? 凄い面白いし、きみのかと思ってたわ!」

 

「ふふっ! 私を買い被り過ぎですよ。ネルサ様曰くM&AとwaRosが発案主らしいんですが、『しまった、その手があったかー!』って感じですよね!」

 

「えぇ、まさに。議題に上がった際は、私を含め誰しもがその新鮮さに目を丸くしていました。アイドルの新しい可能性を垣間見た気がします」

 

「んね。でも、きみ等断ったんでしょう? そのユニットスカウト。ま、言うて私も断るつもりだけどさ。アイドルな二人、見てみたかったんだけどなー?」

 

「申し訳ありません。今暫くはwaRosのプロデュースに注力したいのです。…当の二人からはやけに勧められてはいますので、時が来たら再考させていただきます」

 

「私もやってみたいですけどまだアイドルプロデューサーとは言えませんしね~。あでも、宴会芸とかでなら! 三人で一緒にやりません!?」

 

 

プロデューサーアイドル…! とっても面白そうです…! けれど……流石、プロデューサーさん方です。自らの天秤を、やるべき事を、求められているものを、しっかりと把握し自制し勇断なされています。私とは違って。

 

 

私は今みたいに、やっちゃいけないことをやってしまって…失くしてはいけないものを失くしてしまって…皆さんの期待に応えられず気を遣わせてしまって……。あはは……アイドルの一員を名乗るどころか、アイドルになるために邁進する資格すら有る訳ないですよ……――。

 

 

「――あ、そうだ二人共。ユニットのことで議論したかったんだけど…ベルちゃんについて、どう思う?」

 

 

ねゃうっっっっっっっッ!?!?!?!?!? 

 

 

 

 

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