ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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はじまりの終わり。

因みに主人公のダイチは、作者が働く郵便局の先輩をモデルにしてます。名前は違うけど

ダイチと違いガンプラもそんなに巧くなくどんくさくて短気な班長にパシられるお人好しなのですが自分が仕事でへたこいたら笑ってフォローしてくれて、二次創作書の書き方とかを教えてくれた便利な……もとい愛すべき先輩です。

病的な特ヲタなのがたまにキズですが(笑)

つまり作者はアキラでありユナなのだ!
彼女いねぇけど(笑)



第9話 ししょーと弟子。そして、ご両親

月並みな事を言う様だが、人生と言うのは常に試練の連続だ。

 

バトル系少年漫画の様に、目の前の強敵を倒してもすぐにまたより強い敵が立ち塞がる。

 

ガンダム作品で例えるなら00ファーストシーズン最終回などまさにそれ。

 

黄金大使のMAを倒したかと思えば中から金ジムが出てそれも切り札を出しきってようやく仕留めたかと思えばまさかの乙女座の男襲来!

 

刹那はキレていいと思う。

 

 

現実でも、高校受験が終わっても大学受験や就職活動が待ち受け、無事に就職できたとしても、仕事では繁忙期やノルマ、私生活では結婚や子育てにマイホーム購入など、やるべき事には事欠かない。

 

だから、例え町中でJCに抱き着かれて通報されかけるという大ピンチを回避した直後であろうと、すぐに『そのJCのご両親に挨拶する』という高難易度ミッションが待ち受けていても決して狼狽えてはいけない。

 

 

……嘘。本当は今すぐ逃げ出したい。早くおウチに帰りたい!!

 

 

自宅から歩く事5分。再び商店街に戻ってきた俺とユナは、通りの端に構える喫茶店 (あかつき)の前で構える美人のお姉さんを遠巻きに眺めていた。

容姿から察するにユナの姉で間違いないだろう。正直、めっちゃお近づきになりたい。

 

「うわぁ、おかーさん店の前で待ち構えてる……やっぱり怒ってますよししょ~」

 

「えっ!? お母さん!!?」

 

どう見ても俺と同じ二十代前半にしか見えない美人をお母さんと言う我が弟子(中1)の爆弾発言に身を潜めているのを忘れ声を張り上げてしまう。

 

来月13歳の娘がいるという事は普通に考えたら若くても30代半ば、40代でも不思議ではない。あんな若々しいアラフォーとか、漫画やアニメの世界以外いる訳がない!

 

もしかして血の繋がらない後妻さん……いや、その割にはユナと余りにも似すぎている……。

 

「あっ、もしかしてししょーもお母さんの見た目に驚いてますか? 確かに普通のおかーさんよりちょっと若いですかね? 因みに年齢はししょーより5こ上の28歳です」

 

「28っ!!??」

 

12歳の娘がいる28歳って……一切のフォローの余地なく犯罪じゃねえか!?

 

リアルにガンダム00のイアン・ヴァスティじゃねえか!!?

 

ていうか28歳って普通に俺の守備範囲だよ! 人妻じゃなきゃ口説きにいってたよ!!

 

「…………なぁユナ? もしかして君のおとーさんって元ヤンだったりする?」

 

「えっ、おとーさんはごく普通のおじさんですよ? おかーさんとはちょっと歳離れて40歳ですけど」

 

「12歳差!?」

 

てことはつまり……27、8歳位の時に15、6の娘を嫁にしたって事か!?

やっぱり犯罪者じゃねえか! 全然普通じゃねえよ!!

 

「まあ、干支が同じだから同い年みたいなものですよね」

「全然違うよ!?」

「ゆ~~う~~な~~? さっきから店先でコソコソ、何してるのかな~~?」

 

っと、弟子のズレた価値観にツッコミを入れていたらいつの間にかユナ母に背後を取られていた!

 

うわぁ、間近で見るとやっぱり美人だな……ユナも将来こうなるのか? 

 

「お、おかーさん……お、遅くなってごめんなさい……」

 

「ゲームを始める前に約束をしたわよね? キチンと勉強とお店の手伝いをして、門限を守るって。遅れるなら遅れるで、せめて連絡する事だってできたでしょう?」

 

「ぅう……」

 

と、いかん。ユナ母の美貌に見惚れていたら普通に出遅れた。

俺は愛弟子を庇う様に前に出て、ユナ母に頭を下げた。

 

「あの、すみませんでした! ユナ……娘さんが帰るの遅くなったのは、俺が引き留めた所為なんです!」

 

本来なら17時半にはログアウトしたユナは、十分に余裕をもって家に帰れる筈だった。

 

彼女が門限を破ったのは、偶々ゲーム内で知り合った俺とリアルで再会したという驚きと、俺が00のブルーレイを渡す為に寄り道させたのが原因なのだ。

 

だから例え逮捕される事になっても、キッチリ謝罪してユナの潔白を証明せねばならない。

 

「そんな! 頭を上げてくださいししょー! 元はと言えば門限丁度にアラームかけた私が悪いんですから!」

 

「いや、GBNで18時が門限だって聞いてたのに失念した俺の責任だ。本当に、申し訳ありませんでした!!」

 

「し、ししょぉおおお~~~~!!」

 

俺のフォローに感極まって泣きながら俺の背中に抱き着くユナ。

気持ちは嬉しいが、より有罪(ギルティ)感が強まるので離れてくれるとありがたいのだが……。

 

「(じー)」

 

一方、ユナ母はというと口をはさんできた俺の顔……というか全身を隅々まで観察する様な視線を向ける。

 

一応、社会人として恥ずかしくない程度には身だしなみを整えている自負はあるが、やはりこの無駄にデカい身体つき陰キャとも陽キャとも判然としない中途半端な雰囲気は心証がよくないだろうか? 

 

クッ! イケメンに生まれていれば笑顔1つでユナ母を『ポッ♡』とさせて終わりなのに!!

 

「…………あの、失礼ですが貴方は?」

 

「あっ、申し遅れました。(わたくし)、この地域で郵便局で配達員をしているアカギ・ダイチと言います。ユナさ……ユウナさんとはGBNで知り合って、一緒に遊ばせてもらっていました」

 

「おかーさん、ししょーはね? 私が変な人達に絡まれてるさっそーと助けてくれたの! それだけじゃなくて、私がまた同じ様な目に逢わない様にちょーきょーしてくれるっていうとっても優しいなんだ!」

 

「いや調教じゃなくて指導な指導!! それ優しい人じゃなくヤバい人だから!!」

 

無垢な少女から飛び出た爆弾発言を全力で訂正する。

助けたJCを調教って、字面だけで逮捕待ったなしだよ!

 

「…………ふむ。――――なぁ~んだそういう事だったのね♪」

 

俺とユナの要領を得ない、というか誤解を招きかねない説明をひとしきり聞き終え、ユナ母はしばし思案顔をした後、何故か花が咲いた様な笑顔になり、俺の手を握ってきた。

 

「アカギさん、でしたね? 仔細は分かりませんが娘を助けていただいたというのは分かりました。どうもありがとうございます! ささっ、立ち話もなんですから、どうぞお店の中に入って入って! ユナ、お父さんに今日はもう早めにお店閉めて夕飯にしましょうって! ダイチさんも交えて“4人”で“今後”についてお話しましょう!」

 

「は~い!」

 

「はっ!? ちょっ、お、おお俺はユナさんを送りに来ただけで! も、もう帰りますからお構いなく!」

 

思いもよらぬ急展開に、俺は慌てて断ろうとするが、ユナ母は握った手を放さず、にっこり笑顔で微動だにしない。ていうか地味に力強いなこの人!

 

「え~、ししょーもご飯食べてってくださいよ~おとーさんのカレー、牛丼よりもおいしいですよ?」

 

「いや、きっとそうなんだろうけど流石に急にお邪魔するのはちょっとどうかと! 後日! 日を改めてという事で!!」

 

「我が家の家訓は『思い立ったが吉日』なんです♪ ダイチさんも覚えておいてくださいね? 今後の為に……」

 

いやぁあああ!

さっきっから何度も『にげる』をコマンドしてるのにキャンセルされる!

ボス戦突入! 大魔王からは逃げられない!!

 

 

・・・・・

 

 

喫茶暁は平日及び土曜は11時から22時。

日曜に限り朝7時から20時までが営業時間なのだが、今日みたいにお客さんがいない日曜は早めに店じまいする事が往々にあるらしい。

 

 

翌日月曜は定休日という事で、日曜の夜はもっぱら、余った食材の整理を兼ねたカレーやグラタンなどお店の残り物になるとかならないとか。

 

「ん~~♪ やっぱりおとーさんのカレーは世界一だね!」

「(にこっ)」

「うふふ、ユウナったら毎週のように食べてるのにいつもおいしそうに食べるわね。――ダイチさんはどうですか? 喫茶暁自慢のカレー?」

 

「ハイ、トッテモオイシイデス……」

 

今現在、俺はとってもアットホームな雰囲気で食事をするアサヒの食卓でカレーを食べている。

 

正直、緊張で味など分からない。

 

ストレスで極限まで弱った胃に、カレーのスパイスが染みる!

 

因みに場所は店内の4人掛けテーブルでユナ父とユナ母、俺とユナが向かい合って座っており、俺の前には2mを誇る巨体を誇る熊の様な巨漢――ユナ父が座している。

 

俺も身長185㎝と、大概の日本人よりはデカいという自負があるが、こちらはワールドクラス、そして本当に喫茶店のマスターなのか疑いたくなるマッスルバディだった。

腕周りなど、ユナの胴回り位の太さがある。

 

ああもうダメだ俺、絶対食後、このお父さんの剛腕でミンチにされるわ。

 

このカレーはきっと、せめてもの慈悲として出された最後の晩餐なんだ!

 

父上、母上、先立つ不孝をお許しください。カイ(弟)、

二人の事は頼んだぞ!

 

「…………(そわそわ)」

 

と、心の中で家族に別れを告げ覚悟を決めていると、熊……失敬、ユナ父は何だか落ち着かない様子でチラチラと俺と奥さんに交互に視線を向けた。

 

するとそれに気づいたユナ母は、フフ、と笑いながら答えた。

 

「ごめんなさいねダイチさん、主人ったら我が家のカレーがお口に合わないのか不安みたいなのよ。『お招きした上でお口に合わなかったどうしよう!』って言ってるわ」

 

「えっ!? あ、あの失礼ですがお父さ……ご主人、一言もしゃべってませんよ!? なんでわかるんですか??」

 

「おとーさんって強そうだけどとってもシャイで口下手だから、大体目で意思は伝えるんですししょー。私が最後に声聞いたのは……小学4年生の時かな? どんな声か忘れちゃいました!」

 

えっ、家族すら数年声聞かないってどういうこと!?

おとーさんミストバーンかなんかなの!? ……いや、アイツ結構お喋りか。

ていうかユナ、しれっと酷いこと言ってない?

 

「(ペコペコ)」

「主人が、『小心者ですみませんダイチさん。ユウナの父のゴウザブロウです。よろしく』ですって。あっ、因みに私はアキナです♪」

 

「い、いやお構いなく! よ、よろしくお願いします……」

 

「そして娘のユウナです!」

 

「いや、それはもう知ってるから」

 

何だか勢いで再自己紹介するユナにツッコミを入れ、少し緊張がほぐれた。

 

どうやらユナ父とユナ母は取敢えず俺を警察に引き渡したり殺して川に沈めたりする気はないみたいだ。良かった……。

 

「あっ、ところでいくつか確認したいことがあるんですが、ダイチさん、お歳は幾つです?」

「あっ、23です。」

「ご職業は郵便屋さん、でしたよね? 失礼ですが正社員で?」

「え、ええ、高卒から5年働いてます」

「そう! 民営化して久しいですけど、安泰の職場にお勤めなのね! なら問題ないわ!」

 

うんうん、と何故だか嬉しそうな顔をするアキナさん。

 

アレかな? 日がな1日ゲームに没頭して仮想世界でだけイキがってる廃人ゲーマーとかじゃなくて良かった~みたいなことだろうか?

 

まあ、確かに難しい年頃の娘を持つ親としては関わる大人に気を遣うよな。

 

「でも安心したわ~。流石に年上の男の人に『お義母(かあ)さん』って呼ばれたらどうしようって思ってたから!」

 

「すみません! ちょっと何言ってるか分からないです!!」

 

ちょっと掴めないところがあるけど美人で優しい女性だと思っていたらとんでもない事ぬかしてきたぞオイ!?

 

「えっ、あら、娘の面倒を見てくれるってそういう事じゃないの?」

「そういう事じゃありません! ていうかそういう事ってどういう事!?」

「違うんですかししょー!?」

「何故キミまで驚く!?」

「(アタフタアタフタ)!」

「ああ、すみませんお父さ……ゴウザブロウさん。急に声を荒げたりして」

 

天然か計算か、美貌と笑顔で爆弾発言をかます母と熊みたいな見た目でシャイな父。

 

そして思い込んだらトコトンな娘。

 

この家族、設定の味付けが濃過ぎだろ……。

 

 

・・・・・

 

 

「本当にごちそうさまでした」

「いえいえ、また何時でも食べに来てくださいね♪」

「あっ、はい……」

「おやすみなさいししょー!」

 

何とか通報もミンチも免れて店をでた俺は、総出で見送ってくれるアサヒ一家に何度も頭を下げて帰路に就く。

 

疲れた……。

偶の休日をのんびりゲームで過ごすだけだった筈なのに、仮想世界も現実も予期せぬイベントの連続で疲労感が凄まじい。

 

就職して5年。引っ越して1年。

 

良くも悪くも生活が安定し、平坦な日常を過ごしていた俺には些か刺激が強い1日だった。

 

「けど、悪くなかったな……」

 

心がかき乱されるのは、必ずしも悪い事ばかりではない。

 

留まった水の底が淀んでしまう様に、人は誰かや何かに関わって刺激を受ける事で心の鮮度を保つものなのだから。

 

やるべき事と多い。

 

これから俺のGBNはただ俺だけが楽しむのではなくユナを守り育てるという責任が伴うのだ。

 

上手くやれるだろうかという不安もあるし、GBN(こっち)に没頭し過ぎて日々の仕事や生活に支障をきたすわけにもいない。

 

しかしそれも含めて今日は、良い1日だったと思う。心から!

 

 




次回は少年ELダイバーの視点で描かれる幕間の予定です。
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