ミミック派遣会社 ~ダンジョンからのご依頼、承ります!~   作:月ノ輪

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人間側 ある男冒険者2人の初詣

 

 

「いよっ!あけおめ! いやー寒いな!」

 

一際元気な友人の声。俺はそれに返す。

 

「…あけおめ」

 

 

 

 

「…ん? どしたってんだ? 風邪ひいたのか?」

 

心配してくれる友人。だが…そうじゃない…。そうじゃないんだ…。

 

「……。」

 

だけど、説明する気もない俺は黙り込む。察してくれたのか、友人は露骨に話を変えてくれた。

 

「いやーそれにしてもよ。まさか初詣の誘いに乗ってくれるとは思わなかったぜ。てっきりお前、今年は彼女と行くもんだと……あれ、彼女はどうした? この間出来たばっかって言ってた…」

 

「……。」

 

「……あっ…」

 

二度目の『察し』をする友人。…まあ…そういうことだよ…!

 

 

 

 

 

事は去年…と言っても一週間前ぐらいだが。忘年会と称して彼女と二人で飲んでるとき、俺はやらかした。ふざけすぎて、出来たばかりの彼女に嫌われてしまったのだ。

 

新年早々辛気臭いのは、そのせい。ぶっちゃけると本当は、初詣にも来たくなかった。家で塞ぎこんでたかった。

 

だが、友人に誘われて、思い立った。あんな女の事なんて、男同士の友情で一旦忘れられないかとな。

 

 

それに、今日行く神社はご利益が強いと聞く。お願い事をすれば、あるいは…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ…!凄い人手だな…!」

 

神社の入り口についた瞬間、俺は驚いた声をあげてしまう。とんでもない長蛇の列だったからだ。

 

しかも俺達人間だけじゃなく、エルフやドワーフ、魔族もいる。クソ寒い中、種族入り混じり楽しそうに並んでいる。

 

「さっきも説明したけど、ここは『神社ダンジョン』っていうダンジョンでな、珍しく一般開放されている場所なんだ。それと、ここの神様は狐の神様で稲荷様らしい」

 

「稲荷…」

 

ボソリと呟く俺。と、友人は頷いた。

 

「あぁ。稲荷寿司って料理あるだろ。ここの神様が好物だから、あやかったんだと」

 

「稲荷、か…」

 

「…?? どうした?」

 

「いや…なんでもない…」

 

首を捻る友人に、そう返す。 稲荷…稲荷寿司か…。 

 

 

 

そんな俺の様子を見て、友人は気を遣い、またも話題を変えてくれた。

 

「そうそう、巫女達も『妖狐』って狐魔物なんだが、全員美人揃いなんだ。ほら、見てみろよ!」

 

促され、ダンジョンの入り口である大きな赤い鳥居の方を見ると、人の誘導をしている巫女達が。頭に狐耳をぴょこんと生やし、赤と白の服の後ろから2、3本の狐尻尾がモフンと出ている。

 

確かに狐らしい。それに…。俺は、ボソリと呟いた。

 

「…確かに、美人だ…。俺の彼女と同じくらい…いや、『元』か…」

 

「…あー…。…こりゃ重傷だなぁ…」

 

 

 

 

 

 

「うーん…。お参りするとこを幾つも分けてるらしいんだが…。それでもこの混み具合か…すげえな、初詣」

 

「まあ加護が強いって聞いたし、皆こぞって来るんだろ」

 

友人とそんな会話をしながら、幻想的な鳥居の参道を少しずつ進む。人が多いから、列があまり動かない。ゴブリンのような小さい種族が分けられているおかげで、踏みつけてしまう危険が無いのは有難いが。

 

しかし…寒い…。もっと着こんでくれば良かった…。…もし隣にいるのがヤロウじゃなく、彼女だったら、手でも握り合って…うぅ…。

 

 

と、そんな時だった。

 

「甘酒~。甘酒は如何ですか~」

 

トコトコと歩いてきたのは、狐巫女が数人。手に箱を持っている。丁度いい…!

 

「二杯くれ!」

 

「はーい!」

 

呼び止めると、狐巫女が尻尾を揺らしながらこちらへ。箱をパカリと開ける。中から取り出したるは、やかん。…ん?入る箱に入る大きさじゃない気が…。

 

「少し温め直しますね~」

 

と、狐巫女の1人が袖から何かを出す。それは竹筒。その側面をコンコンと突くと、竹の先からボウっと火の玉が浮き上がってきた。

 

「『狐火』、甘酒温めて」

 

狐巫女の言葉に、火の玉が動く。やかんの下をチリチリと炙る。と、ふわりと甘い良い香りが漂ってきた。

 

「お待たせしました。お熱いのでお気をつけて下さ~い」

 

紙コップに注がれたそれは、確かに熱い。けど…有難い。ふぅ…温まる…!

 

 

 

 

 

「甘酒~。甘酒は如何ですか~。甘くて美味しく、栄養満点ですよ~」

 

またも売り文句を口にしながら、歩き出す狐巫女達。しかしすぐに他の人に呼び止められる。

 

こうも寒いんだ、皆欲しがるのも当たり前か。そう思い、じっと彼女達の様子を見ていると…。

 

「あ。このやかん無くなっちゃった。持ってて」

 

「はいはーい」

 

どうやら売り切れの様子。持っている箱は精々やかん一個入るか入らないかだ。すぐに無くなって当然…。

 

「よいしょ」

 

…!? や、やかんが…!? もう一個、箱の中から出てきた…!? 絶対入らないだろ…!

 

「これ片付けちゃお。お願ーい」

 

と、空やかんを受け取った狐巫女が、箱へとそれを近づける。すると…。

 

クルリ スポンッ

 

…!!? 今、触手の様な物が見えた気が…。急ぎ目を擦ると、既に見えなくなっていた。気の…せい…?

 

…この甘酒、アルコールでも入っているのか…? いや、ここ数日傷心で満足に寝れていないせいか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に列は進み、気づけば境内へ。型通りに手を清め、拝殿へと進む。

 

「えーと…小銭小銭…。…えっおい!」

 

と、俺は友人に止められる。一体なんだよ…。

 

「いや、なんだよじゃねえよ…! お前1万G(ゴールド)も賽銭にする気か!?」

 

「ああそうだよ。…どうせ彼女へのプレゼント代の予定だったんだ…! もう必要ないから神様に捧げてやる!」

 

「いやいやいや…落ち着けって…! あっ…!」

 

友人が止めるのを無視し、賽銭箱に投げ入れる。そして手を合わせ…!

 

「彼女とヨリを戻せますように…彼女とヨリを戻せますように…彼女とヨリを戻せますように…彼女とヨリを戻せますように…!!!」

 

一心不乱に祈り倒す。一万も払ったんだ、これぐらい叶えてくれよ…!神様ぁ…!

 

 

 

 

 

 

「…なあ、聞かないで置いといたんだが…聞いて良いか…?」

 

お参りが終わり、ついでに巫女達の舞を見ていこうとした矢先。友人が恐る恐る聞いてくる。何だ…?

 

「あー…その…。なんで彼女と別れたのかなって…さ」

 

その申し訳なさそうな言葉に、俺はビクッと身を震わせる。そして辺りを挙動不審なまでに見回す。

 

「…あれだよ」

 

周囲に聞き耳を立てる奴も、狐巫女もいないことを確認し、俺が指さしたのはとある屋台。そこには、『稲荷寿司』の文字が。

 

「そういや、さっきも謎に反応してたよな。稲荷寿司にワサビ大量に混ぜて食べさせたか?」

 

友人の推測に、静かに首を横に振る。そして、こっそり耳打ちで伝えた。

 

 

「…ふんふん…。 はぁっ?! お前…股間の『ソレ』を、『俺のお稲荷さん』だって言って彼女に見せつけようとした、だぁ!?」

 

「パ、パンツは履いてたぞ…」

 

必死の弁解をするも、友人は大きく溜息。そして、言い放った。

 

「そりゃお前が悪いわ! バーカ!」

 

う…。仰る通り…。クソッ…ヤケ酒でもして記憶飛ばしたい…!

 

 

 

 

 

 

 

 

「…だからって…飲み過ぎじゃないか…?」

 

「うるへぇ…!」

 

「てかこの甘酒、アルコール入ってないだろ。なんで呂律回ってないんだよ…」

 

丁度良いところに甘酒販売が来たのが好都合。やかんごと買い、屋台の稲荷寿司を肴に、境内の端にある休憩所で管を巻く。

 

…こうでもしなきゃ、やってられない。家帰るまで心が保たないんだよ…!

 

 

 

 

幸い、ここからは舞殿の様子が窺える。そこでは、煌びやかな巫女服を纏った狐巫女達がシャランシャランと優雅に舞を披露していた。

 

それをぼーっと眺めてたら、少しは気が楽になった。ハァ…これからどうしよう…。

 

「ん…?」

 

丁度巫女の舞が終わり、盛大な拍手の音が聞こえてくる。そんな折、俺は妙なものを見つけた。

 

 

 

 

舞殿の横、周囲から身を隠すように、やけにコソコソした一団が。俺も冒険者だからわかる、あれは何かを狙ってる動きだ。

 

しかし、こんな場所でなにを…?

 

「おい、あそこのあいつらって何してるんだ? 何か狙ってるみたいだが…」

 

「ん?どこだ? …あー…。多分、狐巫女達の尻尾の毛を狙ってるんだろ…」

 

俺の問いにそう答えた友人。だが、よくわからない。どういうことだ?

 

「なんていうかな。ここの狐巫女達の尾の毛には、特別な力が籠められているらしくてな。御守りの中にも入ってるんだと」

 

「つまり、それがご利益の発生源?ってことか?」

 

「さー?そういう噂が囁かれてるってことしか知らんが…。 だから、大元である狐巫女から大量に引っこ抜いちまえば、その分願い事が叶うって言われて…おいどこ行く気だ?」

 

「良い事を聞いた…! やかん返しといてくれ!」

 

「え、ちょっと待てって! うわ、やかん一杯にあった甘酒が空になってる…!」

 

驚く友人を背に、俺はコソコソする一団の後を追う。勿論、加わるために。

 

 

「いや、だから待てってば! なんか最近、対策されてるとも聞くぞー!止めとけ―!」

 

そんな注意の声も、どこ吹く風。狐の毛を大量に集めて、願い事を成就させてやる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

「あん…? なんだお前…!」

 

「巫女の尻尾の毛を狙ってるんだろ…? 俺も参加させてくれ…!」

 

「フッ…良いだろう。仲間は多いに越したことない」

 

二つ返事で仲間に入れてもらい、そのまま舞殿の裏へ。近くの建物の影から様子を窺う。

 

すると―。

 

 

 

「ふー!疲れたぁ…! いっつも踊ってる舞だけど、お客さんが増えると途端に緊張するよね~」

 

「わかる。今日だけで十何回は披露したけど、毎回耳と尻尾が固まっちゃう」

 

「一時間は他の子に任せて休憩だし、ゆっくりしよー。甘く煮た油揚げあるよー。焼いたのも、そのままなのも!」

 

 

先程踊っていた狐巫女達が出てくる。そして舞殿にかかる階段に腰かけ、談笑を始めたではないか。

 

 

 

チャンスだ…! あいつらがどんな力を持っているかはわからないが、踊って疲れているのは確か。

 

俺達は、息を揃えて…!

 

 

「「「「その尻尾を寄こせぇ!」」」

 

勢いよく飛び出した。

 

 

 

 

 

「「「コンッ!!?」」」

 

石畳を蹴り、敷かれている砂利を踏み越えながら迫る俺達。それを見た狐巫女達は耳も尻尾もピンと張った。

 

逃げても構わねえ…! こっちは大人数だ。無理やり力で押さえつけて、毛を毟ってやる…!どいつも五本六本は尻尾がある。1人捕まえればこっちのもの…!

 

俺達はそう意気込む。 すると…狐巫女達は妙な行動をとった。

 

「「「助けて!」」」

 

そう叫び、こちらへ尾を向けたのだ。

 

 

 

逃げないとは実に好都合…! 俺達が手を伸ばした―、その瞬間だった。

 

 

「巫女を汚そうなんて不届き者…、イナリ様に代わって罰を与えたげるわ!」

 

どこからともなく聞こえる声。直後…!

 

ギュルッ! ブゥンッ!

 

 

はっ…えっ…!? 狐巫女達の、尻尾から…尻尾が詰まった根元らへんから…!触手や蜂が飛び出してきたぁ!!!?

 

 

不意を突かれ、まず数人がその毒牙にかかる。と、蜂に刺された連中の様子がおかしい。

 

「あば…あばばばばばば…」

 

まるで麻痺したかのように、倒れだした。これはまるで…!

 

嫌な予感を感じ、ハッと空飛ぶ蜂に視線を移す。それは、黄と黒の普通の蜂ではない。赤と緑の、毒々しい色をした…!

 

「『宝箱バチ』…!」

 

 

 

「なんだって…! 群体型ミミックの、あいつか…!」

 

俺の言葉に、残りの面子も俄かに慌て出す。が、遅かった。

 

「こーんなふわっふわでもっふもふな尻尾を刈ろうなんて輩、地の果てまで追い詰めてでも(くび)ってやるわよぉ…!」

 

狐巫女の内の1人、彼女に生える複数の尾の隙間から、スポンと顔をだしたのは上位ミミック。

 

瞬間、勢いよく伸びた触手が、次々と仲間を屠っていく…!あっという間に…死屍累々…。

 

 

 

ば、馬鹿な…!ミミックって箱に棲む魔物だろ…! 宝箱じゃなくとも、木箱とか、壺とか…!なのに…なのに…!

 

 

狐の…妖狐の、複数ある尻尾の隙間って…! それもう箱じゃないだろ…!!

 

 

なんだ…!?囲まれていて、ある程度密閉されてたらどこでもいいのか…!?箱判定なのか…!? なんだそのズル…!!

 

 

 

 

 

 

「さて、残りは貴方1人ねぇ?」

 

全員をなぎ倒し、上位ミミックはギョロリとこちらを向く。他の触手ミミックや蜂型ミミックもこちらをターゲットに定めてきた。

 

か、敵うわけない…! 俺は即座に回れ右、慌てて逃走を試みる。

 

「逃がさないわよ! お願いね!」

 

「はーい!」

 

と、背後からそんな声が聞こえてくる。思わずチラリと見やると…!なっ…!

 

 

狐巫女の尻尾から出てきた上位ミミックは、さっき拝殿の天井にあったような、長い紐付きのでっかい鈴…あの鳴らすやつに入ってる……だと…!

 

狐巫女はその紐部分を掴むと、思いっきりその場で回転し…!

 

「そーれっ!」

 

ミミックが入った鈴をぶん投げたぁ!? ひっ…!こっちに…!ひいいいいっ!

 

ガラァンッ!

 

 

ぐえ…ええ…頭に直…撃……。石畳にべちゃりと倒れる俺に、上位ミミックは一言。

 

「これぞ『お年玉』ならぬ『落とし球』ってね! 鈴だけど!」

 

 

 

 

 

 

 

「音を聞きつけて来てみたら…一体何が…!?」

 

と、そこに駆け付けたのは俺の友人。狐巫女3人に囲まれ、上位ミミックに潰されている俺を見て、驚愕の表情を浮かべた。

 

「実はねー…」

 

 

 

 

 

「あー…。えーと…できれば許してやってくれませんか…。そいつ、彼女に振られたばかりで自暴自棄になっちゃって…」

 

上位ミミックから説明を受け、気まずい表情でそう伝える友人。すると、狐巫女と上位ミミックの視線が俄かに同情の目に…。うぅ……。

 

と、俺の上に乗っていた上位ミミックが降りながら肩を竦めた。

 

「うーん…まあ、ビシリと言わせてもらうけど。自分の利のためにこの子(狐巫女)達を襲おうとするような後先考えない奴、女の子が愛想つかすのは当然だと思うわよ」

 

ぐはっっ……! 今日一番のダメージ…。 うぅぅ…ほんと、仰る通りです…はい…。

 

あの時も…酔いに任せて変なことしなければ…彼女がどんな反応するかしっかり考えてれば…うぅ…うううう…ぐすっ…。

 

 

「…あのー…。なんか可哀そうですし、この人は見逃してあげても…」

 

「そーお? まあ私も、ちょっと気が引けてきたし…」

 

涙を流した俺を見兼ねて、そう言ってくれる狐巫女達。本当、すみませんでした…。

 

 

 

 

 

友人に助け起こされ、俺は帰ろうとする。と、狐巫女達から耳打ちをされていたミミックが、急に呼び止めてきた。

 

「せっかくだし、おみくじでも引いていったらどう? 100G(ゴールド)だけど」

 

そう言い、自らが入っている鈴の中からニョッとデカいおみくじ筒を取り出すミミック。明らかに入るサイズじゃないが…。

 

あぁそうか…道中の甘酒売りの箱、あれミミック入ってたんだな…。だから小さいのにやかんが幾つも入ってたわけだ。

 

「やっといたらどうだ?」

 

友人にもそう言われ、引いてみることに。ガラガラと振って…出た。

 

「339番…」

 

「えーと…確かここに…あったあった!」

 

上位ミミックはまたも鈴の中を探ると、ごそっと紙束を取り出す。その内の一枚を引き抜き、手渡してくれた。

 

その中身は…ドキドキしながら開くと…。

 

「『凶』…!」

 

 

 

 

 

…まあそうだよな。大凶じゃなかっただけ有難いと思うか…。しょぼくれながらおみくじを仕舞おうとすると、上位ミミックが指さした。

 

「恋愛運とかも見てみたら?」

 

促され、チラリと見てみる。その文面は…。

 

【今のままでは見込み無し。心を改め変えるか諦めるが吉】

 

…う…。わかっていても心に…。 …ん?まだ続きが…。

 

【但し、かつての縁に微かなる希望有り。自らの罪を贖いに行くべし】

 

…!! これは…!!

 

 

思わぬ一文に色めき立ってしまう。と、狐巫女の1人が口を開いた。

 

「ついで待ち人の欄も見ておいた方が良いと思いますよ?」

 

その言葉に、弾かれたように目を移す。何々…

 

【今傍にいる友こそ待人也。失う前に最善の礼を尽くして歓待し、引き止めよ】

 

 

「…なあ」

 

俺は友人に話しかける。と、そいつは小首を傾げた。

 

「ん?なんだ?」

 

「…今日の飯、奢らせてくれ。高いのを食いに行こう。 …ありがとよ」

 

「は? ミミックに殴られて頭おかしくなったか? 気持ち悪いぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

冒険者の2人を見送り、舞殿の裏へと戻ってきた狐巫女達と上位ミミック。階段に腰かけ、先程食べかけた油揚げをモグリ。そして談笑しはじめた。

 

「助かりました~ミミックさん。おかげで尻尾が禿げずに済みました!」

 

「いーのいーの! 私達はその尻尾に入れるだけで役得なんだから! お年玉増額とか、イナリ様の加護増大より、その天然布団に潜っていられることが気持ち良くて!」

 

「ふふっ! それぐらいで良ければいつでもどうぞ!」

 

笑いあう狐巫女とミミック達。と、今度は上位ミミックから話を振った。

 

 

 

「それにしても、やるわね貴方達。あの傷心男にぴったりのおみくじを引かせる発想、凄いわ」

 

そう言いながら、上位ミミックは先程のおみくじ筒を取り出す。すると蓋がパカリと開き、蜂型ミミックが幾体か飛び出してきた。

 

実はあの男性に筒を渡す前、こっそりと蜂型ミミックが内部に侵入。狙いの一つだけが出てくるように抑えていたのである。

 

「あの人にはあの番号のがピッタリだと思いまして!」

「ちょっと騙した形ですけど、良いですよね」

「だって私達、『狐』ですから!」

 

そう言い、揃ってコンコン♪と鳴く狐巫女達。女狐ね、と上位ミミックはケラケラ笑った。

 

 

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