ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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いよいよユナのガンプラ製作開始。

雑談ですがビルドダイバーズの作中に出てくるパーツ成形機マジで現実にもほしいですよね?

モデラーにとっては正しく夢のマシン


第13話 プレゼント

「お待たせしましたししょー! アサヒ・ユウナ、ただいま到着したであります♪」

 

所変わって現実世界。

 

あの後も絡んできた何人かの野生のモヒカンを狩りつつ無事ミッションを達成した俺はマギーさんにお礼を言って15時50分頃にゲームを終了。

 

店先でセーラー服のまま直接来たユナと合流した。

何気に制服姿を見たのは初めてだったがウム、似合ってるな。

 

「ん、学校お疲れさん。そのまま来たみたいだけど財布は持ってきてるか?」

 

「はいっ! ――あっ、でも実は私今、そんなにお小遣い残ってなくてですね……」

 

「ムッ、それは失念していたな」

 

意気揚々とガンプラを作る事だけに思考を割いていたが、学生ダイバーにとって軍資金の問題は地味に重要だ。

 

ましてやアルバイトも出来ない中学生となると、金策の手段も限られてくる。

 

当たり前の話だが、ガンプラ作りには金がかかる。

 

それも塗装や改造など手間暇をかけた作り込みをすればするほどに、資材や工具などに資金を費やさなければならない。

 

その金額は俺の様に安月給とはいえ、一応稼ぎがある社会人なら然程のものではないから完全に見落としていた。

 

「……ユナ、差し支えなければ手持ちがいくらか教えてもらっても?」

 

「は、はい。……これくらいです」

 

ユナの許可を貰って彼女の折り畳み財布の中身を確認。

 

ふむ、ここから数回分のGBNプレイ料金を差し引くと……キットを1個買う位なら問題ないが、工具や塗料を揃えるのは厳しいかな?

 

「ナドレは確か、ガンダムベース(この店)で作ったんだよな?」

 

「ハイ。ガンプラと墨入れのペンだけ買って、カオリお姉ちゃん――お店で働いてるお姉さんに教わりながら作りました」

 

カオリお姉さん……って、何かにつけて俺を通報しようとしているあのニシカワさんのことかな? 本当に可愛がられてるみたいだなユナ。おかげで俺の社会的地位は危ういけど。

 

「ししょー、やっぱりキチンとガンプラ作るなら、自分の道具とか揃えた方がいいんですよね?」

 

「そうだなぁ。工具も基本、良い物だとそれなりに値は張るし、何より塗料は色の種類の数だけ必要になるからな。――けどそれに関しては考えてあるから取り敢えず今日はエクシアだけ買うぞ」

 

「分かりました!」

 

根がどこまでも素直なユナは俺が『工具は事は気にするな』と言ったら本当に歯牙にもかけず00系のキットが陳列された棚に突撃する。

 

いや、聞き分けがいいのは良い事なんだろうだけど、この娘マジで将来変な奴に騙されたりしないか心配だ……。

そういうところも含め、面倒を見てこその師匠なのだろうが。

 

俺はそんな猪突猛進娘に続き、00の棚を一瞥。

 

棚の上には、完成したキッドが展示されており、その出来は購買意欲を刺激する為にスミ入れなどの最低限度の作り込みでありながら、作り手の技術力の高さを感じさせる。

 

「ししょー、エクシアを無事確保しました! 会計澄ませてきます」

 

「あっ、すまんユナ。言い忘れていたが今日君が買うのはエクシアはエクシアでもこっちの方なんだ」

 

ついつい展示作品に魅入って大事なことを言い忘れていた俺は慌ててユナの持つ【HGガンダムエクシア】のキットを棚に戻し、セカンドシーズンなどが並ぶ棚に陳列された【HGガンダムエクシアリペアⅡ】を代わりに渡した。

 

「??? ししょー、こっちも同じエクシアじゃないんですか??」

 

パッケージイラストを凝視するユナが、もっともらしい疑問をなげかける。

まあ、初心者にエクシアとリペアⅡの違いは分かり難いわな……。

 

「ああ。2期をまだ見終わってないユナにはちょっとネタバレになるんだけど、こっちのエクシアは2期1話でボロボロになってたエクシアが修理されてた上、最新技術でパワーアップした奴なんだ。ホラ、よく見ると右手のGNソードの刃も違うし、コードも出てないだろ?」

 

「お~! じゃあ元のエクシアより強いってことなんですね!」

 

箱のイラストや側面の完成写真などをマジマジと眺め、目を輝かせるユナ。

 

その捉え方はまあ凡そ間違ってはいないのだが、後学の為、俺は一応の注釈を入れる。

 

「あくまで“物語の設定上は”って話だけどな? リペアⅡはエクシアの象徴である7本の剣(セブンソード)を3本に整理して、代わりにスラスターを増設してるから、“ユナの作りたいガンプラ”に限って言えば、こっちをベースにした方がいいんだよ」

 

まあぶっちゃけランナーの都合でリペアⅡ(コッチ)のキットの中にも普通にGNブレイドとか入ってるんだけどね。

 

そういう何とも言えない大人の事情が垣間見えるのも、ンプラの醍醐味……と呼べるかな? 余ったパーツもそれはそれで改造用のパーツになるし。

 

「流石ししょー、べんきょーになります! それじゃあ早速ここの制作スペースで作りますね!」

 

「ああ待った。その前にししょーからかわいい弟子にプレゼントがあるんだ。えーと、ニシカワさん、でしたっけ? この【パーツ成型マシン】今使っても大丈夫ですか?」

 

俺は相変わらず片手にスマホを持ったまま疑惑の眼差しを向け続けるお姉さんに声をかける。

 

「えっ、あっはい大丈夫ですよ? 初めて使うならやり方教えましょうか?」

 

「助かります。このダイバーギアに登録したオリジナルパーツを成形したいんですけど」

 

それから俺はニシカワさんの手ほどきを受けながら成型マシンのPCとダイバーギアを繋ぎ、パーツデータを出力。

 

すると成型機の上部にあるタンクから白いプラスチックのビーズが消費され、3Dプリンターによって、データ内のオリジナルパーツがランナー状態で射出された。

 

「ししょー、これって……?」

 

「昨日、作りたいガンプラのノート見せてくれただろ? その内容を参考に、ユナが来るまで稼いだポイントで作ったんだ。――た、多少アレンジを加えたから完全にそのままじゃないし、気に入らなかったら使わなくてもいいぞ……?」

 

可愛い弟子にサプライズプレゼントと思って独断でやったが、今思うと少々押しつけがましかっただろうか?

 

成形したてでほんのり熱が残ったランナーを手に取って俯くユナの感情が読めず、俺はオロオロする。すぐ横にいるニシカワさんの表情もちょっと戸惑いが見える。

 

「っ! 気に入らないわけ、ないじゃないですか!! ししょーが私のこと考えて作ってくれた世界に1つしかないパーツとか、嬉しいに決まってますよ! 私まだ誕生日じゃないのに奮発し過ぎです! わああああん!」

 

と、しくじったかと狼狽えていた俺にユナは涙目になって抱き着いてきた。

 

どうやらサプライズは成功だったらしい……というか、想定の3倍くらい感激されて逆に戸惑う。――ハッ! ニシカワさん違うんですこれは! お巡りさん呼ばないで!!

 

店内でまたしてもJCに抱き着かれるという限りなくイリーガル(犯罪臭い)な状況になり慌ててニシカワさんの方を向くが、意外にも彼女はスマホをしまい、感心した様な表情を見せた。

 

「ユナちゃんのガンプラの先生っていうのは本当なんですね。そのパーツ、【シャイニングガンダム】の腕をベースにエクシアに規格を合わせたオリジナルですよね? 結構ポイント消費したんじゃないんですか?」

 

「そうなんですか!?」

 

「い、いやそうでもないぞ? 思いがけず大量にポイントゲットできたし」

 

心の中でこのパーツを作る為の糧となったモヒカン共に感謝と哀悼の意を送る。

 

ありがとうモヒカン。

サンキュー棘付き肩パット。

お前らの犠牲により、俺の世界一可愛い弟子は喜んでくれた。

JCの笑顔の為に散ったと思えば、まんざらでもないだろう?

 

「ししょー、本当にいいんですか!? ししょーだってゼロクアンタを強くしたいって言ってたのに私だけこんな……。それに前に仰ってたじゃないですか! 『ヘタクソでも良い。自分のガンプラは自分で作る事』って!」

 

「いいんだよ。実際これからそのパーツを使って組むのはユナなんだし、何にも手を出さなきゃそれこそししょーの名折れってもんだ。俺の顔を立てるつもりで遠慮なく使ってくれ」

 

俺はあらかじめ説いた『ししょーと弟子のお約束条項』を提示し心苦しそうにするユナに、やや屁理屈と詭弁を織り交ぜて言い包めさせて貰った。

 

ガンプラ作りや戦い方を教える立場上、“厳しいししょー”というスタンスでありたいが、それはそれとしてこの可愛くてしょうがない愛弟子に少しでも喜んで貰いたいという思いもある。――要するに、俺が勝手にやった自己満足にユナを突き合わせているのだ。

 

……これって援助交際、じゃないよね?

 

「うぅ……ししょー! 私絶対、いいガンプラ作りますね! ししょーがくれたパーツに恥じない、立派なガンプラをいっしょーけんめい作ります!!」

 

「ああ、完成楽しみにしてる」

 

俺は泣きじゃくるユナの頭をわしゃわしゃと掻き、期待の言葉を送る。

 

本当の事を言えば、別に最初の内は上手くいかなくたって良い。

 

ただ純粋に、自分のガンプラ作る喜び、それを動かす楽しさを知って貰えばいいと思っているが、決意に水を差すの無粋だろう。

 

「……良かったわねユナちゃん」

 

チラリとニシカワさんに視線を向けるとどうやら“根も葉もない誤解”は無事解けた様で、心なしか俺に対する視線がほんのり好意的になった気がする。

 

もしかして、惚れられた?

二十歳前後の模型屋のお姉さんとフラグ立った?

ふふっ、まいったな……。まあ俺もアイツと別れて5年だし、そろそろアリ、かな?

 

「ししょー! 私早くガンプラ作りたいです!」

 

と、邪な雑念に意識を引っ張られかけた俺だったが、ユナの散歩をせがむ子犬の様な眼差しでそれを振り払う。

 

時計を見れば既に17時過ぎ、あまりのんびりもしていられない。

 

「じゃあ早速俺の部屋で製作開始だ! 塗料も工具もひと通り揃ってるから安心しろ!」

 

「はーい♡」

 

「えっ、ちょっと待ってユナちゃん。その話お姉さんに詳しく」

 

制作に必要な物も揃え、意気揚々と店を出ようとした俺達を、真顔になったニシカワさんが引き留める。

 

何故だ?

何もおかしなことを言っていない筈だが?

 

「? どうかしたのカオリおねーちゃん?」

 

「えっとね。ユナちゃん、これからその人のおウチに行くって聞こえたんだけど、おねーちゃんの聞き間違い、だよね?」

 

「?? 違くないですよ? それが何かおかしいんですか?」

 

物凄く深刻な表情で詰め寄るニシカワさんに対し、ユナはきょとんとした顔で応える。

 

正直、俺にも何が問題なのかまるで分からない。

 

「何がって……ちょっとアカギさん! 貴方独身ですよね? こんな時間帯に女子中学生を家に連れ込んでナニしようって言うんですか!?」

 

「いや、何って普通にガンプラ作るだけですけど……なぁ?」

 

「はい♡ あっ、その前に一旦ウチに寄っていいですかししょー? おかーさんに頼んで何かお夕飯用意してもらいましょう」

 

「おっ、いつも悪いなぁ。それじゃあ夕飯の時はまた00の続き一緒に観るか?」

 

「ハイ♡」

 

「えっ、ちょっと待って? もしかしてもう何回も行き来してる? というかご両親公認?? そこはかとなく感じる生活感は何? ――やっぱり、今すぐ通報を」

 

「ワアアアアアアアつ!! ちょっ、ストップ! やめてニシカワさん!! 誤解だから! 何もやましい事もヤラしい事もしてないから!!」

 

「嘘っ!! 一瞬ガンプラが好きな普通に良い人だと思ってたけど! やっぱり違った!! 近寄らないでくださいこのケダモノ!! 社会の敵! 世界の歪み!!! 顔面が残念なシャア・アズナブル!!!」

 

 

どういう訳か一度解けかけた誤解はより捻じ曲がった形で深まり、涙目で俺をボロクソに罵倒する。何故だ!?

 

その後、20分かけて何とか誤解を解いた俺はユナと共にガンダムベースを後にしたが、別れ際彼女から耳元で『店内ではこれからも監視してますから。少しでもあの子に変なことしたら、即通報します』と、それはそれは冷たい声で釘を刺された。

 

こうして、俺の人生における《ニシカワさんルート》のフラグは見事にへし折られるのだった。

 

アカギ・ダイチ23歳社会人、現在絶賛彼女募集中。

 

 

 

 




ダイチはここ1週間のユナとの交流で『自分(独身独り暮らし)の部屋にユナ(JC)を連れ込むことが道徳的にまずい』という感覚が麻痺しています。

ある意味、ユナに攻略されかけている感じ。

タイーホ街道まっしぐら!

【ニシカワ・カオリ】
ダイチとユナが利用するガンダムベースで働く女性。20歳。
元々隣町の別店舗のアルバイトとして入ったが、丁寧な接客とガンダム作品に対する理解力を見込まれたバイトリーダーに抜擢された。
正義感が強く。店内で女子中学生が変な男(ダイチ)と親しげに話していたら通報も辞さない。
ユナとは家が近く、彼女からは『優しい近所のお姉さん』と懐かれている。
一方、ダイチの事は可愛い妹分を誑かす変質者ではないかと疑いの眼差しを向けている。
ガンプラの制作技術はかなりのもので、店内にあるレンタルガンプラは殆ど彼女の作品。
実は高校時代の友人とフォースを結成しているが、現在は大学やバイトが忙しく、なかなか集まれないのが悩みの種。SDガンダム推し。

多分、この作品のオリキャラ達の中で数少ないまともな人物(笑)
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