ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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顧客リスト№35 『サンタクロースのクリスマスダンジョン』
魔物側 社長秘書アストの日誌


 

 

「うぃー うぃっしゅゆあ めりーくりすます♪ 

 うぃー うぃっしゅゆあ めりーくりすます♪ 

 うぃー うぃっしゅゆあ めりーくりすます♪ 

 あんどあ はっぴーにゅーいやー♪」

 

楽しそうに歌う社長。そんな彼女の今日のお召し物は、サンタ服。赤いあの帽子もしっかり被っている。

 

入っている箱も、いつもの宝箱ではない。プレゼント箱である。そこからひょっこり身体を出し、とある作業をしているのだ。

 

何の作業かと言うと…。

 

 

 

「じんぐるべーる♪ じんぐるべーる♪ すずがーなるー♪」

 

弱冠舌っ足らず目な歌い方の社長の手元は、かなりの高速で動いている。正直、注視しなければ何やってるかわからないほどに。

 

詳しく説明しよう。社長は手を幾本もの触手に変え、箱を組み立て。その中にオモチャを入れ、蓋を閉め、綺麗な包装紙とリボンできゅっと包んでいる。

 

そう、プレゼントの箱詰めをしているのだ。

 

 

 

 

「社長、どんな感じですか?」

 

そんな彼女に寄り、そう聞いてみる。すると、社長はふふん!と笑った。

 

「ばっちりね!私のノルマ分、もう終わり近いわ! まだまだ出来るわよぉー!」

 

「さすが社長!」

 

相変わらずの凄腕である。じゃあこのエリアは問題なしと記入して…と。よし、これで定時報告可能!

 

そのまま私は社長から離れ、別の角でプレゼント作りをしている方の元に。そして、彼の名を呼んだ。

 

「サンタさん、進捗のご報告です!」

 

 

 

 

「ほっほっほっ。アストちゃん、ありがとうのう」

 

手を動かしたまま、こちらに顔を向けるは本日の依頼人。たっぷり蓄えた真っ白でふわふわな白髭は、お腹まで。皺の刻まれた優しい顔に眼鏡をかけ、気持ち良い恰幅の良さをした彼が纏うは全身赤色コーデ…というかサンタ服。

 

もはや説明は要らないであろう。彼は皆ご存知、『サンタクロース』である。

 

 

「皆はどんな感じかな?」

 

「はい。基本的に滞りありません! このまま行けば、指定の時間より一時間ほど前にはプレゼント作りは完了します。東部エリア担当の方達が若干遅れ気味ですが、手が空いたミミック達を送りましたので、恐らく大丈夫です」

 

「おぉ、そうかそうか! すまんのう、今年は量が多くて…ちょいと腰をやっちまったもんじゃから…」

 

腰をトントンと叩き、よっこいせと腰かけるサンタさん。その横では、パチパチと暖かな暖炉が燃えている。

 

 

 

 

ここは通称、「クリスマスダンジョン」。…とは言うけど、他のダンジョンとは全く毛色が違う。

 

だってここ、サンタさん達の家兼、プレゼント工房なのだから。ダンジョンと言っては失礼な気がする。

 

冒険者ギルドでも、名前こそ登録されているが秘匿扱いらしい。当然、ここに潜れなんて依頼はない。侵入することすら禁止されている。

 

因みに侵入したことがバレた場合、その冒険者には相応の罰が下るらしい…。

 

 

 

さて、そんなここの外見はかなり大きめのログハウス。雪が降る地帯にあるため、屋根には雪が積もっている。

 

だけど、中はとても暖かい。各所に石造りの暖炉があるし、多分魔法で温めている。

 

空間魔法も使っているらしく、外見以上に中はかなり広い。10mはありそうな巨大クリスマスツリーもあるし。

 

 

そんな中を今日は、我が社のミミック達が駆けずり回っている。サンタさん達のお手伝いのために。

 

 

 

 

『依頼』と言ったが、別に金銭の取引をしているわけではない。ボランティアである。毎年、サンタさんのプレゼント包装手伝いに参加しているのだ。

 

ボランティアだから、勿論参加するか否かは自由。だけど、ほとんどのミミックは勇んで参加する。だってサンタさんのお手伝いなんだから。

 

…まあ、下心がないわけではないのだけど…。

 

 

実をいうと、お手伝いしたらプレゼントが貰えてしまうのだ。子供じゃないのに。

 

しかもなんと、各ダンジョンに派遣されているミミック達にまで。その場合はダンジョンの魔物達と一緒に楽しめる物という配慮ぶり。

 

良いのかな、と思ったことはあるけど…「良い子達への報酬代わりじゃよ」とサンタさんは微笑んでくれてるから…。有難く頂戴している。

 

今年は何が貰えるんだろう。ワクワクしてしまう。…おっと、駄目駄目、欲張っちゃ。『悪い子』にはプレゼントが届かないのだから。

 

 

 

 

 

そういえば、何故我が社がサンタさん達を手伝っているのか説明していなかった。社長がサンタさんとお友達だったからというのもあるのだけど…。

 

大きいのは、やはり『ミミック』だからであろう。箱に素早く物を入れたり、箱の様子を綺麗に整えたりが本能的に出来るのが彼女達。

 

そんなミミック達が、プレゼント箱の梱包、包装をすれば―。

 

 

 

「ふいーっ! ひと段落ね! ちょっときゅうけーい!」

 

丁度みょーんと身体を伸ばした社長。瓶コーラをゴクゴク飲んで、ぷはーっ!っと唸っている。

 

そんな彼女の前には、一流店員の腕前並みに美しいラッピングがなされた大小長短様々な宝箱。下手な折り目も、リボンがズレていることも一切ない。

 

 

別にあれは、社長だからなせる技というわけではない。我が社のミミック達はどの子もあれぐらい出来るのだ。

 

上位ミミックの皆は言わずもがな、下位の子達も連携プレイで見事にやり遂げる。宝箱の子が蓋…もとい口で上手く箱を組み立て支え、群体型の子がプレゼントを詰めて、触手型の子がリボンを結ぶ、みたいな感じに。

 

 

私はそんな各所で作業中のミミック達の調整、及び伝達や報告役。ラティッカさん達ドワーフは、ちょっと調子が悪そうなオモチャの修理や、白い袋に詰め込み終わったプレゼントの搬送役をしている。

 

 

余談だが…我が社の食堂のポルターガイスト(調理器具達)は、私達が帰ってきた後の食事用の仕込みをしてくれている。

 

お手伝いが全部終わったらクリスマスパーティーをするのだ。ケーキ、七面鳥、ポットパイ…楽しみ! 

 

それをサンタさん達にもおすそ分けをするのも毎年恒例だったり。プレゼントをくれるサンタさんへのお返しでもある。

 

 

 

 

 

 

「そだ、アスト。さっき言ってた疑問、聞いてみれば?」

 

と、そんな折。ラッピングしたプレゼントを袋詰めし、自らも袋の中に入って横に滑ってきたのは社長。はい、と私にコーラを渡してきてくれた。

 

「疑問? あぁ…!」

 

シュポンと王冠を外したと同時に、思い出した。そういえば今日ここに来る前、そんな話した。いや、疑問と言ってもすっごく素朴なものなのだけども…。

 

 

「ワシで良ければ何でも答えるぞい、アストちゃん。毎年世界中の子供達から色々と質問が来るからのう」

 

ほっほっほっと笑い、軽く部屋の端を指さすサンタさん。そこにはうず高く積まれた、色とりどりの手紙。子供達からの届け物であろう。

 

きっと、その中に同じ問いがあったはずだし…じゃあ遠慮なく。

 

「サンタさんは、何故世界の子供達…人魔問わずにプレゼントを配っているのですか?」

 

 

 

実に子供っぽい質問だが、長年の疑問なのだ。実際、その詳細を知っている者はいないだろう。サンタ本人以外には。

 

「ほっほっほっ!良い質問じゃのう!しっかり物事を考えられる、『良い子』の証じゃ!」

 

嘲る様子や、またその質問かと顔を歪める様子は一切無く、にっこり微笑むサンタさん。白いお髭に包まれた口から、その答えをくれた。

 

「なに、案外と簡単なことじゃよ。ワシがプレゼントを配れば、皆が笑う。皆が笑えば、この世界中に、もっともっと幸せが広がるからの!」

 

 

うーん。サンタさんらしい答え。でもきっと、いいや絶対、適当な誤魔化しではなく、心の底からの聖なる想いなのだろう。本当、素晴らしき御方である。

 

 

 

あ、でももう一つ質問を…。

 

「なんで私に支給される服…、ミニスカサンタな服なんですか?」

 

 

 

 

これまたずっと気になっていた。最初にお邪魔させていただいた時は普通のズボンだったのに、気づけばミニスカになっているのだもの。魔法が籠められているのか、寒くはないが。

 

女性用ということなのだろうけど、社長とかはもっと丈のあるワンピース風だし、サンタさんのお弟子さん?の女性はワンピース風だったりズボンだったり。何故私だけ…?

 

と、サンタさんは何故か首を傾げた。

 

「おや?承知の上ではなかったのかの? その服を作ったのは確かにワシじゃが、アストちゃんの服をそれにしてくれって頼んできたのはミミンちゃ…」

 

「サンタさんストーップ!」

 

瞬間、目にも止まらぬ速さでサンタさんの口を触手が封じる。その主は…ミミン社長であった。

 

 

「もーサンタさんったらー。あはははは…!」

 

誰の目にも明らかな作り笑いを浮かべる社長。うん、ぶっちゃけ薄々わかってた。やっぱり、って感じである。もー…。

 

 

 

「これは…『悪い子』案件かの?」

 

触手をよいしょと外したサンタさん。ほんのちょっと意地悪な笑みを浮かべながら私に聞いてきた。お、ということは…。

 

「そんなぁ!」

 

察した社長が悲鳴をあげる。これ、私が社長を『悪い子』認定すれば、今回のクリスマスプレゼントは無しになるということだろう。

 

今、社長の命運を握っているのは私。さて、どうしてあげようか…。って―。

 

「ノーカウントで!」

 

そこまでする必要はない。いつもの事だから。正直、結構この服好きだし。

 

「よかったぁ…! アスト、ごめんなさーい!」

 

安心したらしく、社長はぴょんと私の懐に飛び込んできた。全く、現金な人である。

 

…もし、来年以降サンタビキニとかにさせられたら悪い子認定してもらおう。そういうのは酒の席か、自室程度で留めて欲しいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プレゼント作りは問題なく終了。大きな白袋をソリに乗せ終わり、いよいよ本番『プレゼント配り』である。

 

「さあ皆、今年も頼むぞい。ルドルフ、お前さんの鼻、今年も輝かせてくれな」

 

「「「ブフウッ!」」」

 

サンタさんに撫でられ、鼻息を自信満々に放つのはトナカイ達。先頭の子は、鼻が赤くピカピカ光っている。

 

「よしよし。では行こうかの、ミミンちゃん、アストちゃん」

 

「「はーい!」」

 

私達はソリの後方に乗り込み、プレゼント配りのお手伝い準備。サンタさんもソリに乗ると、手綱を振った。

 

「はいよー! Ho Ho Ho!」

 

ビシンと綱がしなる音と共に、トナカイが鳴く。そして、ソリはふわりと浮き上がる。

 

「「行ってきまーす!」」

 

「「「行ってらっしゃーい!」」」

 

お留守番、又は一足先に帰るミミック達と手を振り合う。他のサンタさんやお弟子さん達のソリも浮き上がり、同じくお手伝いに乗ったミミック達も意気揚々。

 

中には手綱を握るミミックも。ソリも箱判定なのか、結構運転上手い子が多いみたい。

 

 

それじゃあ…いざ、走れソリ。風のように、雪の中を、軽く早く!

 

 

 

 

 

 

 

 

シャンシャンシャン♪ シャンシャンシャン♪ と軽やかな鈴の音を響かせ、空を駆けるサンタのソリ。

 

しかし、その速度は結構えげつない。風のように、というか突風そのものである。眼下の森や山はもはや形を留められないほど早く目の端に消えていく。

 

世界中を回るのだ、これぐらいの速度は当たり前。しかも、雲の間に入るとワープまでする。サンタさん、とんでもない力の持ち主である。

 

 

おー…月が近い。星も綺麗…! あ、ソリのスピードが落ちてきた。雲が途切れた先、地上には沢山の灯り。

 

「ふむ、街に着いたの。2人共、頼むぞい」

 

「はーい、よいしょー!」

 

サンタさんの合図に合わせ、社長と私は大きな袋の封を解く。そして…。

 

「「せーの…えい!」」

 

両方向から、袋をぐいっと押し込んだ。

 

 

 

ポンポンポンポンポンッ!

 

すると、袋から次々と飛び出すプレゼント。それは地上に向けてばら撒かれ、ふわふわと落ちていく。

 

「…ほんと、不思議ですよねー。これで皆のとこに届くのって」

 

毎年この光景を見ているが、相変わらず奇妙な図である。プレゼントを捨てている様にも見えなくない。

 

と、サンタさんはほっほっほっと声をあげた。

 

「ワシが作ったプレゼントには、子供達のそれぞれの願いが籠っておるからの。自然に皆の家に向かうのじゃよ」

 

 

そんな魔法が…!いや、魔法なのか? とにかく、凄いのは確か…! 私が唸っていると、サンタさんは更に教えてくれた。

 

「煙突をくぐって子供達の寝ている横や、クリスマスツリーの下に降りるのが基本じゃの。軒先に降りて、親御さんに引き入れて貰う場合もあるぞい」

 

へえー…!あ、でも…。

 

「それが出来ない場合とか、親がいない場合とかはどうするんですか?」

 

「心配はいらん。その場合はプレゼントに憑いたワシの分身が、家に入って届けるんじゃ。お菓子とか、お礼の手紙とかを用意してくれている子達の元にものぅ」

 

皆美味しいものを置いてくれるから、ワシも太ってしまってな。お腹をポンと叩きほっほっと笑うサンタさん。だけど、私は笑い返すよりも驚愕していた。

 

 

「え、じゃあ…私が子供の頃用意したクッキーが消えていたのって…本当に…!」

 

「勿論、ワシが美味しく戴いたぞい」

 

サンタさんは平然と頷く。てっきり、お父さんお母さんに片付けられたものとばかり…!でも、そしたら…!

 

「最初の頃の、苦くなかったですか…? 形もグズグズでしたし…」

 

思わず、そう聞いてしまう。サンタさんのためにと頑張ったが、不慣れだったためにチョコクッキーでもないのに黒ずみ、形もバラバラになってしまったのだ。でも、時間もなく作り直しは出来なくて…!

 

「ほっほっ!想いが籠っていて、絶品じゃったよ。ワシと、トナカイ達の形をしていたのもしっかりわかったぞい」

 

「…!」

 

嬉しい…!!

 

 

 

 

 

しかし…私の子供の頃の事も知っていて、分身も出来て、高速移動もワープも出来て、プレゼントを大量に作れて、それを無償で配るなんて…

 

「サンタさんって…何者なんですか?」

 

つい、そんな疑問が口に出てしまう。それに答えたのは社長であった。

 

「あらアスト、知らないの? サンタさんは『サンタクロース』よ!」

 

 

…いや、そうだけど…! 確かに、その名が免罪符というか、なんでも許されるって感じあるけども…!

 

流石に不満が残る答えだとわかっていたのか、社長はケラケラと笑った。

 

「まあ冗談は置いといて…。本当、とんでもない人達なんだから。貴方や魔女、それこそ魔王なんか目にならないほどの魔法の使い手で、全てを知り、全てを見ている。神様みたいな存在…いえ、神様よ!」

 

「ほっほっほ!そんな大層なものではないがのう」

 

そう謙遜なさるサンタさん。と、社長は更に言葉を続けた。

 

「そして、私達ミミックのお手本でもあるわ!」

 

 

 

「え?どういうことですか?」

 

「これよ、これ」

 

私が傾げた小首に答えるように、社長はポスポスと叩いたのはプレゼントが入っている白袋。

 

「これ、凄いでしょ! 世界中の子供達のプレゼントが入っているというのに、大きさは人が何人か入るぐらいの大きさに留められているじゃない!」

 

あぁ、なるほど。確かにミミックっぽいといえばミミックぽいかも。どんな狭い箱の中にでも、身体を隠せるミミックに。

 

 

 

 

 

 

月を追いかけ、太陽に追いつかれないよう空を駆け続けるソリ。次々とプレゼントを配っていく。

 

私達もたまに、プレゼント配達のお手伝い…というか体験させてもらった。人間の家に入った際、寝ていた子供が起きてしまった時は肝が冷えてしまった。なんとか誤魔化せたけど。

 

 

そして、気づけばクリスマスダンジョン、もといサンタさんの家に到着。プレゼントは一つ残らず配り終わった…!ふーっ、疲れたぁ…!

 

サンタさんと別れ、帰社。さ、これからクリスマスパーティー!張り切っていこう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むにゃ…ふああああ…」

 

身体を起こし、ぐいっと伸びをする。いやー、昨日は楽しかった。パーティー盛り上がったなぁ…。

 

ハンドベルにカラオケ、ダンスに持ち寄りプレゼント交換。トナカイになり切ってソリ引きレースとかまでやってた。トナカイの角つけたミミックがソリを引くっていうの。

 

…そしてまさか、本当にサンタビキニ着させられるとは思わなかった。しかも社長やラティッカさんといった面子まで。

 

社長達ミミックはノリノリだったけど、ラティッカさんはやっぱり顔真っ赤だった。

 

 

 

「すぅ…すぅ…」

 

ふと横を見ると、社長が寝ている。一応それぞれの部屋はあるのだけど、時折別れるのが面倒だからと一緒に寝てしまうことがある。特に、昨日のようにさんざ騒いだ後とかは。

 

起こさないようにゆっくりベッドから降りてと…。

 

ガサッ

 

と、足に何か当たる。ん…?わ! これは…!

 

 

置かれていたのは、二つのプレゼント箱。私と社長の名前札もついている。

 

間違いない、サンタさんからのプレゼントだ…! 早速開けちゃおう!ぺりぺりと…!

 

 

 

「わぁ…!やった!」

 

私の箱から出てきたのは、欲しかった魔導書!どこも売り切ればかりで買えなかったやつ!

 

「私のちょうだーい!」

 

と、いつの間にか起きていたらしく、社長がひょいと覗き込んでくる。手渡してあげると、ぴりぴりと楽しそうに包装を捲り始めた。

 

「何かな何かなー♪ お! 見て見てアスト!」

 

箱の中から何かを取り出す社長。クルクル巻かれたそれを広げると、みるみるうちに大きくなり…。え、これって…。

 

「靴下…ですか?」

 

 

 

それは、巨人が履きそうなほど大きい靴下…違う、これ…布団…?寝袋っぽい。

 

「これ欲しかったの!すかぴーって寝れそう!」

 

早速スポッと入る社長。…うん、これはまるで…

 

「アスト。プレゼントはわ・た・し♡」

 

「言うと思いましたよ…」

 

 

どう見ても、プレゼント品である。私が肩を竦めると、社長はあら、とにんまり笑った。

 

「お気に召さないかしら? アストはこっちの方が好み?」

 

言うが早いか、私に向け触手を勢いよく伸ばす社長。流れるように捕えられ、靴下の中に引きずり込まれてしまった。そして、顎をクイッとされ…。

 

「『私の一番のプレゼントは、貴方よアスト』……ってね!」

 

「――っ!! もう…!そういうの、ズルいですよ…!」

 

「にへへー! どうせ今日は会社休みにしてるし、依頼も来てないから、一緒に二度寝しましょ!」

 

ぎゅっと私を抱きしめる社長。と、何か思い出したのか、顔をあげた。

 

「あ、言い忘れてたわね。遅いけど…メリー・クリスマス!」

 

「メリー・クリスマス、社長!」

 

 

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