ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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連戦ミッション完結!

前回は弟子が頑張ったので今回はししょーが気張ります!

後、12月は仕事の繁忙期が始まるので前月にくらべかなり投稿ペースがおちると思います。ごめんなさいm(_ _)m

なるべく週1、2回は更新したい所存。


第20話 天上人の軌跡④

「ユナは取敢えずアキラたちのいる場所まで下がって消耗した粒子の回復に専念しろ。あの金ピカ大使は、俺が駆逐する!」

 

『ししょー!』

 

GN-X部隊の殲滅でスーパートランザムを時間いっぱいまで使い、GN粒子を殆ど使い切ったユナに待機を命じ、俺はそれまで後方支援に徹していたゼロクアンタガルムを前面に出した。

 

理想を言えば、折角の対MA(モビルアーマー)戦闘の経験も積ませてあげたかったがあそこまで疲労しているのでは仕方ない。

 

ここは1つ、ししょーのカッコイイ所を見てもらうとしようか!

 

『ゼロクアンタガルム、目標を狙い撃つ!!』

 

00におけるお決まりの名台詞を吐くと同時にGNキャノンを最大出力にして発射。

 

しかし案の定、アルヴァトーレはその巨体を包む金色のGNフィールドによって阻まれてしまい、本体の金ピカボディには傷一つ付かない。

 

まあ、俺も始めから分かった上であいさつ代わりにかましただけだけど、改めて実物(ゲームの中だけど)と対峙するとその巨体もさることながら、防御力の高さに辟易する。

 

一方、こちらの最大出力の砲撃を『今何かした?』という態度で防いだアルヴァトーレは、反撃とばかりに側面と機首にある全24門のビーム砲に8基のGNファング。

 

計32門という冒涜的なまでの超火力で反撃してきた。

 

俺はゼロクアンタを一旦下がらせつつ回避運動を取る。

 

その圧倒的粒子量に物を言わせた大火力は圧倒的と呼べるものだが、巨体ゆえに旋回スピードは遅く、攻撃パターン単調で大味。

 

冷静に落ち着いて動きを見ればそれこそDランクダイバーにだって対処可能だろう。

 

問題は、こちらの砲撃もまたアルヴァトーレの高出力なGNフィールドを突破できないという点だ。

 

トランザムを使い全粒子を砲撃に回せば、出力に物を言わせてフィールドを突破すること自体は可能だろうが、その上であの無駄にデカい巨体を沈めらるかは微妙なところか。

 

俺は(やっこ)さんが放つビームの雨を潜り抜けながら、何度かGNキャノンで攻撃してみるが、やはりフィールドを突破するには出力が足りない。ついでに対GNフィールドの切札である実体剣(GNソード)も手元にない。

 

だが、敢えて言わせてもらおう。

 

それがどうしたと!

 

――敵を殲滅する大型火器が欲しい。実体剣が欲しい。

――PS(フェイズシフト)装甲があれば! ナノラミネートアーマーであれば!

 

戦場におけるない物ねだり程、無意味で愚かな事はない。

 

偉大なメイジン・カワグチが言ったようにガンプラは自由であり、その改造にもまた限りなく無限に近いパターンが存在する。

 

しかしそれは同時に、星の数ほど存在するビルディングパターンから、たった1つの答えを導き出さなければならない事を意味する。

 

選択とは『選ぶ事』だけではなく『選ばない事』も含むのだ。

 

どれだけ優れたガンプラビルダーであろうと、あらゆる局面で優位に立てる“万能のガンプラ”など作ることは適わない。

 

皆、選び取った装備や機能という“強さ”を背負うと同時に選ばなかった“弱さ”を背負い、戦場に立つのだ。

 

「装備の不足は技量と工夫で補う。それこそがファイターの気概ってもんだ!!」

 

俺はゼロクアンタをアルヴァトーレの下方に移動させ、発射角の都合上、攻撃できない上部及び側面のビーム砲の砲火から避難する。

 

大型MA戦闘の基本は、懐に飛び込み、搭載火器の死角に潜り込むことだ。

 

俺は追尾してきた大型鈍重なGNファングをキャノンとビームサーベルで片付けつつ、こちらに狙いを定めてきた、蛇頭の様に可動してこちらに狙いを定めようとする大型ビーム砲頭に向け、ビームダガーを投擲し破壊する。

 

対艦戦闘向けの火器でMSを仕留めようなんて、Dランク対応にしてもマヌケ過ぎるぜ!

 

そして、迎撃火器を破壊尽くした上で、格闘専用に搭載されたアームや脚部でも届かない機体の腹部に取りつき、攻略に打って出る!

 

「トランザム! GNフィールド、最大出力!」

 

機体内部のGN粒子を解放し、(あか)く染まるゼロクアンタ。

 

俺はGNフィールドを展開したシールドを前面に向け、アルヴァトーレが展開する金色の粒子フィールドに直接ぶつけた。

 

GNフィールドVSGNフィールド。

 

流石に7つの炉に物を言わせた莫大な粒子量に物を言わせたアルヴァトーレのフィールド出力はトランザムを以てしても及ばずフィールドを突き破る事は難しい。

 

だがそれでも、2つのフィールドがぶつかり合う接触部は互いの削り合いで防御膜が薄くなる。俺はそこへ、キャノンの砲身を強引に捻じ込み、引き金を引く。

 

「圧縮粒子完全開放! 堕ちろ!!」

 

フィールドの内側から零距離で放った極太の粒子ビームが、アルヴァトーレ体を貫通。

 

巨体のあちこちが爆発し崩れる中、俺は後方へと対比して巻き添えを避けつつ、現在の機体状況を確認した。

 

出力に勝る相手に体当たりを仕掛けた事で左肩のシールドは表面が潰れ、GNフィールドの再展開は不可能。

 

干渉させて弱体化させたとはいえ、強引にGNフィールドの中に突っ込んで上に3倍出力の零距離射撃を強行したGNキャノンも砲身がひしゃげ、鈍器として位した使えない有様になってしまった。

 

ついでに、最大出力での(攻撃+防御)×トランザム(3倍化)という荒業は当然の帰結として粒子をドカ食いし、現在の粒子残量は2割を切っている。

 

控えめに言って、満身創痍という奴だ。

 

『やりましたねししょー! 流石です!! あんなに大きなヤドカリ、1人でやっつけちゃうなんて!!』

 

待機を命じていた愛弟子の愛機が接近し、労ってくれる。

しかし、喜ぶにはまだ早い。

 

「油断するなユナ。俺達はまだ、そのヤドカリをやっとこさ貝の外に引きずり出しただけだ。――来るぞ! 下がれ!」

 

俺がそう警告した直後、崩れ去るアルヴァトーレの爆煙の中から金色の粒子ビームが飛来。

 

ゼロクアンタ()ブレイジングエクシア(ユナ)は散開して後方に下がりつつ、射線の先を視認。

 

そこには、金色の翼と体という余程拗らせた中二病でなければ思いつかないデザインをしつつ、何故だか頭部だけ地味の極みとすら言える《ジムヘッド》にした疑似太陽炉搭載MS(モビルスーツ)【アルヴァアロン】が、2挺のビームライフルをこちらに向かった放っていた。

 

『し、ししょー! 流石にこれはまずくないですか!?』

 

「ああ、数でこそ2対1だがこっちはボロボロあっちはピカピカ、おまけにトランザム(切札)も使い切って粒子もガス欠手前なんだから――正真正銘大ピンチだ!」

 

『なんでちょっと嬉しそうなんですか~!?』

 

ミッションクリア直前に立ちはだかる最後の強敵を前に年相応の悲鳴を上げながらビームを回避するユナ。

 

確かに悲嘆したい気持ちはよく分かる。

ここまで散々苦労して、如何にもラスボスっぽい難敵を倒したかと思った矢先にこの状況。

真剣に挑んだからこそ、悔しさも一層だろう。

 

だが、あくまで“ユナのししょー”としてプレイしてきた俺からすれば、この状況は格好の教材だ。

 

何故なら、真の逆境の中でしか教えられない事が教える機会に恵まれたのだから。

 

「ユナ、今から俺の戦いをよく見てろ。そしてそれをよく考えて、動け!」

 

『えっ? し、ししょー!?』

 

困惑するユナに敢えて返事はせず、俺は右手に持っていたGNキャノンを投げ捨て、ガントレットに収納していたビームサーベルを抜刀。

 

アルヴァアロンの射撃を回避しながら接近し、光刃を振り下ろす。

 

「ゼロクアンタガルム、目標を駆逐する!」

 

と、格好をつけた台詞を吐いてはみたものの、当然の様に斬撃はアルヴァアロンがその特徴的な翼から展開したGNフィールドによって弾かれてしまい、お返しとばかりに近距離からビームが返ってくる。

 

こうなる結果など分かり切った上での無意味なアタック。

しかし俺は勝利に絶望しかけたユナに、敢えてその愚行を見せたかった。

 

「ユナ、戦いってのは必ずしも万全な状態で出来るとは限らない。今みたいなボロボロの状態で強敵に挑まなくちゃならない事もあるし、そうでなくても自分自身の体調や精神状態、予期せぬ機体トラブルやこの前みたいな悪意あるイレギュラー。どれだけ丁寧にガンプラを作り、腕を磨いても尚、どうにもならない状態ってのは今回に限らず、いずれまた何度も遭遇するもんだ。――だからこそ、覚えておいてくれ!!」

 

俺は再びゼロクアンタを前に出し、今度はアルヴァアロンの背後を取ろうと旋回。

 

GNフィールド発生機構である翼の付け根をGNフィストで破壊できればと考えたのだが、その目論見はアルヴァアロンを操るNPDにも見透かされていたらしく、背後を取らせない様に動いてくる。

 

「ファイターにとっての最大の武器、それは己と己のガンプラを信じ抜き、最後の最後まで勝ちを諦めない心だ!」

 

アルヴァアロンは翼を稼働させてビームライフルと同調を行い、アルヴァトーレの主砲に匹敵する極太の粒子ビームを発射。

 

当然、回避運動を行うが接近戦を仕掛けている最中だったので避け切れず、右脚部を消失。

 

機体の重心バランスが崩れた事で、操縦難易度が跳ね上がる。

俺はビームサーベルで左脚部を自ら斬り落とした。

 

GNコンデンサー(粒子貯蔵タンク)も兼ねた脚部に喪失は痛手だが、今はエネルギー残量より機動性を優先する。

 

『ししょぉおお!!』

 

「狼狽えるな! 宇宙戦闘での足なんて飾りみたいなもんだ! それより聞けユナ! どれだけ真剣に取り組んでもガンプラバトルの本質は“遊び”だ。負けても死にはしないし失うものなんてゲームポイントと自信ぐらいだ。だからこそ、負けも失敗も恐れるな! 全身全霊でぶつかれ! 傷ついても傷ついても……前へ前へと進め!!」

 

背後を突く事が難しいと分かった今、イチかバチかだが正面突破しか選択肢はない。

 

俺は只の焦げた装甲版と化した左肩のシールドを右手で引きちぎり、投擲。

 

アルヴァアロンは当然の様にビームライフルで打ち抜いた爆散させるが、それによって生じた爆煙を目くらましに、ゼロクアンタは一気に間合いを詰める。

 

「どれだけ追い詰められていても、諦めなければ必ずそこに道は開かれる。考えながら動き続けろ。動きながら考え続けろ」

 

そして両腕のガントレットから局所GNフィールドを展開させ、まず左拳を叩きつけアルヴァアロンのGNフィールドに干渉。

 

弱体化させた上で右手を捻じ込み、予め手に握っていたGNビームサーベルから光刃を放つ。

 

伸びた光の刃はアルヴァアロンの右側の翼の付け根を貫き、GNフィールドを展開不能状態にした。

 

「…………こんな風にな?」

 

と、虚勢を張ってキメ顔で言ってはみたものの、ゼロクアンタの両腕も強引なフィールド突破と翼部の爆発の煽りを受けて半壊。

 

武装に続いて手足を失った所謂ダルマ状態に陥ってしまった。

 

最早、できることなど精々頭突き位だろう。

 

一方、攻撃と防御の要を失ったもののアルヴァアロンの本体は健在。

右手のライフルを投げ捨ててビームサーベルを抜刀した金ジムは、代償を払えとばかりに無力化したゼロクアンタに迫る。

 

だが、俺には例え全ての武器や四肢すら喪失しても、勝利を信じさせてくれる存在(もの)がある。

 

可愛い愛弟子にして、共に戦場を駆ける相棒たる――ユナが!

 

『私のっ! ししょーにっ! 手を、出すなぁあああああああああ!!』

 

一度は失いかけた戦意を取り戻したブレイジングエクシアは両手にビームサーベルを握り、ゼロクアンタ()を狙うアルヴァアロンを強襲。

 

強さを支える(GNフィールド)を失い、文字通りの金ピカなだけのジムに成り下がったアルヴァアロンの五体を光刃を以て×(バツ)の字に斬り裂いた。

 

―――MISSION COMPLETE!―――

 

軽快なBGMと共にクリア条件を満たした事を告げるメッセージが提示される。

 

画面の端にあるポイントも増加し、何もなかった獲得称号の欄には【ガンプラマイスター】というのが追加された。

 

 

・・・・・

 

 

「ししょおおおおおおおおおお!!」

 

セントラルエリアに戻った俺に待ち受けたのは弟子の力一杯の抱擁だった。

 

「ししょー! ししょー! ししょー! やりましたよ私! やしましたね私達!! はじめてのみっしょんくりあーです♪ 頑張れましたか私? ししょーの弟子に恥じない戦いできましたか?? 出来てたら、ぎゅって抱きしめて褒めて欲しいです!!」

 

凄まじいテンションで俺の胸の中に飛び込み、マシンガンみたいな速度でしゃべるユナ。

 

元より笑ったり泣いたり怒ったり、感情表現が豊かな()なのは分かっていたが、ここまで感情を爆発させているのは初めて見た。何と言うか……激しい。

 

俺はそんな感極まった弟子を沈める為にもリクエストに応え、痛くしない程度に力加減しながら、ユナの背中に手をまわして抱きしめた。

 

年齢的にここまで正直にはしゃげないが、俺だって嬉しい気持ちは一緒なのだ。

 

「んんんん~~~~♡(クンクン)」

 

俺が力を込めるとユナは嬉しそうに俺の胸に顔を擦り付ける。

……何故か匂いを嗅いでるみたいなのが意味不明だが、触れない方がいいのだろうか?

 

そうしてしばし師弟の絆を確かめ合った後、名残惜しそうな顔をするユナを引きはがし、俺は彼女に今日のミッションの出来について感想を答えた。

 

「恥じないも何も、本当に俺なんかが師匠でいいのかって思うくらい最高の戦いだったぞ? よく頑張ったなユナ? ――これはご褒美だ」

 

俺はシステムウィンドウを操作し、一昨日の採取クエストで手に入れた【ELSフラワー】を加工して作った【ELSブローチ】を召喚。

 

00のフィナーレを飾ったあの“中東の名もなき花”を象ったそれを、ユナの胸元に付けた。

 

「これからも分不相応にエラそうな事を言ったり、ひょっとするとウザく感じる様な指導をするかもしれないけど、これからも俺の弟子、続けてくれるか?」

 

「……うぅ~! ししょーは弟子を甘やかしすぎですよもうっ♡ そんな事、決まってるじゃないですか! ししょーは一生、私のししょーです!! 不束な弟子ですけど、これからもいっぱいちょーきょーしてくださいね?」

 

「ああ、勿論だ! …………ん? ちょっと待った。最後なんて言った??」

 

「はい♡ ですからこれからも私の事ビシバシしごいて、ししょー好みの女の子にちょーきょーしてくださいねってお願いしました♡」

 

「ちぃいいいいがぁああああうううううううううううう!!!」

 

目をトロンとさせてとんでねえ事を抜かすユナに、俺は力一杯の否定の言葉を叫ぶ。

 

……ハッ! ていうか雰囲気とテンションに流されて色々こっ恥ずかしい台詞を言ったけど、よく考えたらここ、GBNで1番人が集まる場所じゃねえか!!

 

周囲に意識を向ければ、あちこちから視線が……!!

 

――オイオイ、調教ってマジかよ……。

――あんな可愛い娘が……。

――変態過ぎる……。

――マジ引くわー。

――おい、誰か運営に通報しろよ。

――羨ましい……。

――俺も美少女調教してー。

 

「ち、違う! 俺は断じてこの娘を調教とかしてないから!! 女の子としてどうこうとか――――って、最後の2つ呟いた奴誰だ!? 羨ましいとは何だ羨ましいとは! 俺の弟子エロい目で見たらぶっ殺すぞ!? “カシャ”フォトを撮るなぁあああああああああ!!」

 

獣の如き咆哮を上げながら無実を主張する俺だが、誰も話を聞いてくれない。

 

こうして俺達のGBN再起動(リブート)は、大きな成功と洒落にならない疑惑と共に幕を閉じるのであった。

 




【ELSブローチ】
ダイチがポイントを荒稼ぎする為に望んだヴァルガでの採取クエストで獲得したELSフラワーを加工して作った名も無き花を象ったブローチ。
脳量子波を発するELSの特性から、装備者が操るガンプラのセンサー機器の性能をほんの僅かに上昇させる効果がある。
一応釈明するが、ダイチにとっては『初ミッションを頑張ったご褒美』『記念品』という意味で送ったのであって、他意はない。ないったらない!
ユナがこの贈り物をどう思うかはまた別の話だが……。
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