ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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ユナが不在の間、いよいよダイチも本格的な自身のガンプラ改修に移ります。


第22話 弟子の居ぬ間に……。

連戦ミッションを終え、次の目標が決まったその日の晩。

 

ユナに10日間のGBN禁止と俺の部屋への出禁、LINEの制限などを厳命し、帰り道に100円ショップで黒縁の伊達メガネ(単体のデザインはくそダサいが、ユナがかけると可愛い!)を購入して喫茶暁まで送り届けた後、俺は自宅へと帰宅。

 

シャワーと冷食で簡単に夕飯を済ませた後、俺は作業机に座りながらダイバーギアをノートPCに繋ぎ、今日の連戦ミッションにおける俺の戦闘データを再生していた。

 

目的は無論、個人的な反省会だ。

 

「――やっぱりガルム()のままじゃ再来週のサバイバルミッションや、フォース戦はちょっと厳しいよな」

 

第5ステージにおける戦闘動画を何度か観返し、俺は改めてゼロクアンタガルムの問題点――もっと言えば俺自身が見落としていた“GPDとGBNの違い”を改めて確認した。

 

それは気づいてみれば極めて単純な話、『GPDはあくまで“対戦格闘ゲーム”であり、GBNは所謂1つの“MMORPG”である』ということだ。

 

GPDは基本、プレイヤー同士による1対1若しくは少数対少数による対人戦が基本だ。

 

つまり互いの戦力数が同等で正面からの戦い――文字通りの決闘(デュエル)なのだ。

 

それに対し、仮想世界(ディメンション)を舞台にガンプラに乗るGBNに於いて、そうした対人戦は数あるミッションの1つでしかない。

 

無数のNPDを相手取った殲滅戦やフラッグ戦。

ガンプラに乗って飛び回り、目当てのアイテムを回収する採取ミッション。

ガンラプを用いたレースやスポーツなどを行う変わり種のミッション。

怪物じみた巨大な敵に集団で挑むレイドボス戦。

 

ガンプラを使う点。そして基本的な操作方法が同じだったから気づくのが遅れたが、これほど多様性が求められるゲーム内に於いてGPDの経験則を基に作り上げたガルムは対応力に欠けていると言わざるをえない。

 

言うなればゼロクアンタガルムという機体は、対人――それも1対1もしくは少数との対戦特化の機体だったのだ。

 

具体的に言えば、大多数の敵を相手どる際の“面の攻撃”に対応した装備。

それから広大なフィールドを駆け回る機動力と、それを支えるエネルギー運用効率化。

 

本体の改良に伴う燃費悪化を補う為の装備の見直す必要がある。

 

改良すべき点は非常に多い。

が、そういう試行錯誤もまた、ガンプラ作りの醍醐味だろう。

 

こんな事を考えてはユナには悪いとも思うが、この10日間は俺もししょーという立場から一旦離れ、1人のビルダーとして自身のガンプラの完成に注力させてもらおう。

 

――そうすれば試験終了後、たっぷりユナの育成に時間を費やせるしな!

 

 

・・・・・

 

 

翌日月曜の昼休み。

 

先週からは毎日大量に送られてきたメッセージがない事に一抹の寂しさ(自分で命じた癖に……)を覚えつつ、俺は人が少ない屋上(喫煙スペース)で缶コーヒーを片手にスマホを弄り、GBNやガンダム関連専用の動画投稿サイト【G-Tube】から“ダブルオ― 改修機”で検索した動画を閲覧していた。

 

改めてゼロクアンタ(自身のガンプラ)を仕上げるにあたり、自分と同じクアンタやその前身であるダブルオーをどんなふうに改修しているかというのを参考にしたくなったからだ(無論、パクるつもりなどないが)。

 

結果、最も多くの動画がヒットしたのは圧倒的に【ビルドダイバーズ】というフォースのリーダー【リク】が駆る【ダブルオースカイ】若しくはその後継機である【ダブルオースカイメビウス】の戦闘動画だった。

 

フォース・ビルドダイバーズ。

 

メンバー総勢7名という少数でありながら、ワールドランク99位に位置する(総人数ひと桁ではかなり異端らしい)GBN内でも屈指の知名度を誇るフォース。

 

GBN内でも最大の事件とされる2度の【有志連合戦】に於いては、立場こそ違えど騒乱の中心で活躍し、GBNそのものやELダイバーの存在を守り抜いた英雄的存在。との事らしい。

 

中でもデビュー時からダブルオーガンダムの改造機を使い続けるこのリクというダイバーの活躍は伝説的であり、今や『不動のチャンプ クジョウ・キョウヤ打倒に最も近い男』と評されるトッププレイヤーだ。

 

そんな彼の駆る愛機ダブルオースカイの出来はというと、やはり素晴らしいの一言につきる。

 

ツインドライブを除けば極めてシンプルなダブルオーガンダムをベースに多くの装備を搭載したデスティニーガンダムの機構を取り入れた機体。

 

発想そのものは少年らしいシンプルさを持ちながら、出来上がった機体にはリク少年のGBN内を通しての数々の出会いや経験が色濃く滲み出ている。

 

この手の『複数の機体のいいとこ取り改修』にありがちな薄っぺらさが微塵もない

 

さらにその後継機のダブルオースカイメビウスになると装備内容が洗練され、高い機動性と豊富な火器がバランスよく、高い次元で纏まっている。

 

そしてその操縦センスたるや、俺がGPDに没頭していた頃に全国大会に出場したとしても間違いなく優勝を狙えるレベル。――正直、ユナと同等レベルの才能だと思った。

 

本人の極めて高い操縦センスと、数多くの経験によって研鑽されたガンプラ。

 

まさしく“英雄”と呼ばれるに相応しい、正統派という印象だ。

 

こうした“才能と努力の正しい結果”と呼べる存在を目の当たりにすると、改めて自分の凡庸さを痛感させられる。

 

なまじ1度ガンプラバトルの世界から離れて出戻ってきたからこそ分かる事だが、俺のガンプラビルダー及びファイターとしての才能は、決して高くはない。

 

ガンプラやバトルに対し、人並みの情熱と誠意を以て取り組めば誰もが辿り着く、凡人の域だ。リク少年やユナの様な“選ばれた才能”など持ち合わせていない。

 

無論、俺自身これからも研鑽を積んで腕を磨いていくつもりではある。

 

しかしそれでも、既にファイターとしては伸びしろを過ぎた俺が将来的にこれだけの動きが出来るようになることは、まずあり得ない。

 

それは1度はガンプラバトルの頂点を目指した者として、認め難い真実ではある。

 

情熱を懸けて取り組んだ分野で、自信の才能を見限るというのはなかなか心が痛くなるものだ。

 

しかし、それでも、そういう己の分を弁える事で得られる力というのもある。

 

生来の反応速度とセンスでは勝てないと言うなら、他の部分で補えば良い。

 

リク少年がGBN内での出会いや戦いを糧に自身とガンプラを磨いてきた様に、俺も俺でGPDの経験やユナとの出会い、ひたすら仕事に費やしてきた5年間の空白期すら糧にして、自分なりのクアンタを作り出せばよい。

 

確かに、個人ランキング1~2桁のダイバーは誇張抜きに殆どが“怪物”と呼べる存在だ。

 

しかし世界の伝承、伝記物の小説には何の力も持たないただの人間が、超常の怪物を打ち倒したなどという話、いくらでもある。

 

化物の様になれないなら、知恵と工夫と気概を持って“化け物を狩る者”を目指せばよい。

 

それだけの話だ。

 

 

・・・・・

 

 

午後の仕事も滞りなく終え、華の定時退勤を決められた俺は帰りにガンダムベースを訪れていた。

 

最早天敵と呼べる存在になったニシカワさんが向けてくる冷たく尖った氷柱の様な視線を背に受けながら、ガンダム00作品の棚を物色。

 

昨晩じっくり考えたアイデアを形にする為に必要な【HGダブルオーライザー(粒子貯蔵タンク型)】と【HGダブルオーガンダムセブンソード/G】を購入した。

 

帰宅途中、喫茶暁の前を通りかかった際にはユナの様子が気になったが、グッとこらえた。

 

まったく、自分から接触を制限しておいて、まだ1日で気になって仕方ないなど、我ながらしょうもなさすぎる。

 

正直に言うと、後9日もあの娘と会えないと考えるとめっちゃ寂しい。

 

しかしそれは我儘であり、身勝手且つ気持ち悪い男のエゴだ。

 

今はただ、可愛い愛弟子に会えない寂しさをガンプラに向ける。

 

あの娘を守り、育てるに値する“ユナのししょー”であり続ける為に。

 

 

・・・・・

 

 

「ふぅ、……今日はこの辺にしておくか」

 

帰宅後、テキトー極まる食事を済ませた俺は22時までを今日購入したガンプラ=ゼロクアンタの改修に使うパーツの制作と塗装に費やし、作業が終わった所で切り上げた。

 

エアブラシによる塗装を施したパーツをベランダに置き、風呂に入ったり少しくつろいだりした後に乾いたのを確認した。

 

組み上げたのは、オーライザーの両翼とセブンソード/Gの両脚。

 

この2つを移植する事が今回のゼロクアンタ改修のメイン作業ではあるが、ここから先の改修にはオリジナルパーツが必要になってくるので、ガンダムベースのパーツ成型機を頼る必要がある(プラ板やパテでのスクラッチも出来なくはないが時間が掛かる)。

 

幸いにも今週……というか年度末いっぱいまでは本年度中に消化しなければならない年休が貯まっていた為、休みが多い。

 

作業に費やせる時間が確保できるのは実にありがたい話だ。

 

明日はまた遅番で作業ができないが、明後日の水曜日は休みだから順調にいけばその日の内に完成できるだろう。

 

そして金曜と土曜に試運転をして調整を済ませれば、来週はユナの対人戦の特訓に専念できる! ……因みに日曜は地味に忙しい休日出勤だったりするが。

 

「待ってろよゼロクアンタ、5年越しになったが今度こそお前を完成させてやる!」

 

俺は作業机の上に置かれたゼロクアンタガルムに視線を向けそう言って、床に就いた。

 

仕事以外にやるべき事が多い日常は、やはり楽しい。

 




【ダイチのガンプラメモ】ゼロクアンタ<第三形態>開発記①

ゼロクアンタガルムの長所・短所

<長所>
・装備の数を絞った事により高い火力と防御フィールドを持ちながら、機動力を落とさず、燃費も良好である。

・機体の軽量化と良燃費の為、より長時間のトランザムが継続可能。

・身軽な本体と高火力装備の組み合わせにより単独戦闘、チーム戦での後方支援、どちらでも活躍できる。

<短所>
・GNキャノンは威力が申し分ないが連射性が低い。副砲として搭載したGNバルカンは牽制火器としては優秀だが攻撃力が低い。

→複数の敵を短時間で殲滅する能力に乏しい。

・1対1、若しくは2~3体規模でのチーム戦を想定して作られた為、所謂“面の攻撃”の手段に乏しい。

→武装強化とそれに伴う機体重量の増加が課題。

<改良点>
・ミサイル系の装備を追加。単純な機体重量の軽さ意外に機動力の増強。
 
→スラスターと武装を搭載したオーライザーの翼部ユニットが最適か?

・装備やスラスターを増設する分、火器による粒子消費を抑える。

→低燃費・高火力な装備の選択。取り回しも良くしたい。

MA(モビルアーマー)などの対大型兵器に通用する切札の搭載。

・その一方で対人戦での柔軟な機動性を実現。

 →GBNには必殺技というシステムがあるらしいが……?

・トランザムの時間延長。それに伴う本体の耐久力向上。
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