ガンダムビルドダイバーズ REBOOT 作:キラメイオレンジ
それと先日、本作のヒロインとロリコンが麻婆炒飯様の作品にモブとして出演させて貰いました!
この作品を読んでくださっている他の作者様も気が向いたらどんどん使ってください(^^)
前回のあらすじ:俺のことを腐れロリコンと認識しているニシカワさんは、どうやら高校時代の俺のファン(?)だったっぽい!
「レ、レレレレレレレッドって、もしかしてあのレッドの事ですか? 6、7年前のGPD都大会でちょ~っとだけ悪目立ちした、大して顔がいい訳でもないの無駄にカッコつけてたあの?」
「なんですかその失礼な言い方は!? 訂正してください!! 私がこの世で最も尊敬しているガンプラファイターを侮辱するなんて許しませんよ!!!」
俺が俺の事をバカにしたら怒られた! 何だこの珍妙な展開!?
何だかちょっとユナの口癖である『ししょーのことをバカにするのは、ししょーでも許しません!』に似てる気がする。
「いや、最も尊敬ってそれはちょっとどうかと思うよ!? こう言っちゃなんだけど、レッドって結局に地区予選止まりだった訳だし、同年代だけで比較しても、アイツより優れたファイターなんていくらでもいるじゃないですか!?」
「表層的な実力や情報だけで、私の王子様を語らないでください!! あなたにレッド様の何が分かるって言うんですか!?」
いや、キミよりは分かってるよ!?
だって本人だもん!!
ていうか、王子様ってなんだ王子様って!?
「確かにレッド様は全国大会に出場できずじまいでした。けどそれはチームメイトの急な欠場やご家庭の事情など、多くの不運に見舞われたからです! 何より、私があの人を尊敬しているのは単純に優れたファイターだからじゃありません。いいですか――」
その後、ニシカワさんは俺に対し
正直、恥ずかしくて死にそうだった。
人生で最も粋がっていた頃の自分の発言や行動を情感たっぷりに熱弁されるとか、いい歳をした大人にとっては拷問に近い。
頼むからもう、止めてくれ……!
あの頃の俺は中学2年生の頃に発病する病気が未だに治りきってなくて、ちょーしこいていたというか、自分を特別な存在――物語の主人公になった様な気になって振舞っていただけだから!
GPDに懸けた情熱や、口にした言葉に嘘がないのは確かだけど、本来の俺は、レッドは、基本的に小心者で、常識人ぶってる癖にガンプラや身内の事が関わると度々暴走して恥ずかしい言動や行動をして後で後悔するような奴だから!
「――実は私、あの月宮工業との決勝戦の後にレッド様に会いに行ったんです」
「えっ、マジで? 全然記憶にな……な、なんでもないです。会ったことあるんですか?」
7年前ってことは、ニシカワさんは大体、中学生の頃か?
当時の試合後の記憶には中学生(今の容姿から推察するに多分間違いなく可愛い)に声をかけられたなんて素敵な記憶は存在しない。仮にあったら絶対に覚えてる筈だ。
そんな俺の疑問に対し、ニシカワさんは首を横に振った。
「結局、会えずじまいでした。私が控室に行った時、レッド様は泣いている後輩さんを慰めるのに一生懸命でしたので」
「……ああ、なるほど」
言われて思い出したが確かに試合の後は、『自分達が不甲斐なかった所為で先輩の足を引っ張った』とか思い違いをして泣いていたアキラともう1人の1年女子【ユキムラ】を宥めるのに苦労したっけ。
――まったく。月宮工業のクロカワといい、なんで誰も彼もあの試合の敗因が『控えの1年生が出場したから』などと言うのか?
あの試合の敗北に責任があるとしたら、それは他の誰でもない、指揮をとった俺だ。
アキラも、ユキムラも、全国レベルの強豪相手にガンプラの完全破壊の恐怖を抱えながら勇気を振り絞って戦ってくれた。
あいつらへの侮辱は、俺が許さない。
……そういえば、今の今まで忘れてたけどあの頃のアキラは滅茶苦茶可愛げのある後輩だったな。
入部したての当時はファイターとしてもビルダーとしても既にいっぱしの実力者だったのに内向的な性格から自分に自信が持てず、実力を発揮できていなかった。
1人称も俺じゃなく僕で『~っス』みたいなこてこてのキャラ付けみたいな語尾もつけてなくて、何より
あの大会の後の折も――
『先輩、僕……僕……一生ついていきます!! 例えこの先なにがあっても、先輩の事を信じて味方でいます!』
とか言ってくれたっけ。………………どうしてああなった?
「私の話、聞いてますか?」
「あっ、すみません!」
当時の事を思い返し少し思考が飛んでいた俺にニシカワさんは咎める視線を向ける。
というかこの人、どんだけ
そんなに語るほど活躍した記憶ないぞ?
「とにかく、私が本当に尊敬しているのはレッド様の精神性なんです! 勝ち目のない戦いにも全身全霊で挑む勇敢さ、自分のガンプラが完全破壊された直後にも関わらず後輩の人達を思いやる優しさ……私、後輩の人達を慰めるその様子を見ていたら身体が熱くなって、心臓の鼓動が高まって……まともにお顔を見れずじまいでした」
「えっ、それって……」
オタクっぽく熱い口調で語っていたと思ったら一転、潤んだ瞳を逸らし、ニシカワさんは首を縦に振った。
「ええ、……妹達から茶化されて否定してましたけど、初恋……だったと思います」
滅茶苦茶乙女チックな表情で長年の想いを肯定するニシカワさん――尚、相手はその相手=俺である。
えっ、ウソ? ちょっと俺、もしかするともしかして、この人に告白とかされちゃってる??
いや、ニシカワさんにとって俺はあくまで『JCを衝け狙う腐れロリコン』って認識だから……何だこの状況!?
先週ちょっと意識したニシカワさんルートのフラグ、とっくの昔に立ってたじゃねえか!
えっ、ということは何だ?
ひょっとすると今この場で彼女に『俺がレッドです』って言えば、この少し……いや、かなり思い込みが激しい所があるが間違いなく美人であるニシカワさんとお付き合いできると?
いや、ちょっと待て、ニシカワさんからすれば好感度100のレッドと
相殺してプラマイ0になるならまだいいが、幻想をぶち壊された事で-200に振り切れる可能性も大いにあり得ないか?
そうなった場合、愛が憎しみに変わった事で最悪ナイフでブスり……。
…………うん、決めた。ニシカワさんには絶対に俺がレッドだと知られない様にしよう!
命は大事!!
・・・・・・
その後も1時間ほど『レッド様トーク』を聞かされ続けた後に解放された俺は、おぼつかない足取りで帰宅。
自分では『アイタタタターー!』と捉えている過去を、さも名作映画を観た後の様な情熱で語られるのは、正直キツい。傷口に醤油かけられた上、香ばしく焼かれた気分だ……。
反面、とっくの昔に忘れ去れたと思っていた自分の戦いが、誰かの心や人生観に影響を与えたという事実は、素直に嬉しくもあった。
大きな羞恥心と僅かばかりの誇らしさが混ざり合い、感情が迷子になっている。
――うん、こういう時はやっぱりアレだな。取り敢えず何かしら作業に没頭することで頭を冷やすに限る。
店で一応組み上げを終えたゼロクアンタライザーを取り出し、最終チェックに取り掛かった。
合わせ目の処理や塗装のはみだしなどの基本的な部分に加え、俺が特に入念に確認したのは機体の重心バランスだ。
無駄な装備を極力省き、強力な武装やギミックではなく『身軽さと操作性』を活かすゼロクアンタにとって、この辺りの仕上がりは機体全体の性能に影響を与える。
「うん、やっぱりガントレットを外してカタールの位置にスラスターを付けたのは正解だったな。シルエットがほぼ00ライザーだから上半身が重くなるし」
凡そ想定通りの重量バランスに纏まった事を確認し、作業は終了。
これ以上の調整は実際にGBNで動かしてみた方が早いだろう。
明日は残業さえ発生しなければ5時にはガンダムベースに行けるから2、3時間はプレイできるか。
出来れば複数の敵との乱戦が望ましい所だが、そうなるとやっぱり
後は腕の立つ相手と1対1の決闘形式での戦闘もしたいが、頼むとしたらアキラのアホかマギーさん……後でメッセージ送ってみるか。
「――と、メッセージと言えば」
時間を確認すれば21時を少し回ったところ、まだ起きてるな。
俺は充電器に刺した状態のスマホを取り、ユナにおやすみのメッセージを送る。
勉強の妨げにならない様にゼロクアンタの改良などガンプラ絡みの話はせず、『今日は少し暖かかったな』とか『ガンダムベースの向かいに出来たそば屋、美味かったから今度一緒に行こう』などと当り障りのない話題にして締めに『勉強頑張れ、おやすみ!』と送る。
1分後、その日の授業内容とか友達とした面白い話などをたっぷり書いたメッセージがユナから送られてくる。
そして最後に[おやすみなさいししょー。……はやくあいたいです]という一文で締められた。
――俺も早くキミに会いたいよ。ユナ。
【ダイチのガンプラメモ】ゼロクアンタ<第3形態>開発記②
<機体コンセプトについて>
・ファイターとして凡庸な自身が、並外れたセンスや技術を持つ上位ランカーと渡り合う為の機体。
→ピーキーなロマン機体や、ファイターの技量ありきの高性能機にはしない。
→汎用性と使い易さを伸ばし、トランザムを駆使することで地力の差を補う。
・ガンプラの性能を構成する“攻撃力”、“防御力”、“機動力”、“エネルギー量”、“機体重量”の5つの要素をバランス良く引き上げる。
→オーライザーの翼(以下ライザーウィング)を搭載することでスラスター、GNフィールド、武装コンテナ(GNサブマシンガン&GNマイクロミサイル)を得る。
→手持ち武器としてドッズライフルと実体剣にする事で燃費を抑えつつ、耐ビーム防御搭載機への対応力を持たせる。
・機体の性能と総重量(重すぎると余計な推進力が必要になる)を可能な限り抑える事で粒子消費量を節約。
→トランザムシステムの発動時間延長させる。
→無駄な装備を省くことでより柔軟な動きと操作性の向上を図る。