ガンダムビルドダイバーズ REBOOT 作:キラメイオレンジ
私、アサヒ・ユウナにはししょーがいます。
悪い人達に絡まれたところをさっそーと助けに来てくれて、何もできず、分からない私に戦い方を教えてくれると言ってくれた宇宙一優しくてカッコいい、ダイチししょーが。
「うっ……うぅ……ししょー……」
「だからもう泣くなって……ああ違うんですよ奥さん! 僕らは親戚同士で、ちょっと喧嘩しちゃっただけっていうか! とりあえずその手に持ったスマホをしまって話を聞いて! 俺は無実! 俺は無実なんですよおおおおおっ!」
ししょーは何時だって私に優しい。
今日も私のガンプラ選びに色々アドバイスをくれたのを始め、私のガンプラの為にポイントを貯めてパーツをプレゼントしてくれたり、道具を持ってない私の為にお部屋の合い鍵や作り方をまとめたノートまでくれた。
そしてそれが凄く凄く嬉しくて、けどそんなししょーに何もお返しできないのが悲しくて泣きだしちゃった私に『傍にいてくれるだけでいい』なんて嬉しくなる事を言ってくれた。
そして今も、どうしても涙が止まらない私の手を引いてウチまだ送ってくれている。
繋いだ手はちょっと冷たかったけど、だからこそ、せめて私の掌の温度であっためてあげたいと思った。
私の中で日事どんどん募っていく、ししょーへの熱で。
・・・・・
「うぅ、おかーさん、ししょーがっ! ししょーがあああ~~!」
「アラアラアラ? もしかするともうシたの!? ウチの娘となさっちゃったんですかダイチさん!? 私、二十代でおばあちゃん!?」
「アンタ目を爛々と輝かせながら何とんでもないこと言ってんだ!!? 違っ、違うんですご近所の皆さん! だからその手に持ってる包丁とか金属バットはしまって!! 警察も呼ばないで!」
なんでかは分からないけど逃げる様に帰っていったししょーを見送った後、私は何故か目をキラキラさせたおかーさんの胸に顔をくっつけながら、今日の事を話した。
ああ、フカフカであったかくて気持ちイイなぁ。
おかーさんの娘って事は、私のまだそんなに膨らんでない胸も、将来大きくなるのかな?
……ししょーも、やっぱり大きい娘が好きなのかな?
ちょっと前まではなるべく大きくない方が動きやすくていいと思ってたけど、おかーさんと始めてあった時ししょーの視線が何度もおっぱいに向いてたのに気づいて以来、私はそれが気になって仕方ない。
ししょーがガンダムで1番好きって言ってた00も、おっぱい大きい女の人が多いし。
他にも、髪が長いのと短いのどっちが良いのかとか、女の子がどんな服装だと嬉しいかとか。
ガンプラと関係ない事を聞いて『そんな不真面目な弟子は破門だ!』って言われるのが怖くて聞けないけど……まあ、ししょーは優しいからそんな事言わないんだけど。
「ふむふむ……アラ残念。やっぱり見た目通り小心者なのねぇダイチさんって」
「ししょーは小心者じゃないもん!」
話を聞き終わった後、なんでかガッカリしたおかーさんに私は怒った。
どうして小心者なんて言ったかは分からないけど、ししょーの悪口を言われると、ガマン出来なくて仕方ない。
今は遠くに引っ越した大親友の【ミナちゃん】が『腹黒』とか『性格ブス』とか『女大魔王』とか、とにかく酷い事を言われた時も、ガマンが出来なかった。
自分でも分かっているけど、私は時々、大好きな人達の事になると抑えが効かなくなるところがある。
おとーさんやおかーさん、ミナちゃんに……ししょー。
私の事を大切にしてくれて、私がとても大切にしている人達。
その人達の為なら、何だってしてあげたいって思う。
困っていたら力になりたいし、悲しそうにしていたら一緒に泣いてあげたい。
そして悪く言われたりすると、胸の奥がカアって熱くなって、飛び出してしまう。
昔、その事をおかーさんは『それはユウナの1番いい所で、1番困った所ね』と言われた。
けど私が『ならなおした方がいいのかな?』と聞いたら首を横に振ってこう言った。
『だってそれは、ユウナの1番大事な気持ち――大好きからくる気持ちなんでしょう? だったら、無理に抑えなくたっていい。少なくとも私やおとーさん、多分ミナちゃんも、ユウナが大好きを爆発させて困ったことしても、多分嬉しいって思うから♪ もっと困らせてって思うかも』
「そうなの?」
『そうよ。だってユウナは、例えばミナちゃんがユウナの事を悪く言う人に殺……喧嘩しても、その事を咎めたりしないし、ちょっと嬉しいんじゃない?』
「…………うん」
暴力はいけない事だし、ミナちゃんはお嬢様なのにちょっと喧嘩っ早い所があるけど、私はきっと、そんなミナちゃんの気持ちが嬉しくてギュって抱きしめちゃうと思う。
『フフ、つまりそういう事。ユウナが大好きに答えてくれる人――困った事も受け止めてくれる人になら、どんどん気持ちをぶつけていいのよ♪』
私の大好きを、困ったを受け止めてくれる人――ししょーは、どうだろう?
・・・・・
「おじゃましまーす……」
次の日の朝8時、私はししょーから貰った合鍵で、ししょーのお部屋にお邪魔した。
ししょーのお部屋は今日も片付いていて、消臭剤の残り香がする。
部屋の角にある作業机の上には昨日置いて帰った作りかけのガンプラと、私への書置きがあった。
《寒いからしっかり暖房を付けて、けど換気もしっかりするように。 冷蔵庫の中の飲み物やおかしは好きなだけ食べていい。ガンバレ! ししょーより》
「……ししょー♡」
昨日たくさん泣いた変な子の私にも、ししょーはいつもと同じ優しい気遣いをしてくれた。
私は思わず書置きをギュってした。
最近、ししょーがくれた物の全部が宝物に思えてくる。
コレ、持ち帰っても大丈夫だよね?
ししょーの気持ちに応える為に、私はガンプラ作りを開始した。
・・・・・
時間は午後1時を少し回った頃、ようやく作業がひと段落した。
お仕事中のししょーになるべく迷惑をかけないよう、何度もノートを読み返して何とか連絡を入れずに作業を続けられた。
今はスプレーで塗装したパーツをベランダで乾かし中。
私はおかーさんに作って貰ったサンドイッチとコーヒーでお昼ご飯を摂った。
ししょーの丁寧なノートのお陰で予想以上に順調に進んだ。
明日にはししょーと一緒にGBN♪
「ふぁ……ちょっと眠い」
食後の満腹感と、
頭がモヤっとして、ノートの中身が頭に入ってこない。
「少しだけ、寝に帰ろうかな……」
1時間くらい仮眠をとっても門限までには完成できる目途がたった私は、一旦家に蹴ろうと立ち上がるけど、そこで不意にししょーのベッドに視線が止まった。
ししょーのベッド、ししょーがいつも寝てるベッド……。
ベッドから微かに感じるししょーの匂いに惹かれた私は、いけない事だと思いつつ、吸い込まれる様に、私はベッドに潜り込んだ。
「スー、ハー……はふ~~~♡ ししょーの匂いぃ~~♡」
お布団の温かさと、部屋の中では消されちゃったししょーの匂いが沁み込んだ枕やお布団に包まれて、私は蕩ける様な心地良さに身を委ねた。
焼き立てのパンからするバターの香りとか、アロマの香りみたいないい匂いとはちょっと違うんだけど、嗅いでると何だかとても落ち着いて、だけど何だか、体がうずうずするような不思議な感じがする……。
ししょーに抱きしめて貰ってるような心地よい感覚に身を委ねて、私はそのまま眠りについた。
・・・・・
「んん~ ししょぉ……♡」
16時丁度。
スマホのアラームに起こされた私はすっかり病みつきになったししょーの匂いと断腸の想いでお別れして起き上がり、作業を再開。
塗装が終わったパーツを組み上げて、スミ入れ作業をし、最後につや消しスプレーをかけて……完成!
私の頭の中で描いたイメージとガンプラ、ししょーがくれたパーツと工具・塗料とノートで完成させられた世界に1つだけの私だけのガンプラ。
私とししょーの、愛の結晶……♡
心の底から嬉しさがこみ上がる。
1つの物を作り上げた達成感と、私とししょーの想いが1つになった様な、愛しい気持ち。
30分位うっとりと眺めた後、私は完成の報告とエクシアのフォトをLINEで送り、使った道具の片づけを済ませて、お部屋を後にした。
ししょーは今頃、夕方の配達かな?
お仕事の邪魔はしたくないけど、早くメッセージを見て返信して欲しい。
1人で頑張って作ったのを褒めて欲しい。
沢山よくしてもらったのは分かってるけど、ししょーからの返信が待ち遠しくて仕方ない。
家のリビングでスマホとガンプラを交互に観ているとおかーさんに怒られて、お風呂に入ったけど、脱衣所に置いたスマホが気になってしょうがない。
そうしてずっと落ち着かない気持ちで身体を洗っていると、待ち望んでいたLINEのメッセージ受信音がなった。
私は泡だらけの身体で脱衣所に飛び出して、スマホに送られてきたししょーからのメッセージを見た。
《愛は愛でも師弟愛な? おめでとう!》
送られてきたメッセージにはお祝いの言葉と別に何だか釘を刺す様な一言が入ってました。
ししょーは私の事を『可愛い弟子』って言ってくれる。
それは凄く嬉しいんだけど、どこか“可愛い”より“弟子”に力を入れてる様な気がして、そう思うと少し胸がチクっとして、かなしかった……。
ししょーは、私がまた変な人に襲われても大丈夫な様にする為の戦い方と、それまでの間私を守ってくれる為に弟子にしてくれた。
つまり、それはただの親切で、私もそれは分かってるつもりだった。
だったけど……ししょーは私が思っているより、何倍も、何十倍も優しかった。
門限を破っておかーさんに怒られそうになった私を庇ってくれた。
送ったLINEの返事が返ってこなかったときやロックオンが死んじゃった話を見て、お部屋の前で泣いてた私を、嫌な顔1つせずに慰めてくれておウチに入れてくれた。
貴重なお休みを使って貯めたポイントで、私のガンプラの為のパーツを作ってくれた。
ガンプラを作るのに必要な道具とか、作る場所の為に自分のお部屋の合鍵までくれた。
そしてそれが嬉しくて、嬉し過ぎて泣いちゃった私を慰めてくれた。
こんな、気持ちが爆発すると抑えがきかなくなっちゃう変な子の私に、ししょーはいつだって優しくしてくれる。
でも私は、そんなししょーに優しくされればされるほど、ししょーに対する気持ちがどんどん大きくなって、抑えがきかなくなっちゃう。
こんなんじゃいつか……優しいししょーも、愛想つかしちゃうよね……?
ううん、本当はもう、私の事なんか嫌いになっちゃったかな?
「うぅ……やだよぉ……」
想像しただけで涙が出てきた私は、たまらずにスマホを操作してししょーに、昨日の事へのごめんなさいと、これからも一緒にいていいですかって尋ねた。
きっとししょーは『いい』って答えてくれる。例え本心じゃなくても……。
それがわかった上で私は、ただ自分が安心する為だけにこんなズルい質問をした。
だけど返ってきたししょーのメッセージはそんな私の想像以上の言葉だった。
《弟子がししょーを困らせるなんて当然だろ? これからも遠慮せずいっぱい困らせろ。俺にとってそれもGBNをやる楽しみだ》
「――っ!!」
それは昔、おかーさんが私に言ったくれた言葉にピッタリ重なるものだった。
『ユウナが大好きに答えてくれる人――困った事も受け止めてくれる人になら、どんどん気持ちをぶつけていいのよ♪』
ししょーは、受け止めてくれる人なんだ!
私が大好きをぶつけても、困らせても、向き合ってくれる。
おかーさんやおとーさん、ミナちゃんと同じ……。
ししょー、ししょー! ……ししょー♡
ずっと裸でスマホを弄っていた筈なのに、胸の中が温かくなって、なんでか身体がムズムズした。たまらなくなった私は、♡マークをいっぱいつけた意味のないメッセージを送った。
そしてお風呂から上がった私は、
ししょー、今は何のお返しも出来ない不束者で、ガマンがきかない弟子ですけど、これからも末永くよろしくお願いします♡
ダイチが無自覚の内にどんどんヤベェ奴になっているのと同じ様に、ユナはユナでどんどんヤバい娘になりつつあります。
後、作者的な捕捉として誤解されない様に捕捉すると、ユナは非常に『愛が重い娘』ではありますがヤンデレではありません。
有り体に言えば、彼女は『
相手への好意が高まり過ぎて精神的に病むのではなく、相手の事を思えば思う程に太陽のように燃え上がってしまい、相手(この場合ダイチ)をうっかり焼き尽くしてしまう。
ぶっ壊れているという点では変わらない模様(笑)。
【アサヒ・アキナ】
ユナ=アサヒ・ユウナの母親で28歳。ダイチ達の暮す商店街で夫のゴウザブロウと喫茶
ユナがそのまま年齢を重ねた様な美人で、スタイル抜群(Fカップ)。ご近所のおじさんや近隣の男子学生からも人気が高い。
14歳の時、友人と都心部に遊びに行った時に暴漢に襲われた際、偶然通りかかったゴウザブロウ(当時26歳)に救われたのをきっかけに彼に一目惚れ。
総合格闘技のホープとして将来を嘱望されていたが事故で選手生命を絶たれ、生きがいを見失っていたゴウザブロウを無理矢理店に引っ張り従業員として雇う。
そして1年に及ぶ猛烈なアタックで歳の差を気にするゴウザブロウを篭絡し、16歳でユナを出産。尚、高校は辞めずに両親(ユナの祖父母)の力を借りて学業と子育てを両立させてキチンと卒業させた(学歴はどうでもよかったが、ゴウザブロウが『自分が手を出した所為でアキナの青春を台無しにした』と悔やまない様に)。
ユナの容姿と好きになったらトコトンな性分は母親譲り、但し性に対して無自覚気味な娘と比較して、当時から割と腹黒で肉食系だった。
優しくて強く、一方で口下手でシャイな夫を世界一カッコイイと今も本気で思っており、人前では控えているが今もラブラブ。ガタイがよくて小心者そうなダイチも夫程ではないが割とタイプと認識している。
ユナが自分と似た様な経緯でダイチを連れてきた時は運命だと確信し、まだ色恋に無自覚な娘を『どんな手を使っても』サポートしようと目論んでいる。
後、そろそろ2人目が欲しいと夫におねだり中。勿論孫もウェルカム。
尚、先代の喫茶暁の店主夫婦である両親は現在隣町で開店した2号店を経営中。ユナ祖父の年齢は65歳で、ユナ祖母の年齢は44歳。
この一族の女性は、大体似たタイプの男を好きになり、早婚の模様……。
実は作中トップクラスにやべぇ人(笑)