ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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人間側 とある魔法使いと未知②

 

 

「なはは~♪ がんじゅ~に無事でよかったさ~!」

「が…? ふふっ、そっちも無事でよかった! 心配してたんだよ!」

 

 

 エイリアン襲来の窮地を脱し、私は召喚士と一緒にUFOダンジョン内を進む。相変わらず変な匂いに満ちていて色んなところに謎の発光液が流れてて粘液やら肉膜やらみたいなのでぐちょどろで膨らんでるのかつるつるなのかわかないエイリアンデザイン壁の道だけど……だいぶ気が楽だよ。

 

 

 本当助かったよ。皆とはぐれて以降最初に会えたのが、助けてくれたのがこの子で。やっぱり言葉は一部よくわからないけどエイリアンが喋ってるのより全然わかるし、何より。

 

 

「――それで、改造された牛を見たと思ったら今度は培養ポッドが大量にある部屋を見つけてさ。そしたらエイリアンが弓兵の子の顔に張りついてきて、戦ってたらバラバラに分断されて、今度は吊るされた冒険者とエイリアンの卵を見つけて……!」

 

「わ~にん、えいりあんの卵見~ちきたさ~。あと、影でしか見~らんたんけど、えいりあんにぐさっと貫かれた冒険者も皆でな~。そんでゆ~ふぉ~の工房?みたいなびかびか光ってがちゃがちゃ鳴ってるったけど、わった~そこで襲われてばらばらにな~」

 

 

 このなんともいえないのんびり口調は気分を癒してくれるんだもん。内容は私の並みに結構あれだけど。向こうも苦労してたんだね……。

 

 

「そんで彷徨ってたら、戦ってるうんじゅ~の映った画面があって、近くから同じ音も聞こえてぃさ~。慌てぃ~は~てぃ~で駆けつけたら、なんか隔壁ぬ横が修理しぇ~て感じに光っててさ~。線の色繋げたら、隔壁ぱかって開いちゃるんど~」

 

「あの時開けてくれなかったら私どうなってたことか……命の恩人だよ!」

 

「なははぁ~…! なんだかち~恥かさん~…!」

 

 

 召喚士は可愛く照れてくれてるけど、本当に有難かったんだよ! だって…!

 

 

「もしあのままだったら、エイリアンに捕まって実験とか解剖とか培養とか……それか、あの吊るされた冒険者のように餌みたいに……うぅうっ…!」

 

 

 そ、想像しただけで怖気が…! つい身震いしちゃった私を見て、召喚士はちょっと心苦しそうに。

 

 

「あ~……。実はわ~、で~じなと~んなの見ててな~。なんて~か~…改造台に磔にされた冒険者をな~。よ~わからん光線をじじじ~ぽわぽわぽわ~て幾つも幾つも当てられてて、苦りさそうだったけど、助けられんかった~」

 

 

 ひいっ!? ほ、本当に実験まで!!? 思わず息をのむ私に続くように、召喚士も腕を組んでため息を。

 

 

「わ~、えいりあんはそんな嫌~なっちゅじゃないと思ってたんだけどな~。ちむじゅらさんとまでいかんでもよ~。ん~なんでやが~…?」

 

 

 なんでも何も、最初からエイリアンはこうなんじゃないの…! 皆エイリアンを舐めすぎだよ。このダンジョン、全然簡単じゃないよ。皆、特に私のパーティーメンバーは絶対認識を改めるべきだよ……!

 

 

 はぁ……できれば皆、私と同じように犠牲冒険者と遭遇しててくれないかな。だってそうじゃないと何言ってもヘラヘラしてそうなんだもん。うぅ、まだこびりついてる。あの人の苦しそうな状況とか、あの最後の必死な言葉とか――。

 

 

「そういや~。わ~の助けられなかった冒険者、床の中に仕舞われてったんだけどな~。最後にいふな~言葉残してったさ~。『偽物に気をつけろ』って~」

 

「えっ?!」

 

 

 ふと召喚士が漏らした言葉に、背筋が冷えて…! だ、だってそれ、私も聞いた台詞! そのことも慌てて伝えると、召喚士はますます首をひねって。

 

 

「ん~~偽物に気ぃつけろと言らってんもな~。どういうことば~?」

 

 

 本当だよ。偽物って何だろう。何が偽物なんだろ。でも、必死に警告するように言ってた言葉だから信じたほうがいいよね。もしかして、何かトラップみたいなのがあるとか――。

 

 

「――KaKaKaKa!」

 

「ひッ!?」

「あらっ~!?」

 

 

 は、背後から響くこの咆哮って!! 私達が揃って振り向いた先にいたのは、や、やっぱりぃ! またUFOに乗ったエイリアン!!!

 

 

 ど、どうしよう! で、でもこっちは二人! さっきとは違う! 落ち着いて魔法を詠唱すれば追い払うぐらいは……!

 

 

「※&□%隔壁#×@*閉じろ●¥♪▽!!」

 

「ぬ~!? 喋った~!?」

「さっき翻訳魔法かけたやつだ!」

 

 

 向こうはどうやらさっきと同じヤツみたい! って、え? 隔壁、閉じろって……?

 

 

 

――ガシュンッ ガシュンッ ガシュシュシュンッ

「「うわわわわわっ!?!?!?」」

 

 

 

 か、隔壁が!!? エイリアンのいるところから私達の方向めがけて、幾重もの隔壁が順番に閉じていく!? ちょ、待っ!! 挟まったら切断、そうじゃなくても閉じ込められるよね!?

 

 

「逃げよ~! 走え~ごんごん~!」

「えっ、あ、う、うん!」

 

 

 召喚士は私の手をとって走り出して! もう、もう! エイリアンって訳がわかんない! 何がしたいの!!?

 

 

 そう叫びたいのを飲み込み、私も走って走って走る! 幸い一本道で、まっすぐ走るだけで……あっ、この先なんかの部屋が! まだ隔壁閉じてくるし、何の部屋か考えてる暇はないよね!? え、えいっ!!!

 

 

「「ふぅうぅ~……!」」

 

 

 か、間一髪だったぁ……! でも、私達が飛び込んだ部屋を封じるようにガシュゥンって隔壁が閉じきっちゃった。なんとか挟まれずに済んだけど、これ閉じ込められちゃったんじゃ……あ、大丈夫そう。

 

 

 この部屋、あの培養ポッド置き場よりも狭いけどそれでも広間みたいな感じ。なんていうか、会議室的な場所かな? 椅子や机みたいなのもあるし、まあまあ明るい。そして他にも何本もの道が接続してて……ん!?

 

 

「ね、ねぇ…!? あっちの道からも隔壁が閉じる音してない!?」

 

 

 別の道から、つい今しがた聞いたあの盛大な連続音が……! それと…誰かが走ってくる音も! ということは……!

 

 

「っだああああ!! なにしやがるあのエイリア……あぁ?」

 

 

 やっぱり! 隔壁から逃げるように現れたのは、冒険者! って、私のとこの剣士じゃん!? 他の人達は……わっ、また同じような音が別の道から!?

 

 

「……グっ…後一歩でトドメだったというのに……! む…?」

 

 

 今度は召喚士のとこの全身鎧な重装戦士が! さっきまで誰一人として会えなかったのに、急に集まりだしちゃった。え、もしかしてここ……。

 

 

「な~な~。ゆくりがてら、ここでちょっと待っちょうら~?」

 

 

 うん。同じこと思ってた。危ないのはわかってるけど、ゆっくり休憩してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危ね危ね危ねぇ!? あ?んだここ? おっ、皆いんのか!」

 

 

 ――私のとこの武闘家。

 

 

「うちヒーラー! うちヒーラーで戦えないからぁ! …え?」

 

 

 ――召喚士のとこの回復士。

 

 

「な、なんなのよあれ! 隔壁で壁作ってくるとかズル……あ」

 

 

 ――私のとこの弓兵。

 

 

 本当に続々揃いだしちゃった、はぐれてたパーティーメンバー。やっぱりこの広間、推測通り道の合流地点だったみたい。どの人も隔壁に追い立てられてきたのがちょっと気になるけど。

 

 

「ふいぃ一息。って、ここ安全じゃないのか? ヘルム外してないし」

「……いや、これは俺の癖だ。安全かの保障もできないがな」

「で、顔にべちゃあって貼りついてきて! もうマジ嫌! ここ無理!」

「うえっキッモぉ……! ちょっと今日のエイリアン、ヤバすぎでしょ…!」

「チッ、思い出したらまた腹が立ってきやがった…! なんなんだよあのクソエイリアン剣、吹き飛ばしても勝手に飛んで戻ってくるし、剣自体が意志もってるみたいに動きやがるしよ……!」

 

 

 皆、なんだかそれどころじゃないみたい。一応休息の姿勢こそとってるけど、ピリピリしてるというか、はぐれる前までの余裕さがないというか。あ、もしかして……!

 

 

「――で、どこかの冒険者が吊るされてて。もしかしてあれ、餌にされて…!」

「そうかもしれねえ。俺も見たぜ。内臓みたいなロープに吊るされた冒険者を」

「……俺もエイリアンの卵は見た。ただ種類が違う。壁一面に、鈍く光っていた」

「わ~にん、それ~。あと~台に乗せられて改造されてる冒険者も~……」

「そ、それ解剖じゃ……アタシ、大量の脳のポッド詰めみたいなの見てて…!」

「うちは血まみれ装備と、エイリアンが千切れた腕を齧ってるのを……!」

 

 

 やっぱり。私や召喚士と同じように酷い光景を見てきたみたい。しかもどれも私が見てきたものとは違うし、中には全く知らないものまで。エイリアン、どれだけおぞましいの……!?

 

 

「まさかエイリアンがここまでヤベェ奴らだったとはなぁ……」

「……あぁ。気を改め挑まなければならないな」

「話と違うじゃない!! 楽なダンジョンはどこ行ったのよ!!?」

「あんたもあんたの召喚獣も、最初から信じなきゃよかった…!」

 

 

 苦虫を嚙み潰したような顔をしたり叫んだりして、身の毛をよだたせる皆。召喚士も困り顔。ただ私は同感半分、だから言ったでしょ半分な気持ちだよ。これで誰もがこのダンジョンがそんな気軽なとこじゃないとわかってくれたはず。

 

 

「はんっ、どいつもこいつも情けねえなぁおい! あんなエイリアンにひるみやがるなんてよ。俺はどっかのアホが変な機械にとっ捕まってんの見て、笑い飛ばしてやったぜ!」

 

 

 ……剣士以外は。なぜかあいつだけは、変わらず余裕こいた感じに嘲笑ってる。今しがたのエイリアン悪行報告会でもずっと黙って鼻を鳴らしてるだけだったし、なんなの?

 

 

「エイリアンが何をしてようが捕まんなきゃいい話じゃねえか。しかも今回のヤツ、別にデカブツでもなんでもないゴブリンよか小さいチビだ。ぷちっと潰しちまえば勝ちだろ!」

 

 

 それは、そうかもだけどさぁ。それが出来なかったから、そうやって舐めた態度でかかったから色々やられたい放題だったんでしょうが。私が…ううん皆が不満と不安交じりの目で剣士を軽く睨むと、彼は少し収まりが悪そうに肩を揺らして。

 

 

「んだよ。てか冷静に考えてみろや。俺達ひたすら分断されたってのに、こうして全員無事に合流できたんだぞ? あいつらそんな強くねえって。だろ?」

 

 

 それも…そうかも……? いや、どうなんだろ。さっきもちらっと思ったけど、あのエイリアンなんだか私達遊んでいるような感じなんだもん。まるで何か目的を果たすため、みたいな……。

 

 

「今度こそはぐれないようにしながらお宝部屋を探し当てりゃあ、全部終わりだ。このクソウザいダンジョンから無事に帰れる。皆揃ったみたいだしさっさと行くぞ!」

 

 

 そんな考えを打ち破るように、というよりは反抗されるのを避けるように剣士は号令をかける。えと、でも。

 

 

「な~だ~。わった~ぱ~てぃ~の槍使いが~」

 

 

 そう。向こうパーティーのリーダー格っぽい槍使いがまだ到着してない。けどこの感じなら、きっとここに向かってきているはず……あ!

 

 

 

――ガシュンッ ガシュンッ ガシュシュシュッン

 

 

 

 噂をすれば。あの開いている道の一つから聞こえてくるの、隔壁が閉じる音。誰かが走ってくるような音も。 きっと槍使いだよ。よかった、これで全員無事に――えっ……。

 

 

 

――ブゥウゥン……

 

「「「「「なっ…!?」」」」」

 

 

 えっ、な、なんで……!? なんでまだ槍使いが出てきてないのに、隔壁の音はまだ少し遠めなのに、なんで()()()()()が、エイリアンが張ってるバリア力場みたいな壁が、この広間へ蓋をするように下りてきたの!!?

 

 

 ど、どうしよう、これじゃあの人こっちにこれな――あぁっ!

 

 

「は、はぁあっ…!? なんだこれ…通れなっ…! お、おい、誰か…っ!」

 

 

 槍使いが到着して、力場に弾かれて! 叩いて助けを求めてる! な、なんとかしなきゃ!

 

 

「……クッ! 固すぎる…!」

「し~さ~! う~通らん~…」

「魔法で……! うぅ……!」

「駄目、ヒールも弾かれちゃう…!」

 

 

 総がかりで壊そうとするけど、よっぽど強いバリアなのか壊れる様子すらない! こ、このままじゃこの人閉じ込められて……え?

 

 

「な……んで……」

 

 

 槍使いの人、何故か私たちを見て目を見開くほどに慄いて? なんでって、なにが……って、あぁっ!?

 

 

「う、後ろ!! UFOが!」

 

 

 そんなことしてる場合じゃない! 追ってきてたのか、いつのまにか槍使いの背後にUFOが! しかも隔壁もすぐ傍まで迫ってきてるみたいだし、もう一刻の猶予も――!

 

 

「偽物に……気をつけろ……っ!!! がっ…はっ……」

 

 

 えっ……あ、ああっ!!? 槍使い、UFOの光線に撃ち抜かれて、床にべちゃりと……それとほぼ同時に本当の隔壁が到達して、バリア壁ごと隔離するように閉じて、姿完全に見えなくなって……!

 

 

「……復活魔法陣へ送られていることを祈ろう」

 

 

 重装戦士の言う通りにするしかないかも……。しっかりやられちゃったみたいだから、きっと実験とかに使われることはないはず……多分。

 

 

 い、いやそれよりも! あの人、最期になんて言った……!? 後ろからUFOと隔壁が迫っているのに、ただただ恐ろしいものを見たかのように固まって発したあの言葉って、だってそれ……!

 

 

「『偽物に気をつけろ』って……さっき血文字で見たんだけど!?」

「……俺もだ。エイリアンの体液で書かれていた」

「は!? 俺は捕まってたヤツから聞いたぞ!?」

「あ、アタシもなんだけど……ちょ、ちょっと!!?」

 

 

 えっ……ええっ!? み、皆も!!? 私と召喚士も聞いたんだけど!? 剣士は……片手で両頬を掴んで黙ってるけど、あの顔の顰め方的に絶対どっかで目撃してるよ!

 

 

 な、なんで皆その言葉見たり聞いたりしてるの!? てかだから『偽物に気をつけろ』って一体なに!? どういうこと……――。

 

 

「チッ…そうか! わかったぞ! そういうことかクソエイリアンがッ!!」

 

 

 わっ!? 剣士が急に声をあげて!? 何がわかったの……? 私達を順に睨むように、ちょっと距離をとるようにしながら、彼は断言するように。

 

 

 

 

「この中に、人狼が居やがるッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人狼…?」

 

 突然何言い出したのこの剣士。人狼って……つまり、アレだよね?

 

 

「端からおかしいたぁ思ってたんだ! なんで分断してきやがった癖に、こうして集めやがったのか。しかも隔壁を閉じて追い立てるようにわざとらしくよ」

 

 

 うん。それは本当にそう。仮にエイリアンも広い場所で戦いたかったんだとしても、わざわざ皆を合流させる必要はないはず。それこそ今しがた向こうの剣士をやった時みたいに道を封じて、一人ずつこの広間に連れ込むことだってできたはず。

 

 

 でもエイリアンはそんなことしなかった。あの槍使いだけを見せしめのように捕まえて、復活魔法陣送りにしてみせただけ。この部屋にはエイリアンはおろかUFOすら現れない。何度考えてもおかしい。剣士はこめかみを怒りに戦慄かせながら、繰り返した。

 

 

「ずっとなんでかって考えてたけどよ、あいつの目と台詞で見抜けたぜクソったれッ! この中に人狼が居る、そんで俺達を襲おうとしてやがんだ!」

 

 

 えっとつまり…私達の中の誰かが人狼で、分断していた私達を集めたのは合流して安心している隙を突くため、って言いたいの? いやいや、そんな訳…………っ…。

 

 

 ないとは……言い切れない……。それなら一応説明はつくもん。ずっと気になってた通りなんだよ。エイリアンは私達に勝てなかったんじゃない。勝たなかったんだ。私達で遊んでるだけなんだ。

 

 

 だから今もこうしてわざと集めて、皆が安心した不意を突くつもりだったんだ。それで混乱を起こして蹂躙するつもりだったんだよ。そっか、そうに決まってる!

 

 

 きっとお宝部屋の直前とかで動く気だったんだよ。一番気が緩むもん。だからもしこのまま何もせず進んじゃってたら……――。

 

 

 

――ガシュシュシュンッ

 

「「「ひいっ!?」」」

 

 

 

え、ええっ!? み、道が! まだ開いてた幾つかの道が、急に閉じて!!? 一斉に隔壁が閉じてくその様子は、まるで『策が読まれた以上は逃がさない』と言ってるみたいで……ごくっ…。

 

 

やっぱりなんだ……やっぱりこの中に人狼が隠れてるんだ。皆も理解したみたいで、おのずと周りから距離をとり、気づけば広い輪に。空気もさっきまでとは比にならないピリつきで、宇宙みたいな静けさに……!

 

 

「っだがよ、誰が人狼だってんだよ…!?」

 

 

 そんな中、武闘家が口を切り剣士に聞く。槍使いがやられた現状、今この場にいるのは七人。剣士、武闘家、弓兵、魔法使いの私。そして重装戦士、回復士、召喚士のあの子。

 

 

 この中の誰かが、きっと…! 皆の息をのむ音すら聞こえる中、剣士が決めつけるように指を向けたのは――!

 

 

「一番怪しいのはテメエだ、鎧野郎! 顔を隠してんのが気に入らねえ!」

 

「……ッ…!」

 

 

 向こうのパーティーの、重装戦士。確かにあの人、全身鎧で顔も覆ってはいる。でも、そういう冒険者なんて幾らでもいるけど。

 

 

「変だろうが。この広間に来てから、その厚ぼったいヘルムを一切外そうとしねえじゃねえか。休息ついでなら普通頭ぐらい外すよなぁ?」

 

「……ッ」

 

 

 確かにそうかも。あんな重そうで暑そうで蒸れそうなヘルム、休憩するときは大体の人が外す。でも、あの人はずっとヘルムを被ったまま。武闘家に促されても理由をつけて断ってた。ただ警戒をしてくれてるだけかと思ってたんだけど……。

 

 

「テメエ、なんか隠してんだろ。おら、外してみろよ」

 

「……」

 

 

 煽られても言い返さず、ヘルムに手すらかけないとなると、ちょっと怪しいかも……。思わず私と武闘家と弓兵、そして向こうの回復士も更に距離を取る。ただ、あの召喚士の子だけは擁護を。

 

 

「え~とな~、くぬ人が兜外さんのにはわけが~」

 

「あぁ? 庇うってことはテメエも仲間だなァ!」

 

 

 けど、剣士は聞く耳持たずに撥ねつける。え、えっと、そんなに頭ごなしに決めつけるのはさすがに良くない気が……。

 

 

「……下がってろ」

 

 

 へ…!? 重装戦士、召喚士を腕で下がらせ剣士の前へ進み出て! 思わず剣を抜く彼へ対して、手を振り上げて……ヘルムに触れて!?

 

 

「……お前が見抜いた通りだ」

 

 

 えっ……!? そのまま、ヘルムを外して!? 現れた顔は……モフ!?

 

 

「……俺は、人狼だ」

 

「「ワーウルフじゃんかッ!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 いや違う! 違うよ!! 絶対そういう意味の人狼じゃないよ!!! 私もつい剣士とハモっちゃったし!! 

 

 

「……あ、あぁ。ワーウルフだ。だが誓って人は襲わん。それはただの噂だ」

 

「なはは~。怖がる人いっぺ~だから鎧つけてくれとるんさ~」

 

「満月の日に昂るのは本当でしょうが。ここも月近いからって変身しっぱなしだし。たまに毛飛んできてウザいんだけど」

 

 

 思った反応と違い困惑する狼顔の重装戦士と、ほんわか笑う召喚士と、呆れ果てた様子の回復士。対してこちらのパーティーは。

 

 

「んだよ紛らわしい野郎だな! ふざけんなよクソが!」

「へぇー! 珍しいな!」

「ったく……胸のドクドク収まんないんだけど」

 

 

 逆切れ、興味、緊張からの解放。かくいう私もホッと安堵してるんだけど……! よかった、ただのワーウルフで。雑に言っちゃえばコボルトみたいな獣人の人間寄りバージョンだもん。優しそうな人だなって思ってたし。

 

 

 でも、安心はできない。剣士が言ってた人狼は直接人狼を指す訳じゃないはず。この場合はアレ。つまり――。

 

 

「テメエの種族なんかどうでもいいんだよ! 俺が言ってたのは…あーっと…ったくよぉ、なんつーだ?  偽物? 詐欺師?」

 

「『インポスター』か?」

 

「あぁ、それだそれだ! つまりよ……エイリアンのクソったれが、俺達の中の誰かに化けてるって言いてえんだよ!!!」

 

 

 っ…! 武闘家の言葉に頷きつつ、剣士は改めて叫ぶ。やっぱり、そういうことだよね……! と、彼は恥をかかされた恨みを交らせるように、重装戦士へ剣を向けなおして。

 

 

「テメエへの疑いが解けた訳じゃねえ。いや、寧ろ怪しいかもなァ。ワーウルフの癖に鼻も大して使えねえようだしよ」

 

「……それはこのダンジョンが奇妙な匂いに満たされているからだ。エイリアンの匂い、というべきか」

 

「ハッ! んなのテメエが好きに嘘つけるだろうが! 俺は信じねえよ。ワーウルフの噂も実は本当のことだったりしてなぁ!」

 

「……グルル…!」

 

 

 微かにほぐれかけた空気は、また一瞬で張り詰める……! 仲良くしようよ、と言いたいけれど……偽物の可能性は、エイリアンが誰かに化けてる可能性はもう無視できない。

 

 

 きっとさっきやられた槍使いは既にそれを受けていたんだ。だから私達を、別の場所で見たはずの私達を見て、あんなに慄いたんだよ。もうそうとしか考えられない。だから特別に始末されたんだ……!

 

 

 あの人、一体誰を見て偽物だって叫んだんだろう。一体この中の誰がエイリアンなんだろう。一体、誰を疑えば……えっと、えっと……!

 

 

「――テメエも怪しいなぁ、召喚士!」

 

「わ~!?」

 

 

 えっちょっ!!? 剣士、今度は召喚士に剣を向けた!?

 

 

 

 

 

「さっきテメエんとこの回復士が叫んでたの、聞き逃してねえぞ。テメエ、なんか騙してたみたいじゃねえか」

 

 

召喚士へ剣先を向けたまま、剣士は回復士に向けて顎を振る。すると回復士は強く頷きながら召喚士を睨んで。

 

 

「そいつ、『召喚獣がエイリアンは怖い存在じゃないって言ってる』って毎回言うの! だから今日もここに来たってのに……ッもしかしてあんた、今までのは今日のために……!」

 

「な~~!? 騙すんなんてないさ~!? し~さ~は嫌なむんを除けてくれるかみ~で、ゆくさ~なわけは~!」

 

「その意味の分からねえ言葉も証拠じゃねえか! どうせそれ、エイリアンの言葉なんだろ! 大人しく正体を現すか、俺に斬られやがれやッ!」

 

 

剣を構えなおし、今にも襲い掛かりそうな雰囲気の剣士。対して召喚士は困惑しっぱなし。わ、私は…えっと、えっと、えっと!!

 

 

「……待て、こいつの言葉は…」

 

 

「この子は絶対違うよ! 私を助けてくれたんだから!」

 

 

 あっ、重装戦士を遮っちゃった。で、でも――私はそう言わなきゃ、こうして飛び出さなきゃ駄目だよ! だって召喚士は私をエイリアンから助けてくれた命の恩人なんだから! この子がエイリアンな訳がない!

 

 

 これだけは絶対。だから召喚士を守るように立ち塞がることもできるし、怖くない! でも剣士は刃と睨みを鋭く光らせたまま。

 

 

「なんでテメエが庇いやがる? 待てよ…そういえば俺がここに来た時、テメエら二人だけいたよな。テメエらだけなんだよなぁ、二人で着いたのは!」

 

 

 ちょっ、切っ先が明らかに私へ!? た、確かにそうだけど、だからってエイリアンな訳ないでしょ!? そ、それを言うなら!

 

 

「な、ならあなたのほうが怪しくない!? エイリアンが誰かに化けてるって発想、誰もしてなかったんだよ!? なのにあなたが最初に思いついて、犯人捜し始めて! 絶対そっちのほうが何か隠そうとしてるでしょ!!?」

 

「んだとォ!? テメエ……!」

 

 

 明らかにキレる剣士。けど、私も引かない。魔導書を構えて徹底抗戦してやる! だって『偽物に気をつけろ』って言葉は確かに聞いたけど、それがその発想を指すかどうかはわからなくない!?

 

 

 仮に本当に化けてるにしても……さっき私を助けてくれたのが私を信用させるための演技だった可能性を飲み下しても、私は、召喚士がエイリアンじゃないって信じるよ!

 

 

「魔法使い~……! いっぺ~にふぇ~で~びる~!」

 

「……確かに怪しいな。事を急いている」

 

 

 私にぎゅっと抱き着いてくれる召喚士。更に重装戦士も私の壁になってくれた。これで三対一。剣士は目に見えて動揺して。

 

 

「あ、あぁ!? んなの当たり前だろうが! さっさと見つけ出さなきゃやられるのは俺達だぞ!?」

 

 

 そう私達に言い返しはしてくるけど、人数不利だからかそれ以上言い返せないみたい。と、今度は剣を回復士へと向けた!?

 

 

「じゃ、じゃあテメエだ! さっきあいつを回復できなかったとか言ってやがったが…しなかったの間違いだろ!?」

 

「はあ!? そんな訳ないでしょ!? うちの必死の詠唱は聞いてなかったの!? あのバリアのせいか通らなかったのよ!」

 

 

 疑われた回復士は即座に言い返す。けど嘘じゃなさそう。重装歩兵の攻撃も私達の魔法も通さなかったんだもん、ヒールが届かなくてもおかしくないかも。詰まってしまう剣士へ、回復士は更に畳みかけた。

 

 

「それを言うなら、そっちのパーティーはどうなの!? こっちばっか疑ってないで自分のパーティー疑いなさいよ!」

 

 

 っ…! そ、それもそうだよね……! つい同じパーティーの人は大丈夫だって思っちゃうけど、可能性は同じぐらいある。ううん寧ろ、寧ろ……えと……。

 

 

 

 

「な、なんで皆してアタシを見るのよ…!」

 

 

 

 

 私だけじゃなかったみたい……。皆の目が、剣士の剣先すらもが、弓兵に集まっちゃった。その、だって……。

 

 

「エイリアンが顔に貼り付いたのは、お前だけだな……」

 

 

 そ、そう……。さっきも皆へ話してたけど、私達は目の当たりにしたけど、弓兵だけがエイリアンに憑りつかれてた。そんなにエイリアンと密着したのは彼女以外にいないし、もしその時に……!

 

 

「なんか流し込まれててもおかしくないでしょ……!」

 

「は、はああ!?」

 

 

 回復士の指摘に声を荒げる弓兵。だけどその可能性は全然ありうるよ。アレは培養や実験をしたりあんな卵を置いとくエイリアンだもん。あの瞬間に口からとか何かを入れられてたら……ほ、本当に卵を産みつけられてたら……!!

 

 

「馬鹿言わないでよ! そんな気持ち悪い!」

 

 

 弓兵は否定してみせるけど、皆の警戒は解けない。彼女から距離をとり、武闘家や重装戦士なんて武器に手をかけてる。うぅ……嫌な空気…。

 

 

「ったく、今ただでさえ身体ドクドク言っておかしいんだから! これ以上変なこと思い出させないでよ!」

 

 

 そんな私達へ苛立ちを見せるように足をダンダン鳴らし、近くの椅子へボスンと座る。それでも気分が治らないみたいで、髪先を抓んでクルクルと……あ、あれ…?

 

 

 そういえば彼女のあの髪の箇所……私焦がして千切っちゃってなかった…? あのエイリアン張り付きの時に。それで怒鳴られたよね……?

 

 

 でも今、あの髪は焦げた様子も千切れた様子もなくて、つるつるで……回復魔法で、とか? いやでも、回復士と合流したのは今が初めてみたいだったし、この間にヒールされている様子なんて……。

 

 

「ったく、気持ち悪い……気持ち……悪…い……」

 

「お、おい…?」

 

 

 えっ……ちょっ…!? 弓兵の子、急に胸を抑えだして…? そういえばずっと動悸がしてるみたいだったけど、もしかして体調不良……――。

 

 

「気……モチ……ワる……イ……あ…アァ……あ…ギァ……ぅアあ…っ!!」

 

「お、おい!? しっかりしろ!?」

 

 

 ひっ!? あ、明らかにその域を超えてるよあれ! 座ったまま手足が痙攣しだして、それどころか激しくのたうつ触手みたいになってて! く、首もぐりんぐりん勝手に動き出して!

 

 

 顔も白目になって蟹みたいな泡吹いて、そしたら急に姿勢がピンッて伸びて!? それどころか更に天井を仰ぐように、胸を逸らすように……え、胸の中央が、盛り上が――ッぁ!?

 

 

「KaKaKaKaKaッ!!!」

 

「「「うわああああっっ!?!?!?」」」

 

 

 え、え、エイリアンだぁああっ!!! え、エイリアンが弓兵の身体の中から、弓兵の胸をグチャアッって突き破って、飛び出してきたぁ!!?

 

 

 

 

 ほ、本当にエイリアンが潜んでいたの!? 本当にエイリアンに何か産みつけられてたの!!? さ、更に小型UFOも数機出てきて、胸に穴が空いた弓兵の身体は力なく床にべちゃり崩れおちて、あれは、もう……。

 

 

「お、おい魔法使いッ!! 何してやがる!! 早く回復してやれッ!! い、いや、攻撃だ! あのエイリアンぶちのめすぞッ!」

 

 

 っあ、剣士が命令を! そ、そうだボーっとしてちゃダメだ! 向こうのパーティーの面々も慌てて戦闘態勢に移ってる。わ、私も詠唱を…!

 

 

「わざわざ姿を晒しやがったんだ、ここでこいつを倒せば俺達の勝ち――がはっ……?」

 

「わ、わかってるから……え?」

 

 

 騒いでいた剣士の言葉が、急に途絶えて…? しかも最後の、血を吐くような声って…え、ぁ…!?

 

 

「「きゃああああああっっっっ!!?」」

 

 

 け、剣士の胸から、光の刃が生えて!? あのエイリアンが降っていた光剣が生えて…ち、違う! 貫かれてる! 背中から一刺しされて、身体を貫かれてる!?

 

 

 で、でもエイリアンは今目の前にいるのに!!? なんでエイリアンの剣が、誰が刺して……え。

 

 

 

「KaKaKaッ。読ミは良カっタが、惜シカッたナァ。無難ナ立チ回りを疑ワなカッタお前ノ負ケだゼ」

 

「なっ……なんで…お、お前が…………!?」

 

 

 

 ぶ、武闘家だ……。武闘家が、光剣を剣士に突き刺してる!? う、嘘……じゃない、見間違いでもない! ということは正体は――!

 

 

「きじむな~! 追い払え~!」

 

「オッと!」

 

 

 わっ! 召喚士が赤い毛玉みたいな召喚獣を沢山呼んで攻撃を! 偽武闘家は跳び逃げるけど、赤毛玉召喚獣はそれを追いかけて……えっ、偽武闘家が悪そうに笑って指を口元に当てて……!?

 

 

「SHHHHH!!!」

 

 

 へっ…きゃあっ!? ひっ…ひいいいいいっっ!? に、偽武闘家が息を吹き出すように叫んだと思ったら…グチャッて、グチャッアってぇえ……じょ、()()()()()()()()()()!!!?

 

 

 その肉片が辺りにぐちゃべちゃって舞い散って、武闘家の下半身だけ残ってて、しかもその断面が骨付き肉みたいな太い骨が一本飛び出してて…うぇえええ……! そ、そしてそれに絡むように姿を現したのは……!

 

 

「KaKaKaKa!!」

「「「「え、エイリアンっ!!」」」」

 

 

 やっぱり、あの蟹みたいなエイリアン! それと小さいUFOが数機一緒に! あ、あれ間違いない……武闘家も、エイリアンにやられてたんだ……身体、乗っ取られてたんだ!!!

 

 

「きじむな~、怯まずちばりよ~! わ~、盾になるさ~!」

「……こっちは俺が担当する! 剣士の回復が最優先だ!」

 

 

 あっ、そうだよ…茫然としてる暇なんてないよ! 息も絶え絶えだけど、刺された剣士はまだ生きてる! 治療しないと! 

 

 

「ぐっ……あいつらが……あいつらが…かよ……!」

「喋らないで! うぅ…ポーションも魔法も足りない…!」

 

 

 ダメージが大きすぎるよ……! 私の回復魔法だけじゃ無理…! そ、そうだ! ちょうど回復士がいるじゃん! ね、ねえ……あ、あれ!?

 

 

「やだ! やだぁッ! 助けて! 助けてよぉ! うち、あんな目に遭いたくない! ここから出してぇっ!!!」

 

 

 回復士の子がいつの間にか私達の傍から逃げて、隔壁が降りた道を必死に叩いて開けようとしてる!? ちょっ、離れたら危ないって!

 

 

「近寄らないで! どうせあんた達もエイリアンでしょ!?」 

 

「いやいやいや!? 違うよ!?」

 

「嘘! 絶対嘘! 皆エイリアンに決まってるじゃん!!!」

 

 

 駄目だあれ、錯乱してる……! ど、どうしよう……召喚士と重装戦士は防御で、私は回復で手いっぱいなのに。でもこのままじゃジリ貧だし、イチかバチか目を覚まさせに――

 

 

 

――ガシュゥン

 

「へ…!?」

「えっ……ひいっ!? ぎゃっ……」

 

 

 そ、そんな…! 急に隔壁が開いて、更にUFOが何機か飛び出してきた!? しかもそのUFOが放った光線に回復士が撃ち抜かれて、やられて……これ、かなりヤバ……――

 

 

「「KaKaKaKaKa!!!!!」」

 

「いぃっ!!?」

「……グルル!」

「あきさみよ~…!?」

 

 

 

 ぜ、全部の隔壁が一斉に開いて、もっと沢山のUFOがぁ!!? こ、これまるで、最初に分断された時みたいな……!

 

 

「え、エイリアン……この、クソったれが……次は、油断も容赦もしねぇ……から…な……がふっ……」

 

 

 あ、ああぁっ!? 剣士が力尽きちゃった! ご、ごめんなさい……! って、本当にマズいよこれ!? こっちの生き残りは私と召喚士と重装戦士の三人なのに、向こうは天井を埋め尽くすほどのUFOと、それを操るエイリアンが二匹って!

 

 

「&※■♭$!%×*▲!!」

「■%最後は○$※×全力*□☆戦う◎#◆!」

 

 

 ひっ!? エイリアンがまたなんか喋って!? 更に背中から、バチバチ唸る電撃みたいな光を放って!! あ、あれミステリーサークルの紋様!?

 

 

 ほ、本気だ…本気を出して戦う気なんだ!! 二匹のエイリアンは長い尾で光剣をブォンブォン振り鳴らし、何本もの脚をカチカチ床に打ちつけ、やっぱり蟹みたいな身体をもたげて再度の咆哮を……!

 

 

「KaKaKaKaka――」

 

「グルウゥオオオオァッッッッ!!」

 

「Ka!?」

 

 

 えっ!? ち、違う咆哮が!? 重装戦士の、ワーウルフのバインドボイス!? エイリアンが怯んでいる隙に、彼はヘルムを牽制で投げつけ私達を腕で促して…!

 

 

「壁まで下がれ! 俺が盾になる。……攻撃は託したぞ、二人共」

 

 

 う、うん! 急いで指示に従って広間の端に! 重装戦士は私達の壁になるように盾を構えて正面防御を! う、上だけなら任せて! これぐらいならバリアと攻撃は両立させられる!

 

 

 もうここで徹底抗戦するしかない! 全力を出すしかない! ひっ…! エイリアンがカサカサカサって這ってきて、それを支援するようにUFO群が光線の雨を!

 

 

「……俺を、舐めるな!」

 

「%♭!○!?」

「×&ひゃ※$▲でも■ ‼︎顔◎≡▽!」

 

 

 光線をガードしながら、床を薙ぎ払う重装戦士! けどエイリアン達は跳躍回避をして、戦士の顔に張りつかんと…ううん!

 

 

「……隙ありだ! 吹き飛べ!」

「エンチャント・パワー!」

 

「「#●$◇痛ぁ☆%※+っ!?」」

 

 

 その好機を逃さず、シールドバッシュ! 私の強化も相まってエイリアンは広間の反対側まで吹き飛ばされた。UFOに助けられて無事みたいだけど、おかげで私達も態勢を立て直せる。重装戦士に強化を色々かけてあげて……!

 

 

「……感謝する。しかしあの弓兵から出てきたエイリアン、言葉を話しているように聞こえるな……」

 

「えっと、多分話してる…! さっき私が魔法かけちゃったヤツが……!」

 

「……ん~? な~んかおかしい~。って、なてぃちぇ~来るよ~!」

 

 

 わっ、もう!? 向こうも態勢を立て直したみたい! けれどさっきの一撃が効いたのか、今度は距離をとって光線武器連射をしてきた! UFOの援護もまた苛烈に! け、けど!

 

 

「そこは私達の得意距離だよ! 『プリズムミーティア』!」

 

「がじゅまるやどかり~! きじむな~を守って突撃さ~!」

 

 

 私は効きがよかった結晶隕石魔法を、召喚士は強そうな樹の生えた大きなヤドカリを中継拠点にして、強化されたっぽい赤毛玉召喚獣で攻撃を! って、召喚獣巻き込んじゃうかな……?

 

 

「なんくるないさ~。きじむな~は精霊だし、わ~のどぅ~しはゆいま~るな魔法貰って強くなるさ~!」

 

 

 も、貰って強くなる? あっ、ほんとだ。あの赤毛玉召喚獣、じゃない精霊、直撃した結晶隕石から魔力を吸い取ってるのかスピードアップしてる! これなら! お願い、やられて!

 

 

「×%☆○▲♭! KaKa!」

「◆魔法=`#あれ※★:$似て@"!」

 

 

 うぅ……回避してるよあのエイリアン…! 剣を振り回して跳ね回ってで結構大変そうだしちょっとは掠ってるけど、それ以上にならない。しかもなんだか召喚ヤドカリ見て喜んでるみたいだし。これ、あまり効いてないんじゃ…。

 

 

「……妙だ。UFOの動きが明らかにおかしい。何故俺達を拘束だけして、自らの防御を疎かにしている…?」

 

 

 へ? どういうこと…? 重装戦士の呟きに促され見てみると……大量UFOによるカーテンが作れるんじゃないかってレベルの光線飽和攻撃のせいで気がつかなったけど……確かに、そうかも…?

 

 

 今浮いているUFOのほとんどは、私達の動きを止めるように光線を次から次へと撃ってきている。でも、ただそれだけ。防御の中に入ってこようとするUFOは一台もいない。

 

 

 加えてその奥、エイリアンの護衛をしているUFOはたったの数機のみ。しかもその動き、見るからに最低限。光線はほとんど撃たず回避ばっか。たまにエイリアンを助けたり足場になるように動いてるけど、本当にそれだけ。

 

 

 どのUFOも攻撃的じゃないし、エイリアン自体もさっきまでみたいなUFOに乗っての大暴れをしようとしない。私達としては有難いけど…変。

 

 

 なんというか、まるでエイリアンが楽しむのを見守っているみたいな感じ。って、そんな訳ないか。UFOを操ってるのはエイリアンだし……あ、もしかして!

 

 

「ゆ~ふぉ~操れないぐらいに追いつめられてる~とか~?」

 

 

 うん、そうかもしれないよね! 私達への攻撃はUFOに自動で任せて、私達の魔法の対処に専念している感じかも。ならあれ、効いてる証拠だよ! ……でも。

 

 

「KaKaKa!? Ka!!」

「Ka KaKaKa Ka Ka♪」

 

「これ以上、この攻撃を続けても駄目そうかも……」

 

 

 エイリアン、必死に回避し続けてるけどやっぱり楽しそうだもん。しかも慣れてきてる感あるし、会心の一撃にはなりそうにない。別の攻め方にしなきゃ。

 

 

 けれど、召喚士と合流する前の出来事を思うと…あの回避っぷりを思うと、どの魔法もあんま効かなさそう。多分直接狙う感じ攻撃が駄目。ちっちゃくてすばしっこいから当てにくいんだよ。

 

 

 だからやるべきは、こう、なんか、意外性のある攻撃だよね。あのエイリアンの鼻を明かすような……鼻があるかもわからないけど……エイリアンの特性を逆手に取ったような、驚くような魔法を……はぁぁ…。

 

 

 そんなの、思いつかないよ。効いたのはあの結晶隕石だけだし、やっぱり魔法は楽しがられるし。うぅん…やっぱり前みたいに私が身体を張って囮になって、皆に倒してもらう戦法でも試して……。

 

 

「ゆいま~る。わ~、なんでも協力するさ~!」

「……俺の身体も好きに使え。囮でもなんでも任せろ」

 

 

 ふ、二人とも…! そ、そっか、今はいつものパーティーと違って魔法使いも盾役もいるんだ。だからいつもみたいにこき使われる戦法じゃなくてもいいんだ。協力できるんだ!

 

 

 えっと、考えて考えて…! さっきまでの二人の攻撃を、エイリアンの行動を、そこからいけそうな協力技を。それでいてエイリアンをびっくりさせ返すような……あ!

 

 

「……思いついた方法があって。効くかどころかできるかもわからないし、UFOのことはほぼ無視だし、失敗したらすっごく危険だけど――こんな…!」

 

「おお~! で~じ~! わ~もきじむな~も良~よ~。ど~お?」

 

「……任せろ。俺の得意分野だ。連中に吠え面をかかせてやる!」

 

 

 イチかバチかだけど、これならワンチャンあるかも! じゃあ早速重装戦士に隠れて仕込んでみて……!

 

 

 

 

「うん、いい感じ!」

 

「なはは~♪ うぃ~りきさんな魔法の組み合わせだ~♪」

 

「……準備は出来たか? なら――行くぞ! グルウオオオァアッッッッ!!」

 

 

 さあ、開始! まず響いたのは重装戦士、ワーウルフのバインドボイス! それと同時に私と召喚士はエイリアンへの攻撃を消去、代わりに!

 

 

「『ダーティスティッキークラウディ』!」 

「し~さ~! たいふ~おこせ~!」

 

 

 まだエイリアンには見せたことのないネバネバ黒雲の魔法を、石獅子召喚獣の旋風起こす新攻撃を! けどその標的はエイリアンじゃない、UFO達!

 

 

 私のねばる黒雲を石獅子が吐く風で混ぜっ返して、UFOをなんとか捕らえようと…うぅっ、躱してくる……。でも、それでも良い! 視界妨害のおかげで、光線攻撃が収まったから!

 

 

「行って!」

「……突貫する! ガルァゥ!」

「し~さ~! 続け~!」 

「「ガォオ!」」

 

 

 私の合図と石獅子の援護で、重装戦士は突撃する! こっちは大丈夫、私がバリア展開するから! 盾を頭上に構えた重装戦士は光線雨を気にせず走って、UFOの包囲を…切り抜けた!!

 

 

「……食らえ、エイリアン!」

 

「「×▲!うわわKaKa≒▼×!?」」

 

 

 そして勢いよく武器を振るけど、またエイリアンは跳躍回避してくる! ならさっきみたいにシールドバッシュ……は、できない。だって上からの光線攻撃を防ぐのに使ってるから。

 

 

 でも問題ないよ。それ込みの作戦だから! 重装戦士はそのまま息を吸い込み、準備を! 

 

 

「◎△○&%#?!」

「♭%叫※$ぶ*!!?」

 

 

 エイリアンも気づいた。そう、あれバインドボイスの用意。この距離で怯まされたら後に続く石獅子召喚獣の攻撃を避けられない。だから、エイリアンは。

 

 

「「◇#止め×%×顔■@首⁑k!!」」

 

 

 なんとかして止めようとUFOを飛び石に使って、重装戦士の顔めがけて! 尻尾の光剣を、または尻尾自体を唸らせて咆哮を止めようと……うん、そう来ると思ったよ!

 

 

 だって弓兵の子の顔にべちゃり張り付いてきたし、私の顔めがけて産まれてきたし、今さっきも重装戦士の顔を狙ってたもん。顔を狙うと思ってた。だから――!

 

 

「……ハッ!」

「「!?」」

 

 重装戦士はバインドボイスを放棄するように、ただただエイリアンに向けて、ガパッと口を開ける! 勿論これも作戦の内、だって彼の口の中には!

 

 

「「#$&魔法¥*+陣!?」」

 

「いけ!『プリズムミーティア・レインボーシャワー』!!」

 

 

 まるで敵をブレスで薙ぎ払う魔獣のように、()()()()()強化結晶隕石を、バインドボイスのように広がる破砕爆裂虹を撃ちだす重装戦士! エイリアンが顔を狙うんだから、それを利用するまでだよ! ただ……。

 

 

「KaKaKa!!?」

「*!危ka:避けれた■×□!」

 

 

 うぅっ…! 発射魔法陣は重装戦士の口の中にある小さい一つだけ。幾ら破砕して広範囲に広がる魔法とはいえ、幾つもの魔法陣から撃ちだしてたさっきまでと比べたら範囲も量も少ない。

 

 

だからすばしっこいエイリアンは尻尾や足を爆虹で削られつつも寸でのとこで回避して、攻撃続行を…! 作戦、失敗……じゃない!

 

 

 寧ろその逆。魔法陣があの距離で発動した瞬間から、私達の勝ちは決まってたようなものだよ! だって――!

 

 

「きらきらきじむな~! 追いかけろ~!」

 

「「Ka!?!?!?」」

 

 

 撃ちだされたはずの結晶隕石の幾つかが、破砕せずに急にぐいんと曲がってエイリアンへと押し寄せたんだから! ううん、結晶隕石じゃない。よく見て。あれは赤毛玉召喚獣! 今はきらきら毛玉召喚獣!

 

 

 これこそ私と召喚士の即席合体魔法! あの召喚獣に結晶隕石の魔法を篭めて、追尾隕石にしたんだよ! 重装戦士のおかげで肉薄したこの距離で、空中で動きを制限された中で追われれば、流石のエイリアンも回避なんて不可能! 名付けて――!

 

 

「「『プリズムミーティア・きじむな~ロアー』!!」」

 

 

「「×△¥KaKaKaKa▼※◆うわあああっ×××!!?」」

 

 

 回避できなくなったエイリアンは力場を展開するけど、きらきら毛玉隕石召喚獣達はそれに無慈悲に張り付き、虹の爆裂波動を叩きこむ! その攻撃はピカピカ光ってまるで星の爆発みたいで、そんなのを食らっちゃえばエイリアンでも勿論……!

 

 

「「Ka……KaKa……k……」」

 

「やった……! やったよ!!」

「なはは~! やった~!」

「……見事」

 

 

 グシャッと床に落ち、エイリアンは力尽きた! 作戦、大成功! 仕返し、大成功! 身体の中から敵が現れる恐怖、張りつかれる恐怖、上手く、返せた、でしょ……ふぅぁ……

 

 

「わ~!? どぅ~がししゃんよ~?」

「……どうした、無事か!?」

 

「ちょっと気が、抜けちゃって……」

 

 

 へたり込んじゃった私を召喚士は撫でてくれて重装戦士は急いで戻ってきてくれる。大丈夫、大丈夫なんだけど……はぁ…もう……嫌! 

 

 

 なんなのあのエイリアン! やっぱり魔法を怖がらないし、ちっちゃい癖に何をしたいかわからないし、なにより怖いよ!! もうこんなとこ来たくないよ…冒険者辞めたいよぉ……!

 

 

 なんとか勝てたけど、もし失敗してたらどうなってたか……。重装戦士は貫かれて、私と召喚士は捕らえられて途中で見たような実験体にされて……ぅうう…。あの回復士の子の気持ち、すっごい分かったもん……。

 

 

 だって冒険者を解剖して改造して実験してポッド詰めにして餌にして、挙句の果てに私達の仲間に寄生して化けて襲ってくるんだよ!? あんなの、おぞまし過ぎるでしょ……! しかも弓兵の子は胸に大穴開けられて、武闘家は上半身が吹き飛んで……あ、あれ?

 

 

「皆の身体は……!?」

「あきよ~!? 無くなってる~!?」

「……いつの間に」

 

 

 戦いのせいで全く気付かなかったけど、広間から皆の身体が消えてる。弓兵のも武闘家のも、剣士のも回復士のも。武器もバッグも何一つ綺麗さっぱり……あ、剣士のだけバッグ残ってる。中身空にされてるけど。後あるのはエイリアンの身体だけ……って!?

 

 

「ゆ、UFOが!?」

「おぉ~、えいりあんを運ぶんでる~!」

「……撤退…していっているのか?」

 

 

 今私達が倒したエイリアンを小型UFOがふよよよ運んでってる……。しかも最終的にすぽって吸い込んで…え、入るサイズじゃなくない? そのまま攻撃をすることなく通路を通ってどこかに去っていって、他のUFOも次々と。

 

 

 その様子をボーっと眺めちゃってると、ついに私達以外の誰もいなくなって。開いた隔壁がまた閉じていって、けど一か所だけ開いたままで、その道は私達を招くようにチカチカ灯りが点滅してて…あ、これ。

 

 

「見たことある……」

「……宝部屋への道、だな」

「りか~! ほい、バッグやっさ~♪」

 

 

 前来た時もあんな光り方する道がお宝部屋へと繋がってたような……あ、召喚士が剣士のバッグを取ってきてくれて、私の手もとってくれて……うん、行こう!

 

 

 

 

 

 

 

「――わ。やっぱりお宝部屋だ!」

「ほほほ~! 宝の山~♪」

「……どうやら、俺達を帰してくれるようだな」

 

 

 

 道の先にあったのは、予想通り大量のお宝が置かれた目的地。そこから先にはもう一本道が続いてて、宇宙の見える窓からその先にUFOが待っているのがわかって……よかったぁ……無事に帰れるんだぁ……。

 

 

「バッグに詰みほ~だい~! よりどりみどりで困まゆ~!」

「……この殻、さっきのエイリアンのものか? 持って帰るか」

 

 

 二人ともバッグにお宝を仕舞いはじめてる。私も。あんだけおぞましい目に遭ったんだもの、沢山持って帰ってやるんだから! 私もこのエイリアンの殻を……い、生きてないよね?

 

 

「――なはは~♪くわっち~さびたん~」

「う……も、持ちあがらないぃ……」

「……片方、持とう。心配するな、取りはしない」

 

 

 あ、ありがとう…! ぎちぎちに詰めたバッグ二つはさすがに重くて……。隕鉄とかギャラクリシタルとかルナストーンとかのコスモメタル系、入れすぎちゃって。それかあの謎透明容器に入った緑のドロドロ粘液…麻痺毒のやつとかが重いのかも。

 

 

 でもどれも高値がつくやつで、三人やられたんだからこれぐらい持って帰らないとどやされるし。はぁぁ……うん、認めるよ。確かにここ、すっごい稼げる。楽ってのはもう絶対信じないけど。そして、二度と……。

 

 

「ふい~! 大変だったけどちむどんどんしたさ~! また来たいや~」

 

 

 ええぇ……!? ちょっとそれには同意できないよ……。あんな目に遭ったのに、よく……。ほら、重装戦士も軽い溜息交じりで。

 

 

「……またもなにもお前、今回で冒険者辞めるんだろう?」

 

「えっ!?」

 

「なはは~そだった~♪ 回復士に訛ってて話しにくいから抜けろ~ぬら~りててな~。この子達を戦わせ続けるのも忍ばらんさ~てさ~」

 

 

 さっきの石獅子や赤毛玉召喚獣を呼んで撫でながら、あっけらかんと私に説明してくれる召喚士。え…えと……!

 

 

「実は私も辞めようかなって思ってて。その、この先どうするかとか決まってる…?」

 

「ん~~~……なはは~、な~んも~♪ なんくるないさ~♪」

 

 

 そっかぁ……。もし良い感じだったらお供させてもらおうと思ってたんだけど……。この子と一緒にいるとなんというか、のんびりな気分になれて割と心地いいし。

 

 

「……なんにせよ、トラウマになっていないようで良かった。俺は暫くワーウルフの血が変に昂りそうだ」

 

 

 と、重装戦士は思い返すように。うっ…私も思い出しちゃった……。弓兵の胸を突き破って産まれたエイリアンとか、武闘家の上半身を爆散させて出てきたエイリアンとか、道中の諸々とか……。

 

 

「わ~、えいりあんはもっと良~い子だと思いてたんだけどな~。というより、う~ん……なんか変だったよね~?」

 

 

 召喚士も続くように。えっと……もう全部が奇怪だった気がするんだけど、そういうことじゃなくて……?

 

 

「だって~。今まであんな実験とかゆ~ふぉ~とか話にも聞かなかったのに~。あったに現れたのが不思議で~。なんだか、見せつけ~るようやたん~」

 

 

 ……言われてみれば? 前来たときは突然エイリアンが目の前に現れるぐらいが精々だったし、途中で見たポッド保管広間とか産卵部屋とか影も形もなかった。今まで隠されていたのかもしれないけれど、それにしてはそんな隠し通路とか進んではないし。

 

 

 うん、全部終わって冷静になれたからわかる。この現れ方、おかしい。けど、ただここに棲むエイリアンが変わってそういうおぞましい種族になっただけの可能性もある。

 

 

 だって私達の体の中に寄生したり苗床にして生まれてくるようなエイリアンだよ? そんな惨たらしいことするなら、色々やっててもおかしくはない気がするけど……。

 

 

「いっちん不思議なのが、あの産まれてきたえいりあんな~。あれ、喋ってたば~?」

 

「えっと、だからそれは、私が魔法をかけちゃったから……」

 

「『産まれたてのえいりあん』にはかけてないでしょ~?」

 

 

 えっ……あ。あっ!!? 

 

 

「わ~、見たもん~。追ってきたえいりあんが喋ってたの~。あの子やが~?」

 

「う、うん…! あのエイリアンにしか翻訳魔法かけてない…! え、で、でも…!?」

 

 

 じゃ、じゃあ弓兵の子から産まれたエイリアンは?! 喋ってたのは間違いなくそっちのエイリアンだった。重装戦士もそう言ってたもん。けど翻訳魔法をかけたのは別のエイリアンのはず。え、と、いうことは……!?

 

 

「……同じ個体、ということか? あのエイリアンは産まれたてではなく、武闘家と同じように体内に寄生されていただけだと?」

 

 

 そういうことだよね……!? え、じゃあ……弓兵の子が寄生されたのは私が襲われた後で。ということはあの時エイリアンに顔を張りつかれたのはただくっつかれただけ? ……って、あっ!?

 

 

「そういえばあの子! 私髪焦がしちゃってたのに治ってた!?」

 

 

 ハッと思い出し、あの時の説明を交えて二人に伝える! エイリアンを剝がすために焦がしちゃった弓兵の子の髪が、何故か綺麗になっていたことを。ちょっと頭が混乱しだしたけど、ということは……!

 

 

「……寄生ではなく、新しい身体を作っていた?」

 

「ば、培養! 培養かもしれない!」 

 

 

 道中見た培養ポッドがその答えかも! きっと、弓兵と武闘家を培養してそれに化けてたんだよ! 装備的に本物は間違いなく復活魔法陣送りになってそうだけど……。

 

 

「あ~は~。わ~、武闘家の弾け方もおかしな気がしてさ~。そうかも~」

「……確かに二人共に血の匂いは薄かった。寄生の影響かこのダンジョンの匂いに俺の鼻がやられたかだと思い込んでいたが」

 

 あっ、だよね。あんな、その、コミカルな残り方してるの、普通の身体じゃあり得ないよね。ならあの二人は培養された偽物っていうのも納得できる。でも……。

 

 

「そうだとしても、まだ色々変なとこが……」

 

 

 どうやって短時間で培養したのか、なんで寄生してる時はあんな流暢に喋れてたのか、そもそもなんでそんなおぞましすぎることしだしたのか、色々と謎。それにUFOのとんでもない動きも謎っちゃ謎だよ。

 

 

 ただ、どれもエイリアンだから出来るかもというか……神のみぞ知るならぬ、エイリアンのみぞ知ることだよね。はぁ……頭痛くなってきた。全部記憶消して、帰ったほうが――。

 

 

 

――ガコンッ

 

 

 

 ひっ!? な、なに!? 何かが急に開いて!? えっ…来た道の横、UFOの奥へと通じる大きめのダクトが急に開いたんだけど!?

 

 

 でもそこからエイリアンやUFOが出てくる気配はなくて、灯りのチカチカがなんだか……まるで私達を呼んでいるような、隠された真実を知りたければここを通れって感じの雰囲気で……ちょっ、召喚士!?

 

 

「ほほ~~! し~さ~、きじむな~、ど~お?」

 

 

 そのダクトに躊躇なく近づいて、召喚獣に偵察させて!? そして戻ってきた召喚獣達が大丈夫と言うように跳ねると、その子達を撫でてから仕舞って。

 

 

「はいた~い! ちゃーびらさい~!」

 

 

 ちょおっ!? 入ってっちゃった!?!?!?

 

 

 

 

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